FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🍭

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 奈緒に対して、いつになく真剣なまなざしを瑠衣が向ける。この子の瞳に映る表情が微かに委縮したが、彼女は縷々と語り続けた。
「差別されたとしても、自我を捨てるほうがもっとつらい状況だってあると思うよ。殺されてもいい、わたしを見てほしい知ってほしいって、心から叫びたくなる時だってあると思うよ。それが出来なくてつらくて追い詰められて、自分から死んでしまおうって思っちゃう子もいると思うよ。わたしだって……」瑠衣は言いよどんだ。「わたしもみんなも多かれ少なかれあると思う」
「うーん」
 奈緒が首を傾げると、瑠衣は笑って自分の唇に人差し指をあてがう。
「内緒だよ。ここだけの話、そう思うでしょ? なおちんも」
「うん、ないしょ。ないしょだけど、((うん))、うふふ、そう思うけど、ないしょ」
 笑顔が萎む中続ける。
「でもだからって、本当かどうか 分から ないのに、不良って 決めつけなくても」
「言葉って、良くも悪くも、複雑な世界をシンプルに切り出すことが出来るからねぇ。さっきなおちんがきれいだって言ったさくらの房だって、一房一房そのきれいさはまちまちなはずだけど、きれいの一言で片づけられちゃう。逆に言葉にしなければなかったと同じことにされて、存在すら認めてもらえない」
「南ちゃんは、自分で自分なの? それとも違う?」
「どうだろうね、わたしは、自分の尊厳を守っているって思いたいけど。実際は、小沢さんは、不良ってレッテルは貼られたけれど、逆にそうゆう存在をあてがわれて、居場所を保っているのかもしれないし、みんなと一緒にしようって同調圧力に屈することなくああいう存在になったのかのかもしれないし。どちらにしろ、小沢さんが選んだ道だよ」
「で も 放って お き た く な い」奈緒が俯く。
「それなら今度どこか行こうって誘ってみたらぁ? わたしも協力するからー」
 顔を上げると、そこには和やか笑みを満面に浮かべる瑠衣がいて、この子は思わず笑顔を見せた。
「そうだね、それがいいね。ちょっと考えてみる」
 奈緒は安心したのか、南の話題は出さなくなって、花や木々、水面を泳ぐ水鳥といった公園の景色に関する話をしてから、洗足池駅へと向かうために立ち上がった。




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