110 / 514
世界の中心、揚羽蝶の話
想う相手は誰のこと?
しおりを挟む
いつもの様に、2匹の揚羽蝶がお花の上をヒラヒラしています。
モモタは、誰もいない別荘のバルコニーでゴロゴロしながら、お花の上を舞う2匹の話を聞いていました。
「このお花の蜜より、あっちのお花の蜜のほうが美味しいでしょう?」
「そ・・・、そうだね」
「このお花、色が悪いわね、向こうのお花に行きましょう」
「うーん・・・、そうだね」
アゲハ君は乗り気ではありません。ですが、アゲハちゃんはそれに気が付かずに、勝手に行ってしまいます。アゲハ君は仕方がないので、付いていきました。
通りすがりに紋黄蝶たちの話が聞こえてきます。
「ねえ、みんな、あっちのお花がきれいだよ、とまりに行こうよ」
1匹の紋黄蝶が言うと、みんなもそうね、そうねと言って、飛び立とうとします。
「あら、あんなお花の蜜は、あまりおいしくないんじゃないかしら。
すこし色がくすんでいるじゃない?あのお花より、そのお花にした方が良いわよ」
アゲハちゃんにそう言われた紋黄蝶たちは仕方なく、言われるがままにとまる花を選んでいきます。
「そこのあなたたちはあの花が良いわ、そっちのあなたたちはこの花ね」
たまりかねた1匹の紋黄蝶が言いました。
「私が好きな花は私が決めるわ、お世話してくれなくても結構よ」
「どうしてそういうこと言うの?私はあなたたちのことを想って言っているのよ。
どうして、そんな傷つくこと言うのかしら。
あなた、そんなこと言われた私の気持ちが分かる?とても悲しい気持ちなのよ」
ヨヨヨヨヨと泣き出しそうな表情に、紋黄蝶は申し訳ない気持ちになりました。
アゲハちゃんは言いました。
「分かち合うって大切なことなのよ。
分かち合うには相手を想ってあげないといけないの、分かるでしょう?自分ばっかりのことを考えてちゃだめよ」
紋黄蝶は納得がいきませんが、言い返せずにいます。モモタは居た堪れなくなって、紋黄蝶を背中で休ませてあげました。
「紋黄蝶さんが思ってることは間違っていないよ。
アゲハちゃんが言ってることはもっともだけど、アゲハちゃんは相手のことを思っていないもの。
相手のことを想っているんじゃなくて、自分の思ってることを想っているんだよ、きっと」
しばらくして、お腹がいっぱいになった揚羽蝶の2匹が、休憩しにモモタの所にやってきました。
「アゲハちゃん、ご苦労様、みんなのお世話をして大変だね」
「そうでもないわ、私、頑張って、みんなのお友達になりたいの」
努力しているようですが、モモタの目にはお友達は増えていないように映ったので、言いました。
「今度は、みんなを自分に合わせるんじゃなくて、みんなにアゲハちゃんを合わせてみたら?」
「合わせているわよ、あの子にはあの花が似合うでしょうし、あっちの子にはあの蜜の味が良いと思うの。
私がみんなに合わせて言ってあげてるの、適材適所よ」
なんか違うなーと思うモモタでした。
モモタは、誰もいない別荘のバルコニーでゴロゴロしながら、お花の上を舞う2匹の話を聞いていました。
「このお花の蜜より、あっちのお花の蜜のほうが美味しいでしょう?」
「そ・・・、そうだね」
「このお花、色が悪いわね、向こうのお花に行きましょう」
「うーん・・・、そうだね」
アゲハ君は乗り気ではありません。ですが、アゲハちゃんはそれに気が付かずに、勝手に行ってしまいます。アゲハ君は仕方がないので、付いていきました。
通りすがりに紋黄蝶たちの話が聞こえてきます。
「ねえ、みんな、あっちのお花がきれいだよ、とまりに行こうよ」
1匹の紋黄蝶が言うと、みんなもそうね、そうねと言って、飛び立とうとします。
「あら、あんなお花の蜜は、あまりおいしくないんじゃないかしら。
すこし色がくすんでいるじゃない?あのお花より、そのお花にした方が良いわよ」
