愛するということ

緒方宗谷

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48.Wデート

5.陸♡里美 💘💘💘

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 すっからかんの電車の中央のシートに並んで座ると、すぐに陸が自分のプレゼント案を話し出した。
「ニットの羽織るものかブランケットがいいね」
「どうして?」
「曾おばあちゃんの個室の椅子にニットの敷物が敷いてあったし、壁にも鮮やかなブランケットが飾ってあったよ。花柄がいいんじゃないかな?」
「どうしてそう思うの?」
「曾おばあちゃんのところに遊びに行くと必ず生花が活けてあって、とても綺麗だったんだ」
 よく見ている、といった顔で背もたれから身を起こした里美は陸の方を向いて、もっと話すように急かした。
「派手じゃなくて、落ち着いたトーンの花柄のニット地のものを選ぼうよ。実は見たいお店も目星つけてるんだ」
 陸がエスコートしたお店は、里美が来店する予定に入れていたお店だった。
(なんてすてきなんだろう。私達考えてることが一緒じゃん)里美の胸がときめく。
 初めて来る陸は、まず初めに店内を見渡しす。里美は、数歩後ろでその背中を見つめた。
(陸君は私のために、何を選んでくれるんだろう?)
 里美の心は躍った。だが、あくまでひいちゃんのものを選んでいる体(てい)なので、陸の手に取るものはどれも大人向けのものばかりだ。(あっちを選んで! こっちを選んで!)、と心で叫びながらやきもきする里美は、ある一着に目を止めた。
(うわぁ、このカーディガン可愛いなぁ)
 ウール100%で明るい色の赤、薄手で長袖のカーディガン。腰の高さで背中を回って入った横の白いラインが印象的。どう見ても103歳(11月で)になるおばあちゃんが着る服には見えないから、里美は気持ちを口には出さなかった。
(こういうの欲しいな。今着てるワンピに似合うかも。そうだ! ブレザーの下に着るの。陸君と学園生活してるって思えるし)
 少し切なくなった。
(手に取ったカーディガンを戻すのは少し胸が痛いけど、仕方ないよね)
 里美は、強く握りしめてくしゃくしゃにしてしまったカーディガンを綺麗に畳みなおして、陸のそばに寄った。
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