タツキーランド勇者のつるぎ

たっちゃんプラス2

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④風の賢者をさがせ~キッタンとの出逢い

3人になった勇者のなかまは、もうひとりの仲間<風の賢者>をさがして旅をつづけた。

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 以前<もの知り翁(おきな)>が教えてくれたヒントを元に、キツターとラトテとグーリンは、<風の賢者>を探しに北東の村へと向かいました。その村は、のどかでいかにも村らしい村といった感じでしたが、実は、森をぬけた奥には武器の原料(げんりょう)となる鉄が埋(う)まっている鉄の山があり、村の大事な財産(ざいさん)になっているのでした。さらに、鉄の山の奥には、もっと貴重(きちょう)な秘密(ひみつ)の山がありました。その山にはオリハルコンというとてもめずらしい金属(きんぞく)が埋まっているのでした。
 三人は村の中の一本道を歩いていました。この村にすんでいる人たちの七割(ななわり)は、あのラウミ-工房ではたらいています。村人のひとりが、キツターの