私がモンスター発生源?! 〜異世界で考えたさいきょうの魔物育成計画〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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1章 ダンジョンと少女

ステータスカード

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『これでテバちゃんも依頼クエストを受けられるわよ』
『これ……私のステータス……ですか?』

 身寄りがないどころか、世界の常識すら忘れてしまったという設定の凍花に、親身になって色々と教えてくれたのがサラである。

 採取をメインに生計を立てており、魔物との戦闘時にはキューブと呼ばれるもので魔法を使う冒険者。
 数年前から村に住んでいる、若い女性。
 26歳だと聞いた凍花は、結婚せずに気ままに冒険稼業で暮らす彼女を見て思うことがあったのだ。

 銀色に輝くカードは、本人の意思で自由に出し入れができる。
 手元から離れれば勝手に消え、出す時にはステータスを意識すれば良い。
 曲がらず折れず、他人ひとには触れられず。
 それを手にした凍花は、改めて異世界に来たことを実感したのであった。

 【レベル1】

 よく知っている言葉。
 それは現代の日本人ならばほぼ皆が理解できるものだろう。
「ステータスカードには、自分のランクとスキルが表示されるわ。
 数値が高いほどランクが高くて、凄い人だと10に達してるっていう噂ね」
 サラがそう言って自らのステータスカードを凍花に見せる。
 そこにはレベル4の表記と、薬師の力というスキルを持っていることが記載されていた。

「ところでテバちゃん、身長って145センチくらい?」
「あ、そうです。よく低いって言われるんですよ」
「そうなの? まぁまだまだ成長するわよ。
 ……えっと、145センチただし成長期のため更新時は確認が必要……っと」

 レベルという数値は、この世界では冒険者のランクとそのまま置き換えられるようである。
 SランクAランク、銅級ミスリル級といった第三者の決めた曖昧な強さの基準ではなく、レベルが冒険者としてのランクを決定づける全てとなる。

 要するに弱くてもレベルが上がればこの世界では強者。
 そのことを知ると、現代知識を活かしてレベル上げやスキルの習得を行いたくなるのだろう。
 凍花はそれらの疑問をサラに投げかけるが、期待していた回答を得ることは能わなかった。

 スキルは最初に与えられる一つで全て。
 魔物を倒して得られるエーテルとは魔法を使うためのエネルギー。
 経験値や次のレベルまでの数値は不明で、攻撃力や防御力がわかるわけではない。

 そして何より、凍花に与えられたスキルは『ポータル』である。
 ゲーム上では転送や帰還するための装置、あるいはただの入り口として表記されることがある。
 そしてステータスカードに表示されたスキルを意識することで、その使用方法がわかるのだが……

【ポータル:魔物の出現ポイント】

 サラも興味津々でステータスカードを覗き込む。
「ふーん、スキルはポーターかぁ。
 アレだよね、荷運びする職業。
 滅多にいないみたいだけど、収納スキルとか持ってる人はめちゃくちゃ稼げるしねぇ」
 怪しげなスキルを見られてしまい、本人に悪意はなくともドキッとするものである。

「え?あ、うん。
 ポーターだけど収納スキルは無いみたい。
 あまり実感はないけど、力でも強くなったのかなぁ?」
 咄嗟にそれらしいことを言って、ステータスカードのスキル表記の部分を指で隠す凍花。
 嘘を言いたくはなかったが、『魔物の出現ポイントです』とは言えそうもない。

 自然と使い方も理解できるが、起きる出来事は魔物の出現である。
 村の中で使えばどうなるか? では村の外で使うのかと問われれば答えはノー。
 他人に護ってもらいながらでないと、恐ろしくて恐ろしくて……とても使えそうもなかった。

 そして気付いたもう一つの事実があった。

「でも不思議なカード……
 こういうのって異世界にありがちなミスリルとかオリハルコンみたいな金属なのかなぁ……?」

 冒険者としての登録をサラが代わりに行ってくれる。
 身体的特徴を記載するのは、写真のない世界では常套手段のようである。
 その後ろで凍花はカードを繁々と眺めてある種の感動を覚えていたのだ。
 不思議なそのカードは、まるで鏡のように辺りの景色を写している。

 依頼書の大量に貼られた掲示板。
 テーブルに座って地図を眺める3人組。
 天井に空いた細長い穴は剣でも刺さったかの様。
 よく見れば他にも丸い穴や焼けた部分もある。
 そして疲れた表情の自身の顔だ。

「え、えぇぇー?!」
「ど、どうしたのテバちゃん」

 ペタペタと自分の顔を触る凍花に、サラが心配そうに声をかける。
 驚くのも無理はなかった。そしてそれまで気付かないのも無理はなかった。

 当時の身長は142センチ程であったと記憶している。
 当時からサイズは変わらず、悔しい気持ちだったこともある。
 だが、思えばこの世界に来て腰の痛みは感じたことがない。
 他にも色々と細かいところが確かに違っていた。

「子供じゃん……自分……」

 そこには12、3歳と言われても仕方のない姿をした、過去の自身の姿が映し出されていたのであった。
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