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求めていたモノ
3.9
しおりを挟むあれから援交はバッサリと辞めて
私は自分の家に戻った。
相変わらず話す事も無ければ
顔を合わせる事も無い生活。
母は、私が帰らない間に何処かに出かける事が増えていた。
また、男でも出来たのだろう。
その代わりに相原達が私の家に遊びに来る事が増え、寂しさも感じなくなっていった。
「うぇーい!道重ババ引いたー!」
毎日の様に、何故かトランプをする。
それは毎晩の様に続き、負けた人がご飯を作る係に。
「あ、てか今日ってクリスマスじゃん…」
何かを思い出したかの様に顔が青ざめていく竹内。
急いで携帯を開き誰かにひたすら謝り続けていた。
「あぁ…終わった…。」
「彼女か?」
「そう…」
「「「ざまあみろ!!」」」
一人だけ抜け駆けしてリア充だった事を隠していた竹内に、私達は指をさして笑う。今日はデートの予定だったそうで、彼女を3時間も放置して振られたそうで。
どよんと落ち込む竹内をよそに、三人でケーキを買いに行って、全員でフォークを刺してホールごと食べる。
「俺…っ、うっ…、こんな悲しいクリスマスって…初めて…グスッ」
ボロボロ泣きながらケーキを食べる竹内を動画に収め、大量に買ってきたシャンメリーを飲み、朝までドンチャン騒ぎをしていた。
「メリークリスマス!」
お父さんとお母さんは、サンタの格好をして私と朋樹にプレゼントを渡す。
中身は、赤ちゃんと私のお揃いのワンピースと帽子。
黄色い花模様がとても綺麗だ。
「男の子だったらどうするのってお父さんに言ったのに、頑固だから聞かなくて」
「良いじゃないか」
口数は少ないしリアクションもあまりとらないが、初孫に会えると一番喜んでいたのはお父さんだったらしい。
少し照れ笑いする父と母を他所に、朋樹は呻き声を上げる。
「何で俺のプレゼントだけパンツなんだよぉ~!!!」
可愛らしい包装紙の隙間から覗く真っ白のブリーフ。
おおば ともきと名前まで入っている。
「それは朋美に文句言ってよね」
「姉ちゃんの仕業か!!酷すぎるだろ!!」
「悪さしないように♡」
酷いと言いながらケンタッキーを貪る朋樹を見てゲラゲラと笑う。
クリスマスを家族で過ごしたのは何年ぶりかわからない程久しぶりで。
「あ!私のチキン!」
「うるせー!ブリーフの仕返しだ!」
チキンの奪い合いをする私達と、穏やかそうに微笑む両親。
側から見れば幸せな家族風景。
だが私は相変わらず、頭と心が追いつかないままだった。
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