苦しいほど愛おしい人

noctjub79

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失敗と反省

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おばあちゃん、元気にしてる?
私は、まだあなたを思って涙が出る日があります
完全に前を向くにはもう少し時間がかかりそうでうす。
けど、ちゃんと前を向いて頑張るから見守っていてね。

私は、鹿児島から東京への帰省を決意。
良二くんに話そう。

「ごめんね、良二くん、私東京に帰りたい。」
「そんな気がしていたよ。俺もいつまでも真由の優しさに甘えすぎていた。もっと早く俺が行動していれば少しは違ったかもしれない。苦しませてごめん。ありがとう」

こうして私たちは東京に帰ることがすんなりと決まった。

東京に帰るまでの数日間私達はたくさんいろんな事をした。
ゲームして寝てを繰り返していた良二くんも全然ゲームをしなくなってずっと私を支えてくれた。
悲しくなれば寄り添ってくれて、元気な時は一緒にバカみたいに笑ってくれた。
もっと早くからこうできてたらよかった。
ちゃんと良二くんを社会に出れるようにサポートしてあげれていればきっと違った。
私は、働かない良二くんから毎日の忙しさ、守らなきゃいけないという正義感を理由にして向き合ってるつもりになってたんだと気づいた。
私たちはどこで間違ったんだろう。
でも、もうそんなことは言ってられないよね。
帰っても付き合いは続けるけど、でも一旦同棲終了。
苦しかったけど、楽しい日々だった。

楽しい時間は過ぎるのも早く、あっという間に東京に帰る日になった。

それぞれがそれぞれのお家に帰って、しっかり仕事をしてまた同棲する。
それが私たちの目標だった。

私は、帰って鹿児島での働き詰めの生活のリフレッシュ期間として、1ヶ月と決めてニートになった。
遊びたい友達と時間を気にせず朝まで遊んでお昼くらいまで寝て、そんな毎日を過ごした。
ニート期間も終わりに近づいてきた頃。
私は気づいてしまった。

もう私の中に良二くんはいないな。
今までに無いくらい愛した人、今までに無いくらい喧嘩してぶつかりあってきた人。
すごく大切な人だったけど、私は鹿児島での生活に相当疲れていたみたい。
もう、お別れしよう。

そして私は、今、愛をゆっくり育ててる場合じゃない、すぐにでも結婚してくれる人を探して、子供を産みたい。
けど、中々そんな人は現れなかった。
何人かとお付き合いをしたが、やっぱり良二くんと比べてしまう自分がいた。
それもきっと相手に伝わってしまって誰と付き合っても上手くはいかなかった。
そんな時珍しい人から連絡が来た。
「ご飯に行こうよ」
寺田 翼くん、23歳
鹿児島に行く前に少し仲の良かった先輩だ。
私は久しぶりすぎてウキウキしながらご飯に行くことにした。
ご飯に行って鹿児島での生活、おばあちゃんの事、帰ってきてからの事、たくさん話した。
翼くんは、大変だったねとずっと話を聞いてくれた。
その後も何回かご飯に行き、私が好きな事を考えて色々とここに行こうあそこに行こうと提案をしてくれた。
素直に楽しかった。
素敵な人だなと素直に思えた
けど、またきっと良二くんと比べてしまって上手くいかないんだろうな。
いつまでも半端な気持ちの私が悪いんだけど、少しトラウマになりつつあった。

ある日、翼くんから電話が来た
「ちょっと外出れる?」
今日は何も約束をしていない日だ。
どうしたんだろ。
私は外に出る。
「急にごめんね。時間ある?いい所を見つけたんだ、少しドライブに行かない?」
私は、一旦部屋に戻り、すぐに着替えて最低限のメイク、ヘアセットをしてドライブに行くことにした。
いい所とは、なんだろう。
私はウキウキしながらも、何かいつもとちょっと雰囲気が違う気がして変な緊張感も感じた。
でも平然を装いながらも、いつも通りたわいのない話をしているうちにたどり着いた先には、満点の星空と東京湾を一望できる展望台についた。
東京にこんな所があったんだ・・・。
調べてくれたのかな。
綺麗さに見惚れて私は話すことを忘れていた。
翼くんもきっとそれを見て何も話さなかった。
沈黙を破ったのは翼くんだった。
「真由ちゃんの、過去は分かったし、良二くんをきっとまだ忘れきれていない事もよく分かった。それを全て分かった上で、俺と付き合ってみない?」
衝撃だった。
ただ優しくしてくれてるのは、お兄ちゃん感覚なのかと思っていたから。
でも、私はまだ翼くんのことを素敵な人とは思うけど、好きなのかはわからなかった。
でも気持ちがいい方向に向かっている事には気づいていた。
悪くないかな、付き合ってみようかな。
でも傷つけてしまうんじゃないか。
お兄ちゃんとして仲良くしている方がいいんじゃないか、
でも付き合ってみないとわからない事もあるし・・・。
そんな葛藤の中、翼くんは
「そんな考えたって仕方ないよ、俺に任せな」
その俺に任せなに不思議とついて行こうって気持ちが強くなった。
臆病になってても仕方ないね。
「よろしくお願いします。」
と言った瞬間翼くんに強く抱きしめられた。
「遅いよ~俺ずっとアピールしてたのに~やっと抱きしめられる、ありがとう。これからもよろしくね。」
うん。と私は頷いて暫く一緒に夜景を見て、帰った。

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