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開幕!卵争奪戦とさようなら
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「ジェフラの言い分ももっともじゃ。この大会は村の娯楽になっていたと聞いた。
そこで次の娯楽をワシが用意しておいたぞ」
村長が前に出てきた。
「この村の祭事にレインボーアホー鳥の卵を持ち帰る儀式があってな、
賢者様が旅立たれた後の事も考えて儀式を復活させたいと思っておる。
卵には解毒をする力があり、大工の統領のこれから生まれてくる子供の成長にも
きっと役に立つだろう」
「勇者は名乗り出よ!といっても 名乗り出ぬであろう。
そこでじゃ。ジェフラとセレネの二人を勇者とし、仲間を集めて競ってもらおうというわけじゃよ」
賢者スデーモの提案で娯楽のない村に祭りの予感が駆け巡った。
「祭りだ! 祭りだ!」
「おおおおぉぉぉぉ しゃぁ!! やってやるぜ!」
「ヒューヒュー パチパチパチ!!」
「おいおい 口笛なんて吹くな!小人が出るぞ」
でも そこにやってきたのはサウレだった。
「トン!」と杖を地面に打ち付けるといい音が出た、
そしてヘラヘラ笑っている賢者スデーモを睨みつけた。
「祭事を復活させることには賛成でしたが やはり賢者は品がありません。
想いや物語がなければ祭事をやる意味がないのです」
サウレは地面に文字を書いて炎のキツネを召喚した。
すると 賢者スデーモは鼻で高笑いを一つすると、
「物語で人をだまさねば、使えぬ魔法など魔法ではないわい!!!力の魔法を見せてやる!」
といって右手に風を左手に光を宿して、今にも何かを放ちそうな構えをした。
キツネがスデーモに飛び掛かり スデーモは爆裂系の魔法攻撃で反撃した。
そしてキツネは消し飛んだのだがそれは サウレの陽動で、キツネがかき消される間に沢山の
文字を地面に書いていた。
杖をマッチのように燃やして地面をこすると次々と炎の動物たちが現れて縦横無尽に
賢者スデーモに飛び掛かっていった。
「ドカン! ドン! ドッカン!!」
炎系と爆裂系の魔法対決は映画のようにド派手で村を燃やしそうな勢いだった。
この被害に慌てたのは村長だ。
泡を食ったように村長は戦士マクアに泣きついた。
「戦士様 どうか、二人を止めてください。このままでは村が燃えてしまいます」
「賢者スデーモは俺の師だぞ。そのケンカを止めろというのか?
それに 魔法剣はさっき使ってしまったからな。
無理だ 諦めろ がははは」
村長は うなだれて頭を抱えてしまった。
「ドッバン!!ブッシャャャャーーー!!」
元魔女サウレと賢者スデーモの間に 大きな水の塊が降ってきた。
水の塊が弾けて 水しぶきの中から現れたのは前かがみにスカートの前を抑えている
セレネだった。
「何やってるのよ!村を壊すつもり!!」とカッコよく二人を制止した
けど水しぶきがセレネのいろんなところをプルプルと揺らしていて今一つ閉まりがない。
「そうじゃ そうじゃ。じじいと若作りのばばあが戦っても仕方があるまい」
「そうそう、ジェフラよ。
お前はマクアが好きであったな、どうだ?勝てば我々の旅の仲間に迎えてもかまわぬぞ
お前は役に立ちそうじゃからな がははは」
と言われてジェフラは全く恥ずかしくないのにも関わらずホホを赤らめてモジモジとし始めた。
「困っちゃった。恥ずかしい」というそぶりを見せながら遠慮するように
「正直いってぇ~ 戦士マクアさまはカッコいいけど
セレネの体にデレデレしちゃうようでわ~もう興味ありません!
でもぉ~代わりに私が勝ったらそこにいるぅ~
オーレンスとの交際を村のみんなで認めてください。それでいいわよね??セレネ!」と言い出した。
血液だけが地面に引っ張られるような感覚を体験したセレネは
「なんで私に聞くのよ!!私は・・・」とセレネが答えようとしたとき、戦士マクアが止めに入った。
「まあ まあ待ってくれお弁当大会の優勝賞品の授与がまだ終わってないじゃないか?
勝負をするかを決めるのはそれからだ!
