~時薙ぎ~ 異世界に飛ばされたレベル0《SystemError》の少女

にせぽに~

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軌跡への遁走曲《フーガ》

同種のモノ

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「えっと………フィル、いきなりどうしたの?」

フィルの口からあまりにも予想外な言葉が出てきて私は思わず
若干混乱しながら聞き返す、鍛練ってどういう事?

「言葉通りの意味よ、私も一緒に鍛錬して欲しいって事」

フィルは表情を変えず、微笑を浮かべたまま答える。

「うん、それは分かってる
 私が聞きたいのはどうしていきなりそんな事を言い出したのかって
 事なんだけど」
「そんなもの、レンの事を理解したいからに決まってるわ」

私の質問に間髪入れずに答えるフィル。
私の事を理解したいって………フィルの言いそうな言葉ではあるんだけども。

「………今日初めてレンの鍛錬を目で追うことが出来たんだけど
 見えてるだけじゃレンの動きに何の意味があるかさっぱりわからなかったの
 リーゼは理解してたみたいだけど」

フィルはそう言うとチラッと横目でリーゼを見る。
成程、そういう事ね。
確かにフェイントなんて横から見るだけじゃ何してるか分からない事も多い
格闘戦の経験が無いならなおさらだ、けど………

「う~ん、一緒に鍛錬する事自体は構わないけど
 フィル、あんまり運動とかしてないでしょ?
 そうなるとまず鍛錬に耐えられるだけの身体づくりから始める事になるよ?」

私は出会ってからフィルが激しい運動をしてるとこを見た事が無い。
体つきも細身であまり運動が得意なタイプには見えないんだけど………

「身体づくりって………」
「ん~、分かり易い形だとこんな感じかな」

私はゆっくりと右足を上げ始め、そのまま左足と一直線上になるように立つ。
前にアイシャちゃんの前でやったI字バランスだ。

「流石にここまでやれとは言わないけど、ある程度の筋力と柔軟性は必須だよ
 でないと鍛錬どころじゃないからね」

私はI字バランスを維持したまま口にする。
その格好を見たフィルと、そしていつの間にやら私の傍まで来ていた
リアが感心した様なため息を吐く。
………まぁ、見た目のインパクトは凄いからねこれ。

「もしフィルが本気で鍛練したいって言うなら付き合うけど
 最初はどうしても地味でキツイ事の繰り返しになるよ
 それでもいいの?」

私は体勢を維持したまま真剣な表情でフィルに問いかける。
この体勢のまま平気で会話してるところなら素人目でも
身体づくりが大変だって事は一目瞭然だろう。
軽い気持ちで言ってるならスパッと諦めて貰った方がフィルの為でもあるしね。
尤も………

「構わないわ、レンの事を知る為ならどんな苦行だってこなして見せるわよ」

………うん、そう言うと思ったよ。
目も真剣そのものだ、生半可な覚悟じゃない事は分かる。
けど、どうしてそこまで私に入れ込むんだろ。

「………分かったよ、けど本当にしんどいから覚悟してて
 リーゼ、悪いけど少し待っててくれるかな?」
「了解しました」

鍛練の途中になってしまってるリーゼに断りを入れ、私はフィルに
お爺ちゃんに散々仕込まれた体幹トレーニングを教える。

「それじゃまずうつ伏せで寝転がった状態で肘を立てて上体を起こしてね」

私はそう言って例を見せる為に言った通りの体勢を取る。
全ての体幹トレーニングの基礎、フロントブリッジだ。

「そんな事でいいの?それなら………」

一瞬だけ拍子抜けた様な表情をしたフィルだったけど、直ぐに同じ体勢を取る。
私は直ぐに起き上がりフィルの姿勢を微調整する。

「つま先は立てて、足から首までまっすぐにしててね
 その体勢を30秒維持するよ、い~ち………」

そのまま数を数え始める私。
………よく考えたらレベルなんてものがあるこの世界で
トレーニングなんて意味があるんだろうかとふと思ったけど
取り合えずやれるだけやってみよう。


   ―――30秒後


「よし、姿勢を楽にして
 30秒休んだらもう1回するよ」

私の言葉に全身の力を抜き突っ伏すフィル。
………うん、最初はそうなるよね。

「ッ、はぁ…はぁ………
 レ、レン………これ結構きついんだけど………」

うつ伏せのまま私の方を見て抗議するフィル。

「だから言ったでしょ、きついって
 あともう1回やるけどどうする?」
「………やるに決まってるわ」

フィルはそう言って再びフロントブリッジの体勢をとる。

「それじゃ後30秒頑張ってね
 それと、似た様な事を後3~4つやって貰うけど大丈夫?」
「…………ッ!!
 の、望む………所よ」

私の言葉に一瞬体が強張ったフィルだけど強気な返事が返ってくる。
まぁ初めてだし暫くは怪我のしにくいトレーニングをやって貰うけど
恐らく当分は毎日筋肉痛確定だろうなぁフィル………

「………レン、これ…私もしないと駄目?」

そんなフィルの様子を眺めていたらリアが唐突に話しかけて来る。

「えっ?別にリアはする必要ないけど………やりたいの?」

いきなりの質問に若干驚いて答える、流石にフィルの魔法で監禁時の
怪我は治ってるからやっても大丈夫だとは思うけど………
私の言葉にリアは首を振る、まぁ流石にそうだよね。

