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1章 ダンジョンと少女
間話 スライムダンジョン
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「サラ、そっちはどうだ?」
「うーん……特に変わった様子は無かったけど。
アレンの方もスライムしかいなかったの?」
「あぁ。前に来た時もコアは見つからなかったが。
……『秘匿クエ』とか言わないよな」
「冗談言わないでよアレン。
こんなエーテルの薄い地域に絶級ダンジョンなんて聞いたこと無いわ」
ダンジョンというのは、エーテルが濃く発生して生み出される魔物の発生地点。
しかし、その歴史は長く、ダンジョンにも様々な種類が存在することが知られている。
特に変わったこともなく、弱い魔物が生み出されるものをスライムばかりの食えないダンジョン『スラクエ』と呼ばれる。
そして中級上級とダンジョンに出る魔物によってランクがつけられていくのだ。
中級以降はスラクエに倣って『リザクエ』『ドラクエ』などと呼ばれることが多い。
しかし、中には中級上級とも違う変わったダンジョンが生まれることがあるのだ。
「山向こうにあるゴレクエが絶級認定されているくらいだ。
別にこの村に現れても不思議じゃないだろう」
「それは……そうだけど。
あっちはダンジョン自体が見つからないからでしょ?
ここはきっと、機能していないダンジョンにスライムが棲みついただけだってば」
絶級ダンジョンに魔物の強さはあまり関係がない。
とにかくコアを破壊することが困難で、対策が難しいものを絶級と位置付けているからである。
もちろん中にはコアの場所もわかっていて絶級認定されているものもある。
それが『無上クエ』と呼ばれる山頂の大洞窟。
時折舞う、空に浮かぶ大きな影が人々を震え上がらせる。
とある街では、その影は怒りの象徴であるとされ、事あるごとにダンジョンへ供物が運ばれているそうである。
「ねぇアレン。最近こんなダンジョンばっかりじゃない?
この間もレプロばかり出てきて、やっと見つけたと思った洞窟は空っぽだったし。
ーーわかった! ダンジョンが力を失いつつあるんじゃない?
だからここもコアが無いんだよ」
短剣を鞘に収めてにこやかに話すサラ。
しかし、そうではないことはサラもわかっていた。
「そりゃあ俺も魔物がいなくなるなら助かるが……
変異種の話もあるしな。良くないことが起きる前兆じゃなければいいが」
「変異種ねぇ……
てばちゃんが連れてきたって言ってたね。何か被害はあったの?」
「詳しくは知らんが、ロゼッタさんが被害者だったって噂だぜ。
本人は何も覚えていないって言っているし、服が破れてるくらいで外傷も無いから追求はされなかったっぽいけどな」
ギルド長による聞き取りもあったが、記憶喪失というわけでもなく、どうやら本当に一瞬しか姿を見ていなかったということである。
「ふぅん……
でもまぁ何も無くて良かったよ。
てばちゃんは災厄を連れてきたんじゃなくて、この村から連れ出してくれたのかな?」
「なるほどな。だったら、あの子と出会ったこの洞窟は、村を守るてばちゃんダンジョンだったってわけだ。
じゃあもう一つのダンジョンが実は絶級だったんじゃねえか?」
「うげ、マジで?
じゃあ下手したら私死んでたかな?
……マジ、てばちゃんに感謝だわ」
変異種が嫌われている理由は、災厄を招くというだけでなく、実はその行動パターンにあるのだろう。
「あはは。しっかし、今頃どこにいるんだろうな?
