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二年生の二学期
🐿️
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味方の一人を心愛が指さす。
「ほら、いつもだったらもう少し後ろにいてもいいディフェンスが、前に出すぎてる。攻撃のことも意識しないといけないから、得意のフォーメーションが崩れているんだと思う。だから、ゴール下まで入られちゃうんだ。でもディフェンス下げたらその隙を使ってシュート放ってくる」
「それでか、ことごとくミドルシュートを決められて点差を広げられていく今の展開の原因って」南が膝を叩く。
躍動する選手が、立ち塞がるひだまり選手の眼前でボールをわきに隠しトラベリングぎりぎりで肉薄。ファウルすれすれの駆け引きを展開すると、打ち勝った保徳選手が、ディフェンスを撥ね退けて、ゴールを決める。
奈緒が叫んだ。
「今ぶつかった。ほらよろけた。保徳のファールだ」
「ううん」と心愛が否定して「ノーチャージセミサークルっていうのがあって、そこではオフェンスがディフェンスに接触してもファール取られないらしいの」と教える。
「え~⁉」と残念がる奈緒の声が聞こえたのか、ひだまりが奮闘を見せて、45対53。少しずつだが点差を縮め始める。
コートの中央にいた春樹にパスが繋がった。即座にドリブルを開始して挑んでいく彼が、単独でゴールに肉薄。だが、ノーマークに見えた彼に迫りくる敵のディフェンスが、ジャンプシュートの態勢に入った背中に襲い掛かって、放たれる直前にボールを叩き落した。
南の声に、あきらめの気持ちがこもったような音色が加わる。
「本当に高木のプレイにキレがない。3ポイントがほとんど決まらないじゃない。あれかなぁ、けんかのこと、あと引いているのかなぁ。なんだかんだいって、あいつってメンタル弱いところあるからなぁ」
動揺で青ざめた様子の心愛が、真剣に彼女の横顔を見つめる。
「けんかって、土屋君との? 屋上で一回ぶつかったって話は聞いたけど、そんなに大きなけんかだったの? 仲直りしたんじゃなかったの?」
自分の左右で行われる二人のやり取りを聞いていた奈緒が口をつぐむ。その左横で、シドロモドロして慌てふためく南が、考えながら言葉を紡いだ。
「ん……ああ、ちょっとね。でももう仲直りしたから、問題ないはずだけど」
「あ、ほら、ひだまりが点とったよ」奈緒が南に助け舟を出した。
根掘り葉掘り訊こうとする体勢だった心愛と、逃げ道を探していた南がコートを見下ろす。
「ほら、いつもだったらもう少し後ろにいてもいいディフェンスが、前に出すぎてる。攻撃のことも意識しないといけないから、得意のフォーメーションが崩れているんだと思う。だから、ゴール下まで入られちゃうんだ。でもディフェンス下げたらその隙を使ってシュート放ってくる」
「それでか、ことごとくミドルシュートを決められて点差を広げられていく今の展開の原因って」南が膝を叩く。
躍動する選手が、立ち塞がるひだまり選手の眼前でボールをわきに隠しトラベリングぎりぎりで肉薄。ファウルすれすれの駆け引きを展開すると、打ち勝った保徳選手が、ディフェンスを撥ね退けて、ゴールを決める。
奈緒が叫んだ。
「今ぶつかった。ほらよろけた。保徳のファールだ」
「ううん」と心愛が否定して「ノーチャージセミサークルっていうのがあって、そこではオフェンスがディフェンスに接触してもファール取られないらしいの」と教える。
「え~⁉」と残念がる奈緒の声が聞こえたのか、ひだまりが奮闘を見せて、45対53。少しずつだが点差を縮め始める。
コートの中央にいた春樹にパスが繋がった。即座にドリブルを開始して挑んでいく彼が、単独でゴールに肉薄。だが、ノーマークに見えた彼に迫りくる敵のディフェンスが、ジャンプシュートの態勢に入った背中に襲い掛かって、放たれる直前にボールを叩き落した。
南の声に、あきらめの気持ちがこもったような音色が加わる。
「本当に高木のプレイにキレがない。3ポイントがほとんど決まらないじゃない。あれかなぁ、けんかのこと、あと引いているのかなぁ。なんだかんだいって、あいつってメンタル弱いところあるからなぁ」
動揺で青ざめた様子の心愛が、真剣に彼女の横顔を見つめる。
「けんかって、土屋君との? 屋上で一回ぶつかったって話は聞いたけど、そんなに大きなけんかだったの? 仲直りしたんじゃなかったの?」
自分の左右で行われる二人のやり取りを聞いていた奈緒が口をつぐむ。その左横で、シドロモドロして慌てふためく南が、考えながら言葉を紡いだ。
「ん……ああ、ちょっとね。でももう仲直りしたから、問題ないはずだけど」
「あ、ほら、ひだまりが点とったよ」奈緒が南に助け舟を出した。
根掘り葉掘り訊こうとする体勢だった心愛と、逃げ道を探していた南がコートを見下ろす。
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