皇籍離脱した元親王は妹の為に復讐を開始する

オーガスト

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リメイク版

第9話 姉妹の絆

 12時間のフライトを経て健仁と誠子はニューヨークに到着した。ここで2人は高島一家と合流し、そこからヘリでハンプトンズの別荘に向かう手筈を整えている。

 空港に入り入国審査を終え空港の出口へ向かっていた2人に対し、声を掛ける1人の女性がいた。

 「健仁!誠子!」

 文子は2人に近付く。後ろには陽菜ひなを抱く文子の夫・智也ともやもいた。

 「よお文子!久しぶり!元気にしてた?」

 「うん!健仁のおかげでね!本当にありがとう!」

 そう言って健仁をハグする文子。誠子は予想外の事態に目を見開かせている。

 「うそ…お姉ちゃん?」

 誠子はそう声を出す事しかできない。そんな彼女を文子は優しく抱きしめた。

 「嘘じゃないよ。誠子。よく頑張ったね...ごめんね、あなたが辛い時にそばにいてあげられなくて。でも、もう大丈夫。苦しい事も、怖い事も、悲しい事も全部なくなるから」

 優しく告げる文子の声色に誠子の張り詰めていた緊張の糸が解され、彼女の瞳から涙が溢れる。

 「うっ…ううっ…ひっく…」

 文子の身体を強く抱きしめ、顔を埋めて泣く誠子。

 「お姉ちゃん...!私、私ね...本当に頑張ってるの...なのに、ネットでたくさん酷い事言われて...でも理仁が大変だからって我慢して...でも限界で...」

 泣きながら大好きな姉に思いの丈をぶつける誠子。彼女も長く苦しんでいたのだ。それでも、弱いところを見せずに頑張ってきたが限界を迎えてしまった。

 そんな彼女を文子は優しく抱きしめ続ける。

 「そうだね。あなたは本当によく頑張っているわ。あなたは私の誇りよ。あなたの静養には私も付き添うから、目いっぱい楽しみましょう。これまで4年近く会えなかったんだもの。その穴埋めよ」

 「うん...」

 姉妹の感動の再会を優しく見つめていた健仁は智也に話しかける。

 「智也、久しぶり。調子はどうだい?」

 「健仁、順調だよ。おかげ様で弁護士としてやっていけてる」

 健仁は智也に対しロースクールの3年間惜しみない支援を投入していた。おかげで彼は結婚直前に受験した司法試験に1発で合格し弁護士として生計をたてられている。

 「さて、後はヘリでハンプトンズまで向かう。ヘリポートまで向かうぞ」

 健仁はそう言って4人に声を掛ける。長時間のフライトから間もないがヘリで別荘まで向かう事となった。

 ◇◇◇

 ハンプトンズ・健仁の別荘

 敷地内にはプールやテニスコートもあり、家庭菜園やちょっとした林も整備された静かな場所だ。
 「凄い...」

 誠子は素直に感嘆の声を上げる。健仁はその様子を静かに眺めていた。

 「凄いでしょ?私も夏になるとここに来るんだ。前に来たのは7月だったかな?子供産んで3ヶ月位だっだから海には入らなかったけど子供が出来る前は智也と泳いでたんだ~」

 文子は嬉しそうにそう言って話す。文子は渡米以来毎年この別荘を健仁の許可の下訪問しており健仁の家族と合流したこともあった。

 「じゃ、中に入ろうか。」

 健仁の呼びかけに文子と誠子、智也と陽菜の4人も一緒に別荘の中に入って行った。

 健仁の提案で誠子の部屋は文子と同室となった。智也は仕事が立て込んでいるため、週末のみ別荘に向かい平日は郊外の自宅と職場を往復することになっている。その間は文子や別荘にいる使用人が陽菜の世話をすることになっている。

 「誠子、目いっぱい楽しもうね!ここには酷い人たちはいないから!」

 そう言って満面の笑顔を見せる文子。幼い頃から大好きなその表情に誠子も笑顔になる。

 姉妹は4年ぶりの再会を喜び合っていた。

 ◇◇◇

 「ねえ、誠子。この別荘ってプライベートビーチもあるんだけど行ってみない?海に足を付けると最高に気持ち良いの」

 「良いわね。行こっか」

 誠子はそう言うと、立ち上がり文子と共にプライベートビーチへと向かった。

 浜辺を散策する2人。足にはサンダルを履いている。しばらく散策を楽しんでからサンダルを脱ぎ海に近付く2人。誠子は恐る恐る海面に足を付けた。冷たい水が心地良い。

 「気持ち良い...」

 「でしょ...静かな波の音や遠くに見えるカモメの群れを見ると心が静まるの。健仁も普段の疲れをここで癒してるって言ってた。」

 文子はそう言って笑う。彼女は健仁を恩人としてかなり信頼している。

 「本当だね。何か、嫌な事も全部海に溶けていくみたい」

 「おお!いいねそれ!素敵な表現!全部海に溶かしちゃおっか♪」

 そう言うと文子は誠子に微笑みかけ、誠子もそれに笑顔で返す。ここ最近の張りつめていた緊張の糸が解れ始めるのを感じていた。
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