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1章 青年期
閑話 三日月の夢
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「ギネス、これはお前さん向きの依頼だ。」
いつもの酒場でマスターがギネスに依頼書を渡す。
……評議会議員ソル・メイシー……委細相談、か。
「これだけじゃ、さすがに受けれねえよ。」
ギネスが顔をしかめると、マスターは「そうだろうな」と頷いた。
何しろ依頼書には報酬すら書いていないのだ。
「メイシーって議員が質(たち)の悪いのに強請(ゆす)られているらしい。メイシーは……」
マスターが言うところによれば、ソル・メイシーは評議会でも派閥などに属さず、賄賂を受けずといった骨っぽいタイプの政治家らしい。
「それだけに、強請(ゆす)りのネタがややこしい……だが、ここは議員に貸しを作りたいところだ。」
マスターが「やってくれるか?」と尋ねると、ギネスは「駄目でも知らねえよ」と依頼書を受け取った。
…………
翌日
ギネスはメイシーの邸宅に向かった。
守衛の家人に取り次ぎを頼むと、すんなりとメイシーの執務室に通された。
メイシーであろうか、執務室で40代ほどの身なりの良い紳士がギネスを迎え入れる。
「よく来てくれました。ソル・メイシーです。」
「依頼を受けさせて頂やす、ギネスと申しやす。」
ギネスが挨拶すると、メイシーは「この度はよろしく」と頭を下げた。
……うーん、こいつは大変な人みたいだな、偉いのに偉ぶったところが無い。
ギネスも慌てて頭を下げた。
「早速ですがギネスさん、事情はどこまでご存じですか?」
「いえ、ほとんど聞いてません。質(たち)の悪いのに絡まれているとか。」
メイシーは頷き「恥ずかしい話ですが」と事情を話始めた。
…………
今年の春くらいのことである、メイシーは他の評議会議員と会合を重ねていた。
会合と言っても固い席ばかりでも無く、酒席などもある。
その酒席での事、たまたまメイシーの隣に酌婦(しゃくふ)のアイナという女が座った。
年甲斐も無く、一目でアイナを気に入ったメイシーは二月(ふたつき)ほども店に通い詰め、いつのまにか二人は『わりない仲』となった。
メイシーは先妻を亡くしており独身だ。恋人を作ろうが不道徳では無い。
酌婦が恋人というのは少々身分が不釣り合いではあるが、これは良くあることではある。
しかし、子供が出来たとあっては話は別だ。相続が関係してくるからである。
ある時、アイナの兄を名乗る男が現れ「妹が身籠ったので責任をとって欲しい」とメイシーに詰め寄った。
メイシーは側室として迎え入れようと申し出たが、正室で無ければ誠意を見せよとごね始めた。誠意とはもちろん金であり、誠意の額は何と2百万ダカット(2億数千万円~1億数千万円くらい)、法外な金額である。
親類などの手前、正室として迎え入れるのは難しく、議員が破落戸(ごろつき)に脅され大金を払えばスキャンダルである。
メイシーは困り果て、最近評判の股旅(またたび)亭にトラブル解決を依頼したのだった。
…………
「できれば、穏やかに解決して頂きたいのです。それと、アイナが本当に私の子を身籠ったのか確認したい……お願いできますか?」
……なるほど、美人局(つつもたせ)か。
ギネスは目を閉じて考えた。
ここまで事情を聞けば、断ることは出来ないし、断る理由も無い。
「穏やかに」解決せよとは、表に出ないように処理せよと言う意味であろう。
しかし、「メイシーの子を身籠っているのか確認せよ」とは解釈が難しい。
