329 / 423
連載
スパイス三昧!
しおりを挟む
その後、届いた資料を調べた結果、様々なスパイスの栽培が盛んで、国内でも地域によって使い方は様々であることがわかった。
前世で言えば、カレーが好まれる土地もあれば、麻婆豆腐が好きだったり、トムヤムクンが家庭の味だといったように、使われるスパイスの消費量が違うようだった。
「これは……どの系統に照準を定めるのかは難しいのではないかしら」
「そうですねぇ……でも、使者の方は王都からいらっしゃるのですよね? 王都だったらよほど特殊な地域でなければ大抵の料理は食べられそうな気がするのですけど」
ドリスタン王国の王都っ子のマリエルちゃん曰く、ドリスタン王国にも領地によって郷土料理的なものがあるらしい。
アデリア学園には遠い領地から入学して帰省もままならない子もいるので、故郷の味が楽しめるお店や宿もあるのだそう。
そういうお店はあちこち旅をする冒険者や商人たちに人気なんですって。
え、なにそれめちゃくちゃ興味あるんですけど?
マリエルちゃんに今度連れて行ってもらう約束をして話を続ける。
「そんなわけで、サモナール国も王都ならどの地方の料理も体験できそうですし、むしろどんな味でも受け入れられそうな気がするんですよね」
「なるほど」
でも、ドリスタン王国のこってりギトギト料理は除く、と。
まあ、寒い国とかには受け入れられそうな気はするんだけどね。
サモナール国はドリスタン王国よりかなり南に位置するため、気候は前世でいうところの熱帯に近いのかしらね。
文化を記した書類に服装の項目があって、図に描かれていたものは空気をはらみやすい涼しげな印象の服だった。
マリエルちゃんがそれを熱心に見ていて「腰履きの位置低めのハーレムパンツに短め丈の上着……エッッッr……とと、いけない、いけない」と凝視しながら息が荒かったのを慌てて深呼吸して自らを落ち着かせていた。
隣でルビィが「あらぁ、扇情的な格好ねぇ。うふふ、いいわぁ」なんてご機嫌な様子で見ていた。マリエルちゃん……
「と、とにかく。ここより暑い土地柄か、スパイスを効かせて汗をかくことで体を冷やす効果を狙う料理が多いみたいね」
「スパイスって体を温める効果があるとばかり考えてましたけど、暑い国ではさらにその先の効果を狙ってるわけですね」
「そうそう。だから土地ごとに調理法に差異があるとはいえ、スパイス好きなのは間違いないわね」
王都からやってくる使者がどの地域出身かで好みが分かれそうではあるから、下手にサモナール国の郷土料理を参考にするのはやめたほうがよさそうね。
前世でスパイスをふんだんに使った料理はたくさんあるけれど、どの国かは限定しないで色々組み合わせて出してみてもいいのかも。
「よおし、それじゃ試作……の前に、ちょっとスパイスの調合をしてくるわね!」
私はミリアを監督役にして夕食の下準備を皆にまかせ、自室へ急いだ。
「くりすてあ、じゅんびできたよー」
真白に声をかけられ、今まで集中していたことに気づいた。
「えっ、あ? あれ? もうこんな時間⁉︎ ごめんごめん、私も下に降りて手伝うわね」
「ううん、もうしたくがおわったからよびにきたんだよ。おなかすいたでしょ? みんなまってるからたべようよ」
「え? 終わったって……全部作ってくれたの?」
「うん。くりすてあはいそがしいんだからおれたちでできることはやろうってがんばったんだよ?」
だから褒めて? と真白が笑った。
「真白……皆も……ありがとう。じゃあ、下に降りよっか!」
「うん! はやくいこう! おれもうおなかぺこべこだよ~」
「あはは、じゃあ急いで行かなきゃ!」
私と真白は足取りも軽く食堂へ向かったのだった。
今晩の夕食はいつものお味噌汁にオーク肉の味噌漬けを焼いたものに付け合わせはキャベツの千切り(マヨネーズ別添)。
キャベツとマヨネーズはおかわり自由、らしい。
そういえばオーク肉を味噌漬けにして冷蔵室に入れてたんだっけ。
私が前日に下ごしらえを済ませて後は焼くだけにしておいたから、クリステア様抜きでも大丈夫でしたって、ミリアが笑って言った。
皆も得意そうに笑っていたので、私は嬉しくなってお礼を言ってから、ご飯を山盛りにしてたくさん食べたのだった。
皆が頑張って作ってくれた夕食は、とても美味しかった!
食後は皆で片付けをしてから、談話室に向かった。
「とりあえず、いくつかスパイスを調合してみたのだけれど」
私はそう言ってテーブルに調合済みのスパイスや追加しやすいようそれぞれ粉状にすりつぶして瓶に詰めたものを並べた。
「これはカレー粉、これを使えばカレーも作れるし、他の料理の味付けにも使えるわ」
前世でもお世話になった赤い缶のカレー粉に近い配合になるよう頑張った。
薬草にも使われるものが多いからこれだけで結構なお値段になるため、市場には出せないのが難点。そして万が一、貴族がカレーに夢中になってしまったら、市場に薬草が消えたり価格が高騰したりする懸念があるため、エリスフィード家門外不出のメニューに決定した曰く付きの品だ。
「ついでに作ったガラムマサラ」
カレー粉だけだと辛さが物足りないって人用に作っている。私もこれを追加して食べるのが好きなのよね。
昔レイモンド王太子殿下に食べさせたのはさらに辛さの段階を上げたものだったけどね。わはは。
「そしてこれは豆板醬もどき」
瓶の中は真っ赤なペースト状のものが入っていて、見るからに辛そう。
本格的な豆板醬を作るなら、4~6ヶ月の熟成期間が必要だけど、今回はそんな時間はないってことで、醤油、みそ、ごま油、にんにく、唐辛子を混ぜ合わせたたけのなんちゃって豆板醬だ。
赤みそがあればなんちゃって甜麺醤も作りたかったな。
ヤハトゥールに赤みそはないかセイに今度聞いてみなくちゃ。
「ええと、これはハリッサね」
辛味の強いチリソースで、確かチュニジア料理に使われる調味料だったかな?
前世で一時期ハリッサ鍋にハマった時に自作できないか調べて作ったことがあったのよね。朧げな記憶を頼りに作ったので完全再現とはいかないものの、いい線いってるのではないかと思う。
まあ、これが正解! って判断できる人がいないので、この世界ではこれが唯一のハリッサだ。うん。
「そしてこれはケイジャン」
アメリカはルイジアナ州あたりで食べられているケイジャン料理に使われるミックススパイスだ。同じミックススパイスを使った料理でもトマトを使ったりルーの材料が変わるとクレオール料理って言うんだって。面白いわよね。
「わあ……すごい! こんなにたくさん!」
「これはすごい……う、いかにも辛そうな色のものもあるな」
「うおっ、すげー匂いだ! でもこいつで肉を焼いたら美味そうだな……(ごくり)」
皆の様々な反応を見て、やはりそれぞれに好みが分かれるなと感じた。
それを踏まえてメニューを組み立てたほうがよさそうね。
「とりあえずこれらを使って試作をするから、皆作るのも、もちろん試食も手伝ってね!」
私の言葉に皆が「おう!(はい!)」と揃って応えてくれたのだった。
---------------------------
いつもコメントandエールポチッとありがとうございます!
執筆の励みになっておりますー!
前世で言えば、カレーが好まれる土地もあれば、麻婆豆腐が好きだったり、トムヤムクンが家庭の味だといったように、使われるスパイスの消費量が違うようだった。
「これは……どの系統に照準を定めるのかは難しいのではないかしら」
「そうですねぇ……でも、使者の方は王都からいらっしゃるのですよね? 王都だったらよほど特殊な地域でなければ大抵の料理は食べられそうな気がするのですけど」
ドリスタン王国の王都っ子のマリエルちゃん曰く、ドリスタン王国にも領地によって郷土料理的なものがあるらしい。
アデリア学園には遠い領地から入学して帰省もままならない子もいるので、故郷の味が楽しめるお店や宿もあるのだそう。
そういうお店はあちこち旅をする冒険者や商人たちに人気なんですって。
え、なにそれめちゃくちゃ興味あるんですけど?
