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帝国と王国の交声曲《カンタータ》
試される力
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「ちょ、ちょっとレン!?いきなり何を!?」
私の言葉が予想外だったのか、フィルが私の方へ振り向き声を上げる。
「何って、話の流れ的にそうなるのが自然かな~と思ったから
言っただけなんだけど、そんなに驚く事かな?
あの人達から見たら、私って正体不明の塊みたいなものだし」
そう、レベルやステータスって強さの基準が目に見えるらしいこの世界では
相手の実力を判別するのはそう難しくない。
けど、何度も言われてる様に私に関してはその表記がレベル0《SystemError》
なのでそれが当てはまらない、となると依頼を出す側が実力を知りたいって
言うのは当然の事ではあるんだよね。
「察しがよくて助かるよ、まさか先に言われるとは思わなかったけどね」
ロテールさんは表情を崩して言う。
そしてフィルの方へ視線を移し
「勿論加減はするし、僕に勝つ必要なんてない
当然、彼女の安全には最大限配慮させて貰うつもりだよ
それでも彼女の事が心配かな?」
ロテールさんはフィルの不安を払拭させるように顔を近づけ優しく語り掛ける。
………余りにも自然な仕草だし、恐らく本人にそのつもりは無いんだろうけど
イケメンがそんな仕草をしたら女の子を口説いてる様にしか見えないんだよね。
「ロティ…貴方また………」
真面目な表情をしてたレティツィアさんもなんか呆れた表情で
小さくため息吐きながら呟いちゃってるし。
何か結構な数の女の子を勘違いさせてそうだなぁこの人
いわゆる天然ジゴロって奴っぽい。
………けど、うちの神官様がそんな仕草で顔色一つ変える筈も無く
「想い人を心配するに何か理由が必要ですか?」
と、若干ジト目気味の表情で言い放つ。
余りの予想外の発言だったのか、ロテールさんは一瞬きょとんとした表情の後
「………そっか、確かにそれはそうだね」
フィルの言い分に納得したのか、顔を引いて笑顔を見せる。
「君の気持ちは理解したけど、僕達も引く訳にはいかないんだ
この件は早急に解決しないといけない事柄だし
はっきり言うけど、君達以上にこの件に関しての適任者はいないと思ってる
だからこそ、不確定要素は排除しておきたいんだ」
まぁ、それは確かにね。
私達なら多少の偽装で相手の懐へ潜り込むことは可能だろうし
恐らく高い確率で戦闘にもなるだろうから、戦闘もこなせる私達が
この依頼に適任だよね。
――――そもそも、女性を攫って好き放題する連中をどうにかするって話の時点で
私にこれを拒否する選択なんて無いんだけどね。
なので一先ずフィルを安心させたげないと。
「大丈夫だよフィル、正直言って私とロテール卿じゃ実力差が在り過ぎて
私に怪我をさせる方が難しい位だよ、それに………」
我ながらいつもズルいと思うけど、ここでも殺し文句を使わせて貰うね、フィル。
「仮に私がどんな怪我をしたってフィル絶対治してくれるでしょ?
