おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

文字の大きさ
100 / 222

第99話 フィラ強化計画 ⑦

しおりを挟む


 地下3階層の最奥、そこで待ち受けていたのは姐御ともう一人の黒ローブの女性。

それとやはりあった、大規模転移装置。

そこで、何やら姐御は黒ローブの女性と相対している様子だった。

おそらく姐御もこの異変に気付いて、ここまでやって来たという事かもしれない。

モンスターが居ないなんて普通じゃない、何かがおかしい。

 考えられるのは、やはりこの大規模転移装置によってモンスター達が何処かへと転移した、もしくはさせられたかのどちらかだ。

「あらあら、千客万来ね、うふふ、いいわ。ちゃんと相手をしなくては失礼ね。」

そう言って、黒ローブの女性は懐から何か宝玉の様な何かを取り出した。

(あのどす黒い宝玉! まさか、モンスター召喚のアイテムか!)

黒ローブの女性は、幾つかの黒い宝玉を少し離れた場所へと投げて、地面へと転がす。

「さあ、あなたたち、出番よ。たっぷり楽しんでね。」

そして、宝玉から出た黒い霧が、辺りに漂い、周りを覆い隠した。そして、そこから現れたのは。

「カカカカカッ」

アンデットモンスターの代名詞、スケルトンだ!

「モンスターと遭遇! スケルトンナイト1! スケルトンソルジャー4! 気を付けろ! ナイトは手強いぞ!」

チッ、スケルトンナイトかよ、ゲームでは終盤に現れるモンスターだってのに!

「ジャズ! どうするの?」

「ジャズ様! 指示を!」

ガーネットとフィラが俺の指示を待っている。ここは的確に指示をとばしていくしかないな。

「俺とフィラでナイトの相手! ガーネット、男爵たちはソルジャーの相手! 油断するなよ! 手強いぞ!」

「オッケー!」

「はい!」

「仕方ない、やるか!」

「「「 おおーー! 」」」

 よし! パーティー戦だ。気を引き締めて挑むしかない。黒ローブの女性は姐御に任せるしかないだろう、いまのところはだが。

おそらく俺やフィラが加勢しても足手まといになるだけだ。

 スケルトンソルジャー、こいつはそんなに強くない、剣で武装しちゃいるが、大した事は無い。

 問題はスケルトンナイトの方だ。こいつは剣と盾で武装し、鎧まで着ている。こちらの攻撃を盾で防ぎ、カウンターの剣による攻撃をしかけてくる厄介な奴だ。

 ナイトの相手は俺とフィラで対処するしかない。他のソルジャーは何とかガーネットとポール男爵たちに任せよう。

「行くぞ! フィラ!」

「はい!」

 さて、まずは様子見、俺がナイトの注意を引き付けている間に、フィラに後ろからバックスタブを仕掛けさせる。

うまくいくかは正直わからん。だが、やってみなくては始まらない。

 まずは初手、雷の小太刀をナイト目掛けて振り抜き、当てる。

 予想通り盾で防がれる。だがその直後、フィラがこちらの意図を読んで、後ろから接近。バックを取る。

「てええい!!」

フィラのバトルアックスが振るわれる。対象は勿論スケルトンナイトだ。

こちらの攻撃を防いだので、盾は使えまい。どうだ!

しかし、ナイトはその場から一歩後ろへとさがり、フィラの攻撃を意図も容易く避けた。

俺もその場から一歩後ろへとさがり、距離を取る。

(仕切り直しか。だが上手く連携は取れている。)