ほ~ら セレネ。これが「死出のネックレス」だ」
戦士マクアは セレネの首に素早く「死出のネックレス」をかけて質問をした。
「セレネよ。お前は 後悔しない生き方をしたいとは思わないか?」
「そりゃ そうよ。そんなの誰だってそう答えるのに決まってるじゃない!」
すると きらめくガラスのようなネックレスからは想像もできない黒い煙が噴き出してセレネを包んだ。
煙は一瞬だけど骸骨の形に見えてそのままセレネの体に吸い込まれていった。
「香ばしい匂いがするゲロ・・」
フロンの言う通りで 焦げたような臭いが漂いう。
あのような光景に周りもサウレも騒然としたと思ったが・・なってない。なんでだ?
あんなに大きな煙がセレネを包んだのにも関わらず
相変わらずニタニタと笑っている賢者スデーモとすました顔のサウレ。
村人たちも何事もなかったかのように騒いでいた。
「バキ パキパキパキ・・・」
「何の音だ?」「さーな?」
戦士マクアは再びセレネに質問した
「さて セレネ。人生なんていつ終わるかわからない。
ジェフラと今のうちに決着をつけてしまいたいと思わないか?
もしも明日死んでしまうとしたら、決着が付けられないのは辛いだろう?どうだ?」
セレネは下を向いたまま クスクスと笑い始めた。
「そうね。私ったら何をグズグズやっていたのかしら。
もしかしたら明日死んじゃうかもしれないのに・・・」
セレネは顔を上げて村娘らしい長い髪をかき上げるとジェフラに向かって指を刺した。
「勝負よ。ジェフラ!! あなたがオーレンスを選ぶなら私は戦士マクア様に付くわ!」
勝負は数日先になるだろうけどすぐにでも勝負が始まってしまいそうな緊張感があった。
「よく言ったぞ。さすがオレのセレネだ!特別にキスしてやろうか・・・じょっ冗談だ 睨むなよ・・
さあ こっちへ来い」
「ふざけるな!!! うりゃぁぁぁ!」
「なんだ オーレンス。 また 蹴られたいのか?まあ 無駄だがな」
「突っ込んじゃダメゲロォォォォ!!>口<」
「オレに マカセロ」
「村の中でチュよ。やめるでチュ!」
マクアに到達する前に誰かが俺の体に手を触れた。
「ビガ!!ビリビリビリ」
俺の右手に光が走った。 う。。今度は体が動かない。。
そして体に小刻みに震える痛みが走り、俺はスタンガンでも押し当てられたかのように
息もできない状態になった。電気を流し込んでいるのか?
この声は賢者スデーモだ。
「いかんのう。。 女を連れさろうとは・・村娘も困っておるであろう」
そして小声でスデーモはささやいた
「騒ぐでない。さもなければセレネを殺すぞ」
「スデーモよ。若者に手を出すと言うなら私を倒してからにしなさい!!」
「サウレよ。なーに手をつかんだだけじゃよ。
それに若い者の意思を尊重したまでじゃ。
せっかくの決意に水を差されたのではセレネも可哀そうというものじゃ がはは」
一方コルビンのほうは・・。
「キャー 小人よ」
「小人が村に入ってきたぞ!」
「どこから入ってきたんだ! 壁に穴が開いていたのか?」
「何だあいつ! 小人なのにオノを装備してやがる!」
そしてどこからともなく現れた小人のコルビンは 戦士マクアの前に立つとオノを構えた。
「がははは 安心しろ。どうやらコイツはオレに用があるようだ。
お前! 小人のクセに魔獣気取りかぁ? いいぜ 面白いヤツだ! 相手してやるぜ」
マクアは剣を抜いた。
コルビンの一撃は小人だけあって重そうだ。
当たればダメージを与えられそうだったが
しかし 戦士マクアは剣で誘うようにコルビンのオノ攻撃をさばいていった。
結果・・・
「太刀筋はいい、だが根本的に弱い! さらばだ!! スパスパスパ!」
コルビンは 斬り落とされてしまった。
だめだ このままじゃ!
