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4 陥落した僕
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鳴は中途半端な状態だったデニムのパンツと下着を脱いで全裸になった。その陰茎は隆と勃ち上がっていて存在感を出している。ぬらぬらと先走りで濡れているさまはグロテスクにさえ見えた。
美弦は横たわったまま、薄く開けた目でぼんやりと鳴の姿を見つめていた。アナルのバイブは抜かれている。結局電動のスイッチは入れられなかったので、ディルドとしてしか使われなかったのだが、しつこくそれを使って慣らされたせいで美弦の後孔はしっかりと解れてしまっていた。
(‥‥そんなつもり、なかった、けど‥洗浄もしちゃってるしな‥)
鳴は自分の陰茎にコンドームを被せようとしたがサイズがぎちぎちでうまく被せられない。「ちぃっ」と舌打ちするとそのコンドームを放り投げ、自分のショルダーバッグからコンドームの箱を取り出してそれを素早く被せた。
(‥‥そう言えば、サイズってあったな‥鳴兄のちんこ、僕のやつじゃダメなんだ‥てか、普段の荷物にゴム入れてる鳴兄って‥)
いささか矜持を傷つけられたような気持ちになりながら目をつぶった美弦に、鳴が覆いかぶさってきた。
「美弦‥‥本当はベッドでやってやりたいけどな、もう我慢できねえから一回はここで挿れるぞ」
「う、うん‥」
(うわああああ、僕、マジで男とセックスしちゃうんだ‥全然嫌悪感とかないの、鳴兄だからかな‥あ、ひょっとして僕ってバイ‥?)
「おい、随分余裕だな?考え事か?」
鳴はそう耳元で囁いた。美弦の顔の横に肘をついて頭を囲い込みまたぢゅうううっと舌を吸う。れろれろと舌の表面をこすり合わされ軽く甘噛みされる。そのすべてがきもちいい。
(んは、鳴兄のキス‥‥めっちゃきもちい‥ああ、ちんこ痛い‥)
鳴に咥内や舌を舐められるといつでも続々とした快感が後孔や淫液に溜まってきて何ともいえないぞわぞわ感がする。そして、菊穴がひくひくしているような気が、する。
(ああ、やばいぃぃ、僕とうとう童貞非処女になっちゃうよぉ‥)
「美弦」
鳴は身体を起こし、投げ出した自分の太腿の上に美弦の腰をずり上げて乗せた。そして美弦の膝裏に上腕を当てるようにしてグイッと開かせた。
(うわ、だめだ僕今アナル丸見えじゃん‥)
「挿れるぞ」
ゴムを被せた鳴の怒張の先で、美弦の菊孔をずりずりと擦られる。そんな刺激だけでもきもちいい。
「あっ、あ、鳴、に」
何度か菊孔の上を陰茎で撫でてから、鳴はぐっと美弦の足を前に押し出すようにしながら陰茎をずぶりと挿入してきた。じゅぶ、ぐぶ、と肉を拓く音とローションの擦れる粘ついた音がする。亀頭の太いところがみりみりと美弦の菊孔を拡げていく。
「あ、ひ、ひぃ、」
「痛いか、美弦」
「ん、痛く、はない、ぃぃ、けどぉ」
ものすごい圧迫感、そして内臓に異物が入っているという生理的な恐怖。
「こ、こわ、いぃ」
知らず、美弦の目には涙が浮かんでいた。それを見た鳴は、手を伸ばして涙をぬぐってやり、それをぺろりと舐めた。
「しょっぱ」
「う、ぅぅ、んん」
亀頭の先を入れただけで、顔を顰めて唸っている美弦の陰茎をそっと握ってやる。ローションを垂らしぬめりを加えてぬちゅぬちゅと扱きながらその亀頭を親指で強めに擦る。
「ふあ、ああっ、あ、」
圧迫感を超えてせり上がる直接的な官能に美弦は身体を震わせた。異物感と圧迫感を上書きするかのように鳴がぐちゅぐちゅと陰茎を愛撫してきて、その快楽に頭が痺れる。
「はあぁ、あ、きも、ちい、あっあっ、めい、にいぃい」
「ん、きもちいいな、美弦」
快感の波に溺れて蕩けそうな顔をしている美弦がかわいくて、鳴は半端に陰茎を挿入した辛い状態をこらえながら身体を伸ばし、美弦の半開きになった唇を吸ってやった。前後不覚に陥っている美弦が無意識に伸ばしてくる舌も丁寧にこすり合わせてやり、吸ってやる。
