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第5章:大戦争『最終決戦編』
350 クレール救出作戦 -無謀な賭け-
しおりを挟む マサキを咥えながら上空へと急上昇していくルナ。
その上昇は突然止まり――
「ぎぃやぁぁぁあああああああああああ!!!!」
落下へと変わった。
重力に逆らえるわけもなくマサキは落下していく。
マサキが落下しているのは、ルナがマサキを離したからである。
これはルナの顎の力に限界がきたからという理由ではない。
これもマサキが提案した『無謀な賭け』に必要な要因の一つなのである。
(意識はなんとか保てる! でも目を開けるのがキツい!)
意識は保てるものの、落下中のマサキは目を開けるのに苦労していた。
この『無謀な賭け』においてマサキの視界と集中力は最も重要な事柄でもある。
だからこそマサキは作戦成功のため、その瞳に映る光景に意識を集中させた。
自分が落下しているというのを忘れるくらいに。
もちろん全身と心で落下を感じているため、落下しているということを完全に忘れるというのは不可能だ。
それでも忘れているような状態に最も近いところまで持っていっている。
その精神力はクレールを助けたいという強い気持ちがあるから。そして何度も体験した落下に心が慣れつつあるからだ。
『自分から来てくれるだなんてね! ニシキギ・ギンへの憂さ晴らし、まあ、克服みたいになっちゃうけど、キミをここで殺す。恨むならキミの前世かもしれないニシキギ・ギンを恨んでね』
ロイは自分に向かって落下してくるマサキに向かって、六本の呪いの触手を伸ばした。
全て針のように鋭い。刺さってしまったら最後、蜂の巣になってしまうだろう。
すぐそこにいるブランシュへの対応がないのは、自分が攻撃されないとわかっているからだ。
背中にいるクレールが人質の役割を果たしている。そしてマサキを守るために行動する。
その二つがあれば、ブランシュが無防備であるロイに攻撃を仕掛けてこないことに対して十分すぎる理由になるのだ。
《個体名セトヤ・マサキの予想通り、個体名ジングウジ・ロイの攻撃が全て個体名セトヤ・マサキに向けられました》
(ああ、ここまでは予想通りの展開だな)
ブランシュは心の中で月の声と会話をしながら、マサキを襲う六本の呪いの触手を斬っていく。上手く弾いて進行方向を変えていく。
斬られた呪いの触手はすぐに再生されるが、ブランシュの斬撃が瞬きの刹那、再び呪いの触手を斬っていく。
決して落下しているマサキの落下を止めようとしないのも『無謀な賭け』に必要な要因の一つなのである。
「うぉぉおおおおおおー!! 見えてるのに、何が起きてるかわからねぇー! すごすぎるんだがー!!!!!」
マサキは目の前の光景に感銘を受けていた。
常人の動体視力では絶対に追うことができないほどのやりとりが、目の前で行われている。
1秒間にして数百のやりとりだ。それは感銘の一つや二つ受けるだろう。
「月影流奥義――五月雨 !!」
雨の如く降り注ぐ斬撃がロイの呪いの触手を圧倒する。
そんな斬撃を放ったブランシュの横をマサキが過ぎていく。
雨の如く降り注ぐ斬撃に守られながら、マサキは手の届く距離にまでロイに近付いた。
マサキの視界には一つの黒い塊にしか見えていない。それが『透明の呪い』の効果を上回った『塩砂糖スキル』の限界だからだ。
(こっちに向かって攻撃してるってことは、その後ろ側にクレールがいるってことだろ?)
マサキにはロイの正面さえわかっていればそれでいいのだ。
その後ろにクレールがいる。そこに手を伸ばして掴みさえすればいい。
(クレールの透明スキルは姿も気配も完全に消える。だけどそこから消えたわけじゃない。触ろうと思えば触れるし、そっち側が何かを掴めばこっち側からだと浮いて見える!)
それはマサキが今まで体験した透明スキルに関する情報。
スキルという異能に馴染みがないマサキだが、身近な人物のスキルの知識、情報ならあるのだ。
それを踏まえてマサキは、クレールにさえ手が届けば救出できると思っているのである。
「届けぇええええええ!!!」
マサキは黒い塊の背後に向かって手を伸ばした。
このタイミングを逃せば、マサキはロイを通り過ぎて地面に叩きつけられてしまう。
クレールの救出と落下を停止させる方法こそ、黒い塊を――クレールを掴むことなのだ。
「届いた!」
マサキは何かを掴んだ。
位置的にロイの背中で拘束されているクレールの可能性は高い。
「――ぬぐッ!!! クレール!!!! 絶対に助けるぞ!!!」
掴んだと同時に落下が停止するが、急停止したその反動がマサキの肩へと伝わる。
その痛みを押し殺しながら、落下しようとする重力を利用しクレールを引っ張り出そうとするが、びくともしない。
それもそのはず、二本の呪いの触手がクレールを拘束しているからだ。
しかしこれもマサキが考えた『無謀な賭け』の内容に含まれている。
「真っ白な団長さん!」
マサキは叫んだ。
その瞬間、ブランシュはロイの六本の呪いの触手を潜り抜ける。
「月影流奥義――」
必殺技を繰り出そうとするブランシュの深青の瞳には、ロイが剣のようなもので直接マサキに斬りかかろうとしている光景が映っていた。
その深青の瞳に映る光景は正しく、ロイはクレールの腕を掴むマサキを呪いの剣で直接斬ろうとしている。
クレールの救出を阻止するためならマサキの腕を狙うはずだが、マサキの息の根を確実に仕留めるためにロイは、マサキの首を狙っていた。
それをブランシュは防ぐために必殺技を繰り出す。
「――朤!!!! 」
二本の斬撃で相手を四等分に斬り裂く技だ。
ロイの体は呪いの鎧に守られているため、ブランシュの必殺技であっても斬り裂かれることはない。
しかし、攻撃を仕掛けてくる呪いの触手は斬撃に巻き込まれて斬り落とされていった。
そしてマサキの首を狙う呪いの剣にも斬撃が届く。
それにより呪いの剣は弾かれ軌道がズレるが、すぐに修正し再びマサキの首を狙った。
『残念。それだけじゃ僕の剣撃を止められないよ』
そう叫ぶロイだが、それすらもマサキの『無謀な賭け』の内容に含まれていることを知らない。
ロイの呪いの剣の穂先がマサキの首元へ届く寸前、落下が停止していたはずのマサキはそれを躱すように動き出した。
否、落下が再開したのだ。
クレールの腕を掴むマサキの腕力に限界がきたのだろうと、考えたロイだったが、それは一瞬だけの思考だった。
その考えをロイの身に起きた変化が否定したのだ。
「――姿が!?」
透明状態のはずのロイの姿が、夜空の下くっきりと現れ月に照らされたのである。
驚くロイだったが、その驚きも束の間、仕留め損ねた男へと視線を移す。
ロイの黒瞳には、地面に向かって落下する全身黒ジャージの青年と、その青年に抱き抱えられている薄桃色の髪をした兎人族の美少女が映っていた。
マサキはクレールの救出に成功したのだ。
クレールを拘束していた二本の呪いの触手は、先ほどのブランシュの必殺技によって斬り裂かれていた。
クレールに斬撃が当たることなく、呪いの触手のみを斬ったのはブランシュの技量。神業とも言えよう。
呪いの剣の位置とマサキが掴んでいるクレールの腕の位置から予測して、呪いの触手のみを斬ったのだ。
だからこそ、マサキの合図があった直後に必殺技を発動したのだ。マサキの合図よりも前ではクレールと呪いの触手の位置を正確に判断するのが難しいためである。
戦闘経験の豊富さ、戦闘におけるIQ、見極める嗅覚、判断能力など、全てを屈指した結果、この『無謀な賭け』を成功に導いたのである。
しかしこれで終わりではない。
落下しているマサキとクレールの救助、そしてそれを追うロイを止めなくてはならないのだ。
さらにもう一つ、マサキが『無謀な賭け』の内容に取り込んでいなかった内容があった。
それは――
「僕の力を返してもらうよ!」
ロイの圧倒的殺意だ。
飄々と笑う表情からは想像できないほどの殺意、闇色の禍々しいオーラがマサキを包み込んだ。
この闇色の禍々しいオーラは常時放出されているものである。
先ほどまでマサキが感じていなかったのは、そのオーラを遮断していた『透明の呪い』があったからだ。
姿と気配を完全に消すということは、殺意などのオーラなども遮断するということ。
姿を認識することができた『塩砂糖スキル』では、殺意などのオーラまでも感じることができなかったのだ。
姿を現したことにより、本来のロイの禍々しいオーラがこの世に放出されたのである。
強敵相手になら『透明の呪い』は効果的であることは、ガルドマンジェやフォーンたちとの戦闘で証明されている。
しかし弱者相手になら『透明の呪い』の効果を発動せず、ロイ本来の力、威圧などで対応した方が断然良いのだ。
「――ぐッ!!」
ロイの禍々しいオーラを全身で浴びてしまったマサキは、気を失いかける。
なんとか持ち堪えるものの、意識は朦朧とし、思考回路は停止状態。
もはや気を失っていないだけで、気を失っているのとほぼ変わらない状態だった。
そんなマサキに向かってものすごいスピードで近付く何かがあった。
「ンッンッ」
ものすごいスピードで近付く何かは声を漏らしていた。
その声は聞き覚えがある声。可愛らしい癒しの声であり、頼れる声でもあった。
そう。ウサギであり幻獣でもあるルナだ。
ルナはロイの禍々しいオーラを一切感じることなく涼しげな表情で飛んでいた。
「ンッンッ!」
ルナがマサキに近付いているのは、落下しているマサキとクレールを救助するためだ。
これはルナが与えられた『無謀な賭け』のルナにとって最も重要な部分だ。
落下途中のマサキとクレールをルナが救助する。その間、ブランシュは追いかけてくるであろうロイを阻止する。
役割分担はしっかりしているのだが、一つだけ懸念があった。
それはルナがマサキとクレールの二人を咥えて飛ぶことができるのかということ。それは実際にやってみなければわからないことだ。
辛うじて意識を保っているマサキはクレールを抱きしめ続けているため、どちらかを咥えれば二人まとめて飛びながら運ぶことは可能だろう。
マサキが意識を失い、クレールから離れてしまえば、この作戦は失敗に終わってしまう。
だからマサキは意識を失っているのとほぼ変わらない状況だとしても、クレールを決して離さないのだ。
「ンッンッ!」
ルナはマサキのジャージを咥えた。
長いウサ耳を激しく動かし、落下速度を抑えようとするが、その速度は変わらない。
マサキの懸念通り、ルナの力ではマサキとクレールの二人を同時に運ぶことができなかったのだ。
「ンッンッ! ンッンッ!」
必死になるルナだが、それでも落下速度を落とすことはできなかった。
しかしこれで失敗だと判断するのは早すぎる。
作戦の段階で懸念があるのなら、その対処方法も考えるのが当然だ。
マサキはこうなることも予測して予め対策を用意していた。
それは――
「――今助ける!」
ブランシュに助けてもらうことだ。
ブランシュが助けに来るということは、同時にロイも向かってくることになる。
それでも背に腹はかえられない。
ロイの攻撃を防ぎながら落下するマサキたちを救助する、というあまりにも難易度が高い役割をブランシュはせざるを得なくなったのだ。
「僕の力だ! 返せー!」
ロイはクレールだけを視界に映す。ブランシュも助けるべき人たちだけを視界に映す。
両者的の姿など見ていない。それなのに激しい攻防は続いたままだ。
敵よりも早く掴もうと必死なのである。
「邪魔をするな! 白き英雄の成り損ない!」
「貴様こそ邪魔をするな! 死にゆく悪王!」
両者、己の能力を使い相手よりも先に近付こうと試みる。
ロイは呪いの触手を影の如く伸ばしている。
ブランシュは光の剣の穂先を縄のように伸ばしている。
互いに発動元は違うものの形状は似ている。
あと少しで同時に届くであろう瞬間、ブランシュは身を翻した。
「月影流奥義――果テノ月!!!」
奥義を発動するブランシュ。延長させていた光の剣をロイに向かって斬り上げた。
その行動はマサキたちの救助を諦めて、ロイに攻撃を仕掛けるというものである。
「――がはッ!!!」
不意の攻撃であったためブランシュの剣撃を受けることになるが、血飛沫を上げた程度で致命傷までには至らなかった。
呪いの鎧を完全に斬り裂くことができなかったのである。
それでも今日一番のダメージをロイは受けていた。
その衝撃によってクレールに向かって伸ばしていた呪いの触手は距離が離れていく。
結果的にロイを邪魔することに成功したが、その代償としてマサキたちは落下したままだ。
このままでは地面に落下し命を落とすであろう。
しかしそんな状況にも関わらず、ブランシュはマサキたちを助けようとはしなかった。
「月影流奥義――海月!!!」
マサキの『無謀な賭け』を諦めて、個人的な考えでロイに攻撃を仕掛け続けている。
否、諦めたのではない。託したのだ。
(フエベスの姉妹。任せたぞ!!!)
地上にいる小さな小さな妖精族に。
ロイはクレールの姿ばかりを見ていたため、地上にいる子ウサギサイズの妖精族に気付かなかったのだ。
そんな千載一遇のチャンスを逃さまいと、ブランシュは行動に出たのである。
戦況を見極めたブランシュが一枚上手だったのだ。
しかし一筋縄ではいかないのもまた事実。
ロイはブランシュの猛攻に対応し始めたのだ。
そんな戦闘が上空で繰り広げられている中、地上ではマサキたちが無事に着地していた。
ルナは短い四本の足をしっかりと地面に付けている。マサキはクレールを抱きしめたまま、仰向けになっている状態だ。
「あ、危なかった……マジで今回ばかりは死ぬかと思ったぞ……助かったよ。ありがとうご」
マサキは己を助けてくれた人物に向かって言った。
その人物は妖精族の美少女ビエルネスだ。
先ほどブランシュが上空で見てマサキを託した妖精族である。
「落ちてくるマスターを助けるの得意なのです! なのでもっと褒めても良いんですよ~。ハァハァ……」
ビエルネスは息を荒げながらマサキの頬に全身を擦り付け始めた。
それを嫌がる様子もなく、むしろ慣れた様子でマサキは口を開く。
「そういえばトラの獣人の時も助けてくれたもんな……本当に命の恩人だよ。ビエルネスは」
「ハァハァ……もっと褒めてください。ハァハァ……」
「またあとでな」
そう言ったマサキはゆっくりと上半身を起こした。そしてもう一人の人物に目を向けた。
その人物とは――
「マサキさん! 本当に、本当によかったです! 無事で、無事でよかったです!」
白銀色の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女ネージュだ。
ネージュは上半身を起こしたマサキに抱きついた。同時にマサキが抱き抱えているクレールも一緒に。
「心配かけちゃったな。でもちゃんとクレールを助けたぞ。まだ意識は――」
意識はない、と言おうとしたマサキだったが、クレールのまぶたが動き始めたのを見て言うのをやめた。
まぶたが動いていると言うことは、目を覚ます前兆でもある。
その前兆通り、クレールはゆっくりと目蓋を開き、ルビィーのように美しい紅色の瞳を輝かせた。
「お、にぃ……ちゃん?」
「「クレール!」」
マサキとネージュが同時にクレールの名を呼ぶ。
直後、ルナが声を漏らし、ビエルネスがクレールの名を呼んだ。
マサキとネージュの瞳には涙が浮かび始めたが、それを乱暴に拭い今以上に強くクレールを抱きしめる。
「く、苦しいぞ……」
乱暴に拭ったはずの涙はすぐに溢れ出てくる。マサキもネージュも鼻水を垂らしながら泣き始めてしまった。
マサキとネージュは負の感情以外にも喜びの感情も伝染しやすいのだ。
「「うぐっ……あぅ……」」
マサキとネージュの泣き方も嗚咽もほぼ一緒。
このシンクロ率は双子の姉妹デールとドール並だ。
「おにーちゃん! おねーちゃん!」
クレールも釣られて涙を流す。
そして無意識に強く抱きしめ返していた。
「全然苦しくないぞ。みんなと離れていた時間の方が苦しかったぞ!」
意識を失う前の記憶が回復していた。
そして意識を失った後も『透明スキル』を通して朧げであるが、何が起きていたのかを把握できていた。
だからこそ今マサキとネージュに強く抱きしめられている苦しさなんて、全くの苦しさではないのだと分かった。
人の温もり、家族の絆、大切な何か、どこにも苦しい要素なんてないのだ。むしろ逆なのだと。
「ンッンッ!!!」
感動の再会の途中でルナは何かを伝えるかのような声で鳴き始める。
それを代弁するかのようにビエルネスも声を上げた。
「まずはここから避難しないとですよ!」
「そ、そうでした! モモンちゃんとリリィちゃんに怒られてしまいます!」
ネージュはビエルネスの言葉を聞いて思い出したかのように言った。
小さな傭兵団副団長のモモンと団員のリリィ、そしてネージュとビエルネスはすでに戦いに敗れてしまったガルドマンジェとスクイラルとフレンムの避難を終わらせていたのだ。
そしてネージュとビエルネスはフォーンの結界が張られている大樹には戻ろうとはせずに、マサキたちの救出のためここに残り、この瞬間を待っていたのである。
マサキとクレールとルナが無事に戻ってきたと言うことで、ネージュとビエルネスの目的は果たされた。
あとは避難するだけなのだ。
「早く行きましょう! ダールたちも心配して待ってますよ!」
そう言ってマサキの右手とクレールの左手を握るネージュ。
しかし、マサキはネージュの手を握り返そうとはしなかった。
「ごめん。みんな」
マサキは突然謝罪した。
聴き間違えたかと思うぐらいの鼻声で、ネージュとクレールとビエルネスは小首を傾げた。
そのままマサキは言葉を続ける。
「真っ白な団長さんと約束したからさ」
それはマサキにとって『無謀な賭け』のその先、つまり延長戦を意味するものだった。
その上昇は突然止まり――
「ぎぃやぁぁぁあああああああああああ!!!!」
落下へと変わった。
重力に逆らえるわけもなくマサキは落下していく。
マサキが落下しているのは、ルナがマサキを離したからである。
これはルナの顎の力に限界がきたからという理由ではない。
これもマサキが提案した『無謀な賭け』に必要な要因の一つなのである。
(意識はなんとか保てる! でも目を開けるのがキツい!)
意識は保てるものの、落下中のマサキは目を開けるのに苦労していた。
この『無謀な賭け』においてマサキの視界と集中力は最も重要な事柄でもある。
だからこそマサキは作戦成功のため、その瞳に映る光景に意識を集中させた。
自分が落下しているというのを忘れるくらいに。
もちろん全身と心で落下を感じているため、落下しているということを完全に忘れるというのは不可能だ。
それでも忘れているような状態に最も近いところまで持っていっている。
その精神力はクレールを助けたいという強い気持ちがあるから。そして何度も体験した落下に心が慣れつつあるからだ。
『自分から来てくれるだなんてね! ニシキギ・ギンへの憂さ晴らし、まあ、克服みたいになっちゃうけど、キミをここで殺す。恨むならキミの前世かもしれないニシキギ・ギンを恨んでね』
ロイは自分に向かって落下してくるマサキに向かって、六本の呪いの触手を伸ばした。
全て針のように鋭い。刺さってしまったら最後、蜂の巣になってしまうだろう。
すぐそこにいるブランシュへの対応がないのは、自分が攻撃されないとわかっているからだ。
背中にいるクレールが人質の役割を果たしている。そしてマサキを守るために行動する。
その二つがあれば、ブランシュが無防備であるロイに攻撃を仕掛けてこないことに対して十分すぎる理由になるのだ。
《個体名セトヤ・マサキの予想通り、個体名ジングウジ・ロイの攻撃が全て個体名セトヤ・マサキに向けられました》
(ああ、ここまでは予想通りの展開だな)
ブランシュは心の中で月の声と会話をしながら、マサキを襲う六本の呪いの触手を斬っていく。上手く弾いて進行方向を変えていく。
斬られた呪いの触手はすぐに再生されるが、ブランシュの斬撃が瞬きの刹那、再び呪いの触手を斬っていく。
決して落下しているマサキの落下を止めようとしないのも『無謀な賭け』に必要な要因の一つなのである。
「うぉぉおおおおおおー!! 見えてるのに、何が起きてるかわからねぇー! すごすぎるんだがー!!!!!」
マサキは目の前の光景に感銘を受けていた。
常人の動体視力では絶対に追うことができないほどのやりとりが、目の前で行われている。
1秒間にして数百のやりとりだ。それは感銘の一つや二つ受けるだろう。
「月影流奥義――五月雨 !!」
雨の如く降り注ぐ斬撃がロイの呪いの触手を圧倒する。
そんな斬撃を放ったブランシュの横をマサキが過ぎていく。
雨の如く降り注ぐ斬撃に守られながら、マサキは手の届く距離にまでロイに近付いた。
マサキの視界には一つの黒い塊にしか見えていない。それが『透明の呪い』の効果を上回った『塩砂糖スキル』の限界だからだ。
(こっちに向かって攻撃してるってことは、その後ろ側にクレールがいるってことだろ?)
マサキにはロイの正面さえわかっていればそれでいいのだ。
その後ろにクレールがいる。そこに手を伸ばして掴みさえすればいい。
(クレールの透明スキルは姿も気配も完全に消える。だけどそこから消えたわけじゃない。触ろうと思えば触れるし、そっち側が何かを掴めばこっち側からだと浮いて見える!)