「ゲロォォォォ・・ 出たいけど・・出れないゲロォォォォ シクシク」
「ゴゴゴゴゴゴゴ!!!」
「バキバキ! ズッドン!! ズッドン!」
「ジャンバル様 ジャンバル様の像が!!」
「動いているじゃないか!!!」
ジャンバル様の像が突然動き出した。
台座から大地に足を下ろし 大きな体を持ち上げてこちらへ歩いて来ようとするけど
でも 古びた石像のジャンバル様は 歩くたびに足が砕け、首や胴体までもが砕けて
丸いお面の、そのひょうきんな顔だけが俺のところまで転がってきた。
そのお面の顔はこちらを悲しそうに見ているようだった。
村人を守ってほしい・・そうだろ?ジャンバル様??
「動いたぞ!」
「いいや 崩れただけだろ?」
「私も 動いたように見えたわ!」
サウレが動かしたのではないかと疑われたけど
村人に信頼の厚いサウレは取り調べられることもなく
老朽化で崩れた姿が歩いているように見えたと言うことで話は終わった。
お弁当大会は解散され 俺は壊れたジャンバル様の像のところへ来ていた。
ジャンバルさま・・ ジャンバルさま・・
ダメだ 心の中から声をかけたが返事はなかった。
「セレネはどうしちゃったでチュか?」
「ごめん。。ごめん ゲロォォォォ」
フロン。。フロンはあれでよかったんだよ。
「そうでチュ あのとき 誰が出て行っても結果は同じだったでチュ。
ニーマンの正体がバレなかったなら、まだチャンスもあるでチュよ」
そうだな。でも まずはジャンバル様を探すんだ。
宴のときに俺はジャンバル様の力を借りてすごい戦士になっていたらしいんだ。
だから 今回もジャンバル様の力を借りられればセレネを元に戻す方法を聞き出せるかもしれない。
コガネムシの反応があるぞ。ここは村の中だよな・・
あれ・・何だこれは?
砕けた石のジャンバル様のなかから古びてボロボロに錆びた剣が出てきた。
「ご神体ってやつだな」
だけど ご神体に話しかけても返事が返ってくることはなかった。
俺はジャンバルの像の置かれていた台座にご神体を置いて軽く一礼をすると
勝手にジャンバル様と約束を交わした。
「セレネは あなたの代わりに俺が守ります」
・・・・・。
目を閉じて祈りながら瞑想する。。
・・・。
けど どうやって? 戦士マクアは強い。
しかも 賢者スデーモはもっと強いだろう。
・・。
・。
「ワシじゃ ワシじゃよ オーレンス。ご神体の中じゃ」
「ジャ ジャンバル様ですか?」
「やってしもうたわい」
「何があったんですか?」
「すまぬが その問いに答えられるだけの時間はワシには残されておらぬようじゃ、
眠りにつかねばならぬ。
サブロウよ、すまぬが頼む」
「でチュー」
サブロウは空間を伸ばすとジャンバル様のご神体はサブロウに回収されて
後にドームの中のログハウスに運ばれたらしい。
そしてジャンバル様は 眠りについてしまった。
今回もジャンバル様の力を借りれるかもしれないと淡い期待があったのだけど
これで完全に希望が失われてしまった。
よし!今はセレネだ!
サウレと一緒に帰ってしまったけどやっぱり会って説得してみよう。
その日の夕方、俺はセレネの様子を見に家に向かった。
あのセレネは少しおかしかったし、あのネックレスの影響だろう。
元魔女のサウレはどうして気づかなかったのか。
セレネの家に向かわないと。
ドアの前に着くと ケンカをしている声がする。
だけど元気そうないつものケンカの声とは少し違うようだ。
「セレネ! 待ちなさい!!」
「なんでわかってくれないの? 明日死んじゃうかもしれないって考えたら
お母さんの言うことなんて何の価値もないじゃない!!
私 儀式の日まで戦士様たちのところで暮らすから!!
家を飛び出そうとドアを開けたらそこにはオーレンスの姿があった。
「あら! オーレンスじゃない!どうして ジェフラの味方をしたの?」
「味方をしたわけじゃない。それよりネックレスの事なんだけど、
話が長くなるけど聞いてくれないか?」
「ネックレス?あなたが気にしていたことはそんな事だったの?
