5 / 55
1章 ダンジョンと少女
ステータスカード
しおりを挟む
『これでテバちゃんも依頼を受けられるわよ』
『これ……私のステータス……ですか?』
身寄りがないどころか、世界の常識すら忘れてしまったという設定の凍花に、親身になって色々と教えてくれたのがサラである。
採取をメインに生計を立てており、魔物との戦闘時にはキューブと呼ばれるもので魔法を使う冒険者。
数年前から村に住んでいる、若い女性。
26歳だと聞いた凍花は、結婚せずに気ままに冒険稼業で暮らす彼女を見て思うことがあったのだ。
銀色に輝くカードは、本人の意思で自由に出し入れができる。
手元から離れれば勝手に消え、出す時にはステータスを意識すれば良い。
曲がらず折れず、他人には触れられず。
それを手にした凍花は、改めて異世界に来たことを実感したのであった。
【レベル1】
よく知っている言葉。
それは現代の日本人ならばほぼ皆が理解できるものだろう。
「ステータスカードには、自分のランクとスキルが表示されるわ。
数値が高いほどランクが高くて、凄い人だと10に達してるっていう噂ね」
サラがそう言って自らのステータスカードを凍花に見せる。
そこにはレベル4の表記と、薬師の力というスキルを持っていることが記載されていた。
「ところでテバちゃん、身長って145センチくらい?」
「あ、そうです。よく低いって言われるんですよ」
「そうなの? まぁまだまだ成長するわよ。
……えっと、145センチただし成長期のため更新時は確認が必要……っと」
レベルという数値は、この世界では冒険者のランクとそのまま置き換えられるようである。
SランクAランク、銅級ミスリル級といった第三者の決めた曖昧な強さの基準ではなく、レベルが冒険者としてのランクを決定づける全てとなる。
要するに弱くてもレベルが上がればこの世界では強者。
そのことを知ると、現代知識を活かしてレベル上げやスキルの習得を行いたくなるのだろう。
凍花はそれらの疑問をサラに投げかけるが、期待していた回答を得ることは能わなかった。
スキルは最初に与えられる一つで全て。
魔物を倒して得られるエーテルとは魔法を使うためのエネルギー。
経験値や次のレベルまでの数値は不明で、攻撃力や防御力がわかるわけではない。
そして何より、凍花に与えられたスキルは『ポータル』である。
ゲーム上では転送や帰還するための装置、あるいはただの入り口として表記されることがある。
そしてステータスカードに表示されたスキルを意識することで、その使用方法がわかるのだが……
【ポータル:魔物の出現ポイント】
サラも興味津々でステータスカードを覗き込む。
「ふーん、スキルはポーターかぁ。
アレだよね、荷運びする職業。
滅多にいないみたいだけど、収納スキルとか持ってる人はめちゃくちゃ稼げるしねぇ」
怪しげなスキルを見られてしまい、本人に悪意はなくともドキッとするものである。
「え?あ、うん。
ポーターだけど収納スキルは無いみたい。
あまり実感はないけど、力でも強くなったのかなぁ?」
咄嗟にそれらしいことを言って、ステータスカードのスキル表記の部分を指で隠す凍花。
嘘を言いたくはなかったが、『魔物の出現ポイントです』とは言えそうもない。
自然と使い方も理解できるが、起きる出来事は魔物の出現である。
村の中で使えばどうなるか? では村の外で使うのかと問われれば答えはノー。
他人に護ってもらいながらでないと、恐ろしくて恐ろしくて……とても使えそうもなかった。
そして気付いたもう一つの事実があった。
「でも不思議なカード……
こういうのって異世界にありがちなミスリルとかオリハルコンみたいな金属なのかなぁ……?」
冒険者としての登録をサラが代わりに行ってくれる。
身体的特徴を記載するのは、写真のない世界では常套手段のようである。
その後ろで凍花はカードを繁々と眺めてある種の感動を覚えていたのだ。
不思議なそのカードは、まるで鏡のように辺りの景色を写している。
依頼書の大量に貼られた掲示板。
テーブルに座って地図を眺める3人組。
天井に空いた細長い穴は剣でも刺さったかの様。
よく見れば他にも丸い穴や焼けた部分もある。
そして疲れた表情の自身の顔だ。
「え、えぇぇー?!」
「ど、どうしたのテバちゃん」
ペタペタと自分の顔を触る凍花に、サラが心配そうに声をかける。
驚くのも無理はなかった。そしてそれまで気付かないのも無理はなかった。
当時の身長は142センチ程であったと記憶している。
当時からサイズは変わらず、悔しい気持ちだったこともある。
だが、思えばこの世界に来て腰の痛みは感じたことがない。
他にも色々と細かいところが確かに違っていた。
「子供じゃん……自分……」
そこには12、3歳と言われても仕方のない姿をした、過去の自身の姿が映し出されていたのであった。
