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牧場で出会ったお友達
温もりだけが心をいやす
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ある日、枯れた貯水槽の中に、やせた1匹ぽっちのモグラが住んでいることに、モモタが気が付きました。
普段は土の中で生活しているモグラですから、初めて見るお友達に、モモタは興味津々です。
「コンクリートのお家に一人で住んでいて、寂しくないの?」
モモタが尋ねると、モグラは不思議そうに言いました。
「僕には2匹のママがいるから大丈夫だよ」
モモタが辺りを見渡しますが、誰もいません。
「どこにいるの?紹介してよ」
「ほら、ここにいるでしょう?君目が悪いんじゃないの?」
モグラは、ハンカチを抱きしめて言ったので、モモタはもう1度訊きました。
「もう1匹のママはどこにいるの?」
「ほら、ここにいるよ」
モグラはハンカチを置いて、ヨチヨチ長いパイプの方に歩いていきます。
地上にあるパイプの穴から、時々虫が落ちてきました。このモグラは、落ちてきた虫をご飯にしている様でした。
「どっちが本当のママなの?」
「向こうのママだよ」
少ないご飯を食べ終わったモグラは、ハンカチの方に戻っていきます。
「ハンカチじゃない。
それは本当のママなんかじゃないんじゃないの?」
モモタがそう言うと、突然モグラが怒りだしました。
「何てこと言うの?ママは僕の本当のママだよ!!」
そう言って泣きじゃくりながらハンカチに包まって、口をきいてくれなくなってしまいました。
それを見たモモタは申し訳ない気持ちになりましたが、謝っても許してもらえません。帰るしかありませんでした。
ある日の朝、モモタが目を覚ますと、すごい強風が吹き荒れていました。台風が近づいてきていたのです。
ふと見ると、何かが舞い飛んでいます。
「あっ、モグラ君のママだ」
雨が降り出す前に届けてあげよう、と思ったモモタは、ハンカチをくわえて、モグラのもとへ急ぎました。
「ママー!ママー!どこにるの?ママー!!」
モグラはとても取り乱しています。
見ると、パイプのママが行ったり来たり、風に翻弄されていました。
モグラは、パイプには目もくれず、ハンカチママを探しています。雨が降り始めてきましたが、寝室の一斗缶に入ろうせずに、ママを探していました。
「モグラ君、ママはここだよ」
モモタは、貯水槽の中に飛び降りて、ハンカチをモグラにかけてあげました。
「ママー!どこに行っていたの?ママ!」
モグラはようやく、土の溜まった一斗缶の中に入りました。
だんだんと雨が強くなってきたので、モモタも一晩泊めてもらう事にします。
たくさん泣いて、とても泣き疲れたのでしょう。モグラはハンカチを抱きしめながら、すぐに眠ってしまいました。
モモタは、濡れたモグラをなめてあげながら思いました。
「ご飯さえあげれば、誰でもママになれるわけじゃないのかぁ」
モモタは祐ちゃんのママを本当のママのように慕っていましたが、もしかしたら、ハンカチを慕うモグラと同じなのかもしれない、と思いました。
それでも、ご飯をくれるママと、フワフワのママが一緒で良かったなぁ、と思いました。
普段は土の中で生活しているモグラですから、初めて見るお友達に、モモタは興味津々です。
「コンクリートのお家に一人で住んでいて、寂しくないの?」
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