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1章 ダンジョンと少女
ゴーレムダンジョン
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「この森を越えたところに大きな街があるわ。
大会が近いって話だし、この村のテイマー代表で出場しちゃったら良いんじゃないかい?」
そんなことを教えて、マリアは凍花たちを見送っていた。
ただし、道中にはストーンゴーレムが多く出現して徒歩で進むのはオススメしていないことも言っていた。
通常であれば馬車で駆け抜けて、魔物の視界に入らないほどにさっさと離れてしまうそうだ。
そう教えられた通り、歩いて少し進んだところから魔物の数は一気に増え始める。
ただ、ストーンゴーレムの行動パターンは割とシンプルで、作戦を練りに練った凍花の敵ではなくなってしまう。
「よしっ、今がチャンスだよラビ!」
「わ、わかりました!」
人前であまりに喋らないものだから、話し方を忘れたのかと思うほどに心配してしまう。
やはり人間に対して緊張か不安な気持ちはあるのであろう。
「た、倒せました。
もう5匹も戦っているのに全然大丈夫みたいです」
ラビが心配しているのはストーンゴーレムの反撃である。
しかしそれはスキルの効果で間違いないと思われるのだ。
「スライムが消えるのは、スライム自身の攻撃が反射されたからだよ。
だから、それが起きてからしばらくは攻撃を跳ね返される心配は無し。
どう、我ながら完璧な作戦じゃん?」
現代日本では戦闘といえば頭脳戦。
殴り合いや決闘など、子供の頃にしか見たことがない。
ゲームのレベル上げなどそれほど経験はないが、コツを掴めば楽しくないこともない。
「でも本当に多いです。
お姉ちゃんに教えてもらわなかったら私には勝てなかったです……」
ラビは素早さ特化で攻撃力自体はそれほど高くない。
リンクスキルが他のステータスも底上げしているらしいのだが、それでもパンテラにステータスを最大限割り振った時と同じくらいに感じてしまった。
まぁそもそも魔物ではないのだし、強さの基準はステータス以外にもある。
しかもそれを言い出した場合の凍花の強さは最低ランクのスライム以下となる。
「私たちが魔法とかスキルを使えるみたいに、魔物も同じ条件で戦ってるの。
コツはお互いの考えてることを第三者目線になって考えることよ」
偉そうに口弁を垂れる凍花だが、以前上司に言われた説教を口にしているだけである。
そしてラビには魔物を倒す自信を持ってもらっていた。
時に、魔物は何故人間を襲うのであろうか?
いや、人間だけではなくラビに対しても同じ反応を見せている魔物に、疑問を抱き始めていた。
明確に何が引っかかるというのではないが、同じ魔物同士で争う場面は見たことがない。
それもまた俯瞰的に戦いを見て感じたこと。
もし自身がダンジョンの核だとしたら、何をすることが正解なのか?
生存と繁栄だけでなく、戦いにもまた意味があるのだろうか?
それを考えた時、凍花の脳裏には考えたくない一つの可能性が浮かんでいた。
「ううん……本当馬鹿らしい。
それこそゲームの世界じゃん。ありえない」
我ながら呆れてしまうと、ため息を吐いた凍花。
その間にもスライムとラビの連携によるストーンゴーレム討伐は続く。
「お姉ちゃん、あそこに誰かいるみたい」
ラビはこのところお姉ちゃんと呼ぶ。
それは距離感が縮まった証なのだろう。
その頃にリンクスキルが強まったのだから、関係性があるのは確実のようである。
「って……さすがに冒険者だよね。
やっぱり、この世界ってどこにでもいるんだねぇ」
ストーンゴーレムと戦う若い男の姿があり、凍花は顔を見られないように来た道を引き返そうとする。
ところが、冒険者の背後からはもう1匹のストーンゴーレム。
それに気付いたラビは、咄嗟のことに叫んでしまう。
「後ろ危ないっ!」
ストーンゴーレムの動きは非常に遅いので、気付いていれば避けることは難しくはないのだろう。
しかし、冒険者が声に気付いてラビを見ていたのだ。
背後からやってくる魔物に気付いてくれるどころか、ラビを見て固まってしまうのだから困る。
2体の魔物のどちらも相手にするのは、状況的にかなり辛いだろう。
堪らず凍花も声を荒らげてしまう。
「後ろにストーンゴーレムがいるんだってば!」
その声でようやく状況を理解したのか、冒険者の男は首を大きく後ろに捻ったのだが、すでに魔物はすぐそこまで来ていた。
「危ないっ!」
そんな凍花の声が先か、それともラビの行動が先か。
その距離およそ10メートル。
ラビの脚力でも間に合うはずがない。
冒険者が背後の魔物の体当たりを受けて倒れると、もう一体の魔物もジリジリと冒険者に迫ってくる。
そこにようやく辿り着いたラビが飛びかかる。
「やぁぁぁっ!」
肉球でのパンチがどれほどのものかと思ってはいたが、これが想像以上の破壊力を秘めている。
さすがは獣かと思うわけだが……
「ラビ、ダメっ! そっちは!」
背後にいたストーンゴーレムはまだスキルを使用していない。
