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連載
自己紹介とガイダンス
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何人か自己紹介を終えてから、エイディー様が指名されて立ち上がった。
「俺はエイドリアン・ネルソン、エイディーって呼んでくれ。親父は知っての通り騎士団長をやってる。俺も将来は騎士になって国のために戦う予定だから、学園では戦いに使えそうな魔法をたくさん覚えようと思ってる。よろしくな!」
おおう……なんと脳筋っぽい自己紹介。
陽キャなところといい、似たようなタイプの聖獣様を知ってるだけに、振り回されないように気をつけないと。
エイディー様の自己紹介の後はアリシア様が指名された。
「……アリシア・グルージアですわ」
アリシア様はそう言ってスッと綺麗なお辞儀をしてすぐに着席してしまった。
「え? ええと、他に何かないかな? 好きなこととか、趣味とか、皆よろしくねーとか」
「いいえ、特には」
ニール先生の問いにそっけなく答えると、アリシア様は「早く次の方を指名なさってくださいませ」と交代を促した。
「そ、そう? じゃあ次は……クリステア嬢」
ニール先生は身分関係なく目についた人物をランダムに指名していたため、いきなり自分が指名され慌てて立ち上がる。
「クリステア・エリスフィードですわ。諸事情によりずっと領地で過ごしておりましたので、皆様仲良くしてくださると嬉しいです」
せっかくクラスメイトになるんだから、仲良くしたいもんね。
とはいえ、下心見え見えの人はそれなりのお付き合いにとどめないと、お父様たちにも迷惑をかけることになるから気をつけなきゃ。
無事自己紹介が終わって安堵していると、マリエルちゃん、セイと続けて指名されていた。
マリエルちゃんは相変わらず緊張するとダメみたいで噛み噛みだったけれど、セイはさらりとそつなく自己紹介して終わった。
私もセイも聖獣契約者ということもあって自己紹介中はかなり注目を浴びていたけれど、聖獣について質問されたりしなくてよかったわ。
それにしても……少ない。
特別クラスというだけあって、クラスメイトの人数はそれほど多くないだろうと予想していたけれど、総勢12名って……少ないよね?
あの講堂を埋め尽くす生徒数を考えれば、これでも多いほうなのかな?
「ええと、特別クラスについての説明だけど、このクラスは筆記試験や適正テストの結果から、基本的な学力や魔力量は申し分ないと判断された者が集められている。だから、一般教養の授業は試験で理解度が低いと判断された科目のみ出席すれば、後は免除されることになっているんだ。出席が必要な授業については後で個別に連絡するから単位を落とさないようにね。Aクラスと一緒に授業を受けることになるけど、担当教師が十分理解したと判断した場合にはそれ以降の授業は免除になるからね」
のほほんとしたニール先生の言葉にマーレン師が続いた。
「うむ。授業を免除するのは、君たちに更なる研鑽を期待しているからじゃよ。優秀な人材に無駄な時間を使わせてはもったいないじゃろ? ただし、優秀だからと驕り高ぶり、怠けて成績を落とすようであれば容赦なく下位のクラスに落とすからそのつもりでのぅ」
呵々と笑うマーレン師の言葉に、さっきまで「授業受けなくていいなんて、ラッキー!」とばかりに浮かれていた子たちの顔が引き攣っていた。
「マーレン先生の言う通りだよ。あ、もちろん免除されてる授業も受けたいなら受けていいからね。年度末に行う進級試験は当然君たちも受けてもらうことだし」
ニール先生の言葉に一部の生徒たちがうんざりした様子を見せていた。
特別クラスとはいえ、そこまで免除されたら優遇されすぎでしょうよ……
進級試験で学力が衰えてはいないかチェックして、来年度のクラス分けの判断材料にしてるんだろうし。
出なくていい授業は、おさらいを兼ねて少しずつ自習することにしようっと。
「君たちに出席が義務づけられているのは実習が必須の授業だね。例えば、僕の担当教科である魔物学とか、マーレン先生の魔法学とか!」
ドヤ顔で語るニール先生を皆がシラーッとした顔で見る中、ロニー様はマーレン師を熱心に見つめていた。
……本当に魔法が好きなんだろうな。
マーレン師が引退してからうちの家庭教師をしてたことは知らなかったみたいだし、もしバレたら……ものすごい嫉妬されそう。
気をつけなきゃ。
「とりあえず必須科目と個人別に受けるべき科目のリストを渡すので、名前を呼ばれたら取りにくるように」
ニール先生に名前を呼ばれ、次々にプリントを取りに前に向かう。
私も呼ばれたので素早く受け取ると席に戻り、内容を確認した。
……あれ? これって、変じゃない?
