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おかえり、ただいま。
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「そういやもう昼メシの時間か。んじゃ解体場に獲物を置いてくっから皆で食おうぜ!」
白虎様はそう言うと、さっさと食堂に向かってしまった。
解体場が食堂内の厨房の奥にある扉を出た先にあるからだ。
「おい! こら待てトラ! お前何勝手に狩りになんて行ってるんだ!」
私はセイが怒鳴りながら白虎様を追いかけていったのを呆気に取られて見送っていた。
「我も行ってくる」
「おれも」
黒銀と真白も後を追って行ってしまった。
……うーん。人数が増えたし、談話室で昼食にするのは手狭だろうから、私たちも食堂で昼食を摂るとするか。
予習復習は、後で談話室に移動すればいいよね?
「マリエルさん、奥の食堂でランチにしましょ……わっ⁉︎」
振り返って声をかけようとした途端、マリエルちゃんにガッと両方の二の腕を掴まれた。
「……美形の不意打ちの登場は心臓に悪いです……」
マリエルちゃんはブハァッと息を吐き出してから、絞り出すような声で言った。
「……息止めてたの⁉︎」
「止まったという表現のほうが近いです。それに、私の呼吸ごときであの空気を乱すのは憚られるというか……」
「いや、呼吸はしようね?」
自ら息の根を止めようとしないでよね⁉︎
命に関わるから!
マリエルちゃんを連れて食堂に入ると、厨房から朱雀様が顔を覗かせた。
「あら、クリステア様も今おかえりでしたのね。お米は研いでおきましたわ」
朱雀様は燃えるような真っ赤な髪を後ろで一つにまとめ、いつもの妖艶さにキリリとした雰囲気がプラスされて、男装の麗人のようにかっこよかった。
私がいつも衛生管理について口酸っぱく説明しているので調理中は髪をまとめるようにしたそうだ。
背後からマリエルちゃんの「ふわぁ
……っ」というため息にも似た声が聞こえる。
振り向かなくてもボーっと見惚れているのだとわかる。
……とりあえず息は止めてないみたいだからよしとするか。
「朱雀様、ただいま帰りました。お米研ぎしていただいてありがとうございます」
「いいえ、これくらいお手伝いさせていただかなくては……あら? お友達とご一緒ですのね」
朱雀様が私の後ろにいるマリエルちゃんを見て言った。
「ええ。午後はマリエルさんと一緒に予習復習をしようと思ってお誘いしたの」
「まあ、そうなのですか。マリエル様、いらっしゃいませ」
朱雀様が艶やかに微笑むと、後ろからヒュッと息をのむ音がしたかと思うとすぐにマリエルちゃんがバッとお辞儀した。
「お、おおお邪魔しましゅっ!」
……噛んだ。
マリエルちゃんって美形と対面するとやたら噛むよね? なんで?
周囲はやたら美形揃いなんだし、そろそろイケメン耐性つけないと今後も大変だと思うんだけど……?
「ごゆっくりしてらしてね。クリステア様、お食事はこれからですか?」
「ええ、ここで皆と一緒にいただくわ。今日はインベントリから手持ちの分を提供するから、研いだ分は夕食用にしましょう」
「かしこまりましたわ」
そんなやりとりをしているうちに解体場に獲物を置いてきた白虎様たちが解体場から戻ってきた。
戻るのに少し時間がかかったようだし、すでに血抜きを始めたのかもしれない。
大物なら時間がかかるものね。
「そういえば黒銀、皆でどこまで狩りに行ったの?」
「……白虎が暇だから付き合えと言うので仕方なく、本当に仕方なくだがエリスフィード領へ転移して魔物を間引いてきた」
「おい、俺はお前らが退屈そうにしてたからわざわざ連れ出してやったんだぞ?」
白虎様が心外だとでもいうような表情でこうぎした。
セイがどこからか出した鉄扇で、バシンと手を打ったので白虎様はそれ以上何も言わなかった。すでに黙って抜け出したことを怒られたみたいね。
そっか、わざわざエリスフィード領まで移動したんだ。
王都周辺で皆が暴れたのを目撃されでもして大騒ぎになったらレオン様に叱られそうだし、それなら大丈夫かな。
「びゃっこがしつこいからしかたなくついていってあげたんだよ? あ、いちおうかくにんしたけど、おーくはふえてなかったからとってないよ?」
真白が黒銀の後ろからぴょこっと顔を出して言った。
そう、我が領ではオークの消費が激しいせいかあまり姿を見かけなくなってしまった。
だから、冒険者ギルドのエリスフィード支部ではオークの納品は常時依頼になっていることもあり、上位種でもない限りは冒険者の収入源としてある程度残しておこうということになったのだ。
それに、私のインベントリにはまだまだオーク肉の在庫があるので、非常時以外は狩らなくてもいいと二人には伝えていた。
もちろん、オークは魔物だから周辺住民の脅威にならないよう、大きな集落ができていたり、キングやジェネラルなどの上位種がいたらその限りではないけれど。
でも、冒険者たちが二重の意味で美味しい収入源として嬉々としてオークを狩るもんだから、あまり数が増えないんだよねぇ……
「そう、見廻りしてきてくれてありがとう。それで、今日は何が獲れたの?」
インベントリがあるのにわざわざ解体場に持っていくということは、血抜きに時間がかかる大物ってことよね?