なら、何も心配する事なんて無いよね」
そう言って私はにこりと笑う、そして一瞬の静寂の後
「はぁ………ほんっとにズルいんだからレンは
そう言われたら私がレンを止めるなんて出来なくなるの分かってるのに
そんな事ばっかり言うんだから」
はぁ、と大きなため息を吐きながらフィルは愚痴った後、苦笑を見せる。
「あはははは、いつものやり取りだけど何度見ても楽しいね~
ほんっと、フィルミールお姉ちゃんてレンお姉ちゃん一筋なんだから~♪」
マリスの茶化しにフィルが睨み返す。
………うん、これもいつものパターンだね。
私はいつもの喧嘩を尻目にロテールさんに向き直し
「ロテール卿、提案を受けさせて頂きます
ですが私の力を見ると仰った以上、私に配慮など無用です
何卒、全力でお願いします」
そう言って頭を下げる。
………私自身は強くなる事に愉悦感や悦びを感じた事は無いけど
格上の力量を知る事は私の実力アップにもつながる、そうすれば
多少はみんなの足を引っ張る事も少なくなるかもしれない。
そう考えればこれは相当なチャンスだ、それを逃す手はない。それに………
「リーゼ、私とロテール卿との戦いをよく見ててね
多分、リーゼが1番知りたいと思う格上との戦い方の一例を
見せてあげることが出来ると思うから」
そう言ってずっと静観していたリーゼに告げる。
「格上、ですか………確かにその人間達からは強烈な力を感じています
まるで最強と呼ばれた我が姉に勝るとも劣ら無い程の力を………」
ん?リーゼってお姉ちゃんいたんだ、しかも最強って………
そう言えばリーゼのプライベートな話って殆どしてないね。
今度世間話の延長で聞いてみようかな。
「個人的には、人の身でもそこまでの力を持つことが出来る事実に興味はあります
なれば、どのような戦いを行うのか身をもって体感したい所ではありますが
………恐らく、今の我では歯牙にもかけられないでしょう」
リーゼは若干悔しそうな表情を見せながら言う。
そりゃそうだよね、力こそが正義のドラゴンからしてみれば
自分よりずっと脆弱な筈の人間の方が強いって屈辱以外の何物でも無いんだから。
「なのでマスター、その格上との戦い方とやらを勉強させて頂きます」
そう言ってリーゼは私にぺこりと頭を下げる。
うん、これで私だけでなくリーゼにとってもいい勉強になりそうだね。
私は少しだけリーザの頭を撫でた後、ロテールさんへ向き直し
「………それではロテール卿、始めましょうか
私の力を確かめたいと仰られましたからには
それなりの覚悟をしていただきたいですね」
そう口にして、私はこの世界に来て初めて純粋に「殺気」を込めた
視線をロテールさんに向ける
正直言って今の私は本気で戦えない状態ではあるのだけど、力を見せろと言われた以上今の全力を見せるしかない。
――――だから、私はあの人を■■するつもりで戦おう。
私が発した殺気に先程とは全く別種の緊張感が走る。
「………っ!?」
その雰囲気に触発されたのかレティツィアさんが思わず席を立つ。
「レ…レン?」
普段とは全く違う雰囲気を纏う私に隣にいたフィルが戸惑いの声を上げる。
マリスとリーゼの戸惑った視線も感じる、恐らくフィルと同じくらい
驚いてるんだろうね。
「これはまた………君の姿に似つかわしくない程の殺気だね
いや、むしろこっちが本来の君なのかな?」
そんな私の殺気を真っ向から受け止め、ロテールさんは若干眉を上げたものの
笑みを崩さず私に語り掛けて来る。
………まぁ今の実力差なら余裕を崩せ無くても当然かな、悔しいけど。
「けど、流石にここで戦うのは都合が悪いから場所を変えさせて貰うよ
そのままで構わないからついて来てくれるかな」
ロテールさんはそう言ってくるりと背を向け、部屋から出て行く。
完全に臨戦態勢の私に平気で背を向けるなんて、大胆なんだか
私の事を甘く見てるのか、それともそれだけ自分の実力に自信があるのか………
まぁどれかにせよ、私は後ろについて歩くしかないんだけどね。
その後に仲間達と、そしてレティツィアさんがついてくる。
列の先頭と殿を歩く至高騎士と、その間に挟まって
殺気を放ってる小娘とその他数人って言う異様な光景に兵士達から驚愕の目で
見られながらも、私達はロテールさんの後をついて行った………
………
………………
………………………
「さて、ここなら遠慮なしで君の力を見せて貰えるかな」
砦内を5分くらい歩いて案内された場所は、砦の外にある
運動場みたいな広場だった。
………恐らくここは鍛練場なんだろう、なんか打ち込み用の木人っぽいものが
いくつか立ってるし、多分トレーニング器具っぽいものもあちこちに置かれてる。
下は砂、少し掬ってみると結構きめ細かいね。
踏鳴を入れるのにも問題は無さそうだし、目潰しにも使えそうだ
………まぁ、目潰しは今回やんないけど。
とは言え、戦う前に聞いておきたい事があるんだよね。
「………ですね、それと1つ確認を取りたいのですが」
「ん?何だい?」
「私の戦い方はおよそ騎士達が重んじる、『誇りある戦い』とはある意味
対極な代物です、貴方達にとって所謂『卑怯』と見える行動もしますが
それでも宜しいですか?」
私の言葉にロテールさんが少し驚いた顔をする、けどこれは
聞いておかないといけない事柄だ。
元の世界でも、腕に自信がある人が自分のルール外の戦いをされて惨敗し
相手を卑怯呼ばわりする事が多々あった、そう言う人は絶対に相手を認めない。
それで面倒な事態になった事がそこそこあったんだよね………
正直言って私の戦い方はダーティー寄りだ、ぶっちゃけ正々堂々なんて
胸を張って言えたものじゃない、その辺りに難癖付けられて
お前の力を認めない、なんて言われたらたまったものじゃないからね。
「それは勿論だよ、今の君の全ての実力を見せて欲しい。
当然手段を選ばなくていいし、何だったらレティを人質に取ってもいいよ
………尤も、レティを人質に出来る時点で実力は相当なモノだろうけどね」
ロテールさんは私の問いに、少しだけ冗談を混ぜながら答える。
………どうやらこの人は本当に私の実力を見たいらしい
ならこの問答は余計だったかな。
「………失礼しました、ならば現状で出来る全力で行かせて貰います」
私は大きく息を吸い、息吹を整える。
ここからは完全に戦闘モードだ、現状の手札をすべて使い相手を………■■する。
疑似的な切換えでしかないけど、これが今の精一杯だ。
半身で構え、ありったけの殺意を込めて………相手を見据える。
「………ははっ、いい気迫だ
これは、手加減なんて言ってられないかもしれないね!!」
ロテールさんはそう言いながらも余裕の笑みを崩さず、スラリと剣を抜く。
――――こうして、力試しと言う殺し合いが幕を開けた。
私の言葉が予想外だったのか、フィルが私の方へ振り向き声を上げる。
「何って、話の流れ的にそうなるのが自然かな~と思ったから
言っただけなんだけど、そんなに驚く事かな?
あの人達から見たら、私って正体不明の塊みたいなものだし」
そう、レベルやステータスって強さの基準が目に見えるらしいこの世界では
相手の実力を判別するのはそう難しくない。
けど、何度も言われてる様に私に関してはその表記がレベル0《SystemError》
なのでそれが当てはまらない、となると依頼を出す側が実力を知りたいって
言うのは当然の事ではあるんだよね。
「察しがよくて助かるよ、まさか先に言われるとは思わなかったけどね」
ロテールさんは表情を崩して言う。
そしてフィルの方へ視線を移し
「勿論加減はするし、僕に勝つ必要なんてない
当然、彼女の安全には最大限配慮させて貰うつもりだよ
それでも彼女の事が心配かな?」
ロテールさんはフィルの不安を払拭させるように顔を近づけ優しく語り掛ける。
………余りにも自然な仕草だし、恐らく本人にそのつもりは無いんだろうけど
イケメンがそんな仕草をしたら女の子を口説いてる様にしか見えないんだよね。
「ロティ…貴方また………」
真面目な表情をしてたレティツィアさんもなんか呆れた表情で
小さくため息吐きながら呟いちゃってるし。
何か結構な数の女の子を勘違いさせてそうだなぁこの人
いわゆる天然ジゴロって奴っぽい。
………けど、うちの神官様がそんな仕草で顔色一つ変える筈も無く
「想い人を心配するに何か理由が必要ですか?」
と、若干ジト目気味の表情で言い放つ。
余りの予想外の発言だったのか、ロテールさんは一瞬きょとんとした表情の後
「………そっか、確かにそれはそうだね」
フィルの言い分に納得したのか、顔を引いて笑顔を見せる。
「君の気持ちは理解したけど、僕達も引く訳にはいかないんだ
この件は早急に解決しないといけない事柄だし
はっきり言うけど、君達以上にこの件に関しての適任者はいないと思ってる
だからこそ、不確定要素は排除しておきたいんだ」
まぁ、それは確かにね。
私達なら多少の偽装で相手の懐へ潜り込むことは可能だろうし
恐らく高い確率で戦闘にもなるだろうから、戦闘もこなせる私達が
この依頼に適任だよね。
――――そもそも、女性を攫って好き放題する連中をどうにかするって話の時点で
私にこれを拒否する選択なんて無いんだけどね。
なので一先ずフィルを安心させたげないと。
「大丈夫だよフィル、正直言って私とロテール卿じゃ実力差が在り過ぎて
私に怪我をさせる方が難しい位だよ、それに………」
我ながらいつもズルいと思うけど、ここでも殺し文句を使わせて貰うね、フィル。
「仮に私がどんな怪我をしたってフィル絶対治してくれるでしょ?
