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side冬野尊
不思議な縁繋がる絆
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お爺さんが起こした事故を奇跡の回避者となった俺は、運の良い男子高校生としてしばらくは学校でもテレビやネットでも騒がれて時の人として暫くの間は周りが騒がしかったが、沢山のニュースが溢れてあっという間に風化して元通り静かになった。
あの事故以降、俺は不思議な夢を見るようになった。会ったこともない同級生と親友になり、ごく平凡な高校生活を過ごすというものだ。起きると心がほっこりとする反面、寂しい気持ちにもなる不思議な夢。何度も探したが、学内には似た特徴を持つ同級生はおろか、男も女も先輩も後輩もいなかった。
事故以降仲良くさせてもらっている弥平さんのお子さん夫婦である南さんと平蔵さんは、今では親のような存在になっている。親も居ない俺に事故の後、「生きてくれていてよかった。」と泣きながら抱きついてきた日の事は忘れられない。
亡くなったとはいえ、二人との縁を繋いでくれた弥平さんの月命日には、俺もお墓参りを欠かさない。お参り後にふと誰かに呼ばれた気がして振り向くとお墓に封筒が置いてある……さっきまでなかったよな?
『冬野 尊 様』
ハッキリと俺の名前が書いてある封筒を手にする。ソッと開けると、見知らぬ大家族の写真が入っていた。『彼は、幸せに暮らしている。』たった一言写真の裏に綺麗な筆跡で言葉が添えられていた。
幸せに笑う真ん中の男は夢に出てきた親友の面影がある。彼の笑顔に涙が溢れる。一人、墓で泣いていると隣の墓に来た夫婦と目が合ってしまい恥ずかしさであたふたしているうちに写真をひらりと落としてしまった。
「脅かしちゃってごめんなさいね。」
優しそうな女性が拾って渡してくれようとした写真に目をやり、何故か固まる。そして目に涙をいっぱいためて写真を見ている。
「良いお写真ね?お友だち?」
「高校生の頃から、僕の夢に出てくる会ったことの無い親友です。」
変なやつだと思われるかもしれない、でも誰かに彼の事を聞いて欲しかった。女性からの反応は俺の予想とは違っていた。
「あなた(君)も彼の夢を見るの(か)?」
夫婦は同時に口を開いた。
「も?」
「私たち夫婦も、ずっと彼を夢に見るの。高校生まで彼を育てる夢をずっと繰り返し見ているの。不思議だけど、会ったことの無い息子だと思っているわ。幸せなのね……彼の子供かしら?この子小さな時の彼と似ているわね。」
目の前の夫婦は、写真の彼を愛しそうに撫でている。
「何かのご縁だ。君の見た彼の想い出を私たちに教えてくれないか?」
春原さん夫婦と彼の想い出を共有していくことにして、春原家にお邪魔した。夢を書き出していくと、恐ろしいほどに共通点と一貫性があり、春原さんの長女さんにも夢を見たことがあることがわかった。全員で、彼はやっぱり居たんだと思うことができた。
写真の彼が引き寄せてくれたご縁で春原家の長女千佐子ちゃんと俺は婿養子の形で結婚することになり、南さんと平蔵さんにも千佐子ちゃんを紹介するため封筒に入った写真を持ってご縁が繋がった経緯を説明したら、南さんがポロポロと涙を溢す。写真の裏の字が弥平さんの筆跡だと古いアルバムを持ってきてくれる。
『冬の幸せの形』と書かれたアルバムの綺麗な筆跡は、確かに写真裏と封筒のものと似ていた。不思議な縁の繋がりについて話ながらの帰り道、千佐子ちゃんがふいに……
「うちの親ね、最初の子供は『千紘』にするって付き合っている頃から決めていたんだって、でもお母さんが私の名付けの段階になって急にダメって譲らなくなって、千佐子になったみたいなの。私は気に入っているわ、もしかしたら『千紘』って、お兄ちゃんの名前なのかもね。」
そう言いふわりと笑う千佐子ちゃんの笑顔は写真の彼に似ていた。
追記
※平蔵さんも婿養子。南さん平蔵さん夫妻には、成人した息子が二人います。
あの事故以降、俺は不思議な夢を見るようになった。会ったこともない同級生と親友になり、ごく平凡な高校生活を過ごすというものだ。起きると心がほっこりとする反面、寂しい気持ちにもなる不思議な夢。何度も探したが、学内には似た特徴を持つ同級生はおろか、男も女も先輩も後輩もいなかった。
事故以降仲良くさせてもらっている弥平さんのお子さん夫婦である南さんと平蔵さんは、今では親のような存在になっている。親も居ない俺に事故の後、「生きてくれていてよかった。」と泣きながら抱きついてきた日の事は忘れられない。
亡くなったとはいえ、二人との縁を繋いでくれた弥平さんの月命日には、俺もお墓参りを欠かさない。お参り後にふと誰かに呼ばれた気がして振り向くとお墓に封筒が置いてある……さっきまでなかったよな?
