FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の三学期

第六十九話 追跡

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 二月に入ると辺りの空気は、一層ひんやりと肌をなでるようになった。
 日曜日であったこの日、奈緒は荏原中延にある図書館に本を返しに行って、新たに数冊借りて帰るところだった。大抵の場合、はなみずき公園を通り抜けて駅へと向かう。だが今日は、異なる道を進んでいる。
 いつもの薄桃色のボアコートの袖を揺らしながら、この子らしいぴょこぴょことした独特の歩き方で歩む奈緒は、図書館側から荏原中延駅のそばまで抜けられる縦長のはなみずき公園を通り過ぎてからしばらくして、二つ目の交差点を右折した。
 ここをずっとまっすぐに行くとT字路に突き当たり、左側にカフェがある。奈緒は、そこでコーヒーを飲むつもりでいた。本の入った紺色のエコバックも、心なしか楽しく揺れていて、そこに描かれた可愛いお地蔵さんもにこやかだった。
 ふわもこマフラーの下の、ネクタイのように巻いた七色の三つ編み毛糸を繋げた薄手の細いマフラーを直して顔をうずめて、頬をほころばせる。急に寒さの質が変わったことを察知した奈緒の勝利だ。カフェでのお楽しみタイムに向けて、チェックのチノパンに包まれた足取りは軽い。
 だが突然、二つの耳たぶに南の叫ぶ声が響いて立ち止まった。声のするほうに左目の視界を向けると、そこにはパトカーが止まっていて、その向こうに南がいる。
 二人の警官に取り押さえられながらも暴れようとする彼女が、怒鳴るように懇願していた。
「やめろよ。わたしやっていないって。なにかの間違いだよ」
「分かったから。話は署で聞くから。いい加減おとなしくして、車に乗って」
 唖然呆然とした様子で口をあんぐり開けて見つめていた奈緒は、南が二人の警官に無理やり押し込まれてパトカーのドアが閉められると同時に、バタンという衝撃音で我に返った。
「あっ、待って」奈緒が思わず小声で叫んで駆け出す。
 パトカーはすぐさま発進してしまって、停車していた十字路までたどり着いた時には、もう声の届く範囲に留まっていなかった。
「あららら、どうしよう」
 途方に暮れて呟くこの子は視線を感じたらしく、ふと左を向く。そこには、自転車でやって来たであろう交番勤務らしき警官が、バインダーに向かって何かを書こうとしている姿勢で静止してこっちを見ていた。






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