ネックレスなんて、こんなのただの賞品じゃない。
それに いいのよ。
考えなくてもジェフラを選びたくなる気持ちわかるわ。
何のとりえもない私なんかより ずっと可愛いわよね。
私とはこれで、さようならよ」
セレネは 涙をボロボロと流しながら飛び出して行ってしまった。
「辛そうに泣いていたゲロ シクシク」
そこで次の娯楽をワシが用意しておいたぞ」
村長が前に出てきた。
「この村の祭事にレインボーアホー鳥の卵を持ち帰る儀式があってな、
賢者様が旅立たれた後の事も考えて儀式を復活させたいと思っておる。
卵には解毒をする力があり、大工の統領のこれから生まれてくる子供の成長にも
きっと役に立つだろう」
「勇者は名乗り出よ!といっても 名乗り出ぬであろう。
そこでじゃ。ジェフラとセレネの二人を勇者とし、仲間を集めて競ってもらおうというわけじゃよ」
賢者スデーモの提案で娯楽のない村に祭りの予感が駆け巡った。
「祭りだ! 祭りだ!」
「おおおおぉぉぉぉ しゃぁ!! やってやるぜ!」
「ヒューヒュー パチパチパチ!!」
「おいおい 口笛なんて吹くな!小人が出るぞ」
でも そこにやってきたのはサウレだった。
「トン!」と杖を地面に打ち付けるといい音が出た、
そしてヘラヘラ笑っている賢者スデーモを睨みつけた。
「祭事を復活させることには賛成でしたが やはり賢者は品がありません。
想いや物語がなければ祭事をやる意味がないのです」
サウレは地面に文字を書いて炎のキツネを召喚した。
すると 賢者スデーモは鼻で高笑いを一つすると、
「物語で人をだまさねば、使えぬ魔法など魔法ではないわい!!!力の魔法を見せてやる!」
といって右手に風を左手に光を宿して、今にも何かを放ちそうな構えをした。
キツネがスデーモに飛び掛かり スデーモは爆裂系の魔法攻撃で反撃した。
そしてキツネは消し飛んだのだがそれは サウレの陽動で、キツネがかき消される間に沢山の
文字を地面に書いていた。
杖をマッチのように燃やして地面をこすると次々と炎の動物たちが現れて縦横無尽に
賢者スデーモに飛び掛かっていった。
「ドカン! ドン! ドッカン!!」
炎系と爆裂系の魔法対決は映画のようにド派手で村を燃やしそうな勢いだった。
この被害に慌てたのは村長だ。
泡を食ったように村長は戦士マクアに泣きついた。
「戦士様 どうか、二人を止めてください。このままでは村が燃えてしまいます」
「賢者スデーモは俺の師だぞ。そのケンカを止めろというのか?
それに 魔法剣はさっき使ってしまったからな。
無理だ 諦めろ がははは」
村長は うなだれて頭を抱えてしまった。
「ドッバン!!ブッシャャャャーーー!!」
元魔女サウレと賢者スデーモの間に 大きな水の塊が降ってきた。
水の塊が弾けて 水しぶきの中から現れたのは前かがみにスカートの前を抑えている
セレネだった。
「何やってるのよ!村を壊すつもり!!」とカッコよく二人を制止した
けど水しぶきがセレネのいろんなところをプルプルと揺らしていて今一つ閉まりがない。
「そうじゃ そうじゃ。じじいと若作りのばばあが戦っても仕方があるまい」
「そうそう、ジェフラよ。
お前はマクアが好きであったな、どうだ?勝てば我々の旅の仲間に迎えてもかまわぬぞ
お前は役に立ちそうじゃからな がははは」
と言われてジェフラは全く恥ずかしくないのにも関わらずホホを赤らめてモジモジとし始めた。
「困っちゃった。恥ずかしい」というそぶりを見せながら遠慮するように
「正直いってぇ~ 戦士マクアさまはカッコいいけど
セレネの体にデレデレしちゃうようでわ~もう興味ありません!
でもぉ~代わりに私が勝ったらそこにいるぅ~
オーレンスとの交際を村のみんなで認めてください。それでいいわよね??セレネ!」と言い出した。
血液だけが地面に引っ張られるような感覚を体験したセレネは
「なんで私に聞くのよ!!私は・・・」とセレネが答えようとしたとき、戦士マクアが止めに入った。
「まあ まあ待ってくれお弁当大会の優勝賞品の授与がまだ終わってないじゃないか?
勝負をするかを決めるのはそれからだ!