『冬野 尊 様』
ハッキリと俺の名前が書いてある封筒を手にする。ソッと開けると、見知らぬ大家族の写真が入っていた。『彼は、幸せに暮らしている。』たった一言写真の裏に綺麗な筆跡で言葉が添えられていた。
幸せに笑う真ん中の男は夢に出てきた親友の面影がある。彼の笑顔に涙が溢れる。一人、墓で泣いていると隣の墓に来た夫婦と目が合ってしまい恥ずかしさであたふたしているうちに写真をひらりと落としてしまった。
「脅かしちゃってごめんなさいね。」
優しそうな女性が拾って渡してくれようとした写真に目をやり、何故か固まる。そして目に涙をいっぱいためて写真を見ている。
「良いお写真ね?お友だち?」
「高校生の頃から、僕の夢に出てくる会ったことの無い親友です。」
変なやつだと思われるかもしれない、でも誰かに彼の事を聞いて欲しかった。女性からの反応は俺の予想とは違っていた。
「あなた(君)も彼の夢を見るの(か)?」
夫婦は同時に口を開いた。
「も?」
「私たち夫婦も、ずっと彼を夢に見るの。高校生まで彼を育てる夢をずっと繰り返し見ているの。不思議だけど、会ったことの無い息子だと思っているわ。幸せなのね……彼の子供かしら?この子小さな時の彼と似ているわね。」
目の前の夫婦は、写真の彼を愛しそうに撫でている。
「何かのご縁だ。君の見た彼の想い出を私たちに教えてくれないか?」
春原さん夫婦と彼の想い出を共有していくことにして、春原家にお邪魔した。夢を書き出していくと、恐ろしいほどに共通点と一貫性があり、春原さんの長女さんにも夢を見たことがあることがわかった。全員で、彼はやっぱり居たんだと思うことができた。
写真の彼が引き寄せてくれたご縁で春原家の長女千佐子ちゃんと俺は婿養子の形で結婚することになり、南さんと平蔵さんにも千佐子ちゃんを紹介するため封筒に入った写真を持ってご縁が繋がった経緯を説明したら、南さんがポロポロと涙を溢す。写真の裏の字が弥平さんの筆跡だと古いアルバムを持ってきてくれる。
『冬の幸せの形』と書かれたアルバムの綺麗な筆跡は、確かに写真裏と封筒のものと似ていた。不思議な縁の繋がりについて話ながらの帰り道、千佐子ちゃんがふいに……
「うちの親ね、最初の子供は『千紘』にするって付き合っている頃から決めていたんだって、でもお母さんが私の名付けの段階になって急にダメって譲らなくなって、千佐子になったみたいなの。私は気に入っているわ、もしかしたら『千紘』って、お兄ちゃんの名前なのかもね。」
そう言いふわりと笑う千佐子ちゃんの笑顔は写真の彼に似ていた。
追記
※平蔵さんも婿養子。南さん平蔵さん夫妻には、成人した息子が二人います。
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