おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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第188話 伝承される戦い ⑨

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 バルビロン要塞奪還作戦。

その最終フェーズが始まっている、要塞内に巣くっているモンスターを殲滅する事。

 それにより、要塞をアリシア王国が掌握し、予定の要塞機能を回復する事がアリシアにとっての本懐。

40年もの長きに渡り、この要塞はオーク共に奪われていた。

 だが、今日、その戦いに決着が着くところまできている。あともう一押しと言ったところだ。

バルク将軍が前線に立ち、指揮を執っている。

「気を抜くなよ! モンスターの増援が無くなったとはいえ、油断は禁物だぞ!」

四種族連合軍が咆哮を上げる。

「「「「「「「「「「 おおおおおおおー----------!!! 」」」」」」」」」」

人間、エルフ、ドワーフ、獣人からなる四種族連合軍。その戦力、およそ400。

それに対し、モンスター軍団の数、約500。

モンスターの親玉らしき存在である、オークキングが出て来ている。

総力戦である、それは、四種族連合軍もモンスター軍団も、解っている事だろう。

だから、互いに譲れない。戦いは苛烈を極めている。

要塞中庭、ここが決戦の場だ。

「凄い。」

思わず声が漏れる、物凄い速さでモンスターの数が減っていく。味方の被害も出ているが、モンスターの比じゃない。

リースさん達、アゲイン騎士団の奮戦が顕著だ。

騎士ゴートがナイトソードを振り回し、オークの数を次々と減らしている。

騎士クリスは弩による射撃で、ゴブリンを確実に仕留めて行く。

リースさんはレイピアを巧みに操り、モンスターを各個撃破している。

 その両サイドには、先頭を行くアゲイン騎士団を支える為、冒険者達が奮起している。

 ガーネットはゴブリンを相手に、一歩も引かず弓による攻撃を仕掛け、その数を減らしている。

 ラット君もガーネットに近づくモンスターを牽制するように、上手く立ち回り、剣を振り回している。

モヒカン達も、意外とやっているみたいだが、決して前には出ていない。

 皆、上手く連携が取れている。互いに相互援護し、隙を作らず、少しずつ押している。

 俺も、ショートソードを構え、「ブレイジングロード」を発動させ、モンスターを各個撃破していく。

姉御はジュリアナさんと連携し合い、互いに背中を預けながら戦っている。

「はあああああ!!」

「やあああああ!!」

気迫のこもった声を上げ、怒涛の勢いでモンスターを圧倒していた。

 マトックとイズナもまた、互いに連携しつつ、途中で合流したケイトと組んで、暴れていた。

「ケイト! こっちに回せ!」

「オッケー! 任せるわよ!」

「イズナ! 仕掛けるぞ!」

「いつでも!」

うむ、三人の傭兵はここ一番の活躍をしている。やるなあ。

 後方では、賢者ルカインが魔法による攻撃を仕掛けていた。

「ゆくぞい、空よ、大地よ、今我の声に応えよ。《サンダーストーム》!!」

雷の嵐が、モンスターの集団に荒れ狂い、一気にその数を減らしていく。

先陣を切っていたリースさん達が、ボスモンスターのオークキングに追い付いた。

「我々で討つぞ! アゲイン騎士団の名を上げよ!」

「「 はは!! リース様。 」」

モンスター側も、劣勢を悟っているのか、親玉のオークキングが出張って来た。

オークキングの手に持つ巨大な棍棒で、リースさんを攻撃。上段から振り下ろす。

リースさんは馬を巧みに操り、棍棒を避ける。

その隙を突き、騎士ゴートが前へ出て、ナイトソードを振り抜く。

更に騎士クリスが弩による攻撃で、追加ダメージを負わせる。

「ブヒイイイイ!!」

 オークキングの反撃、棍棒を振り回し、周りに張り付いているモンスターごと吹き飛ばす。

「仲間ごと攻撃か! なりふり構って無いな。しかし!!」

オークキングの棍棒を、騎士ゴートがナイトシールドで防ぎ、攻撃を止める。

「オールドナイトとは言え、力押しなら負けはせん!」

動きの止まったオークキングは、隙だらけだった。

よっしゃ! チャンスだな。俺は精神コマンドを使う。

「必中、魂、これでよし! おっと、フルパワーコンタクトも忘れない!」

ショートソードを握る手に力を込め、構える。闘気を練り、剣に宿す。

オークキングとの距離は結構ある、だが問題無い。いける。届く。

「ここで、決める。精神コマンドの使用回数は残り0。もう何も出ない。これで終わりだ!」

だが、オークキングは苦し紛れに棍棒を振り上げ、リースさんに向けて狙いを付けた。

「まずい!? あぶねえっ!?」

声を上げたのは、モヒカンだった。モヒカンは手に持ったダガーを投擲し、オークキング目掛けて投げつけた。

「必殺! 横一文字斬り!! くらえええええええええええええっ!!!」

 俺の横一文字斬りによる真空の刃と、モヒカンの投擲したダガーがオークキングに当たったのは、ほぼ同時だった。

モヒカンが投擲したダガーは、オークキングの片目に直撃し、悲鳴を上げさせる。

そして同時に、俺の必殺技もオークキングの胴体に直撃し、その体を上下に真っ二つにした。

「ブヒイイイイイイイイィィィ………………。」

 オークキングは断末魔を上げ、ドサリと崩れ落ちた。棍棒がドカリと音を立てて落ちていく。

「おおお!? やったぞ! モヒカン殿がオークキングを倒したぞ!!」

 騎士ゴートが言うと、その場にいた四種族連合軍が奮起し、モンスター共を駆逐していった。

 そして、数分後。

 もはや、動いているモンスターは、一体も居なかった。

「………………。」

「………………。」

みんなが静まり返る中、ぼそりと呟く人物がいた。バルク将軍である。

「………………終わったか。………………ただ、この一語に尽きる。」

その瞬間、四種族連合軍に参加している全ての戦士が、一斉に勝どきを上げる。


「「「「「「「「「「 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおー-----------!!!!! 」」」」」」」」」」