「ふぅぅ、んん~~~、んっ」
喘ぎ声なのか呻き声なのかわからない声を上げながら、美弦は身体を痙攣させる。鳴は絶え間なく美弦の陰茎を擦っていて、耐えきれず美弦は精を吐き出した。もう色は薄く、量も少ない。
これまでの自慰で得られた快楽とは比べ物にならないくらいの快感の奔流に溺れさせられ、もうずっとイッているかのような感覚に、美弦は我を忘れて夢中になった。
もっと、もっとこの先にある快楽が欲しい。
「め、い、にぃ、挿れて、挿れてぇ‥」
艶めかしい息とともに吐き出された言葉に、鳴はぐうっと唸ると美弦の腰をがっと掴んで腰を突き入れた。じゅぶぶっと太く長い鳴の陰茎が美弦の後孔を拡げ、中に収まっていく。
「ふあああ、あ、あ!」
その鳴の突き入れによって膨らんでいた美弦の前立腺がぎゅうっと擦られ、これまでを超える快楽が全身を貫いた。じりじりと湧き上がる快感ではなく一瞬で駆け抜けた強い快楽に、身体は突っ張り、びくんびくんと大きく痙攣する。
(あ、あ、あ、あ、なにこれなにこれ、きもち、きもちいいっ、きもちいいよぉぉっ)
「めいにぃいっ、あはぁぁ、ひもちい‥、いいぃぃ」
美弦の顔はすっかり淫蕩に溶け切り、だらしなく口が開き舌がのぞいていて目は半開きで目じりからぽろぽろと涙がこぼれている。頬は桃色に上気していて、はあはあと息を吐くその様子はこの上なく淫猥だった。
その様子に煽られて、鳴は無我夢中で腰を振りたくり美弦を揺さぶった。
「煽る、のが、うまい、な、美弦っ」
「ひゃああっ、あ、あ、あああっ、う~~」
鳴が律動して陰茎で腸壁を擦るたびに大きな快楽の波が美弦を押し上げていく。ずっと快楽の頂点の前まで押し上げられていてきもちいいが、まだその先があるような気がする。鳴が前立腺を擦るたびに嬌声が自分の口から迸るのを聞いた。
「く、美弦、お前、最高‥きもちいいぜ」
そう言いながら鳴は絶え間なく腰をグラインドさせる。強くなったその律動で、こつこつと美弦の奥のイイところに鳴の亀頭がぶつかり擦れる。そのたびにたまらない快楽がまたせり上がってきて、それがずっともっと欲しくなる。
「ああん、んっ、もっと、めいにい、おくぅ、おくがいいっ」
「お、まえぇ、‥おらっ!」
その美弦の声に再び煽られた鳴は、美弦の腰を抱え直し自分は膝立ちになった。そして力強く美弦の奥に陰茎を押し込んで律動させていく。
ごつっごつっと強く鳴の亀頭が美弦の腸奥を叩き、前立腺を擦る。あの、たまらない快楽がどんどんたまってきて弾けそうな予感がした。
「いいいっ、きもちいっ、ああ、いい、いいよぉぉっ、いく、いくぅぅっ」
「おらイケよっ!」
ばちゅんっばちゅんっといやらしい音が繰り返され、美弦の快楽は最高潮に溜まって弾け飛んだ。
「ふああああっ!い、っくぅぅぅっ」
その美弦の声とともにぎゅううっと腸壁が鳴の陰茎を絞り上げる。
「ぐっ、くそ、ああ、いい‥」
薄い皮膜越しにどぷどぷと何かが放たれた感覚がする。
(ああ、鳴兄もイッたんだぁ‥ああ、きもちい‥)
力が抜けてぐったりとした美弦は、その緩やかな快楽の中でまた意識を失ってしまった。
「‥‥ん‥」
美弦はゆっくりと身体を動かした。何だかあちこちが痛い。体育祭の練習をした後みたいな痛さと、発熱後のような怠さがある。瞼が重い。‥‥瞼が重いのは、本日二度目ではないか‥?
「!」
美弦は自分に起きた出来事を思い出した。従兄の鳴がやってきて自慰現場(正確には終了後だったが)を目撃され、なぜかキレた鳴に‥‥ちんこを突っ込まれた。
(ぼ、僕、男とセックスしちゃった‥)
重い瞼を閉じたまま、美弦は回想した。‥‥最初は無理矢理のような行為だったが、途中から‥自分が色々と強請ったような気がする‥。
(待って待って待って、ぼ、僕、僕もっとぉとか挿れてぇとかマジリアルBLみたいなことを口走った気がする‥‥!)
