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呼び出し
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食事が終わった後、ニール先生が「聖獣様のお話を是非聞かせてもらいたいなぁ~」と興味津々で近づいてきた。
食事中も白虎様や朱雀様に話しかけていたり、黒銀や真白に質問していたけれど、素気無くされていたのに……ニール先生ってメンタル強いわ~。
だけど、ニール先生に付き合っていたら際限なさそうだし、白虎様にあとで呼び出されてのでお断りだわ。
「申し訳ありませんが、明日のこともありますから早めに休みますわ」
「ええ~、そうかい? うーん、まあ今日のところはしかたないか。また後日ゆっくり話を聞かせてね!」
「ええ、機会があれば……では失礼いたしますわ」
私はめげずに次の約束をしようとするニール先生に笑ってごまかしつつ自室に戻った。
「はあ……食事をしただけなのに疲れちゃった」
ため息をつきつつ、ぽすんとソファに腰掛けると、私の隣に真白が、対面に黒銀が座った。
「久々にまずいメシを食うたわ……いや、あのようなものは食ったうちに入らぬな」
「だよね。ねぇ、くりすてあ。くりすてあのおいしいごはんたべたいな?」
「うむ。主の極上のメシを喰わねばおさまらぬ」
「はいはい。頑張って食べてはみたけれど完食できなかったし、私も少し食べちゃおうかな……」
私は二人のためにインベントリからオーク汁とおにぎりを出し、私はオーク汁だけいただくことにした。
「はあ……これよこれ。やっぱり具沢山のオーク汁は正義だわぁ」
食べなれた味にほっとしていると、黒銀と真白も満面の笑顔で食べていた。
「そうだな。オーク汁もだが、主の料理を食べると力が湧く」
「うん。くりすてあのごはんがいちばん!」
「うふふ、ありがとう。……でもこれからどうしようかなぁ。毎日あの食事をして、また今みたいに追加で食べるのはちょっと、ねぇ……」
そんなことしていたら、おでぶ街道まっしぐらだ。それに、毎回残すのは気が引けるもの。
かと言って、寮の食堂の料理を改善なんて新入生の私が口出しなんてできないし……
インベントリには大量にストックしているから食べ物には困らないけれど、寮の食事をまったく食べないってわけにはいかないよねぇ……
「ふむ。この部屋で摂るので食事は不要と言えばよいのではないか?」
「くりすてあがごはんつくれたらいいのに……」
「そうできたら一番いいのだけれど、さすがに家じゃないから、貴族の私が寮で料理するわけにはいかないわよ」
今でこそ何も言われないけれど、はじめの頃はお母様に散々叱られたもの。
「れしぴをうってるんだし、いいんじゃない?」
「我らが主の料理でなければ喰わぬと申し立てれば許可が降りるのではないか?」
「ええ……? そうかなぁ……?」
まあ、実際レシピの件はニール先生にも知られていたけれど、私が日常的に料理をしているとは思ってないだろうし、許可なんて降りるのかしら。
ダメ元で聞いてみるとして、まずは明日の学園長との面会をどうにかしないとだよね……
「主、そろそろ談話室に行くのではないか? 白虎が待っているのだろう?」
「あ、そうだったわね。行きましょう」
いけないいけない、白虎様に呼び出されているんだった。
私たちはそうっと部屋を出て、談話室に向かった。
静かに談話室の扉を開けると、中には白虎様だけではなく、セイと朱雀様もいた。
するりと中へ入り込み扉を閉めると、白虎様が結界を展開したのがわかった。
「よう、元気そうで何より……イテッ!」
白虎様が朗らかに声を掛けたのを、セイがベシッと叩いた。
「まったくおぬしは……クリステア嬢、いきなり呼び出してすまないな」
叩かれた頭をさする白虎様を横目に、セイがソファから立ち上がり深く頭を下げて謝罪した。
「気にしないで、セイ。私も気になっていたから色々聞きたくて来たんだもの」
私はセイたちの対面のソファに座った。
「ああ、今日は色々あって驚いただろう。それについても謝ろうと思っていた」
「え?」
「クリステア嬢の聖獣契約が露見したのはきっと俺たちが原因だ」
「ええっ?」
どういうこと?
困惑する私に、セイがすまなそうに説明し始めた。
「先日、俺は普通に入寮に入るつもりで男子寮に向かったんだが、従者として白虎と朱雀を連れていたんだ。そこへニール先生があの猿を連れて駆け寄って来て……」
「猿って、あのディミッドモンキー?」
私は門でニール先生が連れていたお猿さんを思い出した。
「そーなんだよ! あのキーキーとうるせぇ猿がさあ、俺らのことを察知しやがって。そんでセイが契約者ってバレちまったんだ」
白虎様がぶーたれた様子で説明を続けた。
「あいつ、キーキー喚き立てる猿を引っ掴んで駆け寄ってきやがった。俺らに近づくにつれて悲鳴が大きくなるもんだから、すぐにバレちまってよぉ」
それからは、私たちと同様に「ちょっと話があるからついて来てくれるかな?」と特別寮に連れて行かれ、聖獣契約のことが明るみになってしまったらしい。
小さくて弱い魔物をペットにする貴族も中にはいるそうで、こっそり持ち込もうとする生徒もいるから、そういうのをニール先生が各寮をチェックして家に帰すように指導するか、ニール先生に預けなくてはいけないらしい。大抵は家に帰されるそうだけど。
ニール先生に預けるのは不安しかないから気持ちはわからないでもない。
それと、青龍様と玄武様がいないのは、従者としてたまたま顕現していなかったから今も秘密にしているからなんだって。
「……で、俺たちは特別寮に転寮することが決まったんだ。その時、魔物の持ち込みチェックを強化すべきか各寮の寮監と話し合っていた」
「ああ、それで……」
ニール先生が入寮する生徒をチェックしようと門に控えていたってことなのね。
「すまない、俺たちのせいでクリステア嬢にも迷惑をかけた」
「セイたちのせいじゃないわ。たまたま運が悪かったのよ。それに、あのお猿さんがいる以上、私たちだって遅かれ早かれ見つかっていただろうし……」
あれだけ騒がれたらもう誤魔化しようがないものね。
「セイと同じ寮になれたのは不幸中の幸いだと思いましょう。そうだ、お腹は空いてない? さっき、あまり食べていなかったのではないの? 何か食べる?」
「さっすがお嬢! もーあんなメシ食ってられっかってんだよなぁ! なんか食わせてくれ!」
「ああ! クリステア様ったら、なんてお優しいのかしら! ありがとうございます!」
「お前たちは少しは自重せんか!」
セイが二人を叱るのを見て、苦笑しながらインベントリから料理を出したのだった。
食事中も白虎様や朱雀様に話しかけていたり、黒銀や真白に質問していたけれど、素気無くされていたのに……ニール先生ってメンタル強いわ~。
だけど、ニール先生に付き合っていたら際限なさそうだし、白虎様にあとで呼び出されてのでお断りだわ。
「申し訳ありませんが、明日のこともありますから早めに休みますわ」
「ええ~、そうかい? うーん、まあ今日のところはしかたないか。また後日ゆっくり話を聞かせてね!」
「ええ、機会があれば……では失礼いたしますわ」
私はめげずに次の約束をしようとするニール先生に笑ってごまかしつつ自室に戻った。
「はあ……食事をしただけなのに疲れちゃった」
ため息をつきつつ、ぽすんとソファに腰掛けると、私の隣に真白が、対面に黒銀が座った。
「久々にまずいメシを食うたわ……いや、あのようなものは食ったうちに入らぬな」
「だよね。ねぇ、くりすてあ。くりすてあのおいしいごはんたべたいな?」
「うむ。主の極上のメシを喰わねばおさまらぬ」
「はいはい。頑張って食べてはみたけれど完食できなかったし、私も少し食べちゃおうかな……」
私は二人のためにインベントリからオーク汁とおにぎりを出し、私はオーク汁だけいただくことにした。
「はあ……これよこれ。やっぱり具沢山のオーク汁は正義だわぁ」
食べなれた味にほっとしていると、黒銀と真白も満面の笑顔で食べていた。
「そうだな。オーク汁もだが、主の料理を食べると力が湧く」
「うん。くりすてあのごはんがいちばん!」
「うふふ、ありがとう。……でもこれからどうしようかなぁ。毎日あの食事をして、また今みたいに追加で食べるのはちょっと、ねぇ……」
そんなことしていたら、おでぶ街道まっしぐらだ。それに、毎回残すのは気が引けるもの。
かと言って、寮の食堂の料理を改善なんて新入生の私が口出しなんてできないし……
インベントリには大量にストックしているから食べ物には困らないけれど、寮の食事をまったく食べないってわけにはいかないよねぇ……
