隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第3章 消えた街

第5話 ドロップ

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「ほなすぐに魔石を封印しに行こうや?」
「えぇ、魔水晶はギルドですわよね?」
 ローズとミドが駆けだして、レギもおろおろしながら後ろをついて行く。

「待てよ、まだ魔石の場所も分からなければ魔物を退ける方法も考えていない。
 無策で突っ込んだってどうにもならんだろ」

 俺は危険だからと2人を止めようとしたのだが。
「逆よバカ!時間が経つと魔物が増えすぎてどうにもならなくなるの。
 一刻も早く向かわなきゃ行けないのよ!」

 なるほど、そう言われればそうなのかもしれない。
 というか、俺は『バカ』と言われて少し傷ついてしまうのだった。

 ギルド前ではドルヴィンが数人の冒険者達に指示を出していた。
「ドルヴィンさん、魔水晶借りていくわね!」
 それだけ言うと、ミドとローズは中に入っていった。わけもわからず戸惑っているドルヴィンに、俺が簡単に説明をする。

 中を覗くと、モルツとヴァイツの二人が書類をまとめており、魔水晶は既にミドが持っている。
「じゃあ私達はこれを持って先に避難してるわね」
「えぇよろしくね、2人とも」
 どうやらそこではちゃっかり誤魔化しているようだ。恐ろしい子……。

「準備できたよ、シュウもレギも来てよね」
「あぁ、もちろんだ」
 ここまできたら2人に任せておくわけにもいくまい。
 ドルヴィンも『危険だから俺も!』と言うのだが、ミドが『街はどうすんのよ?それもギルド長の仕事よ!』と一括し、ドルヴィンは黙ってしまった。

「行こっ?ローズさん」
「そやなっ、急がな」
 焦る2人に『とにかく落ち着け』と言う。
ダンジョンに再び向かうのはわかったから、ちゃんと準備をしろ、と。

「なんなん?この街に大したアイテムもあらへんやん?」
「私達ちゃんと装備してるわよ?」
 2人とも、これ以上の装備品なんて無いからと言うので、俺はインベントリからアイテムを一つ取り出す。

【命の実®️】
「体力強化のアイテムだ。食べなくても手に持って使おうと念じれば身体に吸収されていく。
 1発もダメージを受けずになど無理だろうからなるべく使っておいてくれ」
 一つをミドに手渡し、あとの残りを一度ギルドに戻りテーブルに置いていった。

「こんな貴重なものどうしたのですか?」
 どうやらミドは、文献などで存在だけは知っているようである。
「こないだのスケルトン退治の時に手に入ったやつだ。たくさんあるけど、ピルスルの分も必要だろうから1人100個ちょっとくらいだな、一応ドルヴィンも使っといてくれ」

 皆が命の実を使用している最中に、先程手に入れたアイテムで使えそうなものは無いか確認をする。
 さすが上位種の魔物を何匹も倒したものだから、レアアイテムもいくつか手に入っているようだ。

【剛魔獣のローブ®️】
【ビーストワンド®️】
 この辺りは防御力と近接時の戦闘に便利そうだ。杖には周りの景色に溶け込む性能も若干あるようで、戦う敵の数を減らす事も出来る。
 ローブはいくつかあったので、合成して(+1)を3着用意した。俺は大して変わらないので今のままでいい。

【魔獣の笛®️】
 獣系の使役が出来るアイテムで召喚をする者用だから、これは完全にレギにしか扱えまい。
 出てくる獣は術者のレベルで変わるらしいが、俺たちより高いレベルの者などそういるとも思えないし期待ができる。

【エアロリング®️】
 素早さ向上の指輪だ。シンプルだが、3割の強化は大きい。
 こちらは2つしか無かったので、攻撃メインの俺とミドが着ける事になった。

「あとは……攻撃力強化の霊薬をドロップしてるから、これは俺が状況に応じて使おうと思う」
「シュウさん……なんでこんなに良い物ばかりドロップするのですか?」

 ミドも城の者とともにダンジョンへ行ったりするのだそうだが、上位種を倒してもこんなドロップは無いと言う。
 おそらく隠しスキルの効果で入手できたのだろうから、他の者が手に入るとは思えない。
 命の実の文献があるのだから、もしかしたらごく僅かに入手する可能性があるのかもしれないが。

「さぁな?運が良いのだろうよ。それに何十体と倒したんだから、これくらいはあっても良いじゃないか」
「せや、あれだけ倒したんやし宝石っ!」
 思い出したようにローズが手を出して待ち構えている。
 もちろん入手していた。
【ラピスラズリ】
【オパール】などなど。

 全部出すわけにもいかないので、とりあえず良さそうなものを10個ほど出しておいてやった。
「荷物になるから後は帰って来てからだ」
「なんや、やっぱぎょうさんドロップしてたんやん」
 宝石を受け取って喜んでいるローズ。
 ミドも覗き込んで『綺麗ですわね』なんて言ってた。

 多分ミドは普段から見慣れていると思うんだがなぁ。
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