おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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第36話 始動、サキ小隊 ③

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 クズル男爵の屋敷へとすんなり通されたはいいのだが。

部屋へ案内されている途中にもキョロキョロと周りを見ていたが、特に怪しいところは無かった。

苦情があるという事で、クズル男爵にはすぐに会う事が出来た。

最初の挨拶も程々に、サキ隊長が本題に入り、男爵の様子を伺う。

「困りましたねえ、まさか私の趣味が誰かのご迷惑になっていたとは。」

男爵は物腰が柔らかい態度だったが、サキ隊長は更に突っ込んだ。

「趣味? でありますか? クズル男爵様、よければお教え下さいませんか?」

「申し訳ありませんが、私の趣味は人に話す様なものではありませんので。」

ふーむ、人には話せない内容という事か。

まあ、人に話せない趣味の一つや二つぐらいは、貴族ともなるとあるかもしれんが。

実際に苦情が出ているしな、そこの所もう少し詳しく聞きたいところだ。

「どうしてもクズル男爵様のご趣味をお話しては貰えない訳ですか?」

「ええ、こればかりは、いくら貴女がお美しいお嬢さんであっても、私個人の事ですので。」

「そうですか、わかりました。ですが夜な夜な怪しげな事があるという苦情が出ているのも事実ですので、我々はこの屋敷を調べる必要があります。我等の勝手な屋敷での行動をお許し頂けますか?」

(サキ隊長はクズル男爵にこの屋敷で捜査する事を進言した。さて、男爵は許可するかな?)

クズル男爵はしばらく考えながら、腕を組み、指を顎にあて何やら思案していた。

見られて困るものでもあるのだろうか? 

それとも只単に迷惑なだけだろうか。

「わかりました、この屋敷での捜査をして下さっても構いません。ですが、この屋敷の中の至る所には貴重な物や大切な物があります。あまり引っ掻き回さないで頂きたいですな。」

(よし! 許可が下りた。俺達はこの屋敷内で行動できる。)

この返事を聞いて、サキ隊長は一つ頷いて「ありがとうございます」と男爵に言って、俺達に向き直った。

「よし、お前達、この屋敷の捜査を始めろ。ニールは1階、ジャズは2階を調べるんだ。女性の寝室は私が調べる。」

と、そこでクズル男爵がこう言った。

「ああ、それには及びません。この屋敷には女性の寝室はありませんから。男性の方でも入室して頂いて一向に構いません。どうぞ遠慮なく。」

ふむ、この屋敷に女性は住んでいない? 男爵は一人で暮らしているのか? 

結婚はしていないという事であろうか。しかし女給は居るみたいだし、何でだ?

「失礼ですが、男爵様はご結婚されていないのですか?」

「ええ、独身貴族ですよ、両親が他界して、この屋敷と男爵の爵位を賜ってから、ずっと私は独り身です。結婚も考えてはおりません。雇っている女給も、別に住み込みで働いている訳でもありません。また、私は性奴隷を囲っているわけでもありませんからね、一人静かに過ごしています。」

