おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

文字の大きさ
119 / 222

第118話 女海賊団、ドクロのリリー ①

しおりを挟む


 サキ小隊に任務が下った。

俺とニールは、すぐさまブリーフィングルームへと集合、椅子に座り説明を聞く。

 黒板にはクラッチ周辺の地図が簡易的に描かれ、クラッチとその西側に港町ハッサンが点で書かれている。

「いいかお前等、良く聞けよ。今回の任務は港町ハッサンにて、町の人々の安全確保だ。」

サキ隊長が説明しだし、指示棒を黒板にあてがい、港町ハッサンのところに棒の先端を指す。

「安全確保でありますか?」

ニールが挙手をし、質問する。

「うむ、ここ最近、港町ハッサンにて、山賊と海賊が度々問題を起こし、揉めているそうだ。始めは只の口喧嘩だったらしいが、段々エスカレートしていき、今では刃傷沙汰《にんじょうざた》になっているそうだ。」

「穏やかじゃありませんね、揉めている理由はなんでしょうか?」

俺が質問すると、サキ隊長は指示棒を仕舞って机の上に置き、腕を組みながら答える。

「うーん、それが今一要領を得んのだ。町長の話では、何か山賊側が海賊にいちゃもんを付けて色々と追い出しに掛かっているらしいが、さてな、本当の狙いは解っていない。」

(山賊と海賊が揉めている、か。)

「隊長、山賊と海賊を捕縛、又は排除するという事でありますか?」

「いや、今のところ町の人々には何の被害も出ていないらしい。幸いな事にな、なのでまずは様子見といったところだな。」

ふーむ、賊は町の人達に迷惑を掛けている、が、今は何の被害も出ていない、か。

「ハッサンの町長が領主様に相談して、衛兵を派遣して貰ったらしいが、たった二人やって来ただけだったらしい。それで、最初は衛兵が町中の見回りをしていたらしいが、山賊も海賊も大人しかったのは最初だけで、今では大胆に行動をしているらしい。」

「衛兵が二人ですか、それは流石に少ないですね。町の港湾施設の規模はこのクラッチの半分ほどだったと思いますが、それで二人だけで見回りしようってのが、考えが甘いと言いますか、あまり重要視していなさそうですね。」

「うむ、私もそう思う、そして、町長が今回の話をコジマ司令に持ち掛け、我等に任務が与えられたという背景があるという事だ。」

 ふーむ、冒険者寄りの依頼の様にも思えるが、まあ、冒険者ギルドに依頼となると、報酬を支払う分、お金が掛かるからな。

港町は経済的にあまり潤ってはいないらしい。だから軍に頼む訳か。

「という訳で、今回の任務は港町ハッサン方面へ赴き、町の人々の安全確保と、可能ならば賊の始末、又は捕縛。以上だ、何か質問はあるか?」

俺は挙手をして、質問する。

「隊長、何時から揉めていたのでしょうか? また、港町ハッサンで問題が起こっているというのも気になりますが、情報は収集しても大丈夫なのでしょうか?」

この質問に、サキ隊長は顔を顰《しか》め、何か言い難そうな表情をして答えた。

「ジャズ曹長の言いたい事は解るが、これは領主様からの横槍があったらしくてな、少数で向かって欲しいそうだ。二つの組織を相手取る事になりそうだが、我等サキ小隊だけで事に当たらなければならんだろうな。」

(え? なにそれ? 何か裏がありますって言っている様な気がするんですが。)

