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第23話 魔法のナイフと遺跡の壁画

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・・・・
風邪起きる音に身をかがめながら石の木馬にまたがる少年は 魔導力のバイクを走らせる。

「まてーー!!」
「捕まってたまるかぁ~」

ブーストスイッチを入れると下部にある魔導力水晶が光った。

スピーーン!!

「逃げられましたわ。これでよかったのかしら?」
「ああ 上出来、上出来」
・・・・
・・一方、エルフの里、メソスティグマ城では・・

「ショウスケさん。。もう一回、もう一回だけお願いします」
「はぁはぁはぁ。。ライラさん、もう・・明日にしよう」

「ショウスケ そろそろ移動したほうがいいわ。だから ライラさんのためにもう一回だけ」
「リザリア までそんな事いうのかよ」

「そうじゃ ショウスケならできるはずじゃ」
「ショウスケさんのすごいところ 私たちに見せてください」
「ショウスケはすごいの。英雄になるの」

ショウスケは 腕を大きく振りかぶると五本の指を広げて鷲づかみをするように地面を掴んだ。
「わかった! 行くぞ! スキル:ネーチャーリバース!!!」

しなびたキノコは土へと還り、一緒に汚染された大地も浄化され草の芽や木の芽が顔を出した。

ポン!ポン!ポン!

パチパチパチ
リザリアたちから拍手が沸き起こる。
ねぎらいの拍手にショウスケは 息をはぁはぁはぁと切らせて座り込んでしまったのだった。

「ショウスケよ これだけ大地を浄化すれば後は大地の力に任せて大丈夫じゃ。この国の中央部と国の外からの自然の浄化力で挟み撃ちにすれば キノコの大地は生態系の一部として残る部分を残して消えてゆくであろう」

ミリーは飛び跳ねてそして エルフの姿のライラに飛びついた。
「ショウスケは メソスティグマ国の英雄なのぉ!」
「ええ ショウスケさんは すごいです」

「しかし ライラを助けた話は驚いたぞ。ネーチャーリバースでしなびたキノコの根元の部分だけを土に戻して倒したのであろう。その風圧を利用してライラに飛んでいった矢を吹き飛ばしたという訳か?」

「そのつもりだったけど 驚いたのは俺の方だ。なんだ コレは?」

ショウスケが地面を指さすと 木の芽や草の芽のほかに 魔獣のウネウネしたものが生えていた。
ウネウネ ウネウネ

「こないだバーベキューで食べた魔獣がようやくショウスケの血肉になったのじゃ。」
元気になったクロレラが心配そうに説明を追加した。
「魔法のルーンにはファイアボールのように直接系なものと 火や水のようにエレメントだけを刻んで変化を利用したり魔道具に利用する方法があるのです。ショウスケさんのウネウネは魔道具系ですね」

クロレラは微笑む
「ショウスケさん、その魔道具はレアですよ」

レアというか 生というか。。生きてる魔道具なのか。目玉のお花まで咲いているけど・・

「ちなみに ワレのカレーはスパイスをカレーに調理する変化系の魔法といえるであろう。面白いぞ がはは」

リザリアがツインテールをかき上げた
「ショウスケは すごいのよ」

ライラさんにエルフの矢が放たれたとき 土に変えたガレキから伸びたウネウネがエルフの矢を弾き飛ばしていた。
ただ ウネウネは一定時間が経つと木の芽に戻ってしまったけど。

「見てショウスケ!!」
リザイアが指をさすと ネーチャーリバースでも自然物に戻らなかった城の壁が姿を現した。
壁を見ると絵が描かれていて、この世が神によって誕生した瞬間が描かれていることがハッキリわかるものだった。
「これは? 壁に何かが埋め込まれているぞ」

壁には 神に立ち膝をして捧げものをする神官が描かれておりその手の部分にはサヤに大きなルビーの装飾の施された一本のナイフが埋め込まれていた。
もう一人 神官がナイフを捧げているようだけど・・ ナイフはすでに何者かによって外されているようだった。

「エルフは寿命が長いのです。とくにミリー達王族は 神から特別なギフトを送られた存在と語り継がれていました」
ミリーは壁画が怖いのか、ライラの服に顔をうずめた。

リザリアが壁画を撫でながら 「運命は紡がれていったのね」と言ってしみじみと壁の端から端まで歩いた。
「そして このナイフは私たちのものになる運命だったのよ」

ナイフは一本はすでにないし、ルビーのすごい装飾が施された高価なナイフを置いていく事はできないだろう。
リザリアは 壁からナイフを外すとクルリとこちらを向いてナイフを引き抜いて見せた。
小さな毛糸玉のアクセサリーが揺れて ナイフからは瞬間だけど炎が上がる。
「それ マグネシウム棒を使うより。便利そうだな 天女にも使えるみたいだしキャンプにピッタリだよな。なあリザリア?」

「いいえ それは王族が所有していた物です。ミリー様がお持ちになるべきものです」
「ライラ・・私は火が怖いの。。」
「ダメよ ミリー・・静かにして」

「なんじゃ 面白そうじゃ ワレも参加するぞ」
「ガネーシャ様・・ みなさんすみません。ですが ドロップ品ならば冒険者みたいで楽しそうです」

スピーーン!!
風を切る音がする。そして 地球で聞きなれたような規則性のある音が迫ってくる。

「あった 見つけた!!」

物陰から現れたのは バイクのような乗り物にまたがる子供の姿だった。
少年はショウスケを大きな瞳で見つめながらすれ違い、そして転んだ

ずずぅずぅぅぅ・・。

しかし 少年は首を左右に振ると起き上がった。
俺はリザリアの手をギュっと握って少年に話しかける。
「俺はショウスケ、派手に転んだようだけど大丈夫か?」

少年はベロを出すとウィンクをして可愛く自分の頭をこずいた。
「ボクは魔導の都メキストからやってきた。ラスペルといいます。魔導バイクは得意なのですが壁画を見つけられたのが嬉しくて 転んでしまいました。テヘ」

リザリアも俺の手を握る。
「私はリザリアよ。後ですりむいた傷の手当をしてあげるわ。でも ラスペルはこの壁画をどうして探していたのかしら?」

「仲のいいお姉ちゃんとお兄ちゃん これを見てください」

ラスペルは サファイアのような透き通った水色の宝石の入ったナイフを俺たちに見せてくれた。
これは!
「ルビーのナイフ」の争奪戦に新たな参加者が現れた。

ドガン!!

「久しぶりね リザリア!!」

!!!!!

ラスペルを追いかけて 何者かが現れた。
土のゴーレムに乗った男とその肩に乗るリザリアを知っている女性はおそらく天女だろう。

「その毛糸玉になった羽衣、ずいぶんと小さくなったのね。つまりリザリアは女神様を裏切ったのね」
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