『これ……私のステータス……ですか?』
身寄りがないどころか、世界の常識すら忘れてしまったという設定の凍花に、親身になって色々と教えてくれたのがサラである。
採取をメインに生計を立てており、魔物との戦闘時にはキューブと呼ばれるもので魔法を使う冒険者。
数年前から村に住んでいる、若い女性。
26歳だと聞いた凍花は、結婚せずに気ままに冒険稼業で暮らす彼女を見て思うことがあったのだ。
銀色に輝くカードは、本人の意思で自由に出し入れができる。
手元から離れれば勝手に消え、出す時にはステータスを意識すれば良い。
曲がらず折れず、他人には触れられず。
それを手にした凍花は、改めて異世界に来たことを実感したのであった。
【レベル1】
よく知っている言葉。
それは現代の日本人ならばほぼ皆が理解できるものだろう。
「ステータスカードには、自分のランクとスキルが表示されるわ。
数値が高いほどランクが高くて、凄い人だと10に達してるっていう噂ね」
サラがそう言って自らのステータスカードを凍花に見せる。
そこにはレベル4の表記と、薬師の力というスキルを持っていることが記載されていた。
「ところでテバちゃん、身長って145センチくらい?」
「あ、そうです。よく低いって言われるんですよ」
「そうなの? まぁまだまだ成長するわよ。
……えっと、145センチただし成長期のため更新時は確認が必要……っと」
レベルという数値は、この世界では冒険者のランクとそのまま置き換えられるようである。
SランクAランク、銅級ミスリル級といった第三者の決めた曖昧な強さの基準ではなく、レベルが冒険者としてのランクを決定づける全てとなる。
要するに弱くてもレベルが上がればこの世界では強者。
そのことを知ると、現代知識を活かしてレベル上げやスキルの習得を行いたくなるのだろう。
凍花はそれらの疑問をサラに投げかけるが、期待していた回答を得ることは能わなかった。
スキルは最初に与えられる一つで全て。
魔物を倒して得られるエーテルとは魔法を使うためのエネルギー。
経験値や次のレベルまでの数値は不明で、攻撃力や防御力がわかるわけではない。
そして何より、凍花に与えられたスキルは『ポータル』である。
ゲーム上では転送や帰還するための装置、あるいはただの入り口として表記されることがある。
そしてステータスカードに表示されたスキルを意識することで、その使用方法がわかるのだが……
【ポータル:魔物の出現ポイント】
サラも興味津々でステータスカードを覗き込む。
「ふーん、スキルはポーターかぁ。
アレだよね、荷運びする職業。
滅多にいないみたいだけど、収納スキルとか持ってる人はめちゃくちゃ稼げるしねぇ」
怪しげなスキルを見られてしまい、本人に悪意はなくともドキッとするものである。
「え?あ、うん。
ポーターだけど収納スキルは無いみたい。
あまり実感はないけど、力でも強くなったのかなぁ?」
咄嗟にそれらしいことを言って、ステータスカードのスキル表記の部分を指で隠す凍花。
嘘を言いたくはなかったが、『魔物の出現ポイントです』とは言えそうもない。
自然と使い方も理解できるが、起きる出来事は魔物の出現である。
村の中で使えばどうなるか? では村の外で使うのかと問われれば答えはノー。
他人に護ってもらいながらでないと、恐ろしくて恐ろしくて……とても使えそうもなかった。
そして気付いたもう一つの事実があった。
「でも不思議なカード……
こういうのって異世界にありがちなミスリルとかオリハルコンみたいな金属なのかなぁ……?」
冒険者としての登録をサラが代わりに行ってくれる。
身体的特徴を記載するのは、写真のない世界では常套手段のようである。
その後ろで凍花はカードを繁々と眺めてある種の感動を覚えていたのだ。
不思議なそのカードは、まるで鏡のように辺りの景色を写している。
依頼書の大量に貼られた掲示板。
テーブルに座って地図を眺める3人組。
天井に空いた細長い穴は剣でも刺さったかの様。
よく見れば他にも丸い穴や焼けた部分もある。
そして疲れた表情の自身の顔だ。
「え、えぇぇー?!」
「ど、どうしたのテバちゃん」
ペタペタと自分の顔を触る凍花に、サラが心配そうに声をかける。
驚くのも無理はなかった。そしてそれまで気付かないのも無理はなかった。
当時の身長は142センチ程であったと記憶している。
当時からサイズは変わらず、悔しい気持ちだったこともある。
だが、思えばこの世界に来て腰の痛みは感じたことがない。
他にも色々と細かいところが確かに違っていた。
「子供じゃん……自分……」
そこには12、3歳と言われても仕方のない姿をした、過去の自身の姿が映し出されていたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる