おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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第116話 アリシア王国への帰還と報告

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 オーダイン王国からアリシア王国まで、これから帰るところだ。その前にヘイワードから手紙を貰った。

南門付近で待機している、乗合馬車が俺を待っていてくれる。

「それじゃあな、ジャズ。その手紙、必ずアリシアの女王に渡してくれよ。」

「ああ、オーダインの王様からの手紙、確かに受け取った。女王に渡しておくよ。またいつか飲もう。」

「おう、その時を楽しみにしているぞ。気をつけてな。フィラも。」

「ええ、今までありがとう、ヘイワード。」

こうして、オーダイン王国を後にして、一路、アリシア王国の国境まで行く事になる。

乗合馬車には、俺とフィラの他にポール男爵たちも一緒だ。なんだかんだでこれまで一緒だったな。

「さあ! 帰るか! アリシアへ!」

「はい、流石に今回は疲れましたからね、ゆっくりと休みたいですよ。」

「そうですよ、男爵様。休みましょうよ。」

「こき使われるのはもう、こりごりですよ。」

「情けないなあ、お前等、新入りに示しが付かんじゃないか。」

まあ、男爵たちは新しいメンバーを入れて、賑やかになる事だろう。女性メンバーだからな。

ポール男爵が買った戦闘奴隷の女性は、アイシャと言う名前で、腕の立つ傭兵だったらしい。

 武闘家でモンク。18歳と、これから期待できる戦力として、「カウンターズ」に入れたとの事だ。

種族は獣人族で、身体つきがしっかりしている。大枚はたいただけあって、かなり強そうだ。

 馬車に揺られながらの道だ、アリシア王国までおおよそ一週間ぐらいだろうか。

まあ、のんびりと行こうか。途中、モンスターと遭遇する事も無く。平和な行程だった。

 国境警備隊に身分証を呈示して、無事、国境を越える。ここはもうアリシア王国だ。

王都アリシアまで、もうすぐだ。ここまで何の障害も無い。静かな帰還だった。

 王都に到着し、ポール男爵たちとはここで別れる事になった。なんでも、アイシャの為に武具を見繕うようだ。

「それじゃあなジャズ、フィラ、俺達はここで買い物した後、直ぐにクラッチへと帰還する。」

「ああ、道中、気を付けてな。」

そうして、ポール男爵たちは商店街の方へと行った。さて、俺達は王城へと行かねば。

オーダインの国王より手紙を預かっている、アリシアの女王レイチェル陛下に届けなくては。

「よし、それじゃあ行こうか、フィラ。」

「はい。ジャズ様。」

アリシア王国の女王に謁見する為に、城へと上がり、そのまますんなりと通された。

謁見の間に入り、女王レイチェル陛下にこれまでの経緯を報告し、預かった手紙を渡す。

「ご苦労でした、我がアリシアの兵として、立派に勤めていたという事ですね。」

「は! 勿体なきお言葉、恐縮です。」

 謁見の間には、女王レイチェル陛下だけでなく、他に軍務卿、近衛騎士団長、王族直属部隊ブルーヘルムの面々が揃っている。 

緊張した、するなという方が無理な話だ。俺は只の兵士なのだよ。

「では、自分はこれで失礼致します。」

 こうして、無事に手紙も渡したし、俺とフィラはこのまま王都を離れ、クラッチの町へと帰還する事にした。

 ジャズー王子殿下が挨拶をしたがっていたそうだが、王子はやる事が多く、与えられた役職をこなさなければならないと言っていたそうな。

 なので、ここはお互いに顔を見せに来たという事で、落ち着いた。王子も元気そうでなによりだ。

 王都を出発し、乗合馬車でまたクラッチへと向かう。今度はフィラと二人きりだ。

 フィラはシャイニングナイツに入隊する事になったので、セコンド大陸にあるエストール大神殿へと向かい、そこで洗礼の儀を受けてから、晴れてシャイニングナイツの仲間入りをするんだそうだ。

