猫のモモタ

お家で出会ったお友達の話

１匹が好きだからって、ずっと１匹じゃ生きていけないよ

　祐ちゃんが子猫を２匹拾ってきました。
　「わっ、わっ、知らない猫の赤ちゃんだよ。
　　祐ちゃん、どうして急に連れてきたの？」
　モモタは、ビックリして祐ちゃんに訊きました。
　「ほら、モモタ、新しいお友達だよ」
　モモタを抱きかかえた祐ちゃんは、もう片方の手に乗せた赤ちゃん猫をモモタにほおずりさせました。
　初めての猫ちゃんでしたから、モモタは緊張して、思わずシャーと唸ってしまいました。
　２匹の子猫は怖がって泣きました。
　「おかーさーん、おとーさーん、どこにいるの？」
　「怖いよぅ、寂しいよぅ、出てきてようぅ」
　泣いている２匹の子猫が可愛そうで、モモタはそばにいてあげました。
　「大丈夫だよ、祐ちゃんは優しいから、きっと君たちも幸せになるよ」
　モモタは、なんとか２匹を慰めようと、声をかけます。ですが、子猫ちゃん達は逃げてしましました。
　「祐ちゃん、祐ちゃん、あの子たち逃げちゃったよ」
　祐ちゃんが一生懸命探すと、縁の下にいるのを見つけました。手を伸ばしてみますが、届きません。
　「なぜ祐ちゃんを怖がるの？」
　「私たち、ママの所に帰りたいの」
　「お家はどこかわかるの？」
　妹猫ちゃんが、お兄ちゃんを見上げます。兄猫ちゃんは、しょんぼりして答えました。
　「分からない、でも、どうにかして帰りたいの」
　妹猫ちゃんは、泣き出しそうです。
　「お腹すいたね、お兄ちゃん」
　「うん、そうだね、ママがいれば、お腹いっぱいミルクが飲めるのにな」
　モモタは思いました。
　（そういえば、僕はどうしてこのお家にやってきたんだろう。
　　そうだ、祐ちゃんに拾ってもらったんだ。
　　僕のパパとママはどうしているのかな？）
　縁の下から出てこない子猫たちに、祐ちゃんが悪戦苦闘です。ようやく、鰹節につられて出てきた２匹を捕まえました。
　数日してもママに会いたいと泣いている２匹に、モモタはどうしていいか分かりません。
　猫はふつう１匹で生活します。モモタも例外ではなかったので、突然お家に猫が増えて、戸惑っていました。
　ですが、突然２匹はいなくなりました。ママのお友達で、２匹をほしいと言う人があらわれたのです。大騒ぎだった応接間は、あの時が嘘のように静まり返ってしまいました。
　「ちょっとさびしいな。
　　だって、２匹の子猫は尻尾をピンと立てて、僕を頼ってきてくれていたから」
　モモタは思いました。
　「僕、１人で過ごすのが好きだと思っていたけど、生んでくれたママがいて、飼ってくれる祐ちゃんがいて、ご飯をくれる祐ちゃんのママがいる。
　　実は僕、１人で生きているわけじゃないんだね」
　モモタは幸せ者です。だって沢山の大好きに囲まれているんだから。