【本編完結】エロゲーの悪役令息に転生したら主人公からの求愛が止まらない

はかまる

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実技試験編

04 デッドエンドが常に傍にある男

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 目から汗が出る奇病と戦っている最中で授業開始の鐘が鳴った。俺含めクラスの生徒達が各々の席につくと「実技試験の告知」が教師より言い渡された。

 毎年、新入生の魔力診断の後のこの時期は魔獣住処である森へあえて赴き、魔獣退治も兼ねた生徒自身の魔力を使った試験を行うのだ。魔獣の強さ、討伐数が評価対象となり1年は森の入り口付近の魔獣でも小型の危険性の少ないものを相手にし、2年3年と森の深奥へ進み中型大型を対象となっていくわけである。

「昨年のルーク様の成績は今年の新入生も誰も抜くことは出来ないですね」

 隣に座るモグリソンが小声でそう話しかけてくる。
 去年のルークの成績というのは、小型魔獣23匹討伐である。1年生の平均10匹でこれは確かに多い方で、ルークは人並み以上の魔力量を所持していることで魔力切れが起こらないからこその討伐数だった。

「今年はカイリが居るからそんな事ないよ」
「ルーク様……」

 ゲームではこの実技試験で、ルークはカイリを陥れるためにある罠を仕掛ける。
 光属性のカイリの力は計り知れずルークは自身の功績を塗り替えられる事を恐れ、あわよくばカイリが学園に居られなくなればいいと思い魔獣を引き寄せる召集魔法がかけられたアイテムをカイリの衣服に仕込むのだ。そこでカイリは教師の目が離れた場所でヒロインの1人レイン・ゴーティスと魔獣の群れに襲われる事となる。魔獣から逃げながら戦う事に意識が行き、森の出口と真逆の深奥へ進み大型魔獣と鉢合わせる事となるのだ。

 主人公がここで魔獣を倒せればレイン・ゴーティスの好感度が上がり少しエッチなスチルが解放され、見事学園始まって以来の天才ともて囃される事となる。だが、失敗すれば2人は魔獣達に蹂躙されバッドエンドである。
 まぁ、これも俺が変な仕込みをしなければカイリがグッドエンドにもバッドエンドにも行く事はない。イコール、俺の人生にもなんら影響がない。そっとしておくのが一番なのである。
 俺は俺の未来の為、真面目にただ自分の試験を終えればよいのだ。

「あいつが居なければ……」
「??」

 その後も、モブく、……モグくんはなにやらブツブツと言いながら俯いていた。隣の席なので滅茶苦茶気になるが、まぁ俺も中学の時に左手が疼いたり居ない存在をさも存在するかのように話しかけて周りから気味悪がられるオレカッケエをやった経験があるのでそういうお年頃なのかもしれないとそっとしておくことにした。







「そっとしておくんじゃなかった」

 人気の無い教室が在る校舎とは別館へモグリソンに呼び出され話を聞けば、なんと主人公カイリ・フェンディルのポケットに秘密裏に取り寄せた魔獣寄せの石を仕込んできたと自慢げに俺に話し始めた。
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