ふーむ、貴族ともなると、色々と人を沢山雇ったり、性奴隷を囲ったりといった事などの。

豪胆なイメージがあったんだが、この男爵様はそういう事はしないという事かな。

まあいいや。俺は与えられた仕事をしよう。

「それでは隊長、俺とニールは各部屋を探索して参ります。」

「ああ、頼む。私は今少し男爵と会話をしてから向かう。何か発見したら直ぐに報告しに来いよ。いいな。」

「「 は! 」」

よし、ニールは1階、俺は2階の部屋を調べるか。

俺達は応接室を退室し、それぞれ動き出した。

「ニール、1階は頼むぞ。」

「ああ、ジャズもな。」

こうして、俺は階段を上がり2階へと上がった。

途中の階段でも、特に怪しいところは無かった。

 2階へと着き、まずは一番手前の部屋を調べる。ドアを開けて中の様子を伺う。

「ふーむ、ベッドが一つだけか。それ以外は何も無い部屋だな。」

部屋の中はベッドが一つ、それ以外の家具や物は無かった。

何も無い。生活感が無い、誰も使っていない部屋という感じだ。

一応ベッドの下も覗き込んだが、エロ本一つ見当たらない。本当に何も無い部屋だ。

「窓の景色はどうかな?」

部屋の中を歩き、窓の外を眺める。

この部屋からは隣近所の家が覗えない。

という事はつまり、この部屋じゃないという事だな。

「ここはハズレか、次の部屋へ行こう。」

俺は部屋を出て、ドアを閉めて隣の部屋へ向かう。

通路にも気を付けて観察したが、特に怪しいところは無かった。

「お次の部屋はどうかな?」

ドアを開けて中へと入り、様子を伺う。周りを見回し、何かないかと色々見て回る。

「この部屋もベッドが一つあるだけか。隣の部屋と同じ感じだな。」

この部屋にもやはりベッドが一つだけだった、他の家具などが一つも無い。

まるで生活感が感じられない。どうなってんだ? 

女給は住み込みではないと言っていたが、貴族なのに本当に一人で生活しているのか?

どうやら2階の部屋は全部調べたみたいだ。この階には何も無かった。

ここはハズレかな、ニールの方に行ってみるか。何かあるかもしれない。

俺は2階での探索を切り上げ、ニールが調べている1階へと向かう。

2階では、いずれの部屋からも隣近所の家は窺《うかが》い知る事はできなかった。

 1階へと到着して、ニールを探す。

だが、ニールは他の部屋を探索しているらしく、忙しそうにしていた。

なので、俺は別の部屋を探索しようと、歩き出し、ある一つの部屋まで来た。

扉を開けて様子を見ると、そこに居たのはサキ隊長だった。

「サキ隊長、こちらでしたか。」

「おう、ジャズか、首尾はどうだ?」

「芳しくありませんね、2階の部屋を全て調べましたが、特に変わった様子はありませんでした。ニールの方で何かあるかと思い、1階に来ました。」

「そうか、2階は異常なしか。ところでジャズ、ここだ、この部屋から隣近所の家が覗える。見てみろ。」

言われて俺は、この部屋の窓のところまで行き、窓の外を眺める。

「確かに、ここから隣が覗えますね、と、いう事は、隣からもこの部屋が覗えるという事ですね。」

「ああ、そうだ。この部屋を調べたのだが、特に怪しい点は無かった。ただな。」

「何でありますか?」

「うむ、この部屋、ベッドなどは見当たらないのに、そこにある家具の引き出しの中には、女性物の下着やら水着やらが沢山詰まっていた。これはどういう事かな?」

ふーむ、男爵は男で一人暮らし。

女給の私物にしては、ここに下着などを入れておく必要はなさそうだが。

さて、なぜだろうな。

確かめる為に、俺もその家具の引き出しを引いて中をあらためる。

確かに、女性物の下着やら水着などが、これ見よがしに詰まっていた。

しかもかなり際どい物ばかりだ。

こんなエロエロな下着、一体誰が身に着けるというのか。

丁度そこへ、ニールがやって来て部屋の前へ入って来た。

「あれ? 隊長にジャズじゃないか。どうした? まだこの部屋は調べていな………。」

ニールは喋りながらこちらに近づき、そして段差も何も無い所で躓いて盛大にすっ転んだ。

「何をやっている! 段差も何も無いところで転ぶなど。気が緩んでいる証拠だぞ! ニール二等兵!」

「いてて、す、すいません。そこの絨毯に足が引っ掛かってしましました。」

見ると、確かに絨毯にニールの足が引っ掛かって転んだようだ。

何やってんだか。ニールの奴。

しかし、そこで思わぬ物を発見した。

ニールが盛大に転び、下に敷いてある絨毯が少しめくれて、床に何かがあるのがわかった。

「隊長、この部屋の床に何か書いてあるみたいです。絨毯で隔されていたみたいです。」

「何! 本当か! でかしたニール。直ぐにこの絨毯をめくれ。」

「「 はい! 」」

こうして、俺とニールはこの部屋に敷いてある絨毯を捲る。すると、そこには。

「こ、これは!?」

「ああ、こいつは、魔法陣。だな。」

丸い円で描かれた幾何学模様きかがくもようの、何かの魔法陣がそこには描かれていた。

これは当たりかな? 当たりを引いてしまったかな。












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