ほ~ら セレネ。これが「死出のネックレス」だ」
戦士マクアは セレネの首に素早く「死出のネックレス」をかけて質問をした。
「セレネよ。お前は 後悔しない生き方をしたいとは思わないか?」
「そりゃ そうよ。そんなの誰だってそう答えるのに決まってるじゃない!」
すると きらめくガラスのようなネックレスからは想像もできない黒い煙が噴き出してセレネを包んだ。
煙は一瞬だけど骸骨の形に見えてそのままセレネの体に吸い込まれていった。
「香ばしい匂いがするゲロ・・」
フロンの言う通りで 焦げたような臭いが漂いう。
あのような光景に周りもサウレも騒然としたと思ったが・・なってない。なんでだ?
あんなに大きな煙がセレネを包んだのにも関わらず
相変わらずニタニタと笑っている賢者スデーモとすました顔のサウレ。
村人たちも何事もなかったかのように騒いでいた。
「バキ パキパキパキ・・・」
「何の音だ?」「さーな?」
戦士マクアは再びセレネに質問した
「さて セレネ。人生なんていつ終わるかわからない。
ジェフラと今のうちに決着をつけてしまいたいと思わないか?
もしも明日死んでしまうとしたら、決着が付けられないのは辛いだろう?どうだ?」
セレネは下を向いたまま クスクスと笑い始めた。
「そうね。私ったら何をグズグズやっていたのかしら。
もしかしたら明日死んじゃうかもしれないのに・・・」
セレネは顔を上げて村娘らしい長い髪をかき上げるとジェフラに向かって指を刺した。
「勝負よ。ジェフラ!! あなたがオーレンスを選ぶなら私は戦士マクア様に付くわ!」
勝負は数日先になるだろうけどすぐにでも勝負が始まってしまいそうな緊張感があった。
「よく言ったぞ。さすがオレのセレネだ!特別にキスしてやろうか・・・じょっ冗談だ 睨むなよ・・
さあ こっちへ来い」
「ふざけるな!!! うりゃぁぁぁ!」
「なんだ オーレンス。 また 蹴られたいのか?まあ 無駄だがな」
「突っ込んじゃダメゲロォォォォ!!>口<」
「オレに マカセロ」
「村の中でチュよ。やめるでチュ!」
マクアに到達する前に誰かが俺の体に手を触れた。
「ビガ!!ビリビリビリ」
俺の右手に光が走った。 う。。今度は体が動かない。。
そして体に小刻みに震える痛みが走り、俺はスタンガンでも押し当てられたかのように
息もできない状態になった。電気を流し込んでいるのか?
この声は賢者スデーモだ。
「いかんのう。。 女を連れさろうとは・・村娘も困っておるであろう」
そして小声でスデーモはささやいた
「騒ぐでない。さもなければセレネを殺すぞ」
「スデーモよ。若者に手を出すと言うなら私を倒してからにしなさい!!」
「サウレよ。なーに手をつかんだだけじゃよ。
それに若い者の意思を尊重したまでじゃ。
せっかくの決意に水を差されたのではセレネも可哀そうというものじゃ がはは」
一方コルビンのほうは・・。
「キャー 小人よ」
「小人が村に入ってきたぞ!」
「どこから入ってきたんだ! 壁に穴が開いていたのか?」
「何だあいつ! 小人なのにオノを装備してやがる!」
そしてどこからともなく現れた小人のコルビンは 戦士マクアの前に立つとオノを構えた。
「がははは 安心しろ。どうやらコイツはオレに用があるようだ。
お前! 小人のクセに魔獣気取りかぁ? いいぜ 面白いヤツだ! 相手してやるぜ」
マクアは剣を抜いた。
コルビンの一撃は小人だけあって重そうだ。
当たればダメージを与えられそうだったが
しかし 戦士マクアは剣で誘うようにコルビンのオノ攻撃をさばいていった。
結果・・・
「太刀筋はいい、だが根本的に弱い! さらばだ!! スパスパスパ!」
コルビンは 斬り落とされてしまった。
だめだ このままじゃ!
