猫のモモタ

緒方宗谷

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俺たち最強、カウボーイハウスの仲間たちの話

通い合えるということ

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 苔むした森の中をモモタがお散歩していると、けたたましい犬の鳴き声が近づいてきます。
 何事かと思って木に登ったモモタの下を、たくさんのビーグル犬が走り去っていきました。
 みんな狩りをするために特別な訓練を積んだ猟犬たちです。
 最後に馬に乗った体格のいいカウボーイの格好をしたおじさんが、猟銃を持って悠々やってきました。
 初めて会う猟犬たちに、モモタは興味があったので、カッポカッポやってくるカウボーイおじさんのそばに歩み出て、つぶらな瞳で可愛く見つめます。
 「おお、こんなところにトラ猫がいるとは珍しいな。
  さあ、こっちへおいで」
 カウボーイおじさんは馬を止めて手を差し出したので、モモタはピョイッと乗って、馬の鞍にちょこんと座りました。
 しばらく進んでいくと、みんなについて行けなくなった三郎を励ますみんなに遭遇しました。
 「頑張れ三郎、もしかしたら向こうの方に熊がいるかもしれないぞ」
 「そうだよ、みんなで行って、大物をしとめてやろうよ」
 でも三郎は、お座りをして進みません。三郎はみんなに言いました。
 「僕のためにゆっくり進んでもためにならないよ」
 すると、リーダーの一郎が言います。
 「何言っているんだ。僕たちは仲間じゃないか。
  次郎も四郎も五郎も、みんな三郎と熊を仕留めたいんだ」
 「僕のために協力してくれるのはうれしいけれど、一生僕に合せて熊を追うの?それじゃあ一生熊捕れないよ。
  それでいいの?一生のろのろ追いかけていくの?違うでしょ?
  目先の友情よりも、遠くの熊だよ。
  今回僕は熊を捕れないかもしれないけれど、みんなが熊を捕ってくれたら、その時のことを教えてよ。
  みんなで熊狩りを知らず一生過ごすより、そのほうが良いと思うんだ。
  僕は熊に出会えなくても、教えてもらえれば想像できるようになれるんだ。
  みんなと比べて何回遅れでも良いから、捕れるようになりたいな。
  とりあえず熊を仕留めてくれれば、みんなひとつ成長できるじゃない。
  先に成長したみんなが僕を引っ張り上げてくれるのが、本当に助けるって事だと思うよ」
 一郎は聞きません。
 「それなら、みんなで何回遅れでも良いから、取れるようになろうよ。
  三郎だけ置いてけぼりになんてできないよ」
 でも三郎もひきません。
 「バカがバカのまま教え合ってもバカなことになるだけだよ。
  僕たち、熊に出会えた事すらないんだよ。
  誰が僕に熊の捕り方教えるの?想像することすら出来ないよ」
 一郎は、バカバカ言うのをやめさせようと、うなって吠えましたが、確かに三郎の言う通りです。一郎は三郎に言いました。
 「それじゃあ、遠慮なく先に行くぞ。
  でも、見捨てていくんじゃないんだからな、どんなに遅くても良いから、ついて来るんだぞ」
 「うん、分かったよ」
 そう言った三郎は、遠くから聞こえる別のビーグルたちの鳴き声を聞きながら、続けて言います。
 「ほら、六輔たちが何か見つけたみたいだよ。
  早くいかなきゃ、先を越されちゃうよ。一番に熊を仕留めるのは僕たちなんだから」
 みんなたがいに視線を送り合って、微笑みます。
 一郎たち四匹は、急いで森の奥に走って行きました。
 モモタは、乗っていた馬に言いました。
 「犬の友情は良いなぁ」


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