マリエルちゃんに今度連れて行ってもらう約束をして話を続ける。
「そんなわけで、サモナール国も王都ならどの地方の料理も体験できそうですし、むしろどんな味でも受け入れられそうな気がするんですよね」
「なるほど」
でも、ドリスタン王国のこってりギトギト料理は除く、と。
まあ、寒い国とかには受け入れられそうな気はするんだけどね。
サモナール国はドリスタン王国よりかなり南に位置するため、気候は前世でいうところの熱帯に近いのかしらね。
文化を記した書類に服装の項目があって、図に描かれていたものは空気をはらみやすい涼しげな印象の服だった。
マリエルちゃんがそれを熱心に見ていて「腰履きの位置低めのハーレムパンツに短め丈の上着……エッッッr……とと、いけない、いけない」と凝視しながら息が荒かったのを慌てて深呼吸して自らを落ち着かせていた。
隣でルビィが「あらぁ、扇情的な格好ねぇ。うふふ、いいわぁ」なんてご機嫌な様子で見ていた。マリエルちゃん……
「と、とにかく。ここより暑い土地柄か、スパイスを効かせて汗をかくことで体を冷やす効果を狙う料理が多いみたいね」
「スパイスって体を温める効果があるとばかり考えてましたけど、暑い国ではさらにその先の効果を狙ってるわけですね」
「そうそう。だから土地ごとに調理法に差異があるとはいえ、スパイス好きなのは間違いないわね」
王都からやってくる使者がどの地域出身かで好みが分かれそうではあるから、下手にサモナール国の郷土料理を参考にするのはやめたほうがよさそうね。
前世でスパイスをふんだんに使った料理はたくさんあるけれど、どの国かは限定しないで色々組み合わせて出してみてもいいのかも。
「よおし、それじゃ試作……の前に、ちょっとスパイスの調合をしてくるわね!」
私はミリアを監督役にして夕食の下準備を皆にまかせ、自室へ急いだ。
「くりすてあ、じゅんびできたよー」
真白に声をかけられ、今まで集中していたことに気づいた。
「えっ、あ? あれ? もうこんな時間⁉︎ ごめんごめん、私も下に降りて手伝うわね」
「ううん、もうしたくがおわったからよびにきたんだよ。おなかすいたでしょ? みんなまってるからたべようよ」
「え? 終わったって……全部作ってくれたの?」
「うん。くりすてあはいそがしいんだからおれたちでできることはやろうってがんばったんだよ?」
だから褒めて? と真白が笑った。
「真白……皆も……ありがとう。じゃあ、下に降りよっか!」
「うん! はやくいこう! おれもうおなかぺこべこだよ~」
「あはは、じゃあ急いで行かなきゃ!」
私と真白は足取りも軽く食堂へ向かったのだった。
今晩の夕食はいつものお味噌汁にオーク肉の味噌漬けを焼いたものに付け合わせはキャベツの千切り(マヨネーズ別添)。
キャベツとマヨネーズはおかわり自由、らしい。
そういえばオーク肉を味噌漬けにして冷蔵室に入れてたんだっけ。
私が前日に下ごしらえを済ませて後は焼くだけにしておいたから、クリステア様抜きでも大丈夫でしたって、ミリアが笑って言った。
皆も得意そうに笑っていたので、私は嬉しくなってお礼を言ってから、ご飯を山盛りにしてたくさん食べたのだった。
皆が頑張って作ってくれた夕食は、とても美味しかった!
食後は皆で片付けをしてから、談話室に向かった。
「とりあえず、いくつかスパイスを調合してみたのだけれど」
私はそう言ってテーブルに調合済みのスパイスや追加しやすいようそれぞれ粉状にすりつぶして瓶に詰めたものを並べた。
「これはカレー粉、これを使えばカレーも作れるし、他の料理の味付けにも使えるわ」
前世でもお世話になった赤い缶のカレー粉に近い配合になるよう頑張った。
薬草にも使われるものが多いからこれだけで結構なお値段になるため、市場には出せないのが難点。そして万が一、貴族がカレーに夢中になってしまったら、市場に薬草が消えたり価格が高騰したりする懸念があるため、エリスフィード家門外不出のメニューに決定した曰く付きの品だ。
「ついでに作ったガラムマサラ」
カレー粉だけだと辛さが物足りないって人用に作っている。私もこれを追加して食べるのが好きなのよね。
昔レイモンド王太子殿下に食べさせたのはさらに辛さの段階を上げたものだったけどね。わはは。
「そしてこれは豆板醬もどき」
瓶の中は真っ赤なペースト状のものが入っていて、見るからに辛そう。
本格的な豆板醬を作るなら、4~6ヶ月の熟成期間が必要だけど、今回はそんな時間はないってことで、醤油、みそ、ごま油、にんにく、唐辛子を混ぜ合わせたたけのなんちゃって豆板醬だ。
赤みそがあればなんちゃって甜麺醤も作りたかったな。
ヤハトゥールに赤みそはないかセイに今度聞いてみなくちゃ。
「ええと、これはハリッサね」
辛味の強いチリソースで、確かチュニジア料理に使われる調味料だったかな?
前世で一時期ハリッサ鍋にハマった時に自作できないか調べて作ったことがあったのよね。朧げな記憶を頼りに作ったので完全再現とはいかないものの、いい線いってるのではないかと思う。
まあ、これが正解! って判断できる人がいないので、この世界ではこれが唯一のハリッサだ。うん。
「そしてこれはケイジャン」
アメリカはルイジアナ州あたりで食べられているケイジャン料理に使われるミックススパイスだ。同じミックススパイスを使った料理でもトマトを使ったりルーの材料が変わるとクレオール料理って言うんだって。面白いわよね。
「わあ……すごい! こんなにたくさん!」
「これはすごい……う、いかにも辛そうな色のものもあるな」
「うおっ、すげー匂いだ! でもこいつで肉を焼いたら美味そうだな……(ごくり)」
皆の様々な反応を見て、やはりそれぞれに好みが分かれるなと感じた。
それを踏まえてメニューを組み立てたほうがよさそうね。
「とりあえずこれらを使って試作をするから、皆作るのも、もちろん試食も手伝ってね!」
私の言葉に皆が「おう!(はい!)」と揃って応えてくれたのだった。
---------------------------
いつもコメントandエールポチッとありがとうございます!
執筆の励みになっておりますー!
280
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
婚約破棄? そもそも君は一体誰だ?
歩芽川ゆい
ファンタジー
「グラングスト公爵家のフェルメッツァ嬢、あなたとモルビド王子の婚約は、破棄されます!」
コンエネルジーア王国の、王城で主催のデビュタント前の令息・令嬢を集めた舞踏会。
プレデビュタント的な意味合いも持つこの舞踏会には、それぞれの両親も壁際に集まって、子供たちを見守りながら社交をしていた。そんな中で、いきなり会場のど真ん中で大きな女性の声が響き渡った。
思わず会場はシンと静まるし、生演奏を奏でていた弦楽隊も、演奏を続けていいものか迷って極小な音量での演奏になってしまった。
声の主をと見れば、ひとりの令嬢が、モルビド王子と呼ばれた令息と腕を組んで、令嬢にあるまじきことに、向かいの令嬢に指を突き付けて、口を大きく逆三角形に笑みを浮かべていた。
【完結・全3話】不細工だと捨てられましたが、貴方の代わりに呪いを受けていました。もう代わりは辞めます。呪いの処理はご自身で!
酒本 アズサ
恋愛
「お前のような不細工な婚約者がいるなんて恥ずかしいんだよ。今頃婚約破棄の書状がお前の家に届いているだろうさ」
年頃の男女が集められた王家主催のお茶会でそう言ったのは、幼い頃からの婚約者セザール様。
確かに私は見た目がよくない、血色は悪く、肌も髪もかさついている上、目も落ちくぼんでみっともない。
だけどこれはあの日呪われたセザール様を助けたい一心で、身代わりになる魔導具を使った結果なのに。
当時は私に申し訳なさそうにしながらも感謝していたのに、時と共に忘れてしまわれたのですね。
結局婚約破棄されてしまった私は、抱き続けていた恋心と共に身代わりの魔導具も捨てます。
当然呪いは本来の標的に向かいますからね?
日に日に本来の美しさを取り戻す私とは対照的に、セザール様は……。
恩を忘れた愚かな婚約者には同情しません!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。