腹の子を始末せよともとれるし、本当なら女を引き取りたいともとれる。
「引き受けましょう、メイシーさん……女の腹を確認した後はどの様にいたしましょうか?」
「それは……より良きように。」
ギネスは「わかりました」と答え立ち上がる。
「穏やかに、より良きように解決いたしやす。」
いくつか細かなことを確認した後、ギネスは邸宅より退出した。
……先ずは、アイナのいた店を当たるか。
ギネスは行動を開始した。
穏やかで、より良い解決を目指して。
…………
その夜、ギネスはヘクターの身内で品の良いのを貸してもらい、三日月亭という料亭に向かった。
三日月亭はファロンでも屈指の高級店である。
部屋は個室のみで酌婦がつく。メイシーはここでアイナと出会ったらしい。
このような高級店にギネスのような若造が1人で入るのは不自然である。
ヘクターの身内を貸してもらったのは怪しまれない為だ。
ちなみにヘクターから貸して貰った男の名はレイトンと言う。黙っていれば貴族に見えそうな30がらみの品の良い男で、仲間から「殿様(とのさま)レイトン」と呼ばれている。
ギネスはレイトンと共に案内され、料理に舌鼓を打った……さすがに旨い。
「ギネスさん……こんなに高い店をすみませんね。」
レイトンが恐縮して礼を述べる。
「いえ先生、うんと威張って下さいよ。」
「う、うむ、今日は大義であったな。」
ギネスが「へへーっ」と頭を下げ、2人は顔を見合わせて大笑いした。
しばらくすると、酌婦が現れ酒宴となる。
「これギネス、遠慮するもんじゃない、どんどんやんなさい。」
レイトンが堂に入った演技をする、この男なかなかの役者である。
ギネスは頃合いを見て「ちと小便に」と席を立つ。
そして、年増の仲居(なかい)に近づき「うちの先生から頼みごとがあるんだ」と、そっと金を渡した。
「あれ、こんなに? お客さんどうしました?」
100ダカットも貰った仲居が、にこにこと愛想笑いをする。
「うん、うちの先生がアイナって娘(こ)を呼んで欲しいと言うのだけども……」
「あれ、困りましたね……アイナさんは置屋(おきや)をお辞めになったって聞きましたよ。何でもお大尽(だいじん)に見初められたとかで……」
ギネスはわざとらしく「ええ! まいったなあ」と顔をしかめた。
ちなみに置屋とは酌婦や踊り子などを雇い、料亭や酒場に派遣する夜の派遣業者のことだ。
「へえ、どこのお大尽なんだい?」
「うーん、良く知らないんですよ。」
仲居が申し訳なさげに答えた。
ギネスはふーんと興味無さげに頷く。
「うちの先生はあんな娘が好きなんだ。三日月亭さんはどこの置屋なんだい?」
「ああ、11番通りの玉屋さんですよ。」
ギネスの目がキラリと光った。
仲居に礼を述べると部屋に戻る。
「ギネス、遅いぞ! この娘らは2人とも私が好みだそうだ! わっはっは」
レイトンが左右に女を侍らして喜んでいる。
ギネスは「そんな殺生なぁ」とおどけて見せる。女たちが、どっと楽しげに笑った。
………………
それから、数日。
ギネスはレイトンと組んで11番通りの玉屋を探った。
レイトンは気の良い男で「いい思いをしたから」と協力してくれることになったのだ。
クリフから借りたロッコはギネスとレイトンの連絡役である。
数日の調査でかなりのことが分かった。
先ずはアイナだ。
玉屋から少し離れたアパートで暮らしている……妊娠は事実らしい。
次にアイナの兄を名乗った男だ。
これは玉屋の用心棒をしている元傭兵の男だ……当然だがアイナとは兄妹では無い。