それはマサキが今まで体験した透明スキルに関する情報。
スキルという異能に馴染みがないマサキだが、身近な人物のスキルの知識、情報ならあるのだ。
それを踏まえてマサキは、クレールにさえ手が届けば救出できると思っているのである。
「届けぇええええええ!!!」
マサキは黒い塊の背後に向かって手を伸ばした。
このタイミングを逃せば、マサキはロイを通り過ぎて地面に叩きつけられてしまう。
クレールの救出と落下を停止させる方法こそ、黒い塊を――クレールを掴むことなのだ。
「届いた!」
マサキは何かを掴んだ。
位置的にロイの背中で拘束されているクレールの可能性は高い。
「――ぬぐッ!!! クレール!!!! 絶対に助けるぞ!!!」
掴んだと同時に落下が停止するが、急停止したその反動がマサキの肩へと伝わる。
その痛みを押し殺しながら、落下しようとする重力を利用しクレールを引っ張り出そうとするが、びくともしない。
それもそのはず、二本の呪いの触手がクレールを拘束しているからだ。
しかしこれもマサキが考えた『無謀な賭け』の内容に含まれている。
「真っ白な団長さん!」
マサキは叫んだ。
その瞬間、ブランシュはロイの六本の呪いの触手を潜り抜ける。
「月影流奥義――」
必殺技を繰り出そうとするブランシュの深青の瞳には、ロイが剣のようなもので直接マサキに斬りかかろうとしている光景が映っていた。
その深青の瞳に映る光景は正しく、ロイはクレールの腕を掴むマサキを呪いの剣で直接斬ろうとしている。
クレールの救出を阻止するためならマサキの腕を狙うはずだが、マサキの息の根を確実に仕留めるためにロイは、マサキの首を狙っていた。
それをブランシュは防ぐために必殺技を繰り出す。
「――朤!!!! 」
二本の斬撃で相手を四等分に斬り裂く技だ。
ロイの体は呪いの鎧に守られているため、ブランシュの必殺技であっても斬り裂かれることはない。
しかし、攻撃を仕掛けてくる呪いの触手は斬撃に巻き込まれて斬り落とされていった。
そしてマサキの首を狙う呪いの剣にも斬撃が届く。
それにより呪いの剣は弾かれ軌道がズレるが、すぐに修正し再びマサキの首を狙った。
『残念。それだけじゃ僕の剣撃を止められないよ』
そう叫ぶロイだが、それすらもマサキの『無謀な賭け』の内容に含まれていることを知らない。
ロイの呪いの剣の穂先がマサキの首元へ届く寸前、落下が停止していたはずのマサキはそれを躱すように動き出した。
否、落下が再開したのだ。
クレールの腕を掴むマサキの腕力に限界がきたのだろうと、考えたロイだったが、それは一瞬だけの思考だった。
その考えをロイの身に起きた変化が否定したのだ。
「――姿が!?」
透明状態のはずのロイの姿が、夜空の下くっきりと現れ月に照らされたのである。
驚くロイだったが、その驚きも束の間、仕留め損ねた男へと視線を移す。
ロイの黒瞳には、地面に向かって落下する全身黒ジャージの青年と、その青年に抱き抱えられている薄桃色の髪をした兎人族の美少女が映っていた。
マサキはクレールの救出に成功したのだ。
クレールを拘束していた二本の呪いの触手は、先ほどのブランシュの必殺技によって斬り裂かれていた。
クレールに斬撃が当たることなく、呪いの触手のみを斬ったのはブランシュの技量。神業とも言えよう。
呪いの剣の位置とマサキが掴んでいるクレールの腕の位置から予測して、呪いの触手のみを斬ったのだ。
だからこそ、マサキの合図があった直後に必殺技を発動したのだ。マサキの合図よりも前ではクレールと呪いの触手の位置を正確に判断するのが難しいためである。
戦闘経験の豊富さ、戦闘におけるIQ、見極める嗅覚、判断能力など、全てを屈指した結果、この『無謀な賭け』を成功に導いたのである。
しかしこれで終わりではない。
落下しているマサキとクレールの救助、そしてそれを追うロイを止めなくてはならないのだ。
さらにもう一つ、マサキが『無謀な賭け』の内容に取り込んでいなかった内容があった。
それは――
「僕の力を返してもらうよ!」
ロイの圧倒的殺意だ。
飄々と笑う表情からは想像できないほどの殺意、闇色の禍々しいオーラがマサキを包み込んだ。
この闇色の禍々しいオーラは常時放出されているものである。
先ほどまでマサキが感じていなかったのは、そのオーラを遮断していた『透明の呪い』があったからだ。
姿と気配を完全に消すということは、殺意などのオーラなども遮断するということ。
姿を認識することができた『塩砂糖スキル』では、殺意などのオーラまでも感じることができなかったのだ。