『パンッ』と軽く弾けるような音がして、吹き飛んだのはラビの身体の方である。
凍花の声は惜しくもラビに届きはしなかったのだ……
大会が近いって話だし、この村のテイマー代表で出場しちゃったら良いんじゃないかい?」
そんなことを教えて、マリアは凍花たちを見送っていた。
ただし、道中にはストーンゴーレムが多く出現して徒歩で進むのはオススメしていないことも言っていた。
通常であれば馬車で駆け抜けて、魔物の視界に入らないほどにさっさと離れてしまうそうだ。
そう教えられた通り、歩いて少し進んだところから魔物の数は一気に増え始める。
ただ、ストーンゴーレムの行動パターンは割とシンプルで、作戦を練りに練った凍花の敵ではなくなってしまう。
「よしっ、今がチャンスだよラビ!」
「わ、わかりました!」
人前であまりに喋らないものだから、話し方を忘れたのかと思うほどに心配してしまう。
やはり人間に対して緊張か不安な気持ちはあるのであろう。
「た、倒せました。
もう5匹も戦っているのに全然大丈夫みたいです」
ラビが心配しているのはストーンゴーレムの反撃である。
しかしそれはスキルの効果で間違いないと思われるのだ。
「スライムが消えるのは、スライム自身の攻撃が反射されたからだよ。
だから、それが起きてからしばらくは攻撃を跳ね返される心配は無し。
どう、我ながら完璧な作戦じゃん?」
現代日本では戦闘といえば頭脳戦。
殴り合いや決闘など、子供の頃にしか見たことがない。
ゲームのレベル上げなどそれほど経験はないが、コツを掴めば楽しくないこともない。
「でも本当に多いです。
お姉ちゃんに教えてもらわなかったら私には勝てなかったです……」
ラビは素早さ特化で攻撃力自体はそれほど高くない。
リンクスキルが他のステータスも底上げしているらしいのだが、それでもパンテラにステータスを最大限割り振った時と同じくらいに感じてしまった。
まぁそもそも魔物ではないのだし、強さの基準はステータス以外にもある。
しかもそれを言い出した場合の凍花の強さは最低ランクのスライム以下となる。
「私たちが魔法とかスキルを使えるみたいに、魔物も同じ条件で戦ってるの。
コツはお互いの考えてることを第三者目線になって考えることよ」
偉そうに口弁を垂れる凍花だが、以前上司に言われた説教を口にしているだけである。
そしてラビには魔物を倒す自信を持ってもらっていた。
時に、魔物は何故人間を襲うのであろうか?
いや、人間だけではなくラビに対しても同じ反応を見せている魔物に、疑問を抱き始めていた。
明確に何が引っかかるというのではないが、同じ魔物同士で争う場面は見たことがない。
それもまた俯瞰的に戦いを見て感じたこと。
もし自身がダンジョンの核だとしたら、何をすることが正解なのか?
生存と繁栄だけでなく、戦いにもまた意味があるのだろうか?
それを考えた時、凍花の脳裏には考えたくない一つの可能性が浮かんでいた。
「ううん……本当馬鹿らしい。
それこそゲームの世界じゃん。ありえない」
我ながら呆れてしまうと、ため息を吐いた凍花。
その間にもスライムとラビの連携によるストーンゴーレム討伐は続く。
「お姉ちゃん、あそこに誰かいるみたい」
ラビはこのところお姉ちゃんと呼ぶ。
それは距離感が縮まった証なのだろう。
その頃にリンクスキルが強まったのだから、関係性があるのは確実のようである。
「って……さすがに冒険者だよね。
やっぱり、この世界ってどこにでもいるんだねぇ」
ストーンゴーレムと戦う若い男の姿があり、凍花は顔を見られないように来た道を引き返そうとする。
ところが、冒険者の背後からはもう1匹のストーンゴーレム。
それに気付いたラビは、咄嗟のことに叫んでしまう。
「後ろ危ないっ!」
ストーンゴーレムの動きは非常に遅いので、気付いていれば避けることは難しくはないのだろう。
しかし、冒険者が声に気付いてラビを見ていたのだ。
背後からやってくる魔物に気付いてくれるどころか、ラビを見て固まってしまうのだから困る。
2体の魔物のどちらも相手にするのは、状況的にかなり辛いだろう。
堪らず凍花も声を荒らげてしまう。
「後ろにストーンゴーレムがいるんだってば!」
その声でようやく状況を理解したのか、冒険者の男は首を大きく後ろに捻ったのだが、すでに魔物はすぐそこまで来ていた。
「危ないっ!」
そんな凍花の声が先か、それともラビの行動が先か。
その距離およそ10メートル。
ラビの脚力でも間に合うはずがない。
冒険者が背後の魔物の体当たりを受けて倒れると、もう一体の魔物もジリジリと冒険者に迫ってくる。
そこにようやく辿り着いたラビが飛びかかる。
「やぁぁぁっ!」
肉球でのパンチがどれほどのものかと思ってはいたが、これが想像以上の破壊力を秘めている。
さすがは獣かと思うわけだが……
「ラビ、ダメっ! そっちは!」
背後にいたストーンゴーレムはまだスキルを使用していない。
『パンッ』と軽く弾けるような音がして、吹き飛んだのはラビの身体の方である。
凍花の声は惜しくもラビに届きはしなかったのだ……
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