朧月

カフェ・オーレ

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間違え探し

6.3

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「ただいま」

朋美の両親が帰って来たのは、日付が変わった深夜1時半。
目の下にクマをつくり、疲れ切った2人。

朋美と朋樹は爆睡していた為、2人を二階の部屋へと連れ込む。
ベッドの上に座らせて、ココアを飲ませた。

「おばさん、寝れてない?」

「…ええ。みっともないのだけど、寝れなくて」

重い溜息をつく朋美のお母さんの背中を、ゆっくりと撫でる朋美のお父さん。
2人とも、もう限界が近いのだろう。

「親がこんなんじゃ駄目なんだけどね、どうしてもジレンマで苦しくて…」

自分の望んでいた理想とは程遠い世界で、必死にしがみついて今日を生きるしかないと語った。

「仕事は今、大丈夫なんですか?」

「いや…、慣れなくて疲れが凄くてね」

今まで専業主婦だった朋美のお母さんは、早朝から新聞配達、それが終わったらコンビニで働いて、公園のベンチで何時間も腰掛けているらしい。

朋美のお父さんも、勤めていた会社をクビにされて、今は建築現場で働いているそうで。

「明日は日曜だから、ゆっくり寝るよ。来てくれてありがとう。ゆっくり寝ていってね」

2人は袋から睡眠薬を取り出し、何錠も一気に飲み干す。
そうでもしないと寝れないのだろうか。

1時間程してようやく眠りについた2人。
リビングへ戻り、朋美と朋樹に毛布を掛けて私は外へ出た。

降りしきる雨は強さを増して、雷の音が地響きするように夜の町を照らす。
煙草に火を着け、しばらくの間雨と雷を眺め続けた。

「はぁ…」

散々思い知らされた、自分の無力さ。
何か出来る事は無いのだろうか?
グルグルと頭の中で試行錯誤する。

「駄目だぁ、わかんない」

夜中なのに鬼の様に母に電話をかけ、やっと電話に出た母に爆弾トークを炸裂させる。
母はとても眠たそうに話を聞いてくれていた。

『…それはもうね、ほっとくしか無いわ』

プツッと切られた電話。
しばらく画面を眺めて、なんじゃそりゃ!と思わず大きな声を上げる。

家の中に入り、玄関で寝転がってしばらく天井を見つめ、気が付けば私は眠りについていた。
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