「うむ。ビッグホーンブルを見つけたのでな、久々に遊んでやったわ」
おお、ビッグホーンブル!
久々の美味しい牛肉だ!
A5ランクのお肉かと思うほど美味しいのよね~!
ま、前世ではそんなにいい牛肉なんてそんなに食べてないからわかんないけどねっ!
うふふ、すじ肉は前と同様トロトロに煮込んで下ごしらえしておかなくちゃ。
そうそう、すじ肉で作るとろっとろの牛丼もいいけど、今度の冬には練りものを作っておでんもしたいのよね。
ああ、どう使おうかなぁ……!
「……主がそのように喜ぶのなら、行ったかいがあったな」
おっといけない。嬉しさのあまりついにやけてしまっていたようだ。
「ゴホン! でも気をつけてちょうだいね! 連絡もなしにいきなり出かけたら心配だから」
「うむ。次は気をつけよう」
まあ心配したところで、聖獣が三体もいたら戦力過剰だからね。
今回ビッグホーンブルは本当に運が悪かったとしか言いようがないわね。
「くりすてあ、おにくもいいけど、おれがまたくりすてあのすきなシャーケンとってきてあげるからね!」
真白が黒銀に対抗して言う。
今回黒銀と白虎様が張り切って仕留めてしまったので、真白は出番がなかったそうでちょっと不満そうだ。
「ありがとう、真白。まだインベントリに在庫があるけど、また遡上の季節に真白の里帰りも兼ねてお願いするわね」
「うん! まかせて!」
満面の笑顔で応える真白がとても可愛かったからか、背後からマリエルちゃんが「か、かわ……っ!」「け、けしからん……」とかぶつぶつ呟いていたみたいだけど、突っ込んだら負けな気がして、私は全力でスルーすることにした。
「さあ皆さん昼食にしますから、手洗いうがいを忘れずに!」
私がパン!と手を叩くと、皆いそいそと手洗い場に向かったのだった。
---------------------------
皆様、引き続き感染対策に手洗いうがいは
忘れずしましょうね( ´ ▽ ` )
さて、コミカライズ版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」2巻はお手元に届きましたでしょうか?
書き下ろし番外編がついていますのでぜひお読みくださいませ!
原作ではビジュアル化されなかったあの人とかあの人とかあの人が出てますので!
皆さん、見て! ぜひ見て! と心の声を大にして叫んでいる毎日でございます……!
白虎様はそう言うと、さっさと食堂に向かってしまった。
解体場が食堂内の厨房の奥にある扉を出た先にあるからだ。
「おい! こら待てトラ! お前何勝手に狩りになんて行ってるんだ!」
私はセイが怒鳴りながら白虎様を追いかけていったのを呆気に取られて見送っていた。
「我も行ってくる」
「おれも」
黒銀と真白も後を追って行ってしまった。
……うーん。人数が増えたし、談話室で昼食にするのは手狭だろうから、私たちも食堂で昼食を摂るとするか。
予習復習は、後で談話室に移動すればいいよね?
「マリエルさん、奥の食堂でランチにしましょ……わっ⁉︎」
振り返って声をかけようとした途端、マリエルちゃんにガッと両方の二の腕を掴まれた。
「……美形の不意打ちの登場は心臓に悪いです……」
マリエルちゃんはブハァッと息を吐き出してから、絞り出すような声で言った。
「……息止めてたの⁉︎」
「止まったという表現のほうが近いです。それに、私の呼吸ごときであの空気を乱すのは憚られるというか……」
「いや、呼吸はしようね?」
自ら息の根を止めようとしないでよね⁉︎
命に関わるから!
マリエルちゃんを連れて食堂に入ると、厨房から朱雀様が顔を覗かせた。
「あら、クリステア様も今おかえりでしたのね。お米は研いでおきましたわ」
朱雀様は燃えるような真っ赤な髪を後ろで一つにまとめ、いつもの妖艶さにキリリとした雰囲気がプラスされて、男装の麗人のようにかっこよかった。
私がいつも衛生管理について口酸っぱく説明しているので調理中は髪をまとめるようにしたそうだ。
背後からマリエルちゃんの「ふわぁ
……っ」というため息にも似た声が聞こえる。
振り向かなくてもボーっと見惚れているのだとわかる。
……とりあえず息は止めてないみたいだからよしとするか。
「朱雀様、ただいま帰りました。お米研ぎしていただいてありがとうございます」
「いいえ、これくらいお手伝いさせていただかなくては……あら? お友達とご一緒ですのね」
朱雀様が私の後ろにいるマリエルちゃんを見て言った。
「ええ。午後はマリエルさんと一緒に予習復習をしようと思ってお誘いしたの」
「まあ、そうなのですか。マリエル様、いらっしゃいませ」
朱雀様が艶やかに微笑むと、後ろからヒュッと息をのむ音がしたかと思うとすぐにマリエルちゃんがバッとお辞儀した。
「お、おおお邪魔しましゅっ!」
……噛んだ。
マリエルちゃんって美形と対面するとやたら噛むよね? なんで?
