転生令嬢は庶民の味に飢えている

柚木原みやこ(みやこ)

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お茶しませう!

職人街から商人街へ戻った私たちは、そのまま解散するのもなんだって話になり、今人気の喫茶店に行くことにした。

「人気の喫茶店かぁ、楽しみだわ」

「まあ、人気になったのはクリステアさんのおかげでもあるみたいですけどね」

「え? 私?」

いや何もしてませんけど⁉︎

「クリステアさんが商業ギルドに登録したスイーツが看板メニューなんですよ」

「えっ、そうなの?」

商業ギルドに登録したレシピは数多あるけれど、どれだろう?
とはいえ、スイーツはそんなに無いと思うんだけど……

どら焼きや羊羹などの和スイーツも幾つか登録したけど、見た目の問題からかあまり購入されていないみたいだし。

いくつか候補を思い浮かべているうちにその店の近くまでやってきたのだけど、女性客がずらりと列を成しているのが見えた。

「わぁ、すごい行列ね」

行列の最後尾について並び、どれくらいで入店できるだろうかと予測する。

喫茶店だし、おしゃべり込みで考えたら1時間は軽く待ちそうだわ。

まあ、前世日本人ですから?
目的のスイーツのためなら行列バッチコイですわよ。

私たちの背後についた黒銀くろがね真白ましろのイケメンと美少年のコンビに周囲の女性たちがざわついたものの、すぐにスイーツに気持ちが向いたようでチラチラと見られたりする程度に落ち着いた。

うちの聖獣たちがすみません。

気を取り直して、お店のことをマリエルちゃんに聞いてみた。

「ここ、元々紅茶の美味しいお店だったんですけど、お茶のお供がクッキーくらいしかなかったんですよ」

「へえ、マスターのこだわりとか?」

「いえ、そういうのじゃないみたいですけど。それで、常連客からもっとメニューを増やしてと要望があったことで試しにクリステアさんのレシピを導入したら口コミで女性客がどっと押し寄せるようになってしまったそうで」

「へ、へえー……」

え、そんなに女子受けするようなスイーツ登録したっけ?

列の前方を見ると、徐々に進む列の中で、友人であろう団体がウキウキとした様子で何を注文しようか相談していた。

「私、今日はクリーム増し増しに挑戦しようと思うの」

「わあ、いいなぁ。でも、私だって今日は奮発して蜂蜜を追加しちゃうんだから!」

「すごーい!」

……ん? 何の相談?

どうやら本体ではなくトッピングのことのようだけど。

マリエルちゃんを見ると、マリエルちゃんは何やら思案中の様子。

「マリエルさん?」

「え? ああ、すみません。クリーム増し増しフルーツトッピングか、蜂蜜増量か悩んでました」

「……何の呪文?」

「え、パンケーキのトッピングですけど?」

「パンケーキ?」

そういえば、レシピ登録し始めた初期も初期に登録した記憶がある。

その後も進化系レシピを披露したら、シンが新規登録していたような……

「なんだ、パンケーキか。そういえば久しぶりかも」

クリーム増し増しは前世で山盛りのクリームをのせて提供したのとかあったなーって思い出したのを、バリエーションとしてこんなのがあるよ!とシンに説明したのがそのままアレンジレシピとしておまけに載せたんだっけ。

「パンケーキを扱う店舗はいくつかありますけど、通常はひとかけのバターだけなんですよ。この店では好みでアレンジできるのがウケたみたいで。今は菓子職人を追加で雇って、毎日てんてこ舞いみたいですよ」

「そ、そう……」

トッピングの自由さがスイーツ好き女子の心を鷲づかみにしたようで、連日満員御礼なのだとか。

「しょ、商売繁盛なのはいいことだわ。……あ、もう少しで入店できそうね」

ちょうど、何組か退店したようで、列がグッと短くなった。予想より早めに入店できそうだ。

マリエルちゃんからトッピングの内容を聞いてどうしようか悩んでいるうちに私たちの番になった。

「わぁ、何にしようかしら。やっぱり王道の蜂蜜かなぁ……え?」

ふと通り過ぎるテーブル席に視線をやると見覚えのある人物が。

「ク、クリステア様⁉︎」

「お、クリステア嬢にマリエル嬢じゃん。奇遇だな!」

「アリシア様にエイディー様⁉︎」

え、何で二人が? も、もももしかしてデート⁉︎

……二人ともお付きの人がいるみたいだけど。これはデート認定でいいのでは?

「……誤解なさらないでね。私、エイディーに頼まれて付き添いで来ただけですのよ!」

私とマリエルちゃんがはわわと鉢合わせしてよかったのかと慌てていると、アリシア様は少し顔を赤くしながら言った。

「つ、付き添い?」

「おお、ここのパンケーキってやつが美味いって聞いて食いに来たかったんだけど、客が女子ばっかだって言うからさぁ。アリーについて来てくれって頼んだんだ!」

セイには断られた! とニパッと笑うエイディー様をアリシア様はジトッと睨みつけるけれど当の本人は気にする様子もない。

「……よろしかったらご一緒いたしませんこと?」

「え? よろしいのですか?」

「ええ。私もそのほうが助かりますわ。エイディーとだけじゃ剣の話ばかりでつまりませんもの」

「ひっでぇなぁ。召喚獣の話とかもするじゃんかよ」

「先ほどまでずっと剣の話だったでしょうに。ね、ですから遠慮なさらず」

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」

四人席だったけれど、テーブルが広かったこともあり、椅子を追加してどうにか黒銀くろがね真白ましろも座ることができた。

う、うーん。この展開は予測できなかったなぁ……

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感想 3,628

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みんなの感想(3628件)

しふぉん
2026.05.03 しふぉん
ネタバレ含む
2026.05.03 柚木原みやこ(みやこ)

ガルバノおじさまはクリステアの拙い説明を何度も根気よく聞いて最適解をはじき出していました……が、かき氷器などの仕組みがはっきりしないものはいまいち再現できなかったので、絵が描けるマリエルの登場により想像で補っていたことでかかっていた時間が大幅に短縮されたようです……w

解除
noj
2026.04.27 noj
ネタバレ含む
2026.05.03 柚木原みやこ(みやこ)

エリスフィード公爵家の引き抜きがあってもグノンさんの性格上、辞退するんじゃないかなーと……まあ、メイヤー商会御用達なら遠回しにエリスフィード公爵家御用達のようなものかも(強引)

解除
aya-maru
2026.04.27 aya-maru
ネタバレ含む
2026.05.03 柚木原みやこ(みやこ)

乙ありがとうございます( ´ ▽ ` )

シンは王都の調理場で料理長からクリステアの賛辞を聞きつつうんざりしながらも日々料理に精進してますw

解除

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