メイシーから聞いた人相風体とぴったり合うから間違いは無いだろう。
最後に玉屋の主人である。
アイナのアパートに出入りしている唯一の男だ。
ギネスはこいつが腹の子の父親では無いかと疑っている。
昨今の治安の悪化からか、それとも命を狙われている自覚があるのか、常に用心棒を側に置いている。
ギネスはこの3人のいずれか……もしくは全員が主犯であると目星を着けた。
後は「穏やかに」解決するだけだ。
「レイトンさん、どうやらこの3人で決まりだ。」
「うん、黒幕が居るかもしれないが、実行犯は決まりだね。」
ギネスとレイトンが打ち合わせを重ねている。
「問題は誰を引っ張るかだよ、ギネスさん。」
「む……そこが難しい。1人を狙えば後の2人には悟られる。穏やかに済ませたいところで。」
ギネスは考えるが、結論は出ない。最悪は枝葉を捕まえて主犯を逃がすことだ。
……いっそのこと、全員いくか。
「レイトンさん、人手を増やそう。そちらはヘクターさんに事務所の中でも特に声が漏れない部屋を借りてください。ロッコは玉屋を見張れ。」
ギネスが計画を説明し始めた。
…………
ギネスはいつもの酒場に行くと、兄貴分のクリフが隅っこの方で酒を飲んでいた。
「兄貴! すいません、お力を貸しておくんなさい。」
「ギネスか……その、助けてやりたいんだが……」
クリフがチラリとハンナを見た。視線に気づいたハンナがキッとクリフを睨む。
……この2人は、まだやってんのか。
ギネスは呆れて2人を交互に眺めた。彼らは先日の喧嘩をまだ続けているのである。
「その、ハンナ……さん」
「……。」
「ギネスの手伝いに……その、仕事でして。」
「……。」
クリフがハンナに話しかけるが会話が成立していない。
ハンナは口をへの字に曲げ「うう、ううーっ」と嗚咽を堪えながら涙をポロポロこぼし、クリフを睨む。
「急げギネス、行くぞっ!」
クリフが逃げるようにドアから飛び出した。
ギネスは微妙な顔をしながら残されたハンナを眺める。
泣いているハンナは、ギネスから見ても目を奪われるほど可憐で美しい。
……でも、まあ、俺には無理だわ。
ギネスは失礼なことを考えながらクリフを追った。
……しかし、行き先も知らないのに兄貴はどこに向かって走ってるんだろう?
ギネスは首をかしげた。
………………
2日後の夜
「出てきましたっ。2人ともっ!」
ロッコが興奮した様子で報告に来た。
「では、手はず通りにお願いしやす。」
ギネスの言葉に全員が力強く頷いた。
彼らはアイナのアパートに向かう筈だ。人通りが少ないこの場所で一気に勝負をかける。
全員が手早く配置に着いた。
「もし、玉屋さんでは無いですか?」
レイトンが玉屋の主人に声を掛けた……合図だ。
クリフは真っ先に飛び出して用心棒と向かい合う。
「なっメイシーの刺客か!?」
主人がレイトンを誰何(すいか)した。
同時にガツンと後頭部に衝撃を受け、気絶する。
ギネスだ。物陰からの完全な不意打ちで殴り付けたのだ。
ギネスの剣の鞘は鉄鐺(てつこじり)と鉄環(てつかん)で補強してある特別製だ。
こいつで殴られては、ひとたまりもない。
ギネスとレイトンは気絶した玉屋の主人に猿轡(さるぐつわ)を噛ませ、空き樽に納めた。
レイトンがよっこらしょと玉屋の主人を納めた樽を背負い、歩いて行く。
ヘクターの事務所に運び込むのだ。
一方でクリフと用心棒の戦いは激しさを増す。
用心棒はいかにも剣術使いと言った風情の戦法で、細剣(レイピア)を巧みに操り細かく斬り込んで行く。
用心棒の細剣がクリフの右手を巻き付くように襲い、クリフの剣を跳ね上げた。
……いけねえっ!殺られた!
ギネスが思わず顔を背けた瞬間、用心棒が「ぐえ」っと小さく悲鳴を上げ、苦しみながら膝を着いた。
見れば用心棒の首筋にはナイフが突き立っている。
クリフは剣を拾い直すと用心棒の胸を剣で突き刺した。
「兄貴、やりやしたね!」
「すまん、こいつは生け捕りは無理だった。」
この用心棒は凄腕だった。
生け捕りに固執してはクリフが危なかっただろう。
「いえ、兄貴に頼まなかったら大変なことになってました。ありがとうございやす。」
ギネスはロッコと協力し、用心棒の死体を空き樽に納めて担ぐ。
「それではヘクターさんの事務所に行きます。」
「よし、俺とロッコは女を見張ろう。」
ギネスは樽を担いでヘクターの事務所に向かった。
………………
玉屋の主人を拷問(いたぶり)に掛けた結果、真相が判明した。
ちなみに玉屋の主人は既に息をしていない。レイトンの拷問は凄まじいものだったのだ。
アイナの腹の子は誰の子か分からない。
アイナはメイシーに抱かれていた同時期に、他の男にも体を売っていたのだ。
玉屋の主人は、誰の子か分からないが評議会議員を強請る良いネタだと思いつき、用心棒とアイナを抱き込んで共謀した。
金が目当てであり、黒幕などがいないのが救いではある。
玉屋の主人と用心棒は顔を潰してスラムにでも捨てれば良いが、アイナが問題だ。
さすがに産まれてもいない子供の親を判断する技術にギネスは心当たりが無い。
……いいさ、より良きようにだ。
ギネスは2つの死体の処理をレイトンに任せ、アイナのアパートに走った。
昨今の治安の悪さである……スラムに死体が転がろうが誰も気にしないであろう。
………………
翌朝、ギネスは樽を担いでメイシーの邸宅を訪ねた。
挨拶もそこそこにギネスは本題に入る。
今回の主犯は玉屋の主人で、アイナの兄とアイナは共犯だったこと。
アイナの兄を名乗っていたのは玉屋の用心棒だったこと。
アイナの子の親は分からないが、メイシーの可能性もあること。
玉屋の主人と用心棒は「穏やかに」処理をしたこと。
「この樽の中身ですが……」
ギネスが蓋を開けると猿轡を噛まされたアイナが入っていた。彼女に意識は無い。
「ギネスさん、これは……?」
「メイシーさんが、引き取らなければ穏やかに解決しやすが、どうされやすか?」
ギネスの言葉に少し驚きを見せた後、メイシーは目を瞑ってしばらく考えていた。
「引き取ります。ありがとうございました。」
「よろしいんですか? こう言っちゃなんですが、あなたを嵌(は)めようとした性悪だ。」
メイシーはニヤリと笑う。男臭い笑顔だ。
「性悪だから嫌いになるようでは、本当の恋ではありませんよ。」
この言葉にはギネスも面食らってしまった。
……成る程、これは大変な人物だ。
ギネスはすっかりメイシーに参ってしまった。メイシーには人を惹き付けるカリスマ性が備わっているようだ。
「お役に立てて幸いで。報酬は志(こころざし)のぶんだけ、股旅亭に届けておくんなさい。」
ギネスは「それでは」と手短に挨拶をして、メイシーの邸宅を出る。
門の外ではクリフとロッコが待っていてくれた。
明るいところで見れば、クリフは用心棒との戦いで細かな傷を負っているようだ。
……こっちも解決といくかね。
ギネスは2人にヘクターの事務所に向かうように頼み、ハンナが通う剣術道場に向かった。
…………
ギネスは道場に入る前に、チョイチョイと顔に水を掛ける……一見すると、いかにも大汗をかいているように見える。
そして道場に入ると、若い道場生にハンナへの取り次ぎを頼んだ。
ギネスは息も絶え絶えと言った風情でその場に腰を掛ける細かな演技を忘れない。
しばらくすると、ハンナが少し緊張しながら現れた。
ギネスが道場を訪ねるなど初めての事である……ただ事では無いと察したようだ。
「ハンナさん、兄貴が……」
ギネスは表情を消しながらハンナに向かい合う。
ハンナがハッとした顔でギネスを見た。
「クリフ!? クリフがどうしたの!?」
「兄貴が、手傷を負った……ヘクターさんの事務所に担ぎ込まれている。」
ハンナの顔がサッと青くなった。
「ハンナさん、頼む! 行ってやってくれ!」
ギネスが頭を下げるとハンナは放たれた矢のように駆け出した。素晴らしい健脚だ。
ギネスは何事かと集まり始めた道場生に「身内の急病で」と謝り、道場を出た。
身も世も無いほど狼狽えていたハンナの様子は気の毒ではあるが、ギネスは何一つ嘘は言っていない。
クリフが「手傷を負って、ヘクターの事務所にいる」のは事実なのだから。
……後は、良いようにおやんなさい。
ギネスは報告のために、いつもの酒場に向かった。
評議会議員と強いコネを作ったことで、冒険者組合(ギルド)の発足が後押しされたのは言うまでも無いだろう。
酒場のマスターもほくほくとエビス顔だ。
メイシーはその後、アイナを妾として迎え、産まれた子は猶子(ゆうし)(相続権の無い養子)として養ったという。
余談ではあるが、ギネスはクリフと仲直りしたハンナから散々に責められたが、クリフからは感謝されたようだ。
いつもの酒場でマスターがギネスに依頼書を渡す。
……評議会議員ソル・メイシー……委細相談、か。
「これだけじゃ、さすがに受けれねえよ。」
ギネスが顔をしかめると、マスターは「そうだろうな」と頷いた。
何しろ依頼書には報酬すら書いていないのだ。
「メイシーって議員が質(たち)の悪いのに強請(ゆす)られているらしい。メイシーは……」
マスターが言うところによれば、ソル・メイシーは評議会でも派閥などに属さず、賄賂を受けずといった骨っぽいタイプの政治家らしい。
「それだけに、強請(ゆす)りのネタがややこしい……だが、ここは議員に貸しを作りたいところだ。」
マスターが「やってくれるか?」と尋ねると、ギネスは「駄目でも知らねえよ」と依頼書を受け取った。
…………
翌日
ギネスはメイシーの邸宅に向かった。
守衛の家人に取り次ぎを頼むと、すんなりとメイシーの執務室に通された。
メイシーであろうか、執務室で40代ほどの身なりの良い紳士がギネスを迎え入れる。
「よく来てくれました。ソル・メイシーです。」
「依頼を受けさせて頂やす、ギネスと申しやす。」
ギネスが挨拶すると、メイシーは「この度はよろしく」と頭を下げた。
……うーん、こいつは大変な人みたいだな、偉いのに偉ぶったところが無い。
ギネスも慌てて頭を下げた。
「早速ですがギネスさん、事情はどこまでご存じですか?」
「いえ、ほとんど聞いてません。質(たち)の悪いのに絡まれているとか。」
メイシーは頷き「恥ずかしい話ですが」と事情を話始めた。
…………
今年の春くらいのことである、メイシーは他の評議会議員と会合を重ねていた。
会合と言っても固い席ばかりでも無く、酒席などもある。
その酒席での事、たまたまメイシーの隣に酌婦(しゃくふ)のアイナという女が座った。
年甲斐も無く、一目でアイナを気に入ったメイシーは二月(ふたつき)ほども店に通い詰め、いつのまにか二人は『わりない仲』となった。
メイシーは先妻を亡くしており独身だ。恋人を作ろうが不道徳では無い。
酌婦が恋人というのは少々身分が不釣り合いではあるが、これは良くあることではある。
しかし、子供が出来たとあっては話は別だ。相続が関係してくるからである。
ある時、アイナの兄を名乗る男が現れ「妹が身籠ったので責任をとって欲しい」とメイシーに詰め寄った。
メイシーは側室として迎え入れようと申し出たが、正室で無ければ誠意を見せよとごね始めた。誠意とはもちろん金であり、誠意の額は何と2百万ダカット(2億数千万円~1億数千万円くらい)、法外な金額である。
親類などの手前、正室として迎え入れるのは難しく、議員が破落戸(ごろつき)に脅され大金を払えばスキャンダルである。
メイシーは困り果て、最近評判の股旅(またたび)亭にトラブル解決を依頼したのだった。
…………
「できれば、穏やかに解決して頂きたいのです。それと、アイナが本当に私の子を身籠ったのか確認したい……お願いできますか?」
……なるほど、美人局(つつもたせ)か。
ギネスは目を閉じて考えた。
ここまで事情を聞けば、断ることは出来ないし、断る理由も無い。
「穏やかに」解決せよとは、表に出ないように処理せよと言う意味であろう。
しかし、「メイシーの子を身籠っているのか確認せよ」とは解釈が難しい。
腹の子を始末せよともとれるし、本当なら女を引き取りたいともとれる。
「引き受けましょう、メイシーさん……女の腹を確認した後はどの様にいたしましょうか?」
「それは……より良きように。」
ギネスは「わかりました」と答え立ち上がる。
「穏やかに、より良きように解決いたしやす。」
いくつか細かなことを確認した後、ギネスは邸宅より退出した。
……先ずは、アイナのいた店を当たるか。
ギネスは行動を開始した。
穏やかで、より良い解決を目指して。
…………
その夜、ギネスはヘクターの身内で品の良いのを貸してもらい、三日月亭という料亭に向かった。
三日月亭はファロンでも屈指の高級店である。
部屋は個室のみで酌婦がつく。メイシーはここでアイナと出会ったらしい。
このような高級店にギネスのような若造が1人で入るのは不自然である。
ヘクターの身内を貸してもらったのは怪しまれない為だ。
ちなみにヘクターから貸して貰った男の名はレイトンと言う。黙っていれば貴族に見えそうな30がらみの品の良い男で、仲間から「殿様(とのさま)レイトン」と呼ばれている。
ギネスはレイトンと共に案内され、料理に舌鼓を打った……さすがに旨い。
「ギネスさん……こんなに高い店をすみませんね。」
レイトンが恐縮して礼を述べる。
「いえ先生、うんと威張って下さいよ。」
「う、うむ、今日は大義であったな。」
ギネスが「へへーっ」と頭を下げ、2人は顔を見合わせて大笑いした。
しばらくすると、酌婦が現れ酒宴となる。
「これギネス、遠慮するもんじゃない、どんどんやんなさい。」
レイトンが堂に入った演技をする、この男なかなかの役者である。
ギネスは頃合いを見て「ちと小便に」と席を立つ。
そして、年増の仲居(なかい)に近づき「うちの先生から頼みごとがあるんだ」と、そっと金を渡した。
「あれ、こんなに? お客さんどうしました?」
100ダカットも貰った仲居が、にこにこと愛想笑いをする。
「うん、うちの先生がアイナって娘(こ)を呼んで欲しいと言うのだけども……」
「あれ、困りましたね……アイナさんは置屋(おきや)をお辞めになったって聞きましたよ。何でもお大尽(だいじん)に見初められたとかで……」
ギネスはわざとらしく「ええ! まいったなあ」と顔をしかめた。
ちなみに置屋とは酌婦や踊り子などを雇い、料亭や酒場に派遣する夜の派遣業者のことだ。
「へえ、どこのお大尽なんだい?」
「うーん、良く知らないんですよ。」
仲居が申し訳なさげに答えた。
ギネスはふーんと興味無さげに頷く。
「うちの先生はあんな娘が好きなんだ。三日月亭さんはどこの置屋なんだい?」
「ああ、11番通りの玉屋さんですよ。」
ギネスの目がキラリと光った。
仲居に礼を述べると部屋に戻る。
「ギネス、遅いぞ! この娘らは2人とも私が好みだそうだ! わっはっは」
レイトンが左右に女を侍らして喜んでいる。
ギネスは「そんな殺生なぁ」とおどけて見せる。女たちが、どっと楽しげに笑った。
………………
それから、数日。
ギネスはレイトンと組んで11番通りの玉屋を探った。
レイトンは気の良い男で「いい思いをしたから」と協力してくれることになったのだ。
クリフから借りたロッコはギネスとレイトンの連絡役である。
数日の調査でかなりのことが分かった。
先ずはアイナだ。
玉屋から少し離れたアパートで暮らしている……妊娠は事実らしい。
次にアイナの兄を名乗った男だ。
これは玉屋の用心棒をしている元傭兵の男だ……当然だがアイナとは兄妹では無い。
メイシーから聞いた人相風体とぴったり合うから間違いは無いだろう。
最後に玉屋の主人である。
アイナのアパートに出入りしている唯一の男だ。
ギネスはこいつが腹の子の父親では無いかと疑っている。
昨今の治安の悪化からか、それとも命を狙われている自覚があるのか、常に用心棒を側に置いている。
ギネスはこの3人のいずれか……もしくは全員が主犯であると目星を着けた。
後は「穏やかに」解決するだけだ。
「レイトンさん、どうやらこの3人で決まりだ。」
「うん、黒幕が居るかもしれないが、実行犯は決まりだね。」
ギネスとレイトンが打ち合わせを重ねている。
「問題は誰を引っ張るかだよ、ギネスさん。」
「む……そこが難しい。1人を狙えば後の2人には悟られる。穏やかに済ませたいところで。」
ギネスは考えるが、結論は出ない。最悪は枝葉を捕まえて主犯を逃がすことだ。
……いっそのこと、全員いくか。
「レイトンさん、人手を増やそう。そちらはヘクターさんに事務所の中でも特に声が漏れない部屋を借りてください。ロッコは玉屋を見張れ。」
ギネスが計画を説明し始めた。
…………
ギネスはいつもの酒場に行くと、兄貴分のクリフが隅っこの方で酒を飲んでいた。
「兄貴! すいません、お力を貸しておくんなさい。」
「ギネスか……その、助けてやりたいんだが……」
クリフがチラリとハンナを見た。視線に気づいたハンナがキッとクリフを睨む。
……この2人は、まだやってんのか。
ギネスは呆れて2人を交互に眺めた。彼らは先日の喧嘩をまだ続けているのである。
「その、ハンナ……さん」
「……。」
「ギネスの手伝いに……その、仕事でして。」
「……。」
クリフがハンナに話しかけるが会話が成立していない。
ハンナは口をへの字に曲げ「うう、ううーっ」と嗚咽を堪えながら涙をポロポロこぼし、クリフを睨む。
「急げギネス、行くぞっ!」
クリフが逃げるようにドアから飛び出した。
ギネスは微妙な顔をしながら残されたハンナを眺める。
泣いているハンナは、ギネスから見ても目を奪われるほど可憐で美しい。
……でも、まあ、俺には無理だわ。
ギネスは失礼なことを考えながらクリフを追った。
……しかし、行き先も知らないのに兄貴はどこに向かって走ってるんだろう?
ギネスは首をかしげた。
………………
2日後の夜
「出てきましたっ。2人ともっ!」
ロッコが興奮した様子で報告に来た。
「では、手はず通りにお願いしやす。」
ギネスの言葉に全員が力強く頷いた。
彼らはアイナのアパートに向かう筈だ。人通りが少ないこの場所で一気に勝負をかける。
全員が手早く配置に着いた。
「もし、玉屋さんでは無いですか?」
レイトンが玉屋の主人に声を掛けた……合図だ。
クリフは真っ先に飛び出して用心棒と向かい合う。
「なっメイシーの刺客か!?」
主人がレイトンを誰何(すいか)した。
同時にガツンと後頭部に衝撃を受け、気絶する。
ギネスだ。物陰からの完全な不意打ちで殴り付けたのだ。
ギネスの剣の鞘は鉄鐺(てつこじり)と鉄環(てつかん)で補強してある特別製だ。
こいつで殴られては、ひとたまりもない。
ギネスとレイトンは気絶した玉屋の主人に猿轡(さるぐつわ)を噛ませ、空き樽に納めた。
レイトンがよっこらしょと玉屋の主人を納めた樽を背負い、歩いて行く。
ヘクターの事務所に運び込むのだ。
一方でクリフと用心棒の戦いは激しさを増す。
用心棒はいかにも剣術使いと言った風情の戦法で、細剣(レイピア)を巧みに操り細かく斬り込んで行く。
用心棒の細剣がクリフの右手を巻き付くように襲い、クリフの剣を跳ね上げた。
……いけねえっ!殺られた!