「ふむ。この部屋で摂るので食事は不要と言えばよいのではないか?」
「くりすてあがごはんつくれたらいいのに……」
「そうできたら一番いいのだけれど、さすがに家じゃないから、貴族の私が寮で料理するわけにはいかないわよ」
今でこそ何も言われないけれど、はじめの頃はお母様に散々叱られたもの。
「れしぴをうってるんだし、いいんじゃない?」
「我らが主の料理でなければ喰わぬと申し立てれば許可が降りるのではないか?」
「ええ……? そうかなぁ……?」
まあ、実際レシピの件はニール先生にも知られていたけれど、私が日常的に料理をしているとは思ってないだろうし、許可なんて降りるのかしら。
ダメ元で聞いてみるとして、まずは明日の学園長との面会をどうにかしないとだよね……
「主、そろそろ談話室に行くのではないか? 白虎が待っているのだろう?」
「あ、そうだったわね。行きましょう」
いけないいけない、白虎様に呼び出されているんだった。
私たちはそうっと部屋を出て、談話室に向かった。
静かに談話室の扉を開けると、中には白虎様だけではなく、セイと朱雀様もいた。
するりと中へ入り込み扉を閉めると、白虎様が結界を展開したのがわかった。
「よう、元気そうで何より……イテッ!」
白虎様が朗らかに声を掛けたのを、セイがベシッと叩いた。
「まったくおぬしは……クリステア嬢、いきなり呼び出してすまないな」
叩かれた頭をさする白虎様を横目に、セイがソファから立ち上がり深く頭を下げて謝罪した。
「気にしないで、セイ。私も気になっていたから色々聞きたくて来たんだもの」
私はセイたちの対面のソファに座った。
「ああ、今日は色々あって驚いただろう。それについても謝ろうと思っていた」
「え?」
「クリステア嬢の聖獣契約が露見したのはきっと俺たちが原因だ」
「ええっ?」
どういうこと?
困惑する私に、セイがすまなそうに説明し始めた。
「先日、俺は普通に入寮に入るつもりで男子寮に向かったんだが、従者として白虎と朱雀を連れていたんだ。そこへニール先生があの猿を連れて駆け寄って来て……」
「猿って、あのディミッドモンキー?」
私は門でニール先生が連れていたお猿さんを思い出した。
「そーなんだよ! あのキーキーとうるせぇ猿がさあ、俺らのことを察知しやがって。そんでセイが契約者ってバレちまったんだ」
白虎様がぶーたれた様子で説明を続けた。
「あいつ、キーキー喚き立てる猿を引っ掴んで駆け寄ってきやがった。俺らに近づくにつれて悲鳴が大きくなるもんだから、すぐにバレちまってよぉ」
それからは、私たちと同様に「ちょっと話があるからついて来てくれるかな?」と特別寮に連れて行かれ、聖獣契約のことが明るみになってしまったらしい。
小さくて弱い魔物をペットにする貴族も中にはいるそうで、こっそり持ち込もうとする生徒もいるから、そういうのをニール先生が各寮をチェックして家に帰すように指導するか、ニール先生に預けなくてはいけないらしい。大抵は家に帰されるそうだけど。
ニール先生に預けるのは不安しかないから気持ちはわからないでもない。
それと、青龍様と玄武様がいないのは、従者としてたまたま顕現していなかったから今も秘密にしているからなんだって。
「……で、俺たちは特別寮に転寮することが決まったんだ。その時、魔物の持ち込みチェックを強化すべきか各寮の寮監と話し合っていた」
「ああ、それで……」
ニール先生が入寮する生徒をチェックしようと門に控えていたってことなのね。
「すまない、俺たちのせいでクリステア嬢にも迷惑をかけた」
「セイたちのせいじゃないわ。たまたま運が悪かったのよ。それに、あのお猿さんがいる以上、私たちだって遅かれ早かれ見つかっていただろうし……」
あれだけ騒がれたらもう誤魔化しようがないものね。
「セイと同じ寮になれたのは不幸中の幸いだと思いましょう。そうだ、お腹は空いてない? さっき、あまり食べていなかったのではないの? 何か食べる?」
「さっすがお嬢! もーあんなメシ食ってられっかってんだよなぁ! なんか食わせてくれ!」
「ああ! クリステア様ったら、なんてお優しいのかしら! ありがとうございます!」
「お前たちは少しは自重せんか!」
セイが二人を叱るのを見て、苦笑しながらインベントリから料理を出したのだった。
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