隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第3章 消えた街

第2話 不穏そして沈黙

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 せっかくお別れをしたと言うのに、ドルヴィンとレギも合流。
 さらに、腕に覚えのある冒険者も次々と集まってくる。

「ピルスル…何が起きているか分かるなら教えてくれるか?」
 俺が聞くとピルスルは正直に『わからない』と答えるのだった。

「可能性だけの話であれば『魔石の欠損による暴走が起きた』じゃな。
 この場合は、自然に出来る魔石は大きくとも1センチ程度、そこまで甚大な被害にはならんじゃろうからしばらく西へは行かぬように規制すれば良い。
 じゃが…儂にはあの者たちが何かしたのではないかとも思っておる」

 俺も全くの同意見である。
 たしかにあの場で大精霊ソフィアを退ける事はできたのだが、倒したと言うよりはどうも逃げていったような感じがして止まなかったからである。

「どちらにしても、様子を見に行く必要はありそうじゃの…」
「僕も付いていきます!」
 後ろからの唐突な申し出、この街でお別れのつもりであったレギである。

 レギも、王都まで一緒に行って色々と冒険に楽しみを感じたようであった。
 もちろんそれだけでなく、暴走が起きたようだと聞いて、この街を心配しての事であるのだが、それを聞く前から親に遠くまで冒険する事を頼み込んでいたのだった。

「ほならウチらも一緒に行こか」
「そうですわよね、気になりますし」
 ローズとミドも付いてくると言う、そして周りの冒険者たちとともにドルヴィンも。
「よし、俺も行くぞ!いいな?」
「ダメに決まっとるじゃろうが!」

 速攻でピルスルに止められてしまうのだった。誰が街を守るのだ?と。
 冒険者達にも『今は確認だけじゃ』と言って街に数名残るように命令していたのだ。
 辞めても元ギルド長であることは変わらない。誰も彼の命令に逆らうような真似はしなかった。

「じゃあ儂ら5人で確認に行って参る。
 万が一上位種の魔物でもいようものなら貴様らじゃ対処しきれまいからな!」
 ピルスルは念押しに、街を守ることを最優先に考える様ドルヴィンに申付けるのだった。

「わ、わかったよ爺さん。シュウ!お前らも絶対に無茶はすんなよな!」
 なんだか非常に冒険をしたそうで、悔しかったのかもしれない。ドルヴィンはそういう奴だ。

 『たまには冒険者らしい事やらしてやった方がいいんじゃないか?』とピルスルに聞いたら『儂は時々ダンジョンに出かけていたがのぉ?』と。
 今のドルヴィンにそんな余裕が無いことを知っていながら言っているようであった。

 ローズとレギの武器に関しては、ありふれた物しか用意できずにいたのだが、後方支援が必要という事でそのまま付いて来ることになった。

「一応合成して強化してあるから。すまんな、こんな装備しか用意できなくて」
 俺は、それぞれ(+4)(+5)が付いた装備品をいくつか手渡す。
 きっと嫌がるだろうと思った杖も、その時は素直に受け取っていたローズに少し驚いていたのだった。

「すまんが、あまり悠長にもしておられん。さっそく儂らは出発する。
 何かあったらお前達で出来る限り対処してくれ、今日中には戻るようにするからの!」
 ピルスルがその場を取りまとめ、俺たちは西のダンジョンに向け出発する事になった。

 【混沌の洞窟】そこは俺たちがソフィアに襲われた場所からわずか数キロ。
 複雑な地形が冒険者を惑わすというダンジョンであるものの、出てくる魔物はそう強くはない。どちらかといえば初心者向けであるのだが。
 俺たちがソフィアに出会ってからは、来ることを控える様に通達したダンジョンの内の一つでもあった。

 そして今回、1組の冒険者が戻らずに魔物が溢れ出る事となった。不穏な空気だけが俺たちを包み込み、自然と手を震わせてしまう。

「やっぱりあの女性なのでしょうか…?」
 そうレギが聞いたものだから、皆が考えたくない最悪を想像してしまうのだ。

「ウチはそんなんどうでもいいねん。リキングバウトさえ守れれば、な。
 あんま余計なこと言わんとってな、レギ」
 俺やピルスルは無言を貫いていたが、ローズは我慢ならずにレギに忠告する。
 『すいません…』とレギも返すものだから、ついに誰も喋らなくなり、この場の雰囲気はかなり悪いものになっていくのだった。
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