アゲハちゃんにそう言われた紋黄蝶たちは仕方なく、言われるがままにとまる花を選んでいきます。
「そこのあなたたちはあの花が良いわ、そっちのあなたたちはこの花ね」
たまりかねた1匹の紋黄蝶が言いました。
「私が好きな花は私が決めるわ、お世話してくれなくても結構よ」
「どうしてそういうこと言うの?私はあなたたちのことを想って言っているのよ。
どうして、そんな傷つくこと言うのかしら。
あなた、そんなこと言われた私の気持ちが分かる?とても悲しい気持ちなのよ」
ヨヨヨヨヨと泣き出しそうな表情に、紋黄蝶は申し訳ない気持ちになりました。
アゲハちゃんは言いました。
「分かち合うって大切なことなのよ。
分かち合うには相手を想ってあげないといけないの、分かるでしょう?自分ばっかりのことを考えてちゃだめよ」
紋黄蝶は納得がいきませんが、言い返せずにいます。モモタは居た堪れなくなって、紋黄蝶を背中で休ませてあげました。
「紋黄蝶さんが思ってることは間違っていないよ。
アゲハちゃんが言ってることはもっともだけど、アゲハちゃんは相手のことを思っていないもの。
相手のことを想っているんじゃなくて、自分の思ってることを想っているんだよ、きっと」
しばらくして、お腹がいっぱいになった揚羽蝶の2匹が、休憩しにモモタの所にやってきました。
「アゲハちゃん、ご苦労様、みんなのお世話をして大変だね」
「そうでもないわ、私、頑張って、みんなのお友達になりたいの」
努力しているようですが、モモタの目にはお友達は増えていないように映ったので、言いました。
「今度は、みんなを自分に合わせるんじゃなくて、みんなにアゲハちゃんを合わせてみたら?」
「合わせているわよ、あの子にはあの花が似合うでしょうし、あっちの子にはあの蜜の味が良いと思うの。
私がみんなに合わせて言ってあげてるの、適材適所よ」
なんか違うなーと思うモモタでした。
0
あなたにおすすめの小説
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
こわモテ男子と激あま婚!? 〜2人を繋ぐ1on1〜
おうぎまちこ(あきたこまち)
児童書・童話
お母さんを失くし、ひとりぼっちになってしまったワケアリ女子高生の百合(ゆり)。
とある事情で百合が一緒に住むことになったのは、学校で一番人気、百合の推しに似ているんだけど偉そうで怖いイケメン・瀬戸先輩だった。
最初は怖くて仕方がなかったけれど、「好きなものは好きでいて良い」って言って励ましてくれたり、困った時には優しいし、「俺から離れるなよ」って、いつも一緒にいてくれる先輩から段々目が離せなくなっていって……。
先輩、毎日バスケをするくせに「バスケが嫌い」だっていうのは、どうして――?
推しによく似た こわモテ不良イケメン御曹司×真面目なワケアリ貧乏女子高生との、大豪邸で繰り広げられる溺愛同居生活開幕!
※じれじれ?
※ヒーローは第2話から登場。
※5万字前後で完結予定。
※1日1話更新。
※noichigoさんに転載。
※ブザービートからはじまる恋
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
ぽんちゃん、しっぽ!
こいちろう
児童書・童話
タケルは一人、じいちゃんとばあちゃんの島に引っ越してきた。島の小学校は三年生のタケルと六年生の女子が二人だけ。昼休みなんか広い校庭にひとりぼっちだ。ひとりぼっちはやっぱりつまらない。サッカーをしたって、いつだってゴールだもん。こんなにゴールした小学生ってタケルだけだ。と思っていたら、みかん畑から飛び出してきた。たぬきだ!タケルのけったボールに向かっていちもくさん、あっという間にゴールだ!やった、相手ができたんだ。よし、これで面白くなるぞ・・・
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる