のんびりダンジョン

水野(仮)

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蜥蜴と街と私

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扉が開かれて中に入ると土下座してる蜥蜴たち。
立ってる蜥蜴に土下座する蜥蜴と、今日は珍しい物をよく見るなぁ。と言うか、土下座出来るような骨の形してるんだね。
あと、見張り台から落ちた蜥蜴がピクピクしてるの気になるんだけど、矢の刺さったところから血を流してるよ? 治療しないの?

「この度は誠に申し訳ありません」

村の代表的な感じの人が謝ってきた。
この人が代表なんじゃないかなと思ったのは、1人だけ腕輪見たいのを付けてるからだ。
それ以外の土下座蜥蜴は何にも身につけていない、人間で例えるなら全裸だ。裸の老若男女が土下座してると考えるとなんか微妙だなぁ…。

「なんか言ってやれ」

おっと、別なことに気を取られてしまったわ。

「とりあえず、土下座の意味を知りたいんだけど」
「我らを守ってくれる鉄の竜を作ったお方に対する無礼な行いについてでございます」
「あれ、信用するんだ」
「塔の方より無傷で来られる方など、塔の主人以外おりません」

コソ「塔の主人とか言われたけれども…」
コソ「アイアンドラゴンが塔の1階に居るのはわりと知られている話だぞ。それの持ち主と言ったらダンジョンマスターくらいだろ」
コソ「あ、自分でバラしてたのか私」
コソ「それでどうしますか?」
コソ「まあ、謝ってるなら良いか」

「ま、わかれば良いわ、うん」
「は!」

…他に言う事が思いつかない。
本当はリザードマンを見に来ただけだし…。
どうしよう、話が続かないんだけど…。

「あ~、なんだ。とりあえず顔を上げろ」
「そ、そうね」
「今回はこの村の様子を見に来ただけだ、特に立ち退けとか言いに来たわけじゃないから心配するな」
「は!」
「この地に住み始めた理由を聞きたいんだが、良いか?」
「は!」

おお、元髭当主だっただけのことはあるなぁ…。

ここに移り住む前はもっと南にある湿地帯に住んでいたんだけど、宗教国家が攻めてきて土地を奪われ奴隷として連れて行かれたらしい。
そうして宗教国家で奴隷としての日々を送っていたところ、ゴーレム騎兵が襲撃して来て教会を潰した事で奴隷から解放されたんだとか。
奴隷と教会の関係がよくわからなかったので訊いてみたら、宗教国家では奴隷印とやらを教会でつけるらしく、その奴隷印は付けた本人が死ぬと効果が無くなるらしいので、ここに居る蜥蜴たちは宗教国家から逃げ出すことが出来たそうだ。クリス曰く、逃げ出さずに神に祈る連中ばかりだったので奴隷印とやらを付けた連中は建物ごと燃えちゃったようだ。
あと、住処は既に宗教国家の町と作り替えられているのでどこか別な場所を見つける必要があり、出来ればまた奪われることのないそんな土地をと思ってみんなで探し歩いてる時にたまたま自分たちは鉄の竜に襲われないことに気がついて、この地に住むことにしたと。

「水辺じゃないと生きられないみたいなことを聞いたけど、大丈夫なの?」
「鉄の竜の足元より水が湧き出ていたのでございます」
「へ~」

なんでも、その湧き出ている水の川下を見つけた1人…1匹? が、水源地を確かめる為に歩いた先に鉄の竜が居たとか。
下を向いて歩いていたので足元に辿り着くまで鉄の竜に気が付かなかったと…そしてそれがそこでピクピクして血を流してる奴と。
この場所を見つけたことで増長し始め、鉄の竜を神とし自分を神の使いとか言い出した? 村の代表になるのは俺だとか湧水を利用したければ俺の言うことを聞け? クズ過ぎるね。

「この地に村を作ることを許します。ただし、条件が有ります」
「は!」
「そいつを治療しないこと。もし治療したことがわかった時は鉄の竜を塔へ戻します」
「は!」
「それを守れるならここに住むことを認めます」

その後村を案内され、リザードマンとはどんなのか大体わかったので帰ることにする。
帰ることを伝えた際に、とどめを刺すのは治療行為に当たるか?と訊かれたので、当たらないと答えたんだけど…やる気ね。
こっそり生かすとかしないのは好感持てるな。



「ダンジョンカタログにリザードマンが追加されてる?」
「そうなの」
「見ると増えるのかしら?」

今のところ使い道が思い付かないから出さないけど、増えたのは良いことか。
もしかしたら、私が見た魔物がカタログに追加されていくのかな?
この辺りの森に住む魔物や辛気臭いマスターの魔物が載ってるのも私が見たからだったのかも。
でも、エドモンドさんたちに会っても骨は増えなかったのよねぇ、謎だわ。



塔の3階にある繁華街に交番を作った。
利用者が増えてトラブルが発生し始めたので見回りの強化と駆け込み先を用意したわけ。
罰則は草原領域も含む街への一時的な侵入禁止、3回目は一時的が永久になる。ちなみに私や店員たちに絡んで来たら1回目で永久になる。告知? 特にしてないわね。

塔の周りにある街にも交番と役所を作った。
勝手に店とか作り始めたり、うちの子たちが住んでる場所を取り上げようとする連中が出始めたので、取締りと使用許可を与える場所が必要かと思って。
大きく動かすので一旦人間たちを壁の外に出して作業する。
数時間で終わる作業なので塔に大きなモニターを付けて告知をし、退去を要請する。それでも残った奴は警官を派遣して永久侵入禁止にした。

「しかし、この侵入禁止って便利過ぎない? ダンジョン攻略されそうになったら使えば無敵じゃない?」
「普通は無理、ポイントが余ってるお姉ちゃんだから出来るの」

永久10万、一時的3万だからなぁ…。
普通のダンジョンだと3万てラスボス級らしいし。



リニューアルした塔の街に出来た幾つかの施設を任せられないかと近くの街の領主一族に話したところOKをもらった。支配人とか色々感づいてる気がしたからさ。その辺を任せれる魂を見つけられなくて困ったってのもあるけど。
あと、私が宿で休んでる時に領主の使いがやって来て会いに来いとか言ったらしいけど、用があるならお前が来いと言って追っ払ったのでご安心をと支配人さんに言われて内心ドキドキものよ。以前来た時もだけど、この街はなんか調子狂うのよ…。

ギルドとかを管理する人材はなんとかなったけど街を運営する人材はまだなんだよねぇ。
映像班に素材を与える為に作ったような街だけど、それなりの数が住み始めた以上放置するわけにもいかないし、かと言って私には無理だしなぁ。
支配人さんが来てくれないかなぁ。

「支配人さんは、街を運営することとか出来ますか?」
「教育を受けております」
「そうですか! あと、あと、人間に未練はありますか?」
「私は人間に産まれたので人間として生きています。もし魔族として産まれていたならその時は魔族として生きていたでしょう」
「それは…、種族が変わってもOKということで良いのですか?」
「作用でございます」

ヨシ!

「私の街に来てくれますか?」
「塔の街の支配人としてお役に立ちましょう」
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