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番外編
坂下滉耀(兄)の想い。
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家族は一般的に美形一家と呼ばれているが、俺と瑠花は自分や両親たちが美しいという感覚を持ち合わせずに育った。
俺たち二人にとって、他者は常に敵だった。媚びへつらい、すり寄る。あわよくば俺たちに触れようとする醜悪な存在。
小さな頃から、変質者に何度も狙われた俺と妹を癒してくれたのは、耀亮だった。苛立ちを抱えたり不安になった時に、いつもふいに繋いでくるその小さな手に俺も瑠花も何度救われたかわからない。耀亮は無意識だったんだろう。
俺たちが耀亮を大切にすると、外で耀亮の敵ができることを小さい頃に嫌というほど知った。俺と瑠花は、なんとか耀亮を守りたくて距離をとるしかなかった。
俺たちに近付きたくて耀亮に近寄る有象無象を妹と分担して罠にかけたり、他者経由で情報や弱味を握る。それらをちらつかせ、耀亮に二度と近寄らない約束を何度も、何人も同じ目に遭わせてやった。自分たちが好きではなかったこの顔が役に立った事を瑠花と喜んだ。俺たちは、耀亮を守れる存在だと誇らしく思っていた。
そのせいで耀亮に寂しい思いをさせているなんて、俺たちは知らなかった。あまりにも歪んだ俺と妹は、耀亮が居れば幸せと思う自分たちがおかしいだなんて気づけなかった。……もしかしたら、気づきたくなかっただけかもしれない。
俺と瑠花の異常な耀亮への執着に気づいた祖父の提案で夏休みは、耀亮だけが祖父の田舎で過ごすことになった。俺と瑠花は猛反対したが、それぞれ勉強や習い事を盾にとられて同行することは許されなかった。
その田舎で耀亮は、出逢ってしまったんだ。アイツに!毎年会えることを嬉しそうにして、出ていく姿があまりにも可愛くてあの顔を引き出せた会ったこともないアイツに強い嫉妬心を持った。
祖父や両親に聞いても、田舎の近所の別荘に来る子としかわからない。正体不明のアイツに対する俺と瑠花の苛立ちは、耀亮が中学になり、アイツが現れなくなって収まった。
俺と瑠花は、学業とモデルそれぞれ忙しくなった。耀亮を守るためには力が必要だと思ったから、俺たちはそのためだけに頑張った。
仕事を始めて海外を飛び回り、プライベートの交流も増えた。そこでようやく、自分の家族と耀亮への歪な感情を自覚した。それでも、心の支えを無くしたくなくて盗聴をしたり行動を見張ったりしながら、自分のおかしさに悩んでもいた。
恐れていた事が起きた。アイツがまた耀亮の前に現れた。今度は会社の後輩として!何食わぬ顔で実家の力を使い、上から圧力をかけて耀亮を新人教育担当にさせた事を部長の田村から聞き出した。
アイツの部屋に連れ込まれた耀亮が餌付けされた上に、睡眠薬を盛られた事は盗聴した会話でわかったが、堅牢な建物に入り込むことは叶わない。
出来るのはメールを介した脅迫メッセージくらいだった。結果的に薬を盛って寝ている耀亮に、卑怯な真似はしないで筋を通すという約束だけはなんとか交わせた。
盗聴がアイツにばれてからは、動向が掴みづらくなったが、耀亮の端末には位置情報確認できるアプリが入っているため、約束の土曜に向かうのは出逢いの別荘周辺だと予想をつけた。アイツの巣にまた引きずり込まれたら、今度は助けることが出来ないかもしれない。瑠花と近隣を探し回った。
ぎりぎり、耀亮が告白の返事をする前に止められた。新見がアイツだとバレてしまった……。経済力もルックスも一般的には良い方らしいが変態だぞ?
目の前に現れなくなっただけで、別荘にはずっと来ていて、耀亮をこそこそとつけ回していた気持ち悪いやつ。それが俺の調べたアイツだった。
何故知っているか?俺や瑠花が耀亮を追っているときの遭遇率が異常過ぎたからお互いに認識し、情報交換という名目で連絡先を交換していた。どちらのハニトラにも引っ掛からず、耀亮だけを思うところだけは認めてやってもいい。
だが、誕生日祝いを酒を飲みながらお洒落なイタリアンでとか!そんなデート!許すはずもない!俺たちの天使がペロリと喰われてしまう。お祝いは複数が楽しいと耀亮を丸め込み。詩音には、ストーカーをされてるのをバラされて嫌われたくなければ俺たちの同席を了承しろと脅した。アイツは意外にもあっさり俺たちの同席を了承した。
店での耀亮は終始機嫌がよくて、報告会の写真といいながら沢山の写真を撮り、ワインに酔ってへろへろしているのマジ天使。盛大に酔っているし兄妹特権で連れ帰ろうとしたが、店の前には俺の同僚と瑠花のマネージャーが待ち構えていて、俺たちは各々車に押し込まれた。
酩酊して、よろよろする耀亮の腰を支えたアイツがにこやかに手を降っていて、俺の同僚と瑠花のマネージャーがアイツに深々と頭を下げている。クソッ……嵌められた。
俺たち二人にとって、他者は常に敵だった。媚びへつらい、すり寄る。あわよくば俺たちに触れようとする醜悪な存在。
小さな頃から、変質者に何度も狙われた俺と妹を癒してくれたのは、耀亮だった。苛立ちを抱えたり不安になった時に、いつもふいに繋いでくるその小さな手に俺も瑠花も何度救われたかわからない。耀亮は無意識だったんだろう。
俺たちが耀亮を大切にすると、外で耀亮の敵ができることを小さい頃に嫌というほど知った。俺と瑠花は、なんとか耀亮を守りたくて距離をとるしかなかった。
俺たちに近付きたくて耀亮に近寄る有象無象を妹と分担して罠にかけたり、他者経由で情報や弱味を握る。それらをちらつかせ、耀亮に二度と近寄らない約束を何度も、何人も同じ目に遭わせてやった。自分たちが好きではなかったこの顔が役に立った事を瑠花と喜んだ。俺たちは、耀亮を守れる存在だと誇らしく思っていた。
そのせいで耀亮に寂しい思いをさせているなんて、俺たちは知らなかった。あまりにも歪んだ俺と妹は、耀亮が居れば幸せと思う自分たちがおかしいだなんて気づけなかった。……もしかしたら、気づきたくなかっただけかもしれない。
俺と瑠花の異常な耀亮への執着に気づいた祖父の提案で夏休みは、耀亮だけが祖父の田舎で過ごすことになった。俺と瑠花は猛反対したが、それぞれ勉強や習い事を盾にとられて同行することは許されなかった。
その田舎で耀亮は、出逢ってしまったんだ。アイツに!毎年会えることを嬉しそうにして、出ていく姿があまりにも可愛くてあの顔を引き出せた会ったこともないアイツに強い嫉妬心を持った。
祖父や両親に聞いても、田舎の近所の別荘に来る子としかわからない。正体不明のアイツに対する俺と瑠花の苛立ちは、耀亮が中学になり、アイツが現れなくなって収まった。
俺と瑠花は、学業とモデルそれぞれ忙しくなった。耀亮を守るためには力が必要だと思ったから、俺たちはそのためだけに頑張った。
仕事を始めて海外を飛び回り、プライベートの交流も増えた。そこでようやく、自分の家族と耀亮への歪な感情を自覚した。それでも、心の支えを無くしたくなくて盗聴をしたり行動を見張ったりしながら、自分のおかしさに悩んでもいた。
恐れていた事が起きた。アイツがまた耀亮の前に現れた。今度は会社の後輩として!何食わぬ顔で実家の力を使い、上から圧力をかけて耀亮を新人教育担当にさせた事を部長の田村から聞き出した。
アイツの部屋に連れ込まれた耀亮が餌付けされた上に、睡眠薬を盛られた事は盗聴した会話でわかったが、堅牢な建物に入り込むことは叶わない。
出来るのはメールを介した脅迫メッセージくらいだった。結果的に薬を盛って寝ている耀亮に、卑怯な真似はしないで筋を通すという約束だけはなんとか交わせた。
盗聴がアイツにばれてからは、動向が掴みづらくなったが、耀亮の端末には位置情報確認できるアプリが入っているため、約束の土曜に向かうのは出逢いの別荘周辺だと予想をつけた。アイツの巣にまた引きずり込まれたら、今度は助けることが出来ないかもしれない。瑠花と近隣を探し回った。
ぎりぎり、耀亮が告白の返事をする前に止められた。新見がアイツだとバレてしまった……。経済力もルックスも一般的には良い方らしいが変態だぞ?
目の前に現れなくなっただけで、別荘にはずっと来ていて、耀亮をこそこそとつけ回していた気持ち悪いやつ。それが俺の調べたアイツだった。
何故知っているか?俺や瑠花が耀亮を追っているときの遭遇率が異常過ぎたからお互いに認識し、情報交換という名目で連絡先を交換していた。どちらのハニトラにも引っ掛からず、耀亮だけを思うところだけは認めてやってもいい。
だが、誕生日祝いを酒を飲みながらお洒落なイタリアンでとか!そんなデート!許すはずもない!俺たちの天使がペロリと喰われてしまう。お祝いは複数が楽しいと耀亮を丸め込み。詩音には、ストーカーをされてるのをバラされて嫌われたくなければ俺たちの同席を了承しろと脅した。アイツは意外にもあっさり俺たちの同席を了承した。
店での耀亮は終始機嫌がよくて、報告会の写真といいながら沢山の写真を撮り、ワインに酔ってへろへろしているのマジ天使。盛大に酔っているし兄妹特権で連れ帰ろうとしたが、店の前には俺の同僚と瑠花のマネージャーが待ち構えていて、俺たちは各々車に押し込まれた。
酩酊して、よろよろする耀亮の腰を支えたアイツがにこやかに手を降っていて、俺の同僚と瑠花のマネージャーがアイツに深々と頭を下げている。クソッ……嵌められた。
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