「ゲロォォォォ・・ 出たいけど・・出れないゲロォォォォ シクシク」
「ゴゴゴゴゴゴゴ!!!」
「バキバキ! ズッドン!! ズッドン!」
「ジャンバル様 ジャンバル様の像が!!」
「動いているじゃないか!!!」
ジャンバル様の像が突然動き出した。
台座から大地に足を下ろし 大きな体を持ち上げてこちらへ歩いて来ようとするけど
でも 古びた石像のジャンバル様は 歩くたびに足が砕け、首や胴体までもが砕けて
丸いお面の、そのひょうきんな顔だけが俺のところまで転がってきた。
そのお面の顔はこちらを悲しそうに見ているようだった。
村人を守ってほしい・・そうだろ?ジャンバル様??
「動いたぞ!」
「いいや 崩れただけだろ?」
「私も 動いたように見えたわ!」
サウレが動かしたのではないかと疑われたけど
村人に信頼の厚いサウレは取り調べられることもなく
老朽化で崩れた姿が歩いているように見えたと言うことで話は終わった。
お弁当大会は解散され 俺は壊れたジャンバル様の像のところへ来ていた。
ジャンバルさま・・ ジャンバルさま・・
ダメだ 心の中から声をかけたが返事はなかった。
「セレネはどうしちゃったでチュか?」
「ごめん。。ごめん ゲロォォォォ」
フロン。。フロンはあれでよかったんだよ。
「そうでチュ あのとき 誰が出て行っても結果は同じだったでチュ。
ニーマンの正体がバレなかったなら、まだチャンスもあるでチュよ」
そうだな。でも まずはジャンバル様を探すんだ。
宴のときに俺はジャンバル様の力を借りてすごい戦士になっていたらしいんだ。
だから 今回もジャンバル様の力を借りられればセレネを元に戻す方法を聞き出せるかもしれない。
コガネムシの反応があるぞ。ここは村の中だよな・・
あれ・・何だこれは?
砕けた石のジャンバル様のなかから古びてボロボロに錆びた剣が出てきた。
「ご神体ってやつだな」
だけど ご神体に話しかけても返事が返ってくることはなかった。
俺はジャンバルの像の置かれていた台座にご神体を置いて軽く一礼をすると
勝手にジャンバル様と約束を交わした。
「セレネは あなたの代わりに俺が守ります」
・・・・・。
目を閉じて祈りながら瞑想する。。
・・・。
けど どうやって? 戦士マクアは強い。
しかも 賢者スデーモはもっと強いだろう。
・・。
・。
「ワシじゃ ワシじゃよ オーレンス。ご神体の中じゃ」
「ジャ ジャンバル様ですか?」
「やってしもうたわい」
「何があったんですか?」
「すまぬが その問いに答えられるだけの時間はワシには残されておらぬようじゃ、
眠りにつかねばならぬ。
サブロウよ、すまぬが頼む」
「でチュー」
サブロウは空間を伸ばすとジャンバル様のご神体はサブロウに回収されて
後にドームの中のログハウスに運ばれたらしい。
そしてジャンバル様は 眠りについてしまった。
今回もジャンバル様の力を借りれるかもしれないと淡い期待があったのだけど
これで完全に希望が失われてしまった。
よし!今はセレネだ!
サウレと一緒に帰ってしまったけどやっぱり会って説得してみよう。
その日の夕方、俺はセレネの様子を見に家に向かった。
あのセレネは少しおかしかったし、あのネックレスの影響だろう。
元魔女のサウレはどうして気づかなかったのか。
セレネの家に向かわないと。
ドアの前に着くと ケンカをしている声がする。
だけど元気そうないつものケンカの声とは少し違うようだ。
「セレネ! 待ちなさい!!」
「なんでわかってくれないの? 明日死んじゃうかもしれないって考えたら
お母さんの言うことなんて何の価値もないじゃない!!
私 儀式の日まで戦士様たちのところで暮らすから!!
家を飛び出そうとドアを開けたらそこにはオーレンスの姿があった。
「あら! オーレンスじゃない!どうして ジェフラの味方をしたの?」
「味方をしたわけじゃない。それよりネックレスの事なんだけど、
話が長くなるけど聞いてくれないか?」
「ネックレス?あなたが気にしていたことはそんな事だったの?
ネックレスなんて、こんなのただの賞品じゃない。
それに いいのよ。
考えなくてもジェフラを選びたくなる気持ちわかるわ。
何のとりえもない私なんかより ずっと可愛いわよね。
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神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
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