じたばた暴れ出したい気がするが身体は重くて言うことを聞かない。
(待って、あれ?鳴兄どこだろ‥なんかここ防音ルームじゃない気がする)
身体は柔らかいものに包まれており、おそらくベッドで布団の中にいるような感触だ。
美弦は恐る恐る重い瞼を少しずつこじ開けて辺りを窺った。うっすらと見える部屋の様子から、ここが自室であることがわかる。そしてすぐ前の勉強机にある椅子に誰かが腰かけている。
「お、目ぇ覚めたか」
椅子に座っていた人物が立ち上がり、美弦が寝ているベッドに腰かけてきて美弦の頭を撫でた。
「‥め”い”に”‥」
「うお、なんか声掠れてんな。待ってろ」
鳴はまた立ち上がると水のペットボトルを持ってきた。立ち上がった鳴を見てわかったが、鳴はパンツ一枚のほぼ裸の状態だった。満遍なく筋肉がのっていてパンツいっちょでもかっこいい。それを見て思わず自分の身体を見れば、自分はすっかり真っ裸だった。ただ身体のべたつきなどはなく、全体にさらさらしている気はする。
(鳴、兄が身体拭いてくれたのかな‥?)
何それスパダリじゃん、とか思いつつぼーっと鳴を眺めた。
鳴はペットボトルのふたを開けて口に水を含むと、美弦の口に口移しで飲ませた。少し生ぬるい水は、それでも傷んだ喉に優しく通り過ぎて気持ちよかった。ぷはあ、と息をついた美弦に「もっかい飲むか?」と聞いてくれたので素直に頷けば、また口移しで飲ませてくれる。
結局三回も口移しで飲ませてもらってようやく人心地ついた。
鳴はペットボトルを勉強机の上に置いて、また美弦が寝ているベッドに腰かけて美弦の頭を優しく撫でた。
「どっか痛いところあるか?」
「‥‥‥からだ、ぜんぶ、いたい‥」
そう、掠れ気味の声で美弦が返すと、少し黙ってから「そっか」とそっけなく返事をした。
(‥‥えっ、これ僕どうすればいいの‥?ばか正直に言わない方がよかった?‥でもどっちかって言えば僕の方がこの場合被害者、だよね?‥‥すっごく‥感じちゃったけど‥きもちよかったけど‥)
美弦は横たわったまま、薄く開けた目でぼんやりと鳴の姿を見つめていた。アナルのバイブは抜かれている。結局電動のスイッチは入れられなかったので、ディルドとしてしか使われなかったのだが、しつこくそれを使って慣らされたせいで美弦の後孔はしっかりと解れてしまっていた。
(‥‥そんなつもり、なかった、けど‥洗浄もしちゃってるしな‥)
鳴は自分の陰茎にコンドームを被せようとしたがサイズがぎちぎちでうまく被せられない。「ちぃっ」と舌打ちするとそのコンドームを放り投げ、自分のショルダーバッグからコンドームの箱を取り出してそれを素早く被せた。
(‥‥そう言えば、サイズってあったな‥鳴兄のちんこ、僕のやつじゃダメなんだ‥てか、普段の荷物にゴム入れてる鳴兄って‥)
いささか矜持を傷つけられたような気持ちになりながら目をつぶった美弦に、鳴が覆いかぶさってきた。
「美弦‥‥本当はベッドでやってやりたいけどな、もう我慢できねえから一回はここで挿れるぞ」
「う、うん‥」
(うわああああ、僕、マジで男とセックスしちゃうんだ‥全然嫌悪感とかないの、鳴兄だからかな‥あ、ひょっとして僕ってバイ‥?)