「リアは大変な目に遭ったばっかりだし、無理をする必要は無いよ
 リアが元気になって強くなりたい、と思ったらその時に教えてあげる」

私はリアの頭を撫でながらそう告げる。
リアはこくんと頷き、私の服の袖をきゅっと掴む。
………ってしまった、フィルが筋トレし始めたらリアを見る人がいなくなっちゃった。
マリスがいてくれれば頼むんだけど、朝ご飯食べたらどっか行っちゃったし
リーゼには悪いけど今日の鍛錬はここまでかなぁ。

「レンお姉ちゃん、呼んだ?」

と…次の瞬間、視界の片隅からにゅっとマリスが姿を現す。

「わっ!!」

いきなりの事にリアを庇うように立って構える私、リアもビックリして
私の後ろに隠れてしまう。

「ってマリス!?いつの間に………」

その姿を見て構えを解く、まるで気配が無かったんだけど
いつもの事ながら神出鬼没過ぎるよ………

「ん~、なんか面白そうな事が起こってる気がして覗きに来たんだよ
 案の定フィルミールお姉ちゃんが面白そうな事を始めてたけど♪」
「………っ!!」

マリスの言葉にフィルがフロントブリッジの体勢のままマリスを睨みつける。
………あら、意外と余裕あるねフィル。

「ま、体を鍛える事は悪い事じゃないよん
 元の力が大きい程補助魔法の効果も大きくなるからね~」

あ…そうなんだ、という事は………

「マリス、レベルってのがあるのに体を鍛えるのって有効なの?」
「そだよ~、レベルはあくまで『戦闘経験による能力の上昇値』だから
 そこから鍛錬や修行で上乗せする事も可能だよ。
 ………まぁ、普通に冒険者や兵士するだけならレベルを上げるだけで
 十分だから積極的に鍛練する人ってあまりいないんだよね」

そうなんだ、まぁ確かに魔物に勝ったら確実に強くなれるんだから
強化の分かり辛い地道なトレーニングなんかはやる人は少なくなるよね。

「んで、レンお姉ちゃんはマリスに何の用かな?」

マリスはワクワクとした顔で私に聞いて来る。
いや、そんな顔で期待される様なことじゃないんだけど………

「期待されてる所悪いんだけどさ、鍛錬の間リアの事見ててくれないかな?
 リア、誰かの傍にいないと不安みたいで………」

そう言って私は後ろに隠れたままのリアをちらっと見る。
とは言え子守なんてマリス好みじゃない事を引き受けてくれるかな………

「ん~~、マリスは別に構わないよん
 レンと姉ちゃんとリーゼの模擬戦なんて見てるだけで楽しそうだし
 フィルミールお姉ちゃんの愉快な格好を見てるのも面白そうだしね
 だけど………」

以外にもノリノリで引き受けてくれそうなマリス。
だけどリアの方をちらっと見て

「リアってば、マリスの事怖がってるみたいなんだよね~
 見た目こんな優しそうな美少女魔導士なのにね、あはははは」

………えっ?
マリスのセリフに驚き思わず背中に隠れたままのリアの方を見る。
そこから見えた表情は不安と………恐れだった。

「………リア、マリスが怖いの?」

私はリアの前にしゃがみ込み、視線を合わせて
なるべく穏やかな口調で問いかける。
………リアはおずおずと首を縦に振る。

「ま、仕方ないかな~
 マリスはある意味もん
 そりゃ怖がられても仕方ないよね~」

マリスはゆっくりとリアに近づく、それを見てリアは直ぐに私の背中に隠れる。
マリスの言葉で思い出す、あそこにいた女性達は玩具にされただけじゃない
そこに居たらしき魔導士に呪いをかけられた上実験材料にもされてたんだ
同じ魔導士のマリスを恐れても不思議じゃない。
そんな考えにも至らず、私は安易にマリスにリアを預けようとしてたのか。
………自分の浅慮な考えに腹が立つ。

「けど、大丈夫だよん
 リアは賢いから、直ぐにマリスがそんな人達とは違うってわかってくれるから」

だけど、マリスはあっけらかんとして私の背に隠れるリアに
強引に視線を合わせて

「………ほら、よく見て
 マリスはリアを酷い目に合わせた奴とは違うでしょ?」

そう告げてリアの目をじっと見る。
リアは恐れの表情のままマリスの目を見続けていたけど………

「………違う」

リアはぼそりと呟く、そしてそのまま

「なら…貴方も、リアの事…守ってくれる…の?」

おずおずと、若干噛み気味ながらもマリスに問いかけるリア。

「うん、勿論
 むしろリアを虐める奴らなんか全部マリスがぶっ飛ばしてあげるよ
 あははははは♪」

マリスは普段と同じ明るくあっけらかんとした口調の様な………だけど
何か決意の様なものが混じった声色で告げる。

「………………」

リアは暫く逡巡するような様子を見せ、私に顔を向ける。

「うん、マリスは大丈夫だよリア
 それにマリスが変な事をしようとしたら私がとっちめるから
 ………だよね、マリス」
「そだね~、流石にレンお姉ちゃんを怒らせたくないから
 リアに変な事はしないよ、あはははは♪」

リアを安心させるために軽口を言い、マリスはそれに乗っかる。
そんな様子をリアは不思議そうな顔で眺め………そして

「………………」

とことことマリスの傍に行く。

「ん、信用してくれてありがとねリア
 んじゃレンお姉ちゃん、派手に鍛練しちゃってね~」

一瞬だけだけどリアに優し気な笑顔を向けた後
マリスは楽しそうにそう言い放った。

 
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