340 / 514
堪え忍ぶことが尊いトラの話
信じる相手は自分の望み
しおりを挟む
今日も、玉乗りの出来ないトラは、頑張って玉乗りの練習をしていました。
モモタはとても心が痛みます。
そばで見ていて、トラが苦しそうにしているのが良く分かりました。
大きな玉から勢いよく転げ落ちたトラに、モモタは言いました。
「もう休憩したら?
ずっと休まずに頑張っていたらもたないよ」
「大丈夫だよ。まだお腹すかないから」トラは微笑みます。
「そんなに玉乗りが好きなんだね。
僕にはとてもつらそう見えるけど、それでも必死に続けられるなんてすごいや」
遠くを見たトラは、少し間を置いてから答えます。
「別に好きなわけじゃないよ。
俺は、トラとしてこのくらい出来ないといけないのさ」
「好きじゃないのにするなんておかしいよ」
「好きじゃないことなんて、世の中にはたくさんあるよ。
それを避けていたら生きていけないだろう?
俺はこれをやるしかないのさ」
モモタは、何だかこのトラが可哀想になってきました。
「逃げ出さないの?
オリの外だしクサリにもつながれてないし、トラさんならテントくらい破れるでしょ?」
トラがしらけ気味にモモタを見やりました。
「そんなことしたら、人間に悪いだろう?
せっかく玉乗りを教えてくれているのにさ。
それに、トラの俺が逃げ出したりなんかしたら、象やパンダなんかにいい笑いものにされちまう」
「ムチで叩いてくる人間のためにしてるの?
象さんやパンダさんのためにしてるの?
自分のためにしなきゃ、楽しくできないよ」
「そんなことないさ。
出来るようになったら楽しいし、嬉しいさ。
たくさんムチ打たれて、朝から晩まで頑張っているんだ。
人間も俺を褒めずにはいられないさ」
トラは、人間に何度もムチを打たれながら、にっこりとほほ笑みました。
そして、大きな玉のほうに歩んでいきます。
モモタは、それからずっと練習を見ていました。
トラは何度も大きな玉に飛び乗り、そして何度も転げ落ちました。
その度に人間が容赦なくトラにムチを打ちます。
トラは頑張り続けました。ですが、いつまで経っても人間はトラさんを褒めてくれません。
モモタは一日中トラさんを見ていましたが、人間はトラさんを1度も褒めてはくれませんでした。
モモタはとても心が痛みます。
そばで見ていて、トラが苦しそうにしているのが良く分かりました。
大きな玉から勢いよく転げ落ちたトラに、モモタは言いました。
「もう休憩したら?
ずっと休まずに頑張っていたらもたないよ」
「大丈夫だよ。まだお腹すかないから」トラは微笑みます。
「そんなに玉乗りが好きなんだね。
僕にはとてもつらそう見えるけど、それでも必死に続けられるなんてすごいや」
遠くを見たトラは、少し間を置いてから答えます。
「別に好きなわけじゃないよ。
俺は、トラとしてこのくらい出来ないといけないのさ」
「好きじゃないのにするなんておかしいよ」
「好きじゃないことなんて、世の中にはたくさんあるよ。
それを避けていたら生きていけないだろう?
俺はこれをやるしかないのさ」
モモタは、何だかこのトラが可哀想になってきました。
「逃げ出さないの?
オリの外だしクサリにもつながれてないし、トラさんならテントくらい破れるでしょ?」
トラがしらけ気味にモモタを見やりました。
「そんなことしたら、人間に悪いだろう?
せっかく玉乗りを教えてくれているのにさ。
それに、トラの俺が逃げ出したりなんかしたら、象やパンダなんかにいい笑いものにされちまう」
「ムチで叩いてくる人間のためにしてるの?
象さんやパンダさんのためにしてるの?
自分のためにしなきゃ、楽しくできないよ」
「そんなことないさ。
出来るようになったら楽しいし、嬉しいさ。
たくさんムチ打たれて、朝から晩まで頑張っているんだ。
人間も俺を褒めずにはいられないさ」
トラは、人間に何度もムチを打たれながら、にっこりとほほ笑みました。
そして、大きな玉のほうに歩んでいきます。
モモタは、それからずっと練習を見ていました。
トラは何度も大きな玉に飛び乗り、そして何度も転げ落ちました。
その度に人間が容赦なくトラにムチを打ちます。
トラは頑張り続けました。ですが、いつまで経っても人間はトラさんを褒めてくれません。
モモタは一日中トラさんを見ていましたが、人間はトラさんを1度も褒めてはくれませんでした。
0
あなたにおすすめの小説
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。
にゃんとワンダフルDAYS
月芝
児童書・童話
仲のいい友達と遊んだ帰り道。
小学五年生の音苗和香は気になるクラスの男子と急接近したもので、ドキドキ。
頬を赤らめながら家へと向かっていたら、不意に胸が苦しくなって……
ついにはめまいがして、クラクラへたり込んでしまう。
で、気づいたときには、なぜだかネコの姿になっていた!
「にゃんにゃこれーっ!」
パニックを起こす和香、なのに母や祖母は「あらまぁ」「おやおや」
この異常事態を平然と受け入れていた。
ヒロインの身に起きた奇天烈な現象。
明かさられる一族の秘密。
御所さまなる存在。
猫になったり、動物たちと交流したり、妖しいアレに絡まれたり。
ときにはピンチにも見舞われ、あわやな場面も!
でもそんな和香の前に颯爽とあらわれるヒーロー。
白いシェパード――ホワイトナイトさまも登場したりして。
ひょんなことから人とネコ、二つの世界を行ったり来たり。
和香の周囲では様々な騒動が巻き起こる。
メルヘンチックだけれども現実はそう甘くない!?
少女のちょっと不思議な冒険譚、ここに開幕です。
ぽんちゃん、しっぽ!
こいちろう
児童書・童話
タケルは一人、じいちゃんとばあちゃんの島に引っ越してきた。島の小学校は三年生のタケルと六年生の女子が二人だけ。昼休みなんか広い校庭にひとりぼっちだ。ひとりぼっちはやっぱりつまらない。サッカーをしたって、いつだってゴールだもん。こんなにゴールした小学生ってタケルだけだ。と思っていたら、みかん畑から飛び出してきた。たぬきだ!タケルのけったボールに向かっていちもくさん、あっという間にゴールだ!やった、相手ができたんだ。よし、これで面白くなるぞ・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる