憧れの世界は牙を剥く

奈倉ゆう

文字の大きさ
28 / 82
2章 ビギシティと出会い

Dランク

しおりを挟む
「ガァァァッ!!」

 立ち上がったヒューデットが、1番前にいる俺に向かって走ってくる。

「〈集いし魔力よ〉!」

 デュアルアクションを使い、2発の『マジックショット』を顔面に向かって放つ。
 僅かに怯むものの、大したダメージを与えられなかったようで、タックルの姿勢で突っ込んでくる。

「動かないで、『バックショット』!」

 避けようと思ったが、後ろから弓を持った女性の声が聞こえ、その直後に弓矢が飛来し、再びヒューデットを吹き飛ばす。

「援護は任せなさい。」

 ちらりと後ろを見ると、目が合った俺にそう言い、さらに矢を継がえる。

「分かった!リーフ、まずは弱らせるぞ。〈さらなる力を求む〉、〈更なる魔力纏いて・爆ぜよ魔弾〉!」

「はい、〈雷纏いし雷球よ・我が意に従い・華麗に踊れ〉!」

 さっきの『バックショット』で距離が開いたため、中級魔法を詠唱する時間が余裕で出来た。
 あいつを弱らせるには中級魔法の方がいいと判断し、俺は『マジックチャージ』で魔法攻撃力を上昇させた『マジックボム』をヒューデットに向けて、リーフは中級雷属性魔法の『スパークショット』を詠唱し、自分の意のままに動かせる野球ボールくらいの大きさのバチバチと電撃を纏った球をヒューデット目掛けて放った。

「ガァァァッ!」

 ヒューデットは起き上がるが、回避が間に合わず『マジックボム』が直撃する。
 そこにリーフが電撃の球を操り、吹き飛んだヒューデットに見事にぶち当てる。

「ガガガガッッ!?」

 電撃がヒューデットの全身を巡り、痙攣する。『マジックボム』のダメージと『スパークショット』の電撃により、しばらくは動けないだろう。

「ガァァァァッッ!!」

「まじかよ、これでも立ち上がるか!?」

 そう思ったが、体がバチバチと痺れているが、ふらつきながらも起き上がって襲いかかってこようとする。

「『ダブルショット』」

 そこに2本の矢が突き刺さり、威力が高かったのか、絶命して崩れ落ちる。
 1本目の矢は、ヒューデットに突き刺さったままだが、2本目の矢は魔力でできていたのか、刺さって少し経って消滅した。

「すごい威力ですね。」

 筋力のステータスが高かったのか、戦技攻撃力が高かったのか、残った1本目の矢は頑丈な筋肉の鎧を貫き、貫通していた。

「ふん、私のステータスならこのくらいなんてことないわよ。」

 ふふん、と少し誇らしげに笑う。

「俺達も中級魔法でダメージ与えて弱らせたんだけどな。
 まあ、いいや。とりあえず助けてくれてありがとう」

 助けてもらったのは事実だし、お礼は言っておこう。

「そうだ、君達大丈夫か?」

 5人の子供達に声をかける。

「は、はい、私は大丈夫です。……けど」

 大丈夫だと、リリィは言うが、視線をそらす。
 その視線の先にはさっきのタンク役の子がいた。
 よく見ると、あちこちに擦り傷があった。

「たくさんの擦り傷が……。私が治しますね。
 〈癒しの光よ〉」

 タンクの子の傷を見てリーフが『ヒール』を発動し、傷を癒す。

「にしても、なんであんな量の魔物がいたんだ?」

 リーフが治療をしている間、他の子供達に疑問に思ったことを聞いてみる。

「俺達、ゴブリン退治のクエストを達成して帰るところだったんだけど、あのヒューデット……だったっけ?
 あの魔物にずっと追いかけられてて、途中で他の魔物にも追いかけられてさ……。気づいたらあんな量の魔物に追いかけられてたんだよ。」

 つり目の少年が俺の質問に答える。

 なるほど、確かに俺達も昨日ヒューデットから逃げてたら、グレイウルフに襲われたな。

「そう、怖かったでしょうね。よく頑張ったわね。」

 弓使いの女性が戦闘時とは打って変わって、優しげな声で少年や、リリィ達の頭を撫でる。

「あ、自己紹介忘れてたわね。私はアリス・スレイ。
 Cランクの戦士よ。得意な武器は見ての通り弓よ。」

 大弓を俺達に見せながら、自己紹介する。

「Cランク……通りで強いわけだ。俺はユウキ・ツキモトだ。魔法使いでランクは……Dになってる?」

 ユウキ・ツキモト (17)
 魔法使い 得意属性【無】

 魔法攻撃力 E+
 魔法防御力 E
 魔法回復力 E--
 魔法制御力 D
 魔力回復速度 E+
 魔力量 C--

 Dランク

 スキル欄(4)
 詠唱省略(小)
 デュアルアクション
 マルチターゲット

 EXスキル
 無の加護(真・無属性)

 器の欠片(2)
 器の加護
 マジックシェア

 自分のステータスを脳裏に浮かべると、いつの間にかEからDに上がっていた。

「ユウキさん、Dランクに上がったんですか?」

「みたいだ。たくさんヒューデットと戦闘したからだろうな。」

「ヒューデットとたくさん戦闘したってことは、あの依頼受けたの?ヒューデットの撃破クエスト。」

「ああ、スレイもヒューデットのクエスト受けたのか?」

「ええ、気をつけろってギルドマスターに言われたけど、1人でも大丈夫だったわよ。もう5体は狩ったわね。
 ちょうどいい時間だし、帰ろうと思ったところであなた達と会ったの。
 それと、アリスでいいわよ。」

「私はEランク魔法使いのリーフ・クレインです。
 私達は2人でヒューデットの撃破クエストを受けていたのですが、1人で5体なんてすごいですね。」

「そ、そうかしら?大したことはないわよ。」

 僅かに頬を赤らめながら、照れたようにアリスは人差し指で髪を弄る。

「なあ、アリスは今から帰るところだったんだよな?もしよかったら、一緒に俺達と帰らないか?
 またヒューデットと遭遇するかもしれない。
 それに、この子達も不安だろうし。君達もその方がいいだろ?」

 コクコクと頷く子供達を見て、俺はアリスに提案する。

「ええ、もちろんいいわよ。もしヒューデットが襲いかかってきたとしても、私が倒してあげる。」

「いや、俺達もちゃんと戦うからな?」

 にっこりと笑って胸を叩くアリスに、思わずツッコミをいれてしまった。

「あはは、では行きましょうか。」

 そんな俺を見て笑うリーフと共に、子供達を連れてビギシティを目指して歩いて行った。





「うーむ、明らかに増えているな。それに変異種……か。」

 あの後、無事にヒューデットに遭遇することなく子供達を送り届けることが出来た。子供達は冒険者ギルドでゴブリン退治のクエスト完了の手続きを終わらせると、俺達に感謝をしたあと家に帰っていった。

 俺達はギルドの職員からガローギルドマスターに呼ばれていると言われ、リーフとアリスと共にガローギルドマスターの部屋に行き、ヒューデットに関する報告を行った。

「ヒューデットの撃破クエストを受け、既に帰ってきた冒険者達の情報の中にこいつとは別の変異種も発見された。
 発見した冒険者によると、体格は小柄で120cmほど。そしてとんでもない脚力を持っており、とにかく足が速く逃げることが困難だったとの事だ。蹴り技を繰り出し、その威力は大木を一撃で倒したほどだと言っていた。」

「ふーん、そんなやつもいたのね。あのでかい変異種は矢が当てやすいから遠距離から攻撃すればいいけど、その速いやつは攻撃を当てるのが大変そうね。」

「俺的にはでかい変異種も攻撃力高いし、かなりタフだからあまり出会いたくないけどな。」

 午前中に変異種から受けた攻撃の痛みを思い出し、腹を撫でる。痛みはあまりないが、あれはトラウマになりそうだ。

「ツキモトは攻撃を受けたんだって?大丈夫だったか?」

「まあ、なんとか。でもあれは一撃でも受けたら、やばいと思う。ここの冒険者が変異種に出会ったらやばいんじゃないか?」

「ああ、今日からクエストを受ける際にはEランク以下の冒険者は必ず2人以上で受け、さらに逃走用の閃光石を1つは持つように言うように職員達に言っている。だが、変異種なんてものも出てきたからまた対策しないといけないな。」

 机の上でガローギルドマスターは頭を抱える。
 そんな様子を見ていたアリスが手を挙げ、発言する。

「ヒューデットはDランクの魔物なのでしょう?であれば、Eランク以下の冒険者がクエストを受ける際は、Dランク以上の冒険者が着いていく。……というのはどう?もちろん私も協力するわ。」

「なるほど……。だが、Dランク以上の冒険者なんてこの街だとそうそういないからな。今日みたいにヒューデット撃破のクエストも明日からまた出す予定だから人手が足りなすぎるんだよな。」

「それでも命には変えられないでしょう?仕方ないと思うけど。」

「だよなー、……よし、そうするか。アイオンとキャサリンをこき使ってやろう。」

 うわぁ、悪い笑み浮かべてるよこの人。

「確かツキモトもDランクになったんだよな?もしよかったら協力してくれないか?」

「んー、まあ気が向いたら顔を出すよ。ちょっとやりたいこともあるから流石にすぐは無理だが……。」

 器の欠片の実験や、魔法創造でどんな魔法を作るかそろそろ決めたい。

「分かった、気が向いたら言ってくれ。
 さて、今日のところは帰っても大丈夫だぞ。3人とも今日はありがとう。変異種の撃破もあったから報酬は期待してくれ。」

 ギルドカードにはヒューデットの撃破数は9体だが、そのうちの3体は変異種である。その事を話したら、通常個体が1体2万ギルなのに対し、変異種は3万ギルにするとギルドマスターは言っていた。
 通常個体6体×2万ギル+変異種3体×3万ギルで21万。リーフと山分けにするとして10万ギル以上貰えることになる。
 いや、変異種の1体はアリスも協力してくれたから、もう少し下がるか。それでも1日10万近い稼ぎはすごいと思うが。