一般教養は簡単だったから全て免除なのはいいとして、貴族の振る舞いを学ぶマナー学については実技試験以外は受けたい内容だけ参加すればOK?
魔法学も初級は講義免除、実技は初回の試験次第では免除……等々。
え、実習が必須の講義以外、ほとんど受ける授業がない。
魔物学は必須みたいだけど、魔法学が免除って……と思ったところで顔を上げると、マーレン師がニヤリと笑った。
「なんじゃ、クリステア嬢には初級魔法の講義なんぞ受けんでよかろう? わしの講義をまた受けたいのかの?」
「いえ、その……」
マーレン師のお墨付きはあっても、やっぱり魔法学の講義は前世の有名なファンタジー小説のファンだったこともあって強い憧れがあるんだもの。
皆で実際に魔法使ってみたりとかさぁ……
ガタッ。
……ん?
「……マーレン先生の、講義?」
声の主を見ると、ロニー様がゆらりと立ち上がり、こちらを見ていた。
……あ、ああああああ⁉︎
マーレン師いいいぃ!
最速でロニー様にバレちゃったじゃないのおおおぉ!
「まさか……マーレン先生は、今まで、エリスフィード公爵家で、家庭教師を……?」
ひええええ、瓶底メガネでよく見えないのに、めちゃくちゃ睨まれてるのがわかるうぅ!
私は思わず顔を背けた。
いや、私は何も悪くないからね⁉︎
私がマーレン師を無理矢理引退させてたわけじゃないからね⁉︎
本人めっちゃ隠居生活楽しんでたからね⁇
「うむ、そうなんじゃよ。じゃからクリステア嬢の力量は把握しとるんじゃ」
マーレン師があご髭をしごきながら得意げに答える。
「……なんて、羨ましい……!」
握りしめた拳をドンッと机に叩きつけ、ギリッと歯噛みする音が聞こえた。
……怖くて振り向けないよう。
「はいはい、そこ。とりあえず着席してね。これから思う存分教えて貰えるんだからいいじゃない。じゃあ次に選択授業についてだけど……」
ニール先生はロニー様の様子を気にすることなく着席させ説明を続ける。
こういう時ばかりは、ニール先生の空気読まない強メンタルが羨ましい。
私は背後から突き刺さるような視線を感じたけれども、振り向く勇気もないのでニール先生の説明に集中することにした。
「ここまで説明したのは必須科目に関してだけど、一緒に配ったもう一枚のプリントに書かれている選択科目について説明するよ」
ニール先生によると、必須科目以外にも、将来的になりたい職業や専門的な分野で学びたいことがある人のために選択科目が用意されているとのこと。
貴族には領地経営や他国との関わり方を学ぶ外交など難しいものから、淑女として恥ずかしくない振る舞いなどを学ぶコース、商人や平民向けには経済学や貴族相手の振る舞いを学んだり、メイドや従僕など使用人として必要な知識を得るコースなど、まあ要するに卒業後に困らないようにと、職業訓練的な意味合いが強い科目がメインだ。
前からそのコースのことは聞いていたけれど、一年生から勉強するのか……まあ確かに経験を積まないと身に付かない技能もあるだろうから、早めに始めるに越したことはないってことなんだろうな。
「どのコースを取るかは自分の将来を踏まえて考えるようにね。今年選択しなくても来年追加・変更することも可能だから、今から無理にあれこれ詰め込む必要はないよ」
選択科目については、単位が取れないからといって厳罰があったり、進級できないわけではないらしく、ただ、卒業時に希望の職種につくための紹介状や推薦状が学園から発行されないのだそう。
……それは必死に勉強するよね。
ニール先生による各コースの説明を聞きつつ、どのコースを選択するかじっくり考えることにしたのだった。
---------------------------
コミカライズ版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」3巻が12月末に刊行されます!
コミカライズ版の連載は2月までお休みとなりますが、コミックスには描き下ろし番外編も収録されますのでお楽しみに!
「俺はエイドリアン・ネルソン、エイディーって呼んでくれ。親父は知っての通り騎士団長をやってる。俺も将来は騎士になって国のために戦う予定だから、学園では戦いに使えそうな魔法をたくさん覚えようと思ってる。よろしくな!」
おおう……なんと脳筋っぽい自己紹介。
陽キャなところといい、似たようなタイプの聖獣様を知ってるだけに、振り回されないように気をつけないと。
エイディー様の自己紹介の後はアリシア様が指名された。
「……アリシア・グルージアですわ」
アリシア様はそう言ってスッと綺麗なお辞儀をしてすぐに着席してしまった。
「え? ええと、他に何かないかな? 好きなこととか、趣味とか、皆よろしくねーとか」
「いいえ、特には」
ニール先生の問いにそっけなく答えると、アリシア様は「早く次の方を指名なさってくださいませ」と交代を促した。
「そ、そう? じゃあ次は……クリステア嬢」
ニール先生は身分関係なく目についた人物をランダムに指名していたため、いきなり自分が指名され慌てて立ち上がる。
「クリステア・エリスフィードですわ。諸事情によりずっと領地で過ごしておりましたので、皆様仲良くしてくださると嬉しいです」
せっかくクラスメイトになるんだから、仲良くしたいもんね。
とはいえ、下心見え見えの人はそれなりのお付き合いにとどめないと、お父様たちにも迷惑をかけることになるから気をつけなきゃ。
無事自己紹介が終わって安堵していると、マリエルちゃん、セイと続けて指名されていた。
マリエルちゃんは相変わらず緊張するとダメみたいで噛み噛みだったけれど、セイはさらりとそつなく自己紹介して終わった。
私もセイも聖獣契約者ということもあって自己紹介中はかなり注目を浴びていたけれど、聖獣について質問されたりしなくてよかったわ。
それにしても……少ない。
特別クラスというだけあって、クラスメイトの人数はそれほど多くないだろうと予想していたけれど、総勢12名って……少ないよね?
あの講堂を埋め尽くす生徒数を考えれば、これでも多いほうなのかな?
「ええと、特別クラスについての説明だけど、このクラスは筆記試験や適正テストの結果から、基本的な学力や魔力量は申し分ないと判断された者が集められている。だから、一般教養の授業は試験で理解度が低いと判断された科目のみ出席すれば、後は免除されることになっているんだ。出席が必要な授業については後で個別に連絡するから単位を落とさないようにね。Aクラスと一緒に授業を受けることになるけど、担当教師が十分理解したと判断した場合にはそれ以降の授業は免除になるからね」
のほほんとしたニール先生の言葉にマーレン師が続いた。
「うむ。授業を免除するのは、君たちに更なる研鑽を期待しているからじゃよ。優秀な人材に無駄な時間を使わせてはもったいないじゃろ? ただし、優秀だからと驕り高ぶり、怠けて成績を落とすようであれば容赦なく下位のクラスに落とすからそのつもりでのぅ」
呵々と笑うマーレン師の言葉に、さっきまで「授業受けなくていいなんて、ラッキー!」とばかりに浮かれていた子たちの顔が引き攣っていた。
「マーレン先生の言う通りだよ。あ、もちろん免除されてる授業も受けたいなら受けていいからね。年度末に行う進級試験は当然君たちも受けてもらうことだし」
ニール先生の言葉に一部の生徒たちがうんざりした様子を見せていた。
特別クラスとはいえ、そこまで免除されたら優遇されすぎでしょうよ……
進級試験で学力が衰えてはいないかチェックして、来年度のクラス分けの判断材料にしてるんだろうし。
出なくていい授業は、おさらいを兼ねて少しずつ自習することにしようっと。
「君たちに出席が義務づけられているのは実習が必須の授業だね。例えば、僕の担当教科である魔物学とか、マーレン先生の魔法学とか!」
ドヤ顔で語るニール先生を皆がシラーッとした顔で見る中、ロニー様はマーレン師を熱心に見つめていた。
……本当に魔法が好きなんだろうな。
マーレン師が引退してからうちの家庭教師をしてたことは知らなかったみたいだし、もしバレたら……ものすごい嫉妬されそう。
気をつけなきゃ。
「とりあえず必須科目と個人別に受けるべき科目のリストを渡すので、名前を呼ばれたら取りにくるように」
ニール先生に名前を呼ばれ、次々にプリントを取りに前に向かう。
私も呼ばれたので素早く受け取ると席に戻り、内容を確認した。
……あれ? これって、変じゃない?
一般教養は簡単だったから全て免除なのはいいとして、貴族の振る舞いを学ぶマナー学については実技試験以外は受けたい内容だけ参加すればOK?
魔法学も初級は講義免除、実技は初回の試験次第では免除……等々。
え、実習が必須の講義以外、ほとんど受ける授業がない。
魔物学は必須みたいだけど、魔法学が免除って……と思ったところで顔を上げると、マーレン師がニヤリと笑った。
「なんじゃ、クリステア嬢には初級魔法の講義なんぞ受けんでよかろう? わしの講義をまた受けたいのかの?」
「いえ、その……」
マーレン師のお墨付きはあっても、やっぱり魔法学の講義は前世の有名なファンタジー小説のファンだったこともあって強い憧れがあるんだもの。
皆で実際に魔法使ってみたりとかさぁ……
ガタッ。
……ん?
「……マーレン先生の、講義?」
声の主を見ると、ロニー様がゆらりと立ち上がり、こちらを見ていた。
……あ、ああああああ⁉︎
マーレン師いいいぃ!
最速でロニー様にバレちゃったじゃないのおおおぉ!
「まさか……マーレン先生は、今まで、エリスフィード公爵家で、家庭教師を……?」
ひええええ、瓶底メガネでよく見えないのに、めちゃくちゃ睨まれてるのがわかるうぅ!
私は思わず顔を背けた。
いや、私は何も悪くないからね⁉︎
私がマーレン師を無理矢理引退させてたわけじゃないからね⁉︎
本人めっちゃ隠居生活楽しんでたからね⁇
「うむ、そうなんじゃよ。じゃからクリステア嬢の力量は把握しとるんじゃ」
マーレン師があご髭をしごきながら得意げに答える。
「……なんて、羨ましい……!」
握りしめた拳をドンッと机に叩きつけ、ギリッと歯噛みする音が聞こえた。
……怖くて振り向けないよう。
「はいはい、そこ。とりあえず着席してね。これから思う存分教えて貰えるんだからいいじゃない。じゃあ次に選択授業についてだけど……」
ニール先生はロニー様の様子を気にすることなく着席させ説明を続ける。
こういう時ばかりは、ニール先生の空気読まない強メンタルが羨ましい。
私は背後から突き刺さるような視線を感じたけれども、振り向く勇気もないのでニール先生の説明に集中することにした。
「ここまで説明したのは必須科目に関してだけど、一緒に配ったもう一枚のプリントに書かれている選択科目について説明するよ」
ニール先生によると、必須科目以外にも、将来的になりたい職業や専門的な分野で学びたいことがある人のために選択科目が用意されているとのこと。
貴族には領地経営や他国との関わり方を学ぶ外交など難しいものから、淑女として恥ずかしくない振る舞いなどを学ぶコース、商人や平民向けには経済学や貴族相手の振る舞いを学んだり、メイドや従僕など使用人として必要な知識を得るコースなど、まあ要するに卒業後に困らないようにと、職業訓練的な意味合いが強い科目がメインだ。
前からそのコースのことは聞いていたけれど、一年生から勉強するのか……まあ確かに経験を積まないと身に付かない技能もあるだろうから、早めに始めるに越したことはないってことなんだろうな。
「どのコースを取るかは自分の将来を踏まえて考えるようにね。今年選択しなくても来年追加・変更することも可能だから、今から無理にあれこれ詰め込む必要はないよ」
選択科目については、単位が取れないからといって厳罰があったり、進級できないわけではないらしく、ただ、卒業時に希望の職種につくための紹介状や推薦状が学園から発行されないのだそう。
……それは必死に勉強するよね。
ニール先生による各コースの説明を聞きつつ、どのコースを選択するかじっくり考えることにしたのだった。
---------------------------
コミカライズ版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」3巻が12月末に刊行されます!
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