なら、何も心配する事なんて無いよね」
そう言って私はにこりと笑う、そして一瞬の静寂の後
「はぁ………ほんっとにズルいんだからレンは
そう言われたら私がレンを止めるなんて出来なくなるの分かってるのに
そんな事ばっかり言うんだから」
はぁ、と大きなため息を吐きながらフィルは愚痴った後、苦笑を見せる。
「あはははは、いつものやり取りだけど何度見ても楽しいね~
ほんっと、フィルミールお姉ちゃんてレンお姉ちゃん一筋なんだから~♪」
マリスの茶化しにフィルが睨み返す。
………うん、これもいつものパターンだね。
私はいつもの喧嘩を尻目にロテールさんに向き直し
「ロテール卿、提案を受けさせて頂きます
ですが私の力を見ると仰った以上、私に配慮など無用です
何卒、全力でお願いします」
そう言って頭を下げる。
………私自身は強くなる事に愉悦感や悦びを感じた事は無いけど
格上の力量を知る事は私の実力アップにもつながる、そうすれば
多少はみんなの足を引っ張る事も少なくなるかもしれない。
そう考えればこれは相当なチャンスだ、それを逃す手はない。それに………
「リーゼ、私とロテール卿との戦いをよく見ててね
多分、リーゼが1番知りたいと思う格上との戦い方の一例を
見せてあげることが出来ると思うから」
そう言ってずっと静観していたリーゼに告げる。
「格上、ですか………確かにその人間達からは強烈な力を感じています
まるで最強と呼ばれた我が姉に勝るとも劣ら無い程の力を………」
ん?リーゼってお姉ちゃんいたんだ、しかも最強って………
そう言えばリーゼのプライベートな話って殆どしてないね。
今度世間話の延長で聞いてみようかな。
「個人的には、人の身でもそこまでの力を持つことが出来る事実に興味はあります
なれば、どのような戦いを行うのか身をもって体感したい所ではありますが
………恐らく、今の我では歯牙にもかけられないでしょう」
リーゼは若干悔しそうな表情を見せながら言う。
そりゃそうだよね、力こそが正義のドラゴンからしてみれば
自分よりずっと脆弱な筈の人間の方が強いって屈辱以外の何物でも無いんだから。
「なのでマスター、その格上との戦い方とやらを勉強させて頂きます」
そう言ってリーゼは私にぺこりと頭を下げる。
うん、これで私だけでなくリーゼにとってもいい勉強になりそうだね。
私は少しだけリーザの頭を撫でた後、ロテールさんへ向き直し
「………それではロテール卿、始めましょうか
私の力を確かめたいと仰られましたからには
それなりの覚悟をしていただきたいですね」
そう口にして、私はこの世界に来て初めて純粋に「殺気」を込めた
視線をロテールさんに向ける
正直言って今の私は本気で戦えない状態ではあるのだけど、力を見せろと言われた以上今の全力を見せるしかない。
――――だから、私はあの人を■■するつもりで戦おう。
私が発した殺気に先程とは全く別種の緊張感が走る。
「………っ!?」
その雰囲気に触発されたのかレティツィアさんが思わず席を立つ。
「レ…レン?」
普段とは全く違う雰囲気を纏う私に隣にいたフィルが戸惑いの声を上げる。
マリスとリーゼの戸惑った視線も感じる、恐らくフィルと同じくらい
驚いてるんだろうね。
「これはまた………君の姿に似つかわしくない程の殺気だね
いや、むしろこっちが本来の君なのかな?」
そんな私の殺気を真っ向から受け止め、ロテールさんは若干眉を上げたものの