「おい、随分余裕だな?考え事か?」
鳴はそう耳元で囁いた。美弦の顔の横に肘をついて頭を囲い込みまたぢゅうううっと舌を吸う。れろれろと舌の表面をこすり合わされ軽く甘噛みされる。そのすべてがきもちいい。
(んは、鳴兄のキス‥‥めっちゃきもちい‥ああ、ちんこ痛い‥)
鳴に咥内や舌を舐められるといつでも続々とした快感が後孔や淫液に溜まってきて何ともいえないぞわぞわ感がする。そして、菊穴がひくひくしているような気が、する。
(ああ、やばいぃぃ、僕とうとう童貞非処女になっちゃうよぉ‥)
「美弦」
鳴は身体を起こし、投げ出した自分の太腿の上に美弦の腰をずり上げて乗せた。そして美弦の膝裏に上腕を当てるようにしてグイッと開かせた。
(うわ、だめだ僕今アナル丸見えじゃん‥)
「挿れるぞ」
ゴムを被せた鳴の怒張の先で、美弦の菊孔をずりずりと擦られる。そんな刺激だけでもきもちいい。
「あっ、あ、鳴、に」
何度か菊孔の上を陰茎で撫でてから、鳴はぐっと美弦の足を前に押し出すようにしながら陰茎をずぶりと挿入してきた。じゅぶ、ぐぶ、と肉を拓く音とローションの擦れる粘ついた音がする。亀頭の太いところがみりみりと美弦の菊孔を拡げていく。
「あ、ひ、ひぃ、」
「痛いか、美弦」
「ん、痛く、はない、ぃぃ、けどぉ」
ものすごい圧迫感、そして内臓に異物が入っているという生理的な恐怖。
「こ、こわ、いぃ」
知らず、美弦の目には涙が浮かんでいた。それを見た鳴は、手を伸ばして涙をぬぐってやり、それをぺろりと舐めた。
「しょっぱ」
「う、ぅぅ、んん」
亀頭の先を入れただけで、顔を顰めて唸っている美弦の陰茎をそっと握ってやる。ローションを垂らしぬめりを加えてぬちゅぬちゅと扱きながらその亀頭を親指で強めに擦る。
「ふあ、ああっ、あ、」
圧迫感を超えてせり上がる直接的な官能に美弦は身体を震わせた。異物感と圧迫感を上書きするかのように鳴がぐちゅぐちゅと陰茎を愛撫してきて、その快楽に頭が痺れる。
「はあぁ、あ、きも、ちい、あっあっ、めい、にいぃい」
「ん、きもちいいな、美弦」
快感の波に溺れて蕩けそうな顔をしている美弦がかわいくて、鳴は半端に陰茎を挿入した辛い状態をこらえながら身体を伸ばし、美弦の半開きになった唇を吸ってやった。前後不覚に陥っている美弦が無意識に伸ばしてくる舌も丁寧にこすり合わせてやり、吸ってやる。
「ふぅぅ、んん~~~、んっ」
喘ぎ声なのか呻き声なのかわからない声を上げながら、美弦は身体を痙攣させる。鳴は絶え間なく美弦の陰茎を擦っていて、耐えきれず美弦は精を吐き出した。もう色は薄く、量も少ない。
これまでの自慰で得られた快楽とは比べ物にならないくらいの快感の奔流に溺れさせられ、もうずっとイッているかのような感覚に、美弦は我を忘れて夢中になった。
もっと、もっとこの先にある快楽が欲しい。
「め、い、にぃ、挿れて、挿れてぇ‥」
艶めかしい息とともに吐き出された言葉に、鳴はぐうっと唸ると美弦の腰をがっと掴んで腰を突き入れた。じゅぶぶっと太く長い鳴の陰茎が美弦の後孔を拡げ、中に収まっていく。
「ふあああ、あ、あ!」
その鳴の突き入れによって膨らんでいた美弦の前立腺がぎゅうっと擦られ、これまでを超える快楽が全身を貫いた。じりじりと湧き上がる快感ではなく一瞬で駆け抜けた強い快楽に、身体は突っ張り、びくんびくんと大きく痙攣する。
(あ、あ、あ、あ、なにこれなにこれ、きもち、きもちいいっ、きもちいいよぉぉっ)
「めいにぃいっ、あはぁぁ、ひもちい‥、いいぃぃ」
美弦の顔はすっかり淫蕩に溶け切り、だらしなく口が開き舌がのぞいていて目は半開きで目じりからぽろぽろと涙がこぼれている。頬は桃色に上気していて、はあはあと息を吐くその様子はこの上なく淫猥だった。
その様子に煽られて、鳴は無我夢中で腰を振りたくり美弦を揺さぶった。
「煽る、のが、うまい、な、美弦っ」
「ひゃああっ、あ、あ、あああっ、う~~」
鳴が律動して陰茎で腸壁を擦るたびに大きな快楽の波が美弦を押し上げていく。ずっと快楽の頂点の前まで押し上げられていてきもちいいが、まだその先があるような気がする。鳴が前立腺を擦るたびに嬌声が自分の口から迸るのを聞いた。