ギネスが思わず顔を背けた瞬間、用心棒が「ぐえ」っと小さく悲鳴を上げ、苦しみながら膝を着いた。
見れば用心棒の首筋にはナイフが突き立っている。
クリフは剣を拾い直すと用心棒の胸を剣で突き刺した。
「兄貴、やりやしたね!」
「すまん、こいつは生け捕りは無理だった。」
この用心棒は凄腕だった。
生け捕りに固執してはクリフが危なかっただろう。
「いえ、兄貴に頼まなかったら大変なことになってました。ありがとうございやす。」
ギネスはロッコと協力し、用心棒の死体を空き樽に納めて担ぐ。
「それではヘクターさんの事務所に行きます。」
「よし、俺とロッコは女を見張ろう。」
ギネスは樽を担いでヘクターの事務所に向かった。
………………
玉屋の主人を拷問(いたぶり)に掛けた結果、真相が判明した。
ちなみに玉屋の主人は既に息をしていない。レイトンの拷問は凄まじいものだったのだ。
アイナの腹の子は誰の子か分からない。
アイナはメイシーに抱かれていた同時期に、他の男にも体を売っていたのだ。
玉屋の主人は、誰の子か分からないが評議会議員を強請る良いネタだと思いつき、用心棒とアイナを抱き込んで共謀した。
金が目当てであり、黒幕などがいないのが救いではある。
玉屋の主人と用心棒は顔を潰してスラムにでも捨てれば良いが、アイナが問題だ。
さすがに産まれてもいない子供の親を判断する技術にギネスは心当たりが無い。
……いいさ、より良きようにだ。
ギネスは2つの死体の処理をレイトンに任せ、アイナのアパートに走った。
昨今の治安の悪さである……スラムに死体が転がろうが誰も気にしないであろう。
………………
翌朝、ギネスは樽を担いでメイシーの邸宅を訪ねた。
挨拶もそこそこにギネスは本題に入る。
今回の主犯は玉屋の主人で、アイナの兄とアイナは共犯だったこと。
アイナの兄を名乗っていたのは玉屋の用心棒だったこと。
アイナの子の親は分からないが、メイシーの可能性もあること。
玉屋の主人と用心棒は「穏やかに」処理をしたこと。
「この樽の中身ですが……」
ギネスが蓋を開けると猿轡を噛まされたアイナが入っていた。彼女に意識は無い。
「ギネスさん、これは……?」
「メイシーさんが、引き取らなければ穏やかに解決しやすが、どうされやすか?」
ギネスの言葉に少し驚きを見せた後、メイシーは目を瞑ってしばらく考えていた。
「引き取ります。ありがとうございました。」
「よろしいんですか? こう言っちゃなんですが、あなたを嵌(は)めようとした性悪だ。」
メイシーはニヤリと笑う。男臭い笑顔だ。
「性悪だから嫌いになるようでは、本当の恋ではありませんよ。」
この言葉にはギネスも面食らってしまった。
……成る程、これは大変な人物だ。
ギネスはすっかりメイシーに参ってしまった。メイシーには人を惹き付けるカリスマ性が備わっているようだ。
「お役に立てて幸いで。報酬は志(こころざし)のぶんだけ、股旅亭に届けておくんなさい。」
ギネスは「それでは」と手短に挨拶をして、メイシーの邸宅を出る。
門の外ではクリフとロッコが待っていてくれた。
明るいところで見れば、クリフは用心棒との戦いで細かな傷を負っているようだ。
……こっちも解決といくかね。
ギネスは2人にヘクターの事務所に向かうように頼み、ハンナが通う剣術道場に向かった。
…………
ギネスは道場に入る前に、チョイチョイと顔に水を掛ける……一見すると、いかにも大汗をかいているように見える。
そして道場に入ると、若い道場生にハンナへの取り次ぎを頼んだ。
ギネスは息も絶え絶えと言った風情でその場に腰を掛ける細かな演技を忘れない。
しばらくすると、ハンナが少し緊張しながら現れた。
ギネスが道場を訪ねるなど初めての事である……ただ事では無いと察したようだ。
「ハンナさん、兄貴が……」
ギネスは表情を消しながらハンナに向かい合う。
ハンナがハッとした顔でギネスを見た。
「クリフ!? クリフがどうしたの!?」
「兄貴が、手傷を負った……ヘクターさんの事務所に担ぎ込まれている。」
ハンナの顔がサッと青くなった。
「ハンナさん、頼む! 行ってやってくれ!」
ギネスが頭を下げるとハンナは放たれた矢のように駆け出した。素晴らしい健脚だ。
ギネスは何事かと集まり始めた道場生に「身内の急病で」と謝り、道場を出た。
身も世も無いほど狼狽えていたハンナの様子は気の毒ではあるが、ギネスは何一つ嘘は言っていない。
クリフが「手傷を負って、ヘクターの事務所にいる」のは事実なのだから。
……後は、良いようにおやんなさい。
ギネスは報告のために、いつもの酒場に向かった。
評議会議員と強いコネを作ったことで、冒険者組合(ギルド)の発足が後押しされたのは言うまでも無いだろう。
酒場のマスターもほくほくとエビス顔だ。
メイシーはその後、アイナを妾として迎え、産まれた子は猶子(ゆうし)(相続権の無い養子)として養ったという。
余談ではあるが、ギネスはクリフと仲直りしたハンナから散々に責められたが、クリフからは感謝されたようだ。
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