440 / 440
連載
お茶しませう!
職人街から商人街へ戻った私たちは、そのまま解散するのもなんだって話になり、今人気の喫茶店に行くことにした。
「人気の喫茶店かぁ、楽しみだわ」
「まあ、人気になったのはクリステアさんのおかげでもあるみたいですけどね」
「え? 私?」
いや何もしてませんけど⁉︎
「クリステアさんが商業ギルドに登録したスイーツが看板メニューなんですよ」
「えっ、そうなの?」
商業ギルドに登録したレシピは数多あるけれど、どれだろう?
とはいえ、スイーツはそんなに無いと思うんだけど……
どら焼きや羊羹などの和スイーツも幾つか登録したけど、見た目の問題からかあまり購入されていないみたいだし。
いくつか候補を思い浮かべているうちにその店の近くまでやってきたのだけど、女性客がずらりと列を成しているのが見えた。
「わぁ、すごい行列ね」
行列の最後尾について並び、どれくらいで入店できるだろうかと予測する。
喫茶店だし、おしゃべり込みで考えたら1時間は軽く待ちそうだわ。
まあ、前世日本人ですから?
目的のスイーツのためなら行列バッチコイですわよ。
私たちの背後についた黒銀と真白のイケメンと美少年のコンビに周囲の女性たちがざわついたものの、すぐにスイーツに気持ちが向いたようでチラチラと見られたりする程度に落ち着いた。
うちの聖獣たちがすみません。
気を取り直して、お店のことをマリエルちゃんに聞いてみた。
「ここ、元々紅茶の美味しいお店だったんですけど、お茶のお供がクッキーくらいしかなかったんですよ」
「へえ、マスターのこだわりとか?」
「いえ、そういうのじゃないみたいですけど。それで、常連客からもっとメニューを増やしてと要望があったことで試しにクリステアさんのレシピを導入したら口コミで女性客がどっと押し寄せるようになってしまったそうで」
「へ、へえー……」
え、そんなに女子受けするようなスイーツ登録したっけ?
列の前方を見ると、徐々に進む列の中で、友人であろう団体がウキウキとした様子で何を注文しようか相談していた。
「私、今日はクリーム増し増しに挑戦しようと思うの」
「わあ、いいなぁ。でも、私だって今日は奮発して蜂蜜を追加しちゃうんだから!」
「すごーい!」
……ん? 何の相談?
どうやら本体ではなくトッピングのことのようだけど。
マリエルちゃんを見ると、マリエルちゃんは何やら思案中の様子。
「マリエルさん?」
「え? ああ、すみません。クリーム増し増しフルーツトッピングか、蜂蜜増量か悩んでました」
「……何の呪文?」
「え、パンケーキのトッピングですけど?」
「パンケーキ?」
そういえば、レシピ登録し始めた初期も初期に登録した記憶がある。
その後も進化系レシピを披露したら、シンが新規登録していたような……
「なんだ、パンケーキか。そういえば久しぶりかも」
クリーム増し増しは前世で山盛りのクリームをのせて提供したのとかあったなーって思い出したのを、バリエーションとしてこんなのがあるよ!とシンに説明したのがそのままアレンジレシピとしておまけに載せたんだっけ。
「パンケーキを扱う店舗はいくつかありますけど、通常はひとかけのバターだけなんですよ。この店では好みでアレンジできるのがウケたみたいで。今は菓子職人を追加で雇って、毎日てんてこ舞いみたいですよ」
「そ、そう……」
トッピングの自由さがスイーツ好き女子の心を鷲づかみにしたようで、連日満員御礼なのだとか。
「しょ、商売繁盛なのはいいことだわ。……あ、もう少しで入店できそうね」
ちょうど、何組か退店したようで、列がグッと短くなった。予想より早めに入店できそうだ。
マリエルちゃんからトッピングの内容を聞いてどうしようか悩んでいるうちに私たちの番になった。
「わぁ、何にしようかしら。やっぱり王道の蜂蜜かなぁ……え?」
ふと通り過ぎるテーブル席に視線をやると見覚えのある人物が。
「ク、クリステア様⁉︎」
「お、クリステア嬢にマリエル嬢じゃん。奇遇だな!」
「アリシア様にエイディー様⁉︎」
え、何で二人が? も、もももしかしてデート⁉︎
……二人ともお付きの人がいるみたいだけど。これはデート認定でいいのでは?
「……誤解なさらないでね。私、エイディーに頼まれて付き添いで来ただけですのよ!」
私とマリエルちゃんがはわわと鉢合わせしてよかったのかと慌てていると、アリシア様は少し顔を赤くしながら言った。
「つ、付き添い?」
「おお、ここのパンケーキってやつが美味いって聞いて食いに来たかったんだけど、客が女子ばっかだって言うからさぁ。アリーについて来てくれって頼んだんだ!」
セイには断られた! とニパッと笑うエイディー様をアリシア様はジトッと睨みつけるけれど当の本人は気にする様子もない。
「……よろしかったらご一緒いたしませんこと?」
「え? よろしいのですか?」
「ええ。私もそのほうが助かりますわ。エイディーとだけじゃ剣の話ばかりでつまりませんもの」
「ひっでぇなぁ。召喚獣の話とかもするじゃんかよ」
「先ほどまでずっと剣の話だったでしょうに。ね、ですから遠慮なさらず」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」
四人席だったけれど、テーブルが広かったこともあり、椅子を追加してどうにか黒銀と真白も座ることができた。
う、うーん。この展開は予測できなかったなぁ……
---------------------------
いつもコメントやエール・いいねをポチッとありがとうございますっ( ´ ▽ ` )
執筆の励みになっております~!
「人気の喫茶店かぁ、楽しみだわ」
「まあ、人気になったのはクリステアさんのおかげでもあるみたいですけどね」
「え? 私?」
いや何もしてませんけど⁉︎
「クリステアさんが商業ギルドに登録したスイーツが看板メニューなんですよ」
「えっ、そうなの?」
商業ギルドに登録したレシピは数多あるけれど、どれだろう?
とはいえ、スイーツはそんなに無いと思うんだけど……
どら焼きや羊羹などの和スイーツも幾つか登録したけど、見た目の問題からかあまり購入されていないみたいだし。
いくつか候補を思い浮かべているうちにその店の近くまでやってきたのだけど、女性客がずらりと列を成しているのが見えた。
「わぁ、すごい行列ね」
行列の最後尾について並び、どれくらいで入店できるだろうかと予測する。
喫茶店だし、おしゃべり込みで考えたら1時間は軽く待ちそうだわ。
まあ、前世日本人ですから?
目的のスイーツのためなら行列バッチコイですわよ。
私たちの背後についた黒銀と真白のイケメンと美少年のコンビに周囲の女性たちがざわついたものの、すぐにスイーツに気持ちが向いたようでチラチラと見られたりする程度に落ち着いた。
うちの聖獣たちがすみません。
気を取り直して、お店のことをマリエルちゃんに聞いてみた。
「ここ、元々紅茶の美味しいお店だったんですけど、お茶のお供がクッキーくらいしかなかったんですよ」
「へえ、マスターのこだわりとか?」
「いえ、そういうのじゃないみたいですけど。それで、常連客からもっとメニューを増やしてと要望があったことで試しにクリステアさんのレシピを導入したら口コミで女性客がどっと押し寄せるようになってしまったそうで」
「へ、へえー……」
え、そんなに女子受けするようなスイーツ登録したっけ?
列の前方を見ると、徐々に進む列の中で、友人であろう団体がウキウキとした様子で何を注文しようか相談していた。
「私、今日はクリーム増し増しに挑戦しようと思うの」
「わあ、いいなぁ。でも、私だって今日は奮発して蜂蜜を追加しちゃうんだから!」
「すごーい!」
……ん? 何の相談?
どうやら本体ではなくトッピングのことのようだけど。
マリエルちゃんを見ると、マリエルちゃんは何やら思案中の様子。
「マリエルさん?」
「え? ああ、すみません。クリーム増し増しフルーツトッピングか、蜂蜜増量か悩んでました」
「……何の呪文?」
「え、パンケーキのトッピングですけど?」
「パンケーキ?」
そういえば、レシピ登録し始めた初期も初期に登録した記憶がある。
その後も進化系レシピを披露したら、シンが新規登録していたような……
「なんだ、パンケーキか。そういえば久しぶりかも」
クリーム増し増しは前世で山盛りのクリームをのせて提供したのとかあったなーって思い出したのを、バリエーションとしてこんなのがあるよ!とシンに説明したのがそのままアレンジレシピとしておまけに載せたんだっけ。
「パンケーキを扱う店舗はいくつかありますけど、通常はひとかけのバターだけなんですよ。この店では好みでアレンジできるのがウケたみたいで。今は菓子職人を追加で雇って、毎日てんてこ舞いみたいですよ」
「そ、そう……」
トッピングの自由さがスイーツ好き女子の心を鷲づかみにしたようで、連日満員御礼なのだとか。
「しょ、商売繁盛なのはいいことだわ。……あ、もう少しで入店できそうね」
ちょうど、何組か退店したようで、列がグッと短くなった。予想より早めに入店できそうだ。
マリエルちゃんからトッピングの内容を聞いてどうしようか悩んでいるうちに私たちの番になった。
「わぁ、何にしようかしら。やっぱり王道の蜂蜜かなぁ……え?」
ふと通り過ぎるテーブル席に視線をやると見覚えのある人物が。
「ク、クリステア様⁉︎」
「お、クリステア嬢にマリエル嬢じゃん。奇遇だな!」
「アリシア様にエイディー様⁉︎」
え、何で二人が? も、もももしかしてデート⁉︎
……二人ともお付きの人がいるみたいだけど。これはデート認定でいいのでは?
「……誤解なさらないでね。私、エイディーに頼まれて付き添いで来ただけですのよ!」
私とマリエルちゃんがはわわと鉢合わせしてよかったのかと慌てていると、アリシア様は少し顔を赤くしながら言った。
「つ、付き添い?」
「おお、ここのパンケーキってやつが美味いって聞いて食いに来たかったんだけど、客が女子ばっかだって言うからさぁ。アリーについて来てくれって頼んだんだ!」
セイには断られた! とニパッと笑うエイディー様をアリシア様はジトッと睨みつけるけれど当の本人は気にする様子もない。
「……よろしかったらご一緒いたしませんこと?」
「え? よろしいのですか?」
「ええ。私もそのほうが助かりますわ。エイディーとだけじゃ剣の話ばかりでつまりませんもの」
「ひっでぇなぁ。召喚獣の話とかもするじゃんかよ」
「先ほどまでずっと剣の話だったでしょうに。ね、ですから遠慮なさらず」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」
四人席だったけれど、テーブルが広かったこともあり、椅子を追加してどうにか黒銀と真白も座ることができた。
う、うーん。この展開は予測できなかったなぁ……
---------------------------
いつもコメントやエール・いいねをポチッとありがとうございますっ( ´ ▽ ` )
執筆の励みになっております~!
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3628件)
あなたにおすすめの小説
辺境伯は才女を隠さない
放浪人
恋愛
王太子の名で出された政策。その多くを書いていたのは、婚約者セレナだった。
けれど彼女は報われるどころか「冷たい悪役令嬢」と噂され、不正の責任を負わされて婚約破
棄。
厄介払い同然に送られた北辺で待っていたのは、無骨で寡黙な辺境伯オスカー。
だが彼だけは、彼女の仕事も価値も最初から知っていた。
「その案は良い。君の名で公告を出す」
隠されてきた才女が、自分の名を取り戻し、やがて王宮すら覆す――。
義母と愛人に家を乗っ取られたので、離縁して辺境伯の館へ逃げます
なつめ
恋愛
夫は愛人を堂々と屋敷に住まわせ、義母はそれを止めるどころか、正妻である彼女を追い詰める側に回った。
侮辱、横領、すり替え、使用人の切り崩し。静かに家を奪われ続けた伯爵夫人セスティアは、泣き寝入りをやめる。
彼女が選んだのは、感情的な反撃ではなく、帳簿と証言と領収書による完璧な離縁。
そして逃げ込んだ先は、亡き父と縁のあった辺境伯ラドヴァンの館だった。
無骨で無愛想。けれど、彼は怯える彼女に「怖い」「苦しい」「眠れない」「触れられたくない」と、一つずつ名前を与えて守ってくれる。
壊された人生を取り戻す静かな再生と、遅れてやってくる深い愛。
一方その頃、元夫側の家は、彼女が抜けたことで内側から崩れ始めていた。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
わたくしのものを私物化するお姉様が、社交界で大変なことになってしまったそうです
柚木ゆず
恋愛
「あら? そのネックレスは、アリス様がミファレア様に贈ったものですよね?」
わたくしミファレアの姉エミーリラお姉様がパーティーに着けていったネックレスは、以前わたくしから奪い取ったもの。参加者のおひとりがその事実に偶然気付かれ、『妹への贈り物を自分のものと言い張り身に着けている』と大騒ぎになってしまったそうです。
これにより演じ続けていた『妹想いの優しい姉』像は崩壊し、白い目で見られるようになってしまったお姉様。そんなエミーリラお姉様はわたくしに八つ当たりをしたあと、どうにかして丸く収めようと作戦を練り始めたのですが――
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
王妃の寝間着を渡すだけの仕事ですの?と笑った義妹、宮廷を追放されました
富士山麓
恋愛
モンフォール公爵家の嫡女アデルは、王宮で王妃クシェという名誉職を務めていた。
王妃の就寝の儀礼で寝間着を差し出す――ただそれだけの役目。
しかしそれは、王妃の私室に入ることを許された宮廷で最も名誉ある地位の一つだった。
かつてアデルは王太子の婚約者だったが、側室の娘である義妹カミーユが甘い言葉で王太子を誘惑。
婚約は奪われ、アデルは宮廷で静かにクシェの役目を続けることになる。
だがある日、義妹は新たに与えられた王妃の朝の儀礼――ルヴェを聞いて嘲笑した。
「王妃の着替え係?そんなのメイドの仕事でしょう」
その一言で宮廷は凍りつく。
ルヴェとクシェは、王や王妃の私室に入ることを許された最高の名誉職。
それを侮辱することは、王妃そのものを侮辱することと同じだった。
結果――
義妹は婚約破棄。
王太子は儀礼軽視を理由に廃太子。
そして義妹は宮廷から追放される。
すべてを失った義妹は、やがて姉の地位を奪おうと画策するが――。
一方、王妃の最側近として静かに宮廷に立つアデル。
クシェという「王妃に最も近い名誉職」が、やがて王国の運命を動かしていく。
これは、宮廷儀礼を知らなかった者が転落し、
その意味を理解していた者が静かに勝つ物語。
ガルバノおじさまはクリステアの拙い説明を何度も根気よく聞いて最適解をはじき出していました……が、かき氷器などの仕組みがはっきりしないものはいまいち再現できなかったので、絵が描けるマリエルの登場により想像で補っていたことでかかっていた時間が大幅に短縮されたようです……w
エリスフィード公爵家の引き抜きがあってもグノンさんの性格上、辞退するんじゃないかなーと……まあ、メイヤー商会御用達なら遠回しにエリスフィード公爵家御用達のようなものかも(強引)
乙ありがとうございます( ´ ▽ ` )
シンは王都の調理場で料理長からクリステアの賛辞を聞きつつうんざりしながらも日々料理に精進してますw