「く、美弦、お前、最高‥きもちいいぜ」
そう言いながら鳴は絶え間なく腰をグラインドさせる。強くなったその律動で、こつこつと美弦の奥のイイところに鳴の亀頭がぶつかり擦れる。そのたびにたまらない快楽がまたせり上がってきて、それがずっともっと欲しくなる。
「ああん、んっ、もっと、めいにい、おくぅ、おくがいいっ」
「お、まえぇ、‥おらっ!」
その美弦の声に再び煽られた鳴は、美弦の腰を抱え直し自分は膝立ちになった。そして力強く美弦の奥に陰茎を押し込んで律動させていく。
ごつっごつっと強く鳴の亀頭が美弦の腸奥を叩き、前立腺を擦る。あの、たまらない快楽がどんどんたまってきて弾けそうな予感がした。
「いいいっ、きもちいっ、ああ、いい、いいよぉぉっ、いく、いくぅぅっ」
「おらイケよっ!」
ばちゅんっばちゅんっといやらしい音が繰り返され、美弦の快楽は最高潮に溜まって弾け飛んだ。
「ふああああっ!い、っくぅぅぅっ」
その美弦の声とともにぎゅううっと腸壁が鳴の陰茎を絞り上げる。
「ぐっ、くそ、ああ、いい‥」
薄い皮膜越しにどぷどぷと何かが放たれた感覚がする。
(ああ、鳴兄もイッたんだぁ‥ああ、きもちい‥)
力が抜けてぐったりとした美弦は、その緩やかな快楽の中でまた意識を失ってしまった。
「‥‥ん‥」
美弦はゆっくりと身体を動かした。何だかあちこちが痛い。体育祭の練習をした後みたいな痛さと、発熱後のような怠さがある。瞼が重い。‥‥瞼が重いのは、本日二度目ではないか‥?
「!」
美弦は自分に起きた出来事を思い出した。従兄の鳴がやってきて自慰現場(正確には終了後だったが)を目撃され、なぜかキレた鳴に‥‥ちんこを突っ込まれた。
(ぼ、僕、男とセックスしちゃった‥)
重い瞼を閉じたまま、美弦は回想した。‥‥最初は無理矢理のような行為だったが、途中から‥自分が色々と強請ったような気がする‥。
(待って待って待って、ぼ、僕、僕もっとぉとか挿れてぇとかマジリアルBLみたいなことを口走った気がする‥‥!)
じたばた暴れ出したい気がするが身体は重くて言うことを聞かない。
(待って、あれ?鳴兄どこだろ‥なんかここ防音ルームじゃない気がする)
身体は柔らかいものに包まれており、おそらくベッドで布団の中にいるような感触だ。
美弦は恐る恐る重い瞼を少しずつこじ開けて辺りを窺った。うっすらと見える部屋の様子から、ここが自室であることがわかる。そしてすぐ前の勉強机にある椅子に誰かが腰かけている。
「お、目ぇ覚めたか」
椅子に座っていた人物が立ち上がり、美弦が寝ているベッドに腰かけてきて美弦の頭を撫でた。
「‥め”い”に”‥」
「うお、なんか声掠れてんな。待ってろ」
鳴はまた立ち上がると水のペットボトルを持ってきた。立ち上がった鳴を見てわかったが、鳴はパンツ一枚のほぼ裸の状態だった。満遍なく筋肉がのっていてパンツいっちょでもかっこいい。それを見て思わず自分の身体を見れば、自分はすっかり真っ裸だった。ただ身体のべたつきなどはなく、全体にさらさらしている気はする。
(鳴、兄が身体拭いてくれたのかな‥?)
何それスパダリじゃん、とか思いつつぼーっと鳴を眺めた。
鳴はペットボトルのふたを開けて口に水を含むと、美弦の口に口移しで飲ませた。少し生ぬるい水は、それでも傷んだ喉に優しく通り過ぎて気持ちよかった。ぷはあ、と息をついた美弦に「もっかい飲むか?」と聞いてくれたので素直に頷けば、また口移しで飲ませてくれる。
結局三回も口移しで飲ませてもらってようやく人心地ついた。
鳴はペットボトルを勉強机の上に置いて、また美弦が寝ているベッドに腰かけて美弦の頭を優しく撫でた。
「どっか痛いところあるか?」
「‥‥‥からだ、ぜんぶ、いたい‥」
そう、掠れ気味の声で美弦が返すと、少し黙ってから「そっか」とそっけなく返事をした。
(‥‥えっ、これ僕どうすればいいの‥?ばか正直に言わない方がよかった?‥でもどっちかって言えば僕の方がこの場合被害者、だよね?‥‥すっごく‥感じちゃったけど‥きもちよかったけど‥)
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