おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

文字の大きさ
121 / 222

第120話 女海賊団、ドクロのリリー ③

しおりを挟む


 港町ハッサンに到着早々、問題発生だ。広場にて山賊団と海賊団が暴れているらしい。

町長の屋敷から外へと飛び出し、急ぎ町の広場を目指す。町の人達に被害が出ていなければいいが。

 広場へと駆け付け、状況の様子を見る。そこには。

「オラアアアアアアアーーーーー!!!」

「「「「「 ぎゃああああああーーーーーーー!!?? 」」」」」

確かに、確かに山賊と女の海賊が争っていた。だが。

「ドクロのリリーを舐めるなああああーーーーー!!!」

「「「「「 ぎゃああああああーーーーー!!?? 」」」」」

圧倒的、圧倒的暴力がそこにはあった。

大勢の山賊相手に、たった一人の見た目が12歳くらいの、女のちびっ子が無双していた。

 そのちびっ子を応援するかのように、他の海賊の女の子達が「いけいけー!」とか、「ゴーゴー!」とか言っていた。

 ちびっ子は頭に船長が被る帽子によく似た物を被っていて、手には船の錨《いかり》を思わせる形をしたハンマーを、まるで玩具の様に軽々と振り回していた。

(あの錨、どう見ても鉄の塊だよな。)

何という馬鹿力だ。握力は相当なモノだぞ、あれ。

見た所、あの無双しているちびっ子が「ドクロのリリー」の船長で、周りの女の子たちが船員っぽいな。

と、ここで様子を見ていたサキ隊長が、命令を飛ばす。

「と、兎に角、我等は町の人々の安全確保だ。いいな! 気合だけは入れておけよ!」

「「「 は! 了解!! 」」」

 まあ、その必要は無さそうだが、これも任務だ。俺達は山賊団と町の人達の間に割って入る様に移動。自分たちが盾になるように布陣した。

その時、山賊の中から声が聞こえた。

「おい、あれ見てみろ、いい女がいるぞ。」

「お、本当だ。へへへ、ありゃあかなりの上玉だぜ。よし、あの女を頂きだぜ。」

山賊の奴等、何人かはフィラに目を付けたようだ。フィラに向かい近づいて来る。

(こいつ等、フィラを狙う気か? フッ、愚かな。フィラの実力も知らないで。)

俺はフィラに命令する。

「フィラ。構いません、山賊の方々を蹴散らしてしまいなさい。」

「はい! ジャズ様。行って参ります!」

 うむ、フィラの旅の道具袋は、俺のアイテムボックスに仕舞ってある。フィラは心置きなく戦えるだろう。

フィラはバトルアックスを構えながら、山賊団の居る方へ向け、駆け出した。突撃である。

「はああああっ!!!」

フィラは山賊団の方々を次々と倒し、ちびっ子に負けず劣らずの活躍をしている。

二人共、無双している。こっちが楽である。おっと、そう思っていたらこっちにも山賊が攻撃してきた。

俺はナイフを持ち、投擲。山賊の額に命中し、一人を倒す。

 流石にレベル20ともなると、ほぼ一撃で倒せる様になってきた。まあ、スキルも色々習得しているし、こんなところだろう。

しかし、油断はしない。警戒しつつ周りの様子を窺う。

 サキ隊長やニールの方にも山賊は接近していたが、自分の方に来た賊達をそれぞれが倒していた。

 山賊団の数は、約30人といったところだ。それをたった二人の女性で次々と倒している。まさに無双だ。

ちびっ子とフィラの距離が近づき、二人は背中合わせに立つ。

「あんた、中々やるじゃないのさ。あそこにいる軍人と一緒って事は、あんたもかい? 名前は?」

「フィラです。軍人ではなく、冒険者です。貴女もやりますね。お名前は?」

「あたいの名は、リスティル。女海賊団、「ドクロのリリー」の船長さ。」

フィラとちびっ子が何やら話していると、山賊達は二人を囲みだした。

「囲め囲め! 数で押せばやれるぞ!」

「「「「「 おう!! 」」」」」

ふむ、どうやら数に物を言わせて、フィラとちびっ子を叩く気らしい。

だが、二人を囲んでいた山賊達は、二人の攻撃に翻弄されることになる。

フィラとちびっ子が、揃って武器を前面に突き出し、勢いよくその場で回転。範囲攻撃を繰り出した。

「半円刃(はんえんじん)!!!」

「ぐるぐるハンマーーーー!!!」

二人の技は、取り囲んだ山賊達を次々と薙ぎ払っていく。それはもう可哀相なくらいに。

「「「「「「 ぎゃあああああああああああーーーーーー!!?? 」」」」」」

次々と倒れる山賊。勝負あったな、もう立っている者は居ない。

「そこまでだ!」

と、突然横合いから野太い声が聞こえてきた。声のする方を見ると、そこには更に100を超える山賊達が居た。

「それ以上やるなら、こいつ等の命は無いぜ!」

見ると、先程の戦いを応援していた女海賊の女の子たちが、山賊たちに捕まっていた。

女の子たちは目に涙を浮かべ、震えていた。顔は恐怖に染まっている。

(チ、人質を取りやがった。厄介な。)