船を使って大陸を渡る訳だな。それまでは俺と行動を共にすると言っていた。

正直、寂しくなる。だが、他でもないフィラが選んだ道だ。応援してやろう。

 クラッチの町へと到着した、ここは平和そのものといった感じだ、ほのぼのする。

帰って来たんだなという気持ちになり、なんだかホッとする。

「それじゃあフィラ、俺は基地の偉い人に報告するから、フィラは旅支度をしておいてくれ。」

「はい、解りました。ジャズ様。では、用が済んだら冒険者ギルドに居ますので、何かあれば声を掛けて下さい。」

「ああ、解った。それじゃあ。」

 フィラと一旦別れ、俺はクラッチ駐屯地へと向かい、基地に入る。そして、そのまま司令室へと足を向ける。

扉をノックし、返事を待つ。「入りたまえ」、と言うコジマ司令の声を聞き、扉を開けて入室する。

「失礼します、コジマ司令。ジャズ伍長、只今戻りました。」

敬礼をして、司令の前に行く。

「おお、帰って来たね、ジャズ君。ご苦労だった。して、首尾はどうだったかね?」

「はい、お陰様で、フィラと合流出来ました。コジマ司令、自分の自由な行動を許可して頂き、ありがとうございます。」

「そうかね、フィラさんと会えたかね、それはよかった。でね、早馬が来て、君達の事をそれとなく聞いたよ。何でも、オーダイン王国で活躍したそうじゃないか、レイチェル女王陛下が君達の事を高く評価していたよ。」

「は、勿体なきお言葉、恐縮です。」

コジマ司令は机の引き出しから、何かの徽章きしょうを取り出し、机の上に置いた。

「ジャズ伍長、本日をもって君を昇進させる。我が軍、そして我が国に対して多大な貢献をしたので、その見返りとしての昇進だよ。受け取りなさい。」

「は! ありがとうございます。」

(昇進か、素直に喜んでいいものかな? 今回はフィラが活躍したのだがな。)

しかし、何故か徽章は二つあった。これはどういう事であろうか?

「コジマ司令、二つありますが? どちらでしょうか?」

すると、コジマ司令はにこりと笑みを零して、こう言った。

「二つ共ですよ、ジャズ君。君は二階級特進したのだよ。」

な、なにい!? 二階級特進だって? 俺はそんなに活躍していないのに。

「二階級でありますか? 解りません。何故でしょうか?」

「フフフ、君、ジャズー王子殿下を今まで護衛してきただろう? その功績が認められたのだよ。それと、早馬が来たと言っただろう? その報告では、君にオーダインの王様が恩があるそうじゃないか。立派にアリシア軍人として、振舞っていたという証拠だよ。オーダイン王国の国王陛下より格別な報酬を君に与えてくれるようにと、手紙には書いてあったそうだよ。」

「な、なんと。そうでしたか。」

「だから、この軍曹と曹長の階級章は、君に渡す事を決めた訳だよ。受け取り賜え。」

「はい! 慎んんで拝命致します。ありがとうございます。」

机の上に置かれた階級章を手に取り、曹長の階級章を付ける。

(そうか、これで俺もとうとう曹長か。)

「オーダインでは大変だったみたいだね、あそこが落ちれば、次はユニコーン王国が被害に遭う。そうなる前に被害を食い止めたという事だね。兎に角、ご苦労だった。ゆっくりと体を休めて、英気を養い、また通常任務に復帰してくれればいいからね。」

「は! では、自分はこれで失礼致します。」

敬礼し、司令室を後にする。

襟元に輝く曹長の階級章が、何だか誇らしく思える。そうか、俺、曹長に昇進したんだな。

 兵舎へと戻り、ニールを探し、そして、これまでの経緯を話して、俺がジャズであるという事を説明した。

「ふーん、そうか。じゃあ、今のお前はその体で、ジャズなんだな?」

「あ、ああ、そうだ。何かいやに物分かりがいいな、お前。」

「ああ、まあコジマ司令からそれとなく聞いていたからな。そりゃ流石に驚いたし、すんなりと理解するのは時間が掛かるとは思うがな、まあ、お前の事だ。今更って感じはあるわな。」

「なんだよそれ? まあいいや。兎に角そう言う事だから、これからも宜しくな。ニール。」

「ああ、解ったぜ。ジャズ。」

 こうして、俺はアリシアへと帰還した。色々とコジマ司令が説明してくれたお陰で、こっちが手間を取られなかったのは素直に有難い。コジマ司令には感謝だな。

「フィラとも再会できたし、よかったよかった。色々と疲れた、ゆっくりしよう。」

お茶を飲みながら、ほっと一息つくのであった。


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