笑みを崩さず私に語り掛けて来る。
………まぁ今の実力差なら余裕を崩せ無くても当然かな、悔しいけど。
「けど、流石にここで戦うのは都合が悪いから場所を変えさせて貰うよ
そのままで構わないからついて来てくれるかな」
ロテールさんはそう言ってくるりと背を向け、部屋から出て行く。
完全に臨戦態勢の私に平気で背を向けるなんて、大胆なんだか
私の事を甘く見てるのか、それともそれだけ自分の実力に自信があるのか………
まぁどれかにせよ、私は後ろについて歩くしかないんだけどね。
その後に仲間達と、そしてレティツィアさんがついてくる。
列の先頭と殿を歩く至高騎士と、その間に挟まって
殺気を放ってる小娘とその他数人って言う異様な光景に兵士達から驚愕の目で
見られながらも、私達はロテールさんの後をついて行った………
………
………………
………………………
「さて、ここなら遠慮なしで君の力を見せて貰えるかな」
砦内を5分くらい歩いて案内された場所は、砦の外にある
運動場みたいな広場だった。
………恐らくここは鍛練場なんだろう、なんか打ち込み用の木人っぽいものが
いくつか立ってるし、多分トレーニング器具っぽいものもあちこちに置かれてる。
下は砂、少し掬ってみると結構きめ細かいね。
踏鳴を入れるのにも問題は無さそうだし、目潰しにも使えそうだ
………まぁ、目潰しは今回やんないけど。
とは言え、戦う前に聞いておきたい事があるんだよね。
「………ですね、それと1つ確認を取りたいのですが」
「ん?何だい?」
「私の戦い方はおよそ騎士達が重んじる、『誇りある戦い』とはある意味
対極な代物です、貴方達にとって所謂『卑怯』と見える行動もしますが
それでも宜しいですか?」
私の言葉にロテールさんが少し驚いた顔をする、けどこれは
聞いておかないといけない事柄だ。
元の世界でも、腕に自信がある人が自分のルール外の戦いをされて惨敗し
相手を卑怯呼ばわりする事が多々あった、そう言う人は絶対に相手を認めない。
それで面倒な事態になった事がそこそこあったんだよね………
正直言って私の戦い方はダーティー寄りだ、ぶっちゃけ正々堂々なんて
胸を張って言えたものじゃない、その辺りに難癖付けられて
お前の力を認めない、なんて言われたらたまったものじゃないからね。
「それは勿論だよ、今の君の全ての実力を見せて欲しい。
当然手段を選ばなくていいし、何だったらレティを人質に取ってもいいよ
………尤も、レティを人質に出来る時点で実力は相当なモノだろうけどね」
ロテールさんは私の問いに、少しだけ冗談を混ぜながら答える。
………どうやらこの人は本当に私の実力を見たいらしい
ならこの問答は余計だったかな。
「………失礼しました、ならば現状で出来る全力で行かせて貰います」
私は大きく息を吸い、息吹を整える。
ここからは完全に戦闘モードだ、現状の手札をすべて使い相手を………■■する。
疑似的な切換えでしかないけど、これが今の精一杯だ。
半身で構え、ありったけの殺意を込めて………相手を見据える。
「………ははっ、いい気迫だ
これは、手加減なんて言ってられないかもしれないね!!」
ロテールさんはそう言いながらも余裕の笑みを崩さず、スラリと剣を抜く。
――――こうして、力試しと言う殺し合いが幕を開けた。
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