しかも、山賊の増援は100人程に増えた。これは流石に分が悪い。状況がひっくり返ってしまったか。

「武器を捨てろリスティル! そっちの女軍人もだ!」

不味いな。人質を取られては、こっちから仕掛けられない。どうする。

「いいから武器を捨てろってんだよ!! さもないと、この女共の命はねえぜ!」

 海賊の女の子達に、刃が突きつけられる。不味い、人質の命が最優先だ、ここは大人しく武器を捨てさせるか。

兎に角、様子見だ。ここは山賊の言う事を聞いた方がいいな。

フィラが吠える。

「卑怯な!」

ちびっ子も吠える。

「そんな事して、恥ずかしくないのか! メルヘン!!」

「へっへっへ、こうでもしないとお前は言う事を聞かないからな。リスティル。」

状況が変わった。不利だ。仕方が無くといった様子で、サキ隊長が武器を捨てる。

「隊長………。」

「今は従え、ニール、ジャズ。」

「はい………。」

俺達も武器を捨てる、それに呼応するように、フィラもちびっ子も武器を捨てた。

「くっ! ここまできて!」

「リスティル、今は従いましょう。きっとチャンスはあります。」

「………………解った。」

二人共、力無く項垂れる。まあ、しょうがない。ここは大人しく様子見だな。

「へっへっへ、お利口さんだなリスティル。それじゃあ海賊のアジトへ案内して貰うぜ。宝があるんだろう、そいつを頂くぜ。へっへっへっへっへっへ。」

「何回も言わせるな! 宝なんて無い!」

「へっへっへ、そいつはどうかな。一緒に来てもらうぜ。」

「くっ!」

この場で戦っていた女たちは、ロープで縛られ、捕らえられてしまった。

「よーーし! 女は連れて行く! 30人程ここに残って男は殺せ! 残りの奴は俺に付いて来い。お宝が俺達を待っているぜ! はっはっはっはっは。」

チッ、やっぱりか。女は連れ去られ、男は殺される。山賊の頭目の考えそうな事だな。

髭面の男、奴がメルヘンか。大山賊団の頭目。顔は覚えた。後はこの状況を何とかするしかないか。

「お前等、男の方の始末はしとけよ。いいな!」

それだけ言って、メルヘン山賊団と捕らわれた女たちは海岸の方へと歩いて行った。残った山賊はざっと見繕って30人、といったところか。

なぶり殺しか。やれやれ、今日の俺の運勢は最悪だったかなあ。

残った山賊達が俺達を囲み、ニールが俺の近くに寄って来て体制を整える。

俺とニールで、背中合わせの恰好になり、相手の出方を窺う。

「ジャズ、どうする?」

「ああ、まあ任せろ。何とかする。」

足元にショートソード、ニールの方はバスタードソードが近くに転がっている。

小声でニールに話しかける。

「なあ、お前3人やれるか?」

「3人か、きついな。この状況では、それに武器が無い。」

「足元にあるだろう。そいつを何とか隙を見て拾い上げろ。いいな。」

「無茶言ってくれるぜ。………まあ、何とかなるかな。で? どうする?」

「合図したら後ろの3人を頼む、あとは俺がやる。」

「解った。」

「よし、合図と共に行動開始だ。」

山賊達がこちらを囲みこんで、近づいて来る。来るか!

「へっへっへ、領主が軍に横槍を入れたから、こうなるのよ。あんた等、運が無かったな。ここで死ねや。」

ほーう、こいつ等、何で領主が横槍を入れた事を知っているんだかな。

「うーん、そういう訳にはいかないんだよね。」

(2対30か、分の悪い賭けだな。だが、嫌いじゃない。)

腰にあるナイフを全て引き抜き、手に持つ。

(5本のナイフ。これで5人。残り25人。ショートソードは足元。戦闘距離は十分。いける。)

山賊たちが俺達ににじり寄って来る。よし、俺の距離だ。

「今だニール!」

合図を出す。その隙にナイフを連続で投げる。一投につき一殺。5人を倒す。残り25人。

「て! てめえ!」

足元にあるショートソードを足で蹴って空中に浮かす。片手で剣の柄を掴み、攻撃体勢で構える。

「さて…と………、一丁新技のお披露目といこうか。」








しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おじさんが異世界転移してしまった。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...