「ユウキなんかニヤケてない?」

「え、いやそんなことは無いぞ。」

 どうやら表情に出ていたようだ。アリスに気づかれたかもしれない。






「あ、そうだ。チキンバードの解体があるんでした。」

 数分後、受付でクエストの報酬を用意してもらっている最中、リーフが両手を合わせ、思い出したかのように『マジックポケット』を発動し、チキンバードを取り出す。
 ちゃんと血抜きしていたためか、少し時間が経っていたが、腐っているということは無かった。

「そういえばそうだったな。すっかり忘れてた。」

「ギルドに解体をしてもらうには少し時間がかかるので、ユウキさんは先に宿に戻っていてください。」

「ああ、分かった。」

 先に報酬を貰って一足先に宿に戻るとしよう。一応怪我人でもあるし。

「私も帰るわね。もうすぐ暗くなるから気をつけて帰りなさいよ。」

「はい、今日はありがとうございました。」

 リーフがぺこりと頭を下げ、それを見たアリスはいいわよと、てを軽く振り、冒険者ギルドを後にした。

 さーて、俺も帰るとしよう。









 今回使用した戦技・魔法
 ダブルショット 中級戦技
 戦技攻撃力 D
 戦技制御力 E+
 消費魔力量 E
 戦技発動速度 D
 射程 D
 説明
 弓で弓矢を射る際に発動可能。
 弓矢を射った直後に魔力の弓矢を作り出し、弓矢とほぼ同じ瞬間に飛ばすことが出来る。

 スパークショット 中級雷属性魔法 
 魔法攻撃力 D--
 魔法制御力 E-
 消費魔力量 E+
 射程 D-
 魔法発動速度 D--
 詠唱
 雷纏いし雷球よ・我が意に従い・華麗に踊れ
 野球ボール程の大きさの自由に制御することが出来る、雷の球を放つ魔法。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。

猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。 もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。 すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。 主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。 ――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました―― 風景が目まぐるしく移り変わる。 天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。 移り変わる景色こそは、 第一天 ヴィロン。 第二天 ラキア。 第三天 シャハクィム。 第四天 ゼブル。 第五天 マオン。 第六天 マコン。 それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。 気付けば明星は、玉座に座っていた。 そこは天の最高位。 第七天 アラボト。 そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。 ――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。

異世界国盗り物語 ~戦国日本のサムライ達が剣と魔法の世界で無双する~

和田真尚
ファンタジー
 戦国大名の若君・斎藤新九郎は大地震にあって崖から転落――――気付いた時には、剣と魔法が物を言い、魔物がはびこる異世界に飛ばされていた。 「これは神隠しか?」  戸惑いつつも日本へ帰る方法を探そうとする新九郎  ところが、今度は自分を追うように領地までが異世界転移してしまう。  家臣や領民を守るため、新九郎は異世界での生き残りを目指すが周囲は問題だらけ。  領地は魔物溢れる荒れ地のど真ん中に転移。  唯一頼れた貴族はお家騒動で没落寸前。  敵対勢力は圧倒的な戦力。  果たして苦境を脱する術はあるのか?  かつて、日本から様々なものが異世界転移した。  侍 = 刀一本で無双した。  自衛隊 = 現代兵器で無双した。  日本国 = 国力をあげて無双した。  では、戦国大名が家臣を引き連れ、領地丸ごと、剣と魔法の異世界へ転移したら――――? 【新九郎の解答】  国を盗って生き残るしかない!(必死) 【ちなみに異世界の人々の感想】  何なのこの狂戦士!? もう帰れよ!  戦国日本の侍達が生き残りを掛けて本気で戦った時、剣と魔法の異世界は勝てるのか?  これは、その疑問に答える物語。  異世界よ、戦国武士の本気を思い知れ――――。 ※「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも投稿しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

霊力ゼロの陰陽師

テラトンパンチ
ファンタジー
生まれつき霊力を持たない少年、西園寺玄弥(さいおんじげんや)。 妖怪の王を封じた陰陽師の血を引きながら、彼だけが“無能”と呼ばれていた。 霊術学院で嘲笑され、才能の差を突きつけられる日々。 それでも諦めきれなかった彼の前に現れたのは、王と対立する最強クラスの妖怪――九尾・葛葉。 「貴様の力は、枯れているのではない。封じられているだけだ」 仮契約によって解かれた封印。 目覚める霊力。動き出す因縁。 これは、無能と蔑まれた少年が、仲間と共に妖怪の王へ挑む物語。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

処理中です...