 ちらりと、ガーネットたちの方を見ると、ガーネットの弓がソルジャー1体を仕留めたところだった。

「やるな! ガーネット!」

「…………うーん、何でかよく解らないんだけど、ジャズと一緒に戦っていると、何故か勇気が湧いて来るのよね、なんでかしら?」

 ああ、それはおそらく俺の装備している「勇気の腕輪」の装備スキル、「指揮官」のお陰だな。

周りの味方に勇気を与え、士気を高める効果があるのだ。

「その調子で頼むぜ。こっちはナイトの相手で手一杯だ!」

「オッケー! 任せて!」

 男爵たちの方も、ガイア、オルテガ、マッシュがそれぞれ得意分野で動き、しっかりと連携が執れていた。

 スケルトンソルジャーが弱ったところを、ポール男爵が止めを刺し、確実に1体づつ対処している。

「こっちも負けてられない! フィラ! 同時攻撃だ!」

「はい!」

 さて、俺達はナイト相手にまずは接近、距離を縮める。俺とフィラで挟み込むように動き、ナイトを起点に左右から攻める。

「くらえ!」

接近の途中で、クナイを投擲、ナイトの頭部に命中。かなりのダメージを与えた。

よし! いける! だが油断はしない、足元を掬われるかもしれんのでな。

 先にフィラの攻撃が届いた。バトルアックスを振り上げながら接近し、攻撃範囲に入ったと同時、武器を振り下ろす。

物凄い武器の振り抜き速度だ。これは避けられまい。

 案の定、ナイトは絶大なダメージを負った。凄いぞフィラ、斧との相性はバッチリだな。

 間髪入れずに俺の小太刀も攻撃に加わる。フィラに負けない様に高速で武器を振り抜き、鎧ごと粉砕する。

 その瞬間、スケルトンナイトが砂となって床に崩れ落ちた。召喚モンスターは倒されると、こうして砂になるのだ。

 よーし! スケルトンナイトは倒した。俺とフィラの二人がかりだったが、倒した事に違いはない。

 ガーネット達の方を見ると、ガーネットがスケルトンソルジャーをもう1体倒したところだった。

やはり倒すとその場で砂に変わり、床へと崩れ落ちる。

 男爵たちも上手く連携攻撃で、スケルトンソルジャーの残り2体を倒したところだった。

「へ~~、やるなあ、ポール男爵たち、伊達に冒険者歴は長くないって事か。」

「はっはっは、まあ、これくらい余裕だよ。俺様に任せておけば問題ない。」

俺がちょっと褒めると、男爵は直ぐに調子に乗る。いかんよ、そんな調子じゃ。

「男爵様、俺達が上手く連携したからですよ、そこんところちゃんと評価してくださいよ。」

「まったくですよ、大盾のガイアが引き付け、オルテガのハンマーで粉砕し、マッシュがかく乱してモンスターを1体づつ対処していく。俺達の連携も捨てたもんじゃないでしょ?」

「解っておる、みな、よくやってくれた。よーーし! これで残すはあの女だけだな。それにしてもあの女は一体何者なのだ?」

え? 知らないで戦っていたのか?

「ポール男爵、あの黒ローブの女性はおそらく「ダークガード」だ。危険な奴等だと思う。」

それを聞いた男爵たちは、みな一斉に声を上げた。

「な、なんだと!? ダークガードとはあのダークガードの事か?」

「ひえええ~~。」

「なんてこった、そんな歴史の裏舞台に登場する様な奴が相手とは………………。」

「聞いてねえよ! そんなの!」

おや? ポール男爵たちは何か知っているのかな?

「知っているのか? 男爵。」

「ああ、俺様だって貴族だからな、それぐらいの情報は入って来るものさ。それにしてもまさかダークガードとはな………………。」

よし! こちらに差し向けられたモンスターは全て排除した。後は姐御が黒ローブの女性を何とかしてくれれば。

そう思い、姐御が戦っている方を見ると、丁度そこには黒ローブの女性が突き出した拳が、姐御の腹に一撃入ったところだった。

「な!?」

姐御はくの字に折れ曲がり、息苦しそうにしながら苦悶の表情をして、地面に倒れ込んだ。

「あらあら、もう私のかわいい部下達は倒されてしまったの? いやだわ、弱い者って。」

こいつ! 武器も無しに姐御と渡り合って倒しやがった。

(という事は、黒ローブの女性はモンクか? いや、姐御がソードマスターなんだから、おそらくあの女はマスターモンクあたりだろうか?)

「冗談じゃない! うちのギルドの看板冒険者を、あんな化け物、相手に出来る訳がないだろうが!」

「落ち着け男爵、確かにあの女は強い。だが、やってみなくては解らんだろう。」

「けどジャズ! あの姐御がやられたのよ! 私達じゃとても相手になんて出来ないわよ!」

確かに、ガーネットが言いたい事も最もだ。俺もあの黒ローブの女性には勝てそうにない。

 だが、やるしかない。なぜだか解らんが、ここにある装置を早いとこ何とかしなければと思う。

姐御も言っていた、早くしなければ取り返しが付かなくなると。

今回の異変、やはりあの大規模転移装置が鍵となっているかもしれん。

「うふふふふ、今度は貴方方が私のお相手をしてくれるのかしら?」

 この余裕の表情、只者じゃない。あの姐御が倒されたんだ、こっちは慎重に対処しなければこっちがやられる。

 装置をはさんで、黒ローブの女性との戦いが始まった。

勝てるとは思えない、何か手は無いものだろうか。












しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おじさんが異世界転移してしまった。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...