祖母孝行したいけど、兄弟でキスはできない

りりぃこ

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雑!!

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 初日こそ数センチだった縫い目が、さち子も慣れてきたのか、だんだんと長く縫えるようになっていった。智紀や祥太、たまに母に見守られながら少しずつ進めていく。

 更にさち子も、浴衣を縫ったことで手芸熱が出てきたのか、ヘルパーさんに頼んで、一人でも出来る編み物を教えてもらい、日々作成に励むようになってきたのだ。


「概念グッズ……」

 もう当たり前のように、智紀の家で勉強するようになっていた幸田が、さち子の作った毛糸のアクリルタワシを見て、興奮するように言った。

「初恋の杜の、ハルとナツのイメージカラーの、ピンクと青の二色で作られている……。概念グッズの概念のある世代じゃないのに概念グッズをつくる……おばあちゃん恐るべし」

「わかってくれたかい?ハルとナツをイメージしたのが」

「わかります!すぐにわかりました!いーなぁ。私も作りたいなぁ。簡単ですか?私の今の推しのコウくんとセッちゃんのイメージカラーで作りたい」

「簡単だよ。今度その、いめぇじからぁ、っていう毛糸持っておいで」


 完全に勉強を忘れてさち子とトークをしている幸田に苦笑いしながら、智紀はお茶を入れる。

「おーい、幸田さん、お茶冷めるけどー?」

「あ、はーい」

 幸田はいそいそと智紀の入れたお茶を飲みにきた。

「そういえば、衣装、完成した?」

「うん、もうほとんど完成」

「着てみてよ。見たい」

「嫌だ。恥ずかしい」

「何でっ!見たい!おばあちゃんが頑張って作ってくれたんだよ?恥ずかしがってどうするの?堂々と自慢してこそおばあちゃんも喜ぶってもんでしょ?」

「うっ……」

 チョロさを完全に理解してしまって手玉に取ろうとする幸田に、智紀が敵うはずは無かった。

「仕方ねえな」

 と智紀は呟くと、衣装を取りに行った。

「まだ、ここまだ縫うとこ少し残ってるけど」

「着てみて着てみて」

 幸田は催促する。智紀は衣装に袖を通してみる。

「おー、ほー!ほらおばあちゃん、見てみてよ!イケメンがおばあちゃんの縫った服着てるよ!」

「ほとんど縫ったのは亮子さんだけどね」

 さち子はそう言いながらも嬉しそうだ。

「うんうん、やっぱり裏地がある方がしっかりしてていいね」

 裏地の何たるかを知らないくせに、幸田はしたり顔で腕組みをしている。さち子は微笑みながら智紀に言った。

「智紀、似合ってる」

「そりゃどうも」

 智紀は恥ずかしくなって顔をそらした。


「そういえば、竹中くんの分の衣装は着々と完成してるけど、お兄さんのは?」

「ユニクロで、いい感じにハルの衣装に似てるYシャツ売ってたから買っておいてって茉莉花さんから指示が」

「雑!!」

 幸田は思わず言った。

「いやまあ、確かにハルはほぼシンプルな洋服着てるもんね。和服に比べて既製品使えそうっちゃ使えそうだけど、何か愛情がこもって無くない?」

「手間かける必要の無いものに手間をかける必要は無い、って兄貴なら言ってたよ」

「言いそうーお兄さん言いそうー」

 幸田はお茶を飲みながらウンウンと頷いていた。

「まあでも、兄貴も駄々をこねる子だからさ、ハギレでハンカチを作って、それを撮影で使おうってことになってるんだ」

「駄々をこねる子?お兄さんが?」

「ま、こっちの話だから」

 智紀は笑いながら衣装を脱ぐ。


「それ、亮子さんにも見せてあげるんだよ」

 さち子が衣装を畳む智紀に声をかける。

「自分の作った物、どう着たか見たいはずだから」

「そうかな。ばあちゃんは俺が孫だから見たいだろうけど」

「見たいに決まってる。私は亮子さんの気持ちがわかる」

 頑固に言い切るさち子に、それ以来反論する気もないので、智紀は見せることを了承しながら衣装を仕舞った。

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