こうなってくると、少しでも戦力が必要になってくるな。

「隊長、フィラも連れて行こうと思いますが。」

「勿論、歓迎だ、戦力が増えるのは有難い。フィラさんを呼んできてくれるか?」

「解りました、自分が後ほど呼んで参ります。」

「頼む。」

「は!」

ふーむ、今回の任務は、中々にすんなりと事が運ぶといいな。まあ、無理そうだが。

山賊に、海賊、か。

港町ハッサンってのは、そんなに重要な拠点という事でもなさそうだが、さて、どちらが問題を起こしているんだろうな。

「では、ブリーフィングは以上だ。各自、装備を整え、グラウンドに集合。急げよ、いいな!」

「「 はい! 」」

さて、それじゃあ装備課へ行って、おやっさんから武器を受け取りに行きますか。

「いこうぜ、ニール。」

「おう。」

こうして俺達は基地の装備課へ向かい、おやっさんに声を掛ける。

「おやっさん、俺、いつものやつ。」

「おう、ショートソードにナイフの6本セットだな。既にベルトに差してある。持って行け。」

「ありがとう、おやっさん。」

装備を受け取り、身に着ける。うむ、しっくりくる。流石おやっさんだ、ピカピカに磨かれている。

「おやっさん、俺、バスタードソードね。」

「わかってるよ、お前さんはこいつだろ。最初はどうなる事かと思ったが、ニールがまさか大剣使いに相応しくなるとはなあ、世の中どうなってんのかねえ。」

「おやっさんがいつも綺麗に磨いてくれているからだろ。感謝してるぜ。」

「お? 生意気言いやがって、怪我だけはするなよ。いいな。」

「おう! 任しとけって。」

ニールも装備を受け取り、身に着ける。中々様になっているじゃないか。ニールの奴。

装備課を出て、グラウンドへと向かい、待機している。

「ニール、俺は先にギルドへ行って、フィラを呼んでくる。」

「おう、急げよ。」

 このまま基地を出て、町中を走り、冒険者ギルドへと向かう。軍人が走っているのを見て、町の人達が俺に道を譲ってくれる。有難い。

 冒険者ギルドへと到着し、扉を開け、フィラを探す。居た。フィラ発見。直ぐに駆け寄る。

「フィラ、今いいか?」

「これはジャズ様、その恰好、これからお仕事ですか?」

「ああ、そうだ。それでな、フィラにも手伝って貰いたいんだが、いいか?」

「はい! 勿論です。お手伝い致します。」

「すまんな、出立するところだったのに、余計な手間を取らせる。」

「いえ、構いません、それで、何処へ行かれるのでしょうか?」

呼吸を整え、ゆっくりと説明する。

「今回の任務は、港町ハッサンだ。そこへ行って、人々の安全確保だな。善意の協力者として、任務に参加して貰えるか?」

説明し終えると、フィラは一つ頷き真剣な表情で答える。

「はい! 解りました、港町方面ならば、問題ありません。寧ろ、港町へ赴いて仕事を片付けてから、そのまま船で大陸を渡ろうかと思います。」

「ああ、そうか。そうだな。じゃあ、宜しく頼む。フィラ。」

「はい! 準備は既に出来ています。いつでもご用命頂ければ。」

「よし! 早速基地に来てくれ、グラウンドに集合だ!」

「はい! ジャズ様!」

よーし、フィラの協力を取り付けた、このまま基地へと向かい、グラウンドへと走る。

 基地に到着し、ニールと合流。サキ隊長も既に待っていた。

「来たか。フィラさん、今回の任務への参加に感謝します。宜しく。」

「はい、こちらこそ宜しく頼みます。サキさん。」

「フィラちゃん、無理しちゃ駄目だよ。俺の後ろで援護してくれればいいからね。」

「は、はい。ニールさん。」

 ふふふ、ニール。そんな事言って大丈夫か? フィラは強いぞ。足手まといにならなければいいな。お互いに。

「よーし! サキ小隊! しゅっぱあああつ! いいかお前等! 気合だけは入れておけよ!」

「「「 了解!! 」」」

 こうして、クラッチの町を後にして、一路、街道沿いを歩き、西へと向かい、港町ハッサン方面へと進む。

 道中、フィラにも任務内容を説明し、フィラには俺の支援をしてもらう事になった。

 街道は静かなものだ、モンスターの影も形も無い。それにいい天気だ。秋晴れってやつだな。

過ごしやすい季節になってきたなと思いながら、一応警戒だけはしておく。

時々吹く風が心地いい。少し肌寒さが感じられるのが、また風情を感じる。

秋はいい気候だ。食べ物も美味しい、作物も豊富に育って、もうすぐ収穫時期だろう。

農民の人達は今時期忙しいかもな。

さて、港町ハッサンへと向かっている訳だが、早速問題発生だ。

街道の途中で、荷馬車が横転しているのを発見した。近くには人も倒れていた。

「総員警戒! ニール、ジャズは周辺の監視。」

「は!」

「ジャズ曹長、倒れている人を調べろ。」

「は! フィラは周辺警戒を頼む。」

「はい! お任せを。」

荷馬車は無残にも壊されている、その近くに人が倒れているので、その様子を確かめに近づく。

「もしもし、大丈夫ですか!」

返事は無かった。既に事切れている様だ。

「隊長、駄目です、既に事切れています。」

「………そうか、遺品を回収、身分証も回収だ。」

「了解。」

倒れた男を調べて、ポケットに何かあったので、取り出す。

「これは、ギルドカード? そうか、この人は冒険者か。」

一抹の不安を感じながら、サキ小隊はここで一旦、立ち止まる。

 街道脇に壊された荷馬車、それと、倒された冒険者。装備等は落ちていない。おそらく持ち去られただろう。

この任務、簡単ではないかもしれないと、予感させるのだった。
















しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おじさんが異世界転移してしまった。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...