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軌跡への遁走曲《フーガ》
取りあえずの目的
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「そう、王国に来た1番の理由は『勇者の足跡』を調べにね………」
エウジェニーさんはそう呟くと机に肘をつき
両手を口元に持ってきて指を組む。
エウジェニーさんからは王国での冒険者の立振舞い方や王都周辺を含めた
詳しい地理を、そして私達は王国での最大の目的をお互いに話した。
王国での立ち回りについては帝国とほぼ大差はない、やる事は結局
何でも屋に近いし、気を付ける事と言えばゼーレンさんも言った通り
下手に貴族の機嫌を損ねない事みたい。
まぁ、あの手の連中が面倒なのはどこの世界でも同じことだ。
依頼でもない限り積極的にかかわっていく事は無いだろうね。
王都の細かい区画の事も説明された、こっちもゼーレンさんの前情報通り
帝都とは違い厳密な区画整理をされてる訳じゃなく、地図がないと
何処に何があるのか把握するのはちょっと難しい。
取り敢えずはギルドの場所と生活必需品を取り扱ってる店を数点
頭に叩き込んでおき、後は地図と照らし合わせながら王都を
歩き回る必要性がありそうだね。
まぁ、マリスやゼーレンさんがいるから枚後にはならないとは思うけど。
私達の目的に関しては当面は『勇者の足跡』とリアの身元の調査が
1番の最優先事項としてやっていくことになるだろう。
………そう言えば前にレティツィアさんが「王国では冒険者の動きが
制限されてる」って言ってたけどその辺りはどうなったんだろ?
原因の一端だった奴隷娼婦の件は解決と迄は行かないけど
一応のカタはついた訳だし、解除されてるといいんだけど………
「貴方達の事情は分かったわ、その子の身元調査は兎も角………
『勇者の足跡』の方は直ぐには無理ね」
エウジェニーさんは顔の前に両手を持ってきたままそう言ってくる。
正直言って凄く似合ってるポーズなんだけど言葉遣いがアレなせいで
違和感の塊にし見えない………それは兎も角
「どうしてでしょうか?まだ何か問題でも起こっているんですか?」
たちまち理由を聞いてみる私、まぁ今までの流れから直ぐに向かえるとは
思ってはいなかったけどね。
「問題、と言うか単純に貴方達への評価の話になるかしら
元々王国では冒険者の評価によって受ける事が出来る仕事が増えて
行動範囲も広がっていくって方式を取ってるの」
成程、そういう事ね。
「つまり………私達が『勇者の足跡』を調査するようになる為には
王国での冒険者の評価を上げて行かなくてはいけないって事?」
「理解が早くて助かるわ、個人的には貴方達に協力はしてあげたいけど
こればっかりは昔からの決まりだから、御免なさいね」
フィルの返答にエウジェニーさんは少し申し訳なさそうに返す。
まぁそう言う事なら仕方ない、どの道王国での住処の確保やら何やらで
お金を稼ぐために依頼はこなさないといけなかったんだ、今あるお金も
無限って訳じゃないんだしね。
「けど、貴方達ならそんなに時間はかからないと思うわよ
ギルドが斡旋する仕事には制限がかかるけど、貴方達を指名する依頼なら
評価に関係なく受けることが出来るのよ
貴方達、なかなか面白いコネを持ってるみたいだしね」
エウジェニーさんはそう言って口角を上げる。
面白いコネ………至高騎士の2人の事かな?
あの人達の事だ、大方私達の動向も把握してるだろう。
特にレティツィアさんはリアの事を気にかけていたし、顔を見せに
来るとは思うけど仕事の斡旋なんてしてくれるのかな?
………まぁ、時間はかかっても地道に評価を上げていく方が確実な気がするね。
「差し当たってお互い伝えたい事は伝え終わったかしら
何か質問があれば受け付けるわよ」
エウジェニーさんが水を向けるも特に聞きたい事は無いかな。
フィルに視線を移すとフィルは小さく首を振る
フィルも聞きたい事は無いみたいだね
「いえ、今は…特にありませんね」
「そう?ならまた聞きたいことが出来たらいつでもいらっしゃいな」
エウジェニーさんはそう言って組んでた手を外し、腕を机に置く。
お話はここまでかな。
「それじゃ、今から手続き始めるから冒険者証を預けてくれるかしら
移籍の手続きを終えて明日には返すから、明日また来て頂戴」
「分かりました………ではこれをお願いします」
エウジェニーさんの言う通りに素直に冒険者証を差し出す、それに続いて
フィルとリーゼも冒険者証を取り出し、エウジェニーさんに手渡しする。
「ありがと、それじゃ早速手続きに取り掛かるわね
それと、王国までの旅の埃も落としたいでしょう
今日だけだけどギルドの宿泊部屋を使って頂戴、丁度4部屋空いてるから」
お…それは有難い、正直初めて来た街で今から宿探しは
少ししんどいかなと思ってた所だ。
「有難う御座います、正直助かります」
そう言って私はぺこりと頭を下げる、この心遣いは正直嬉しい。
「いいのいいの、むしろ今日だけなのが申し訳ない位なんだから
いくら冒険者って言っても女の子なんだし、汚れっぱなしで
街中を歩くのは嫌でしょうしね」
エウジェニーさんはそう言うと顎に手を当てて微笑む。
うん、姿形と言動が思いっきり乖離してる点を除けばこの人は
普通にいい人かもしれない。
「それじゃマリスちゃん、部屋の場所解るでしょ?
レンちゃん達を案内してあげてね」
「りょうか~い、それじゃ行くよん
エウジェニー姉ちゃん、まったね~」
マリスはそう言うとエウジェニーさんに手を振り部屋から出て行く。
「色々有難う御座います、これからよろしくお願いします」
そう言って再び頭を下げる私、それに仲間達も続く。
「ん、礼儀正しくで宜しい、それじゃあね」
エウジェニーさんは微笑をしそう言ってくれる、取り合えず
好感は持ってくれた様かな。
「スマンが儂はこ奴ともう少し話があるからここに残るぞい
夕食時迄には合流するからそれまで待っとってくれると嬉しいかの」
おや、ゼーレンさんはまだ何か話があるみたい。
まぁこの人は冒険者歴長そうだし、色々あるんだろうね。
「ん、分かったよゼーレンさん
その時にまた王国の事を詳しく教えてくれると嬉しいかな」
「かっかっか、お安い御用じゃ
それではまた後での」
ゼーレンさんは愉快そうに笑った後、エウジェニーさんの方へ向き
何かを話し始める、これ以上は邪魔になっちゃいそうだね。
私はマリスの後を追う為にギルドマスターの部屋を出た。
「それで、これからどうするのレン」
ギルドマスターの部屋での話を終え、マリスの先導で
たちまちの寝床へ向かっていく私達、その移動中に
フィルが問いかけてくる。
「ん~~」
フィルの問いかけに少し考える。
兎にも角にも必要なのは拠点だ、贅沢言ってる場合じゃないのは分かるけど
リアもいる事だしなるべく男性の目が無い場所での住処が欲しい所だね。
カルビンさんにマリスが依頼してたけど流石に直ぐに見つかるものでもないし
たちまちは仮の寝床の確保になるかな。
恐らくその辺りの確保で私達の懐は空っぽになると思った方がいい、なら
並行して依頼もこなさないといけないかな。
………落ち着くまではリアの身元と足跡の調査はまた先延ばしになりそう。
やれやれ、退屈する暇も無いねホント。
「たちまちは帝国の時と同じように拠点………住処の確保かな
その為のお金は一応あるけど、全部使う羽目になる可能性も在るから
家探しと並行して依頼を可能な限りこなしていかないといけないかな」
「そうね、評価を上げないと行動が制限されるみたいだし
全く、何時になったらレンの目的に近づけるのかしらね」
フィルがふぅっとため息を吐く、ホント回り道ばかりだね最近。
「………ゴメンね、苦労ばっかり掛けて」
「今更何言ってるの、それにいつも言ってるけど
私はレンの為に傍にいるって決めたんだから、もっと苦労をかけて欲しい位よ」
私の言葉にフィルはそう返し、にっこりと微笑んだ。
エウジェニーさんはそう呟くと机に肘をつき
両手を口元に持ってきて指を組む。
エウジェニーさんからは王国での冒険者の立振舞い方や王都周辺を含めた
詳しい地理を、そして私達は王国での最大の目的をお互いに話した。
王国での立ち回りについては帝国とほぼ大差はない、やる事は結局
何でも屋に近いし、気を付ける事と言えばゼーレンさんも言った通り
下手に貴族の機嫌を損ねない事みたい。
まぁ、あの手の連中が面倒なのはどこの世界でも同じことだ。
依頼でもない限り積極的にかかわっていく事は無いだろうね。
王都の細かい区画の事も説明された、こっちもゼーレンさんの前情報通り
帝都とは違い厳密な区画整理をされてる訳じゃなく、地図がないと
何処に何があるのか把握するのはちょっと難しい。
取り敢えずはギルドの場所と生活必需品を取り扱ってる店を数点
頭に叩き込んでおき、後は地図と照らし合わせながら王都を
歩き回る必要性がありそうだね。
まぁ、マリスやゼーレンさんがいるから枚後にはならないとは思うけど。
私達の目的に関しては当面は『勇者の足跡』とリアの身元の調査が
1番の最優先事項としてやっていくことになるだろう。
………そう言えば前にレティツィアさんが「王国では冒険者の動きが
制限されてる」って言ってたけどその辺りはどうなったんだろ?
原因の一端だった奴隷娼婦の件は解決と迄は行かないけど
一応のカタはついた訳だし、解除されてるといいんだけど………
「貴方達の事情は分かったわ、その子の身元調査は兎も角………
『勇者の足跡』の方は直ぐには無理ね」
エウジェニーさんは顔の前に両手を持ってきたままそう言ってくる。
正直言って凄く似合ってるポーズなんだけど言葉遣いがアレなせいで
違和感の塊にし見えない………それは兎も角
「どうしてでしょうか?まだ何か問題でも起こっているんですか?」
たちまち理由を聞いてみる私、まぁ今までの流れから直ぐに向かえるとは
思ってはいなかったけどね。
「問題、と言うか単純に貴方達への評価の話になるかしら
元々王国では冒険者の評価によって受ける事が出来る仕事が増えて
行動範囲も広がっていくって方式を取ってるの」
成程、そういう事ね。
「つまり………私達が『勇者の足跡』を調査するようになる為には
王国での冒険者の評価を上げて行かなくてはいけないって事?」
「理解が早くて助かるわ、個人的には貴方達に協力はしてあげたいけど
こればっかりは昔からの決まりだから、御免なさいね」
フィルの返答にエウジェニーさんは少し申し訳なさそうに返す。
まぁそう言う事なら仕方ない、どの道王国での住処の確保やら何やらで
お金を稼ぐために依頼はこなさないといけなかったんだ、今あるお金も
無限って訳じゃないんだしね。
「けど、貴方達ならそんなに時間はかからないと思うわよ
ギルドが斡旋する仕事には制限がかかるけど、貴方達を指名する依頼なら
評価に関係なく受けることが出来るのよ
貴方達、なかなか面白いコネを持ってるみたいだしね」
エウジェニーさんはそう言って口角を上げる。
面白いコネ………至高騎士の2人の事かな?
あの人達の事だ、大方私達の動向も把握してるだろう。
特にレティツィアさんはリアの事を気にかけていたし、顔を見せに
来るとは思うけど仕事の斡旋なんてしてくれるのかな?
………まぁ、時間はかかっても地道に評価を上げていく方が確実な気がするね。
「差し当たってお互い伝えたい事は伝え終わったかしら
何か質問があれば受け付けるわよ」
エウジェニーさんが水を向けるも特に聞きたい事は無いかな。
フィルに視線を移すとフィルは小さく首を振る
フィルも聞きたい事は無いみたいだね
「いえ、今は…特にありませんね」
「そう?ならまた聞きたいことが出来たらいつでもいらっしゃいな」
エウジェニーさんはそう言って組んでた手を外し、腕を机に置く。
お話はここまでかな。
「それじゃ、今から手続き始めるから冒険者証を預けてくれるかしら
移籍の手続きを終えて明日には返すから、明日また来て頂戴」
「分かりました………ではこれをお願いします」
エウジェニーさんの言う通りに素直に冒険者証を差し出す、それに続いて
フィルとリーゼも冒険者証を取り出し、エウジェニーさんに手渡しする。
「ありがと、それじゃ早速手続きに取り掛かるわね
それと、王国までの旅の埃も落としたいでしょう
今日だけだけどギルドの宿泊部屋を使って頂戴、丁度4部屋空いてるから」
お…それは有難い、正直初めて来た街で今から宿探しは
少ししんどいかなと思ってた所だ。
「有難う御座います、正直助かります」
そう言って私はぺこりと頭を下げる、この心遣いは正直嬉しい。
「いいのいいの、むしろ今日だけなのが申し訳ない位なんだから
いくら冒険者って言っても女の子なんだし、汚れっぱなしで
街中を歩くのは嫌でしょうしね」
エウジェニーさんはそう言うと顎に手を当てて微笑む。
うん、姿形と言動が思いっきり乖離してる点を除けばこの人は
普通にいい人かもしれない。
「それじゃマリスちゃん、部屋の場所解るでしょ?
レンちゃん達を案内してあげてね」
「りょうか~い、それじゃ行くよん
エウジェニー姉ちゃん、まったね~」
マリスはそう言うとエウジェニーさんに手を振り部屋から出て行く。
「色々有難う御座います、これからよろしくお願いします」
そう言って再び頭を下げる私、それに仲間達も続く。
「ん、礼儀正しくで宜しい、それじゃあね」
エウジェニーさんは微笑をしそう言ってくれる、取り合えず
好感は持ってくれた様かな。
「スマンが儂はこ奴ともう少し話があるからここに残るぞい
夕食時迄には合流するからそれまで待っとってくれると嬉しいかの」
おや、ゼーレンさんはまだ何か話があるみたい。
まぁこの人は冒険者歴長そうだし、色々あるんだろうね。
「ん、分かったよゼーレンさん
その時にまた王国の事を詳しく教えてくれると嬉しいかな」
「かっかっか、お安い御用じゃ
それではまた後での」
ゼーレンさんは愉快そうに笑った後、エウジェニーさんの方へ向き
何かを話し始める、これ以上は邪魔になっちゃいそうだね。
私はマリスの後を追う為にギルドマスターの部屋を出た。
「それで、これからどうするのレン」
ギルドマスターの部屋での話を終え、マリスの先導で
たちまちの寝床へ向かっていく私達、その移動中に
フィルが問いかけてくる。
「ん~~」
フィルの問いかけに少し考える。
兎にも角にも必要なのは拠点だ、贅沢言ってる場合じゃないのは分かるけど
リアもいる事だしなるべく男性の目が無い場所での住処が欲しい所だね。
カルビンさんにマリスが依頼してたけど流石に直ぐに見つかるものでもないし
たちまちは仮の寝床の確保になるかな。
恐らくその辺りの確保で私達の懐は空っぽになると思った方がいい、なら
並行して依頼もこなさないといけないかな。
………落ち着くまではリアの身元と足跡の調査はまた先延ばしになりそう。
やれやれ、退屈する暇も無いねホント。
「たちまちは帝国の時と同じように拠点………住処の確保かな
その為のお金は一応あるけど、全部使う羽目になる可能性も在るから
家探しと並行して依頼を可能な限りこなしていかないといけないかな」
「そうね、評価を上げないと行動が制限されるみたいだし
全く、何時になったらレンの目的に近づけるのかしらね」
フィルがふぅっとため息を吐く、ホント回り道ばかりだね最近。
「………ゴメンね、苦労ばっかり掛けて」
「今更何言ってるの、それにいつも言ってるけど
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