「やった! やったぞ!」

「俺達の勝ちだ!」

「うおおおー--!」

「この戦いを、女神アルナ様に捧げよ!!」

「これで、これで国に帰れる………。」

そして、何故かモヒカンが大声で威張っていた。

「やったぞー-! 俺がオークキングを倒したぞー-!」

「おまっ、あまり目立つんじゃねえよモヒカン。」

「なんだよ逆モヒ、俺は英雄だぞ。」

そこへ、タイミングよく騎士ゴートがやって来た。

「おお! なんと、実はそなた等がアリシアの英雄であったのかの?」

「いやー、実はそうなんですよ。まいったなあー。バレちゃったかあー。」

こいつ、調子のいい事言って、知らんぞ俺は。

「終わったな、みんなお疲れさん。」

俺はみんなに声を掛ける。姐御からもまた、労いの言葉を貰った。

「ジャズもお疲れ様、流石ね、最後、オークキングに止めを刺したわね。」

「はは、偶然ですよ、いいじゃないですか。誰が倒したかなんてどうでも。ここに居る誰もがみな、「英雄」ですよ、姐御。」

「ふふ、ジャズらしいわね。」

こうして、40年に渡って戦い続けていたバルビロン要塞だったが。

ここに、バルビロン要塞奪還作戦の完全なる完了がなされた。

ここに集った戦士たちは、のちに伝承される戦いの、決着を見たのであった。



――――???――――


 暗く、窓一つ無い部屋に、ロウソクの灯りが一つある。

この部屋には、男が二人と女が一人、円卓を囲んでいた。

「だいたい、今回の集まりは何なの?」

「左様、我等は忙しいのだ。手短に済ませよ。」

偉そうな態度で質問する男女、それをいなす様に男が答える。

「はい、お忙しいところ申し訳ございませんが、新たな情報が入りまして、そのご報告をと。」

「ふん、聞かせよ。」

「手短にね。」

偉そうな男女は、話を聞こうと態度を少し崩した。

男が答える。

「では早速、アワー大陸において、バルビロン要塞が陥落致しました。」

「ふん、やはり時間の問題だったな。」

「確か、アワー大陸の担当はマグマだったわよね?」

「マグマなど! 冒険者風情にやられたのであろう? もう遅いわ! その様な情報! まあ良い、アワー大陸など放っておけ、もう得るものは何も無い。」

「しかし、マグマ様が残された道具にて、多少の時間稼ぎは出来ました。お二方の計画にプラスに働いたかと思われますが?」

「確かに、私の担当のセコンド大陸ではね。お陰で四種族連合軍をアワー大陸に釘付けに出来たわ。でも、私の担当エリアは女神の影響が強い場所よ、そう簡単に事は運ばないわよ。」

「ふん、儂の担当のミニッツ大陸は今、混乱のただ中にある。邪神ゲンドラシル教団が幅を利かせておるらしいからのう。まあ、精々利用させてもらうわい。」

「そっちは大変よねえ~、こっちはやっとカナン王国が重い腰を上げたってところだし。」

「ふん、こちらは女神の影響は少ないからな。で? アワー大陸はどうするのだ?」

男が尋ねると、別の男がこほんと咳払いをしつつ答えた。

「先程言われた様に、もうアワー大陸から得る物はありません。このまま放置します。」

「ふん、だいたいマグマがやられた時点で計画は頓挫しておったのだ! 捨て置け! アワーなど!」

「報告は以上かしら?」

女が質問すると、男は更に答える。

「もう一つ、裏切り者の処遇について、如何致しますか?」

裏切り者と聞き、眉をピクッと上げる女。

「あら、確かエースナンバーのダークガードだったわよね?」

男の方も腕を組む。

「ふん、我等の意にそぐわぬ行動をしておる女だったな? 確か、シルビアとか言ったか?」

「厄介ねえ~、エースナンバーはそんじょそこらの刺客じゃ殺せないわよ。」

「ふん、暗殺ギルドを使えばよかろう。」

男の意見に、別の男が答える。

「いえ、暗殺ギルドを用いるには、いささかばかりの大義名分が必要かと。」

「放っておきましょう。そんな雑兵。」

「ふん、闇の崇拝者が聞いて呆れるな。裏切り者一人満足に始末できんとは。」

「それについては、また後程こちらからご報告致します。では、裏切り者は基本放置、時間を置いて始末という事で。以上になります。お二方とも、御足労頂き、申し訳ありませんでした。」

この言葉をきっかけに、男と女は口を揃えて声を上げる。

「「 闇来やみきたる。 」」

「闇来る。お疲れ様でした。」

 その後、三人の男女の姿は掻き消える様にして居なくなり、部屋には誰も姿を確認出来なかった。

ただ、ロウソクの灯りだけが部屋を照らしているだけだった。



































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