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自分大好き蛾の話
みんな輝いているんだよ
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モモタは、ある夏の夕刻、佐々木さんのお家に行きました。いつも小さな笹身をくれるお婆ちゃんです。
でも今日はいません。どこかにお出掛けしているようです。
柔らかく煮た笹身の味が諦めきれなくて、にゃあにゃあ呼びながら家を一周して表に戻ってくると、街頭の周りをヒラヒラ飛ぶ1匹の蛾が言いました。
「五月蝿いなぁ、何をそんなににゃあにゃあ鳴いているんだ?」
「実はね、家に帰る前に、この家のお婆ちゃんに笹身を貰おうと思ったんだけど、どうも留守みたいなんだ。
それよりも、君は何だい?蝶々のようだけど、なんだか少し違うなぁ。
僕の友達に、紋白蝶の女の子がいるけど、すごく可愛いんだよ。
でも君は可愛くないね、男の子だからなのかな?それにしても、なんだか気味が悪いなぁ」
それを聞き終えた蛾は、プンプン怒って言いました。
「失礼なことをズケズケいう猫だなぁ。
紋白蝶なんかと一緒にしないでおくれ、僕は蛾だよ、立派な蛾なんだよ。
見たまえ、この大人びた落ちついた色合い、とても蝶々じゃ出せないシックな色艶、格好良いだろう?」
「そうかな?でも、もしそうなら、何で真っ暗な夜なんかに飛んでいるのさ、みんなが起きている昼間に飛べば良いじゃないか」
蛾はため息をついて言いました。
「分かってないな、夜こそ一番輝ける時間じゃないか。
なんせ世界は真っ暗なんだ、スポットライトを浴びれば、みんな注目せずにはいられないだろう?君だって、僕が目立っていたから、声をかけて来たんだからね」
「確かに、僕のいる塀の周りにある街頭は1本だけで、どうしても君が気になってしまうね」
「だろう?君は気が付いていないかも知れないけど、君の瞳も美しいよ、だって金色に光っているんだもの」
モモタは、そんなふうに考えたことはありませんでした。夜な夜な行なわれる猫の集まりに参加することはありますが、小さな火の玉みたいな目玉を見て、美しいなんて思ったことはありません。
でも、考えようによっては、蛍の光の様で綺麗かもしれないと思いました。
「僕たちは珍しいんだね、夜に輝けるんだから」
モモタがそう言うと、蛾は違うと言って続けます。
「そんなことはないさ、君は飼い猫だろう?お家に帰って見てごらんよ。
お母さんは、お父さんや子供のためにお夕飯を作っているだろう?よく見てごらん、とても輝いているよ。
お風呂に入ったばかりの子供達は、新しい1日の思い出ができて、輝いているだろう?
お父さんだってそうさ、家族のために1日働いてきたんだ。
お母さんも、君のご主人の坊っちゃんも、お父さんのお陰で生活できているんだよ。
君のご飯だって、お父さんが稼いでくれるから貰えるんだよ」
「ふうん、じゃあ、お父さんが1番輝いているんだね」
「違うよ、みんな輝いているんだよ。
お母さんが、美味しいご飯を作ったり、お掃除をしてくれるから、輝けるのさ」
「じゃあ、ご主人様は、何をしているのかな」
「子供は、いっぱい遊んで、いっぱい学んで成長するから、お父さんもお母さんも輝けるのさ」
モモタは、家族に何もしていないので、心配になって訊きました。
「僕も家族のために輝いているかな?」
蛾は笑って言いました。
「もちろんさ、みんな君を可愛がってくれるだろう?輝いている証拠さ」
モモタは、ご主人様に甘えようと思って、家に帰りました。
でも今日はいません。どこかにお出掛けしているようです。
柔らかく煮た笹身の味が諦めきれなくて、にゃあにゃあ呼びながら家を一周して表に戻ってくると、街頭の周りをヒラヒラ飛ぶ1匹の蛾が言いました。
「五月蝿いなぁ、何をそんなににゃあにゃあ鳴いているんだ?」
「実はね、家に帰る前に、この家のお婆ちゃんに笹身を貰おうと思ったんだけど、どうも留守みたいなんだ。
それよりも、君は何だい?蝶々のようだけど、なんだか少し違うなぁ。
僕の友達に、紋白蝶の女の子がいるけど、すごく可愛いんだよ。
でも君は可愛くないね、男の子だからなのかな?それにしても、なんだか気味が悪いなぁ」
それを聞き終えた蛾は、プンプン怒って言いました。
「失礼なことをズケズケいう猫だなぁ。
紋白蝶なんかと一緒にしないでおくれ、僕は蛾だよ、立派な蛾なんだよ。
見たまえ、この大人びた落ちついた色合い、とても蝶々じゃ出せないシックな色艶、格好良いだろう?」
「そうかな?でも、もしそうなら、何で真っ暗な夜なんかに飛んでいるのさ、みんなが起きている昼間に飛べば良いじゃないか」
蛾はため息をついて言いました。
「分かってないな、夜こそ一番輝ける時間じゃないか。
なんせ世界は真っ暗なんだ、スポットライトを浴びれば、みんな注目せずにはいられないだろう?君だって、僕が目立っていたから、声をかけて来たんだからね」
「確かに、僕のいる塀の周りにある街頭は1本だけで、どうしても君が気になってしまうね」
「だろう?君は気が付いていないかも知れないけど、君の瞳も美しいよ、だって金色に光っているんだもの」
モモタは、そんなふうに考えたことはありませんでした。夜な夜な行なわれる猫の集まりに参加することはありますが、小さな火の玉みたいな目玉を見て、美しいなんて思ったことはありません。
でも、考えようによっては、蛍の光の様で綺麗かもしれないと思いました。
「僕たちは珍しいんだね、夜に輝けるんだから」
モモタがそう言うと、蛾は違うと言って続けます。
「そんなことはないさ、君は飼い猫だろう?お家に帰って見てごらんよ。
お母さんは、お父さんや子供のためにお夕飯を作っているだろう?よく見てごらん、とても輝いているよ。
お風呂に入ったばかりの子供達は、新しい1日の思い出ができて、輝いているだろう?
お父さんだってそうさ、家族のために1日働いてきたんだ。
お母さんも、君のご主人の坊っちゃんも、お父さんのお陰で生活できているんだよ。
君のご飯だって、お父さんが稼いでくれるから貰えるんだよ」
「ふうん、じゃあ、お父さんが1番輝いているんだね」
「違うよ、みんな輝いているんだよ。
お母さんが、美味しいご飯を作ったり、お掃除をしてくれるから、輝けるのさ」
「じゃあ、ご主人様は、何をしているのかな」
「子供は、いっぱい遊んで、いっぱい学んで成長するから、お父さんもお母さんも輝けるのさ」
モモタは、家族に何もしていないので、心配になって訊きました。
「僕も家族のために輝いているかな?」
蛾は笑って言いました。
「もちろんさ、みんな君を可愛がってくれるだろう?輝いている証拠さ」
モモタは、ご主人様に甘えようと思って、家に帰りました。
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