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本編

抱いてほしい

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ピンポーン、ピンポーン

早く会いたくて、続けて押した。うるさいと怒られたことがあるのに、そんなことも忘れていた。走ったから息切れしてて、ドアが開くのをソワソワ待ちながら何度か深呼吸を繰り返す。

「どうした、」

ガチャッとドアが開いた瞬間、安里の言葉を遮って抱きついた。

「……どうした?なんか、言われたのか?」

抱き返してくれて、ポンポンと背中を叩きながら聞かれた。

「いや、気に入ってた!ただ、なんかすげぇ会いたくて」

「なんだそれ」

ふ、と笑いながら安里が俺を引き寄せて、背後でドアと鍵が閉まる音がした。帰れと言われなかったことにホッとする。

「2人の実家だと思って、2人で飯食いに来いってさ」

「………そうか、今度、行かせてもらう」

安里がまた背中をポンポンと叩いて、ちょっと離れて廊下を進もうとする。俺は走ったのもあって物凄くムラムラしていて、我慢できなくて、安里の腕を引っ張って顔を無理矢理こちらに向けてキスをした。

「…は、」

「…海斗、」

自分からキスなんてしたことなくて、それ以上はどうしたらいいか分からない。口を離して、抱きつく。

「安里、俺…」

「何発情してんだ」

「わかんねぇ、けど、駄目だ…」

抱いてくれ、と喉まで出かかる。けどそんなことは言えなくて、安里の首に顔を擦り付けた。

「…来い」

腕を引かれて、安里の部屋のベッドに引き倒される。言わなくても伝わった、と思ったのに、安里はベッドに倒れた俺を見下ろしながら、意地悪くニヤリと笑った。

「どうして欲しい?」

「………」

完全に伝わっていた。完全に伝わってはいたけど、それをそのまま叶えてくれるほど甘くはなかった。

俺みたいな可愛くないのがそんなこと口にしていいのか?とか思うけど、体が火照って、汗で肌がヒタヒタして、ベッドに寝転んで安里に見下ろされて、もう我慢できなかった。

「…抱いて、ほしい」

笑われるか?と思ったのに、安里の目が優しく細くなる。

「…ふ、可愛い犬だな」

安里が覆い被さってきて、その手が俺の額を撫でる。可愛がられてる、そう思ったらまたたまらない。サイズ感も、顔も、到底可愛いと言われるような存在じゃないのに。

「優しくしてやるよ」

「いらねぇって!」

「ふ、変態」

「…っ、」

安里の手が、服を捲って、腹を撫でる。そのまま上にずれて、乳首を掠める。

「…あ、さと、くすぐってぇ」

「んー、」

黙ってろ、とでも言うように、キスで口を塞がれる。今まで乳首なんかあってもなくても変わらないような存在だったのに、急に存在感が出てくる。

「…んん!」

くすぐったくて、じっとしてられない。あんまり動いたら怒られそうだけど、身体がそわそわする。

もう片方の手も同じように服の中に入ってきて乳首に触れたら、あまりの気持ちよさに背筋がゾクゾクした。

「…は、なんだこれ…」

「ふ、良さそうだな」

「…っあ、」

両方同時に触られるだけで、さっきまでと全然違う。更にキスされながら責められて、下半身がもぞもぞ動く。安里の背中に腕を回して、しがみつきながら快感に耐える。

「…完全に勃ったな」

「…は、」

言われなくても、痛いくらいに腫れ上がってる自覚はある。ズボンとパンツの中で窮屈で苦しい。

安里の手がベルトを外して、パンツをずらす。飛び出すように出て来るそれに、安里の口が焦らすようにゆっくり近付いていく。

「………っぁ!!」

来る、とわかっていたのに安里の口に含まれた快感は想像以上で、たまらなくて袖を噛んだ。

逃げたい、けど逃げたら怒られる、と頭の中で繰り返すのに、どうしても快感を全部受け入れられなくて、身体を捩ってかわそうとしてしまう。

逃げるな、というように腰を掴まれて、また手が乳首に触れる。

「……っあ!」

じゅぷじゅぷと湿った音が脳内に響く。両方の乳首も責められて気持ち良すぎてもう力も入らなくて、顔を覆って耐える。

「…っあさと!待て…も、無理…!」

嫌だ、と首を振るけど安里の動きが止まることはなくて、そのままあっという間にイかされてしまった。

「……っぁ、……っ、」

びく、びく、と身体が震える。安里の口の中に出してしまってる、と頭の端ではわかってるのに、気持ち良すぎてその快感に抗えない。

全部出し切ってようやく、やってしまったと思って顔をあげたら、ずる、と安里の口が離れていった。目が合った瞬間、ごく、と安里の喉が鳴る。

「の、飲んだのか…!?」

「お前も飲んだろ」

「そ、そうだけど…!」

ペロ、と口の端を安里の赤い舌が舐める。そこに俺のものを出したんだ、と思うと、直視もできない。

「何照れてんだ」

「…っ、」

額に、ちゅ、とキスされる。俺は今たぶん物凄く変な顔をしている。優しくされるのは心臓に悪い。もっと雑に扱って欲しい。

「腰、上げろ」

「……ん、」

服を全部脱がされる。タートルネックに隠れてた首輪に気付いて、安里がふっと笑う。安里に会いに行こうと決めて慌てて着けてきた。

「えらいな」

ワシワシと頭を撫でられる。犬扱いも嬉しい。

「えらい犬にはあとでご褒美だ」

「ご褒美」

なんだ?と聞く間も無く、安里が引き出しを開けてチューブを取り出す。それを手に出して、指に塗る。次に起こることが俺にはもうわかってる。

「…ゆっくり、指、意識しろ」

「……っ、」

安里の指が穴に触れる。慣れてはきたけど、まだ緊張して力が入ってしまう。

「力抜け」

「……っぅ、ぁ、」

ずぶ、と奥に入って、また出ていく。初めての時より明らかに身体がちゃんと受け入れられてる。腹側を安里の指が擦って、奥に響くような快感も感じる。

「ここ、柔らかくなってる」

安里が入口を責めたら、ちゅぷ、ちゅぷ、と、吸い付くような音がする。初めは痛くて痛くて苦痛でしかなかったはずなのに、もう、身体が勝手にそこでの快感を期待してしまっている。

一度抜けて、指が増えてまた入って来る。圧迫感は増すのに、気持ちいい。ゾクゾクと快感が背中を駆け上る。

「……っあ、あさと…!」

「また元気になってきたな」

気持ちいい。けどそれがつらくて、安里の肩にしがみついた。

さっきイったばかりのそれを、また安里の口が責める。後ろも前も同時に責められて、刺激が強すぎて視界がチカチカする。

「ぅあ…っあ!安里!ほん、とに、無理だから…!」

安里の身体を押しのけようとしても力が入らなくて、安里の空いてるほうの手が俺の手を取って指を絡めてきて、もう本当に何の抵抗もできなくなる。

「な…、安里!嫌だ、も、嫌だ…っ!」

気持ち良すぎて涙が出る。またイきそうで、足に力が入る。

「…ぁあ、あ!」

もうイく、と思ったところで急に刺激がなくなって、安里の口が離れて、指も後ろから出て行った。

「……っは、」

安里がベルトを外して、安里のそれが後ろに当てられる。ぐ、と入ってきて、その熱と圧迫感にクラクラした。




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