姿を現したことにより、本来のロイの禍々しいオーラがこの世に放出されたのである。
強敵相手になら『透明の呪い』は効果的であることは、ガルドマンジェやフォーンたちとの戦闘で証明されている。
しかし弱者相手になら『透明の呪い』の効果を発動せず、ロイ本来の力、威圧などで対応した方が断然良いのだ。
「――ぐッ!!」
ロイの禍々しいオーラを全身で浴びてしまったマサキは、気を失いかける。
なんとか持ち堪えるものの、意識は朦朧とし、思考回路は停止状態。
もはや気を失っていないだけで、気を失っているのとほぼ変わらない状態だった。
そんなマサキに向かってものすごいスピードで近付く何かがあった。
「ンッンッ」
ものすごいスピードで近付く何かは声を漏らしていた。
その声は聞き覚えがある声。可愛らしい癒しの声であり、頼れる声でもあった。
そう。ウサギであり幻獣でもあるルナだ。
ルナはロイの禍々しいオーラを一切感じることなく涼しげな表情で飛んでいた。
「ンッンッ!」
ルナがマサキに近付いているのは、落下しているマサキとクレールを救助するためだ。
これはルナが与えられた『無謀な賭け』のルナにとって最も重要な部分だ。
落下途中のマサキとクレールをルナが救助する。その間、ブランシュは追いかけてくるであろうロイを阻止する。
役割分担はしっかりしているのだが、一つだけ懸念があった。
それはルナがマサキとクレールの二人を咥えて飛ぶことができるのかということ。それは実際にやってみなければわからないことだ。
辛うじて意識を保っているマサキはクレールを抱きしめ続けているため、どちらかを咥えれば二人まとめて飛びながら運ぶことは可能だろう。
マサキが意識を失い、クレールから離れてしまえば、この作戦は失敗に終わってしまう。
だからマサキは意識を失っているのとほぼ変わらない状況だとしても、クレールを決して離さないのだ。
「ンッンッ!」
ルナはマサキのジャージを咥えた。
長いウサ耳を激しく動かし、落下速度を抑えようとするが、その速度は変わらない。
マサキの懸念通り、ルナの力ではマサキとクレールの二人を同時に運ぶことができなかったのだ。
「ンッンッ! ンッンッ!」
必死になるルナだが、それでも落下速度を落とすことはできなかった。
しかしこれで失敗だと判断するのは早すぎる。
作戦の段階で懸念があるのなら、その対処方法も考えるのが当然だ。
マサキはこうなることも予測して予め対策を用意していた。
それは――
「――今助ける!」
ブランシュに助けてもらうことだ。
ブランシュが助けに来るということは、同時にロイも向かってくることになる。
それでも背に腹はかえられない。
ロイの攻撃を防ぎながら落下するマサキたちを救助する、というあまりにも難易度が高い役割をブランシュはせざるを得なくなったのだ。
「僕の力だ! 返せー!」
ロイはクレールだけを視界に映す。ブランシュも助けるべき人たちだけを視界に映す。
両者的の姿など見ていない。それなのに激しい攻防は続いたままだ。
敵よりも早く掴もうと必死なのである。
「邪魔をするな! 白き英雄の成り損ない!」
「貴様こそ邪魔をするな! 死にゆく悪王!」
両者、己の能力を使い相手よりも先に近付こうと試みる。
ロイは呪いの触手を影の如く伸ばしている。
ブランシュは光の剣の穂先を縄のように伸ばしている。
互いに発動元は違うものの形状は似ている。
あと少しで同時に届くであろう瞬間、ブランシュは身を翻した。
「月影流奥義――果テノ月!!!」
奥義を発動するブランシュ。延長させていた光の剣をロイに向かって斬り上げた。
その行動はマサキたちの救助を諦めて、ロイに攻撃を仕掛けるというものである。
「――がはッ!!!」
不意の攻撃であったためブランシュの剣撃を受けることになるが、血飛沫を上げた程度で致命傷までには至らなかった。
呪いの鎧を完全に斬り裂くことができなかったのである。
それでも今日一番のダメージをロイは受けていた。
その衝撃によってクレールに向かって伸ばしていた呪いの触手は距離が離れていく。
結果的にロイを邪魔することに成功したが、その代償としてマサキたちは落下したままだ。
このままでは地面に落下し命を落とすであろう。
しかしそんな状況にも関わらず、ブランシュはマサキたちを助けようとはしなかった。
「月影流奥義――海月!!!」
マサキの『無謀な賭け』を諦めて、個人的な考えでロイに攻撃を仕掛け続けている。
否、諦めたのではない。託したのだ。
(フエベスの姉妹。任せたぞ!!!)
地上にいる小さな小さな妖精族に。
ロイはクレールの姿ばかりを見ていたため、地上にいる子ウサギサイズの妖精族に気付かなかったのだ。
そんな千載一遇のチャンスを逃さまいと、ブランシュは行動に出たのである。
戦況を見極めたブランシュが一枚上手だったのだ。
しかし一筋縄ではいかないのもまた事実。
ロイはブランシュの猛攻に対応し始めたのだ。
そんな戦闘が上空で繰り広げられている中、地上ではマサキたちが無事に着地していた。
ルナは短い四本の足をしっかりと地面に付けている。マサキはクレールを抱きしめたまま、仰向けになっている状態だ。
「あ、危なかった……マジで今回ばかりは死ぬかと思ったぞ……助かったよ。ありがとうご」
マサキは己を助けてくれた人物に向かって言った。
その人物は妖精族の美少女ビエルネスだ。
先ほどブランシュが上空で見てマサキを託した妖精族である。
「落ちてくるマスターを助けるの得意なのです! なのでもっと褒めても良いんですよ~。ハァハァ……」
ビエルネスは息を荒げながらマサキの頬に全身を擦り付け始めた。
それを嫌がる様子もなく、むしろ慣れた様子でマサキは口を開く。
「そういえばトラの獣人の時も助けてくれたもんな……本当に命の恩人だよ。ビエルネスは」
「ハァハァ……もっと褒めてください。ハァハァ……」
「またあとでな」
そう言ったマサキはゆっくりと上半身を起こした。そしてもう一人の人物に目を向けた。
その人物とは――
「マサキさん! 本当に、本当によかったです! 無事で、無事でよかったです!」
白銀色の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女ネージュだ。
ネージュは上半身を起こしたマサキに抱きついた。同時にマサキが抱き抱えているクレールも一緒に。
「心配かけちゃったな。でもちゃんとクレールを助けたぞ。まだ意識は――」
意識はない、と言おうとしたマサキだったが、クレールのまぶたが動き始めたのを見て言うのをやめた。
まぶたが動いていると言うことは、目を覚ます前兆でもある。
その前兆通り、クレールはゆっくりと目蓋を開き、ルビィーのように美しい紅色の瞳を輝かせた。
「お、にぃ……ちゃん?」
「「クレール!」」
マサキとネージュが同時にクレールの名を呼ぶ。
直後、ルナが声を漏らし、ビエルネスがクレールの名を呼んだ。
マサキとネージュの瞳には涙が浮かび始めたが、それを乱暴に拭い今以上に強くクレールを抱きしめる。
「く、苦しいぞ……」
乱暴に拭ったはずの涙はすぐに溢れ出てくる。マサキもネージュも鼻水を垂らしながら泣き始めてしまった。
マサキとネージュは負の感情以外にも喜びの感情も伝染しやすいのだ。
「「うぐっ……あぅ……」」
マサキとネージュの泣き方も嗚咽もほぼ一緒。
このシンクロ率は双子の姉妹デールとドール並だ。
「おにーちゃん! おねーちゃん!」
クレールも釣られて涙を流す。
そして無意識に強く抱きしめ返していた。
「全然苦しくないぞ。みんなと離れていた時間の方が苦しかったぞ!」
意識を失う前の記憶が回復していた。
そして意識を失った後も『透明スキル』を通して朧げであるが、何が起きていたのかを把握できていた。
だからこそ今マサキとネージュに強く抱きしめられている苦しさなんて、全くの苦しさではないのだと分かった。
人の温もり、家族の絆、大切な何か、どこにも苦しい要素なんてないのだ。むしろ逆なのだと。
「ンッンッ!!!」
感動の再会の途中でルナは何かを伝えるかのような声で鳴き始める。
それを代弁するかのようにビエルネスも声を上げた。
「まずはここから避難しないとですよ!」
「そ、そうでした! モモンちゃんとリリィちゃんに怒られてしまいます!」
ネージュはビエルネスの言葉を聞いて思い出したかのように言った。
小さな傭兵団副団長のモモンと団員のリリィ、そしてネージュとビエルネスはすでに戦いに敗れてしまったガルドマンジェとスクイラルとフレンムの避難を終わらせていたのだ。
そしてネージュとビエルネスはフォーンの結界が張られている大樹には戻ろうとはせずに、マサキたちの救出のためここに残り、この瞬間を待っていたのである。
マサキとクレールとルナが無事に戻ってきたと言うことで、ネージュとビエルネスの目的は果たされた。
あとは避難するだけなのだ。
「早く行きましょう! ダールたちも心配して待ってますよ!」
そう言ってマサキの右手とクレールの左手を握るネージュ。
しかし、マサキはネージュの手を握り返そうとはしなかった。
「ごめん。みんな」
マサキは突然謝罪した。
聴き間違えたかと思うぐらいの鼻声で、ネージュとクレールとビエルネスは小首を傾げた。
そのままマサキは言葉を続ける。
「真っ白な団長さんと約束したからさ」
それはマサキにとって『無謀な賭け』のその先、つまり延長戦を意味するものだった。
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