戻ってきたら礼を言ってやれよ、サラ」
「うーん……でも変異種と一緒にいたら複雑な心境だなぁ」
「いやいや、いくらなんでもさすがにそれは無いんじゃないか?」
人々から力を奪うために襲うだけの魔物とは違い、変異種は力を漏らすことなく吸い取る。
ダンジョンにとって必要なことかもしれないが、噂では生きたままダンジョンに取り込まれたり、思考できなくして別の獲物を狩りに行かせたり。
ひどい話では、他の者の前でゆっくりと痛めつけて一人ずつ食べていくのだという。
無論、魔物であるやつらに情けなどなく、子供が餌に使えると知れば積極的にそれを使おうとするのだ。
改めて変異種の話を思い出した二人は、それ以上は口にすることなく村へと戻るのであった。
「うーん……特に変わった様子は無かったけど。
アレンの方もスライムしかいなかったの?」
「あぁ。前に来た時もコアは見つからなかったが。
……『秘匿クエ』とか言わないよな」
「冗談言わないでよアレン。
こんなエーテルの薄い地域に絶級ダンジョンなんて聞いたこと無いわ」
ダンジョンというのは、エーテルが濃く発生して生み出される魔物の発生地点。
しかし、その歴史は長く、ダンジョンにも様々な種類が存在することが知られている。
特に変わったこともなく、弱い魔物が生み出されるものをスライムばかりの食えないダンジョン『スラクエ』と呼ばれる。
そして中級上級とダンジョンに出る魔物によってランクがつけられていくのだ。
中級以降はスラクエに倣って『リザクエ』『ドラクエ』などと呼ばれることが多い。
しかし、中には中級上級とも違う変わったダンジョンが生まれることがあるのだ。
「山向こうにあるゴレクエが絶級認定されているくらいだ。
別にこの村に現れても不思議じゃないだろう」
「それは……そうだけど。
あっちはダンジョン自体が見つからないからでしょ?
ここはきっと、機能していないダンジョンにスライムが棲みついただけだってば」
絶級ダンジョンに魔物の強さはあまり関係がない。
とにかくコアを破壊することが困難で、対策が難しいものを絶級と位置付けているからである。
もちろん中にはコアの場所もわかっていて絶級認定されているものもある。
それが『無上クエ』と呼ばれる山頂の大洞窟。
時折舞う、空に浮かぶ大きな影が人々を震え上がらせる。
とある街では、その影は怒りの象徴であるとされ、事あるごとにダンジョンへ供物が運ばれているそうである。
「ねぇアレン。最近こんなダンジョンばっかりじゃない?
この間もレプロばかり出てきて、やっと見つけたと思った洞窟は空っぽだったし。
ーーわかった! ダンジョンが力を失いつつあるんじゃない?
だからここもコアが無いんだよ」
短剣を鞘に収めてにこやかに話すサラ。
しかし、そうではないことはサラもわかっていた。
「そりゃあ俺も魔物がいなくなるなら助かるが……
変異種の話もあるしな。良くないことが起きる前兆じゃなければいいが」
「変異種ねぇ……
てばちゃんが連れてきたって言ってたね。何か被害はあったの?」
「詳しくは知らんが、ロゼッタさんが被害者だったって噂だぜ。
本人は何も覚えていないって言っているし、服が破れてるくらいで外傷も無いから追求はされなかったっぽいけどな」
ギルド長による聞き取りもあったが、記憶喪失というわけでもなく、どうやら本当に一瞬しか姿を見ていなかったということである。
「ふぅん……
でもまぁ何も無くて良かったよ。
てばちゃんは災厄を連れてきたんじゃなくて、この村から連れ出してくれたのかな?」
「なるほどな。だったら、あの子と出会ったこの洞窟は、村を守るてばちゃんダンジョンだったってわけだ。
じゃあもう一つのダンジョンが実は絶級だったんじゃねえか?」
「うげ、マジで?
じゃあ下手したら私死んでたかな?
……マジ、てばちゃんに感謝だわ」
変異種が嫌われている理由は、災厄を招くというだけでなく、実はその行動パターンにあるのだろう。
「あはは。しっかし、今頃どこにいるんだろうな?
戻ってきたら礼を言ってやれよ、サラ」
「うーん……でも変異種と一緒にいたら複雑な心境だなぁ」
「いやいや、いくらなんでもさすがにそれは無いんじゃないか?」
人々から力を奪うために襲うだけの魔物とは違い、変異種は力を漏らすことなく吸い取る。
ダンジョンにとって必要なことかもしれないが、噂では生きたままダンジョンに取り込まれたり、思考できなくして別の獲物を狩りに行かせたり。
ひどい話では、他の者の前でゆっくりと痛めつけて一人ずつ食べていくのだという。
無論、魔物であるやつらに情けなどなく、子供が餌に使えると知れば積極的にそれを使おうとするのだ。
改めて変異種の話を思い出した二人は、それ以上は口にすることなく村へと戻るのであった。
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