周囲はやたら美形揃いなんだし、そろそろイケメン耐性つけないと今後も大変だと思うんだけど……?
「ごゆっくりしてらしてね。クリステア様、お食事はこれからですか?」
「ええ、ここで皆と一緒にいただくわ。今日はインベントリから手持ちの分を提供するから、研いだ分は夕食用にしましょう」
「かしこまりましたわ」
そんなやりとりをしているうちに解体場に獲物を置いてきた白虎様たちが解体場から戻ってきた。
戻るのに少し時間がかかったようだし、すでに血抜きを始めたのかもしれない。
大物なら時間がかかるものね。
「そういえば黒銀、皆でどこまで狩りに行ったの?」
「……白虎が暇だから付き合えと言うので仕方なく、本当に仕方なくだがエリスフィード領へ転移して魔物を間引いてきた」
「おい、俺はお前らが退屈そうにしてたからわざわざ連れ出してやったんだぞ?」
白虎様が心外だとでもいうような表情でこうぎした。
セイがどこからか出した鉄扇で、バシンと手を打ったので白虎様はそれ以上何も言わなかった。すでに黙って抜け出したことを怒られたみたいね。
そっか、わざわざエリスフィード領まで移動したんだ。
王都周辺で皆が暴れたのを目撃されでもして大騒ぎになったらレオン様に叱られそうだし、それなら大丈夫かな。
「びゃっこがしつこいからしかたなくついていってあげたんだよ? あ、いちおうかくにんしたけど、おーくはふえてなかったからとってないよ?」
真白が黒銀の後ろからぴょこっと顔を出して言った。
そう、我が領ではオークの消費が激しいせいかあまり姿を見かけなくなってしまった。
だから、冒険者ギルドのエリスフィード支部ではオークの納品は常時依頼になっていることもあり、上位種でもない限りは冒険者の収入源としてある程度残しておこうということになったのだ。
それに、私のインベントリにはまだまだオーク肉の在庫があるので、非常時以外は狩らなくてもいいと二人には伝えていた。
もちろん、オークは魔物だから周辺住民の脅威にならないよう、大きな集落ができていたり、キングやジェネラルなどの上位種がいたらその限りではないけれど。
でも、冒険者たちが二重の意味で美味しい収入源として嬉々としてオークを狩るもんだから、あまり数が増えないんだよねぇ……
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インベントリがあるのにわざわざ解体場に持っていくということは、血抜きに時間がかかる大物ってことよね?
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おお、ビッグホーンブル!
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うふふ、すじ肉は前と同様トロトロに煮込んで下ごしらえしておかなくちゃ。
そうそう、すじ肉で作るとろっとろの牛丼もいいけど、今度の冬には練りものを作っておでんもしたいのよね。
ああ、どう使おうかなぁ……!
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おっといけない。嬉しさのあまりついにやけてしまっていたようだ。
「ゴホン! でも気をつけてちょうだいね! 連絡もなしにいきなり出かけたら心配だから」
「うむ。次は気をつけよう」
まあ心配したところで、聖獣が三体もいたら戦力過剰だからね。
今回ビッグホーンブルは本当に運が悪かったとしか言いようがないわね。
「くりすてあ、おにくもいいけど、おれがまたくりすてあのすきなシャーケンとってきてあげるからね!」
真白が黒銀に対抗して言う。
今回黒銀と白虎様が張り切って仕留めてしまったので、真白は出番がなかったそうでちょっと不満そうだ。
「ありがとう、真白。まだインベントリに在庫があるけど、また遡上の季節に真白の里帰りも兼ねてお願いするわね」
「うん! まかせて!」
満面の笑顔で応える真白がとても可愛かったからか、背後からマリエルちゃんが「か、かわ……っ!」「け、けしからん……」とかぶつぶつ呟いていたみたいだけど、突っ込んだら負けな気がして、私は全力でスルーすることにした。
「さあ皆さん昼食にしますから、手洗いうがいを忘れずに!」
私がパン!と手を叩くと、皆いそいそと手洗い場に向かったのだった。
---------------------------
皆様、引き続き感染対策に手洗いうがいは
忘れずしましょうね( ´ ▽ ` )
さて、コミカライズ版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」2巻はお手元に届きましたでしょうか?
書き下ろし番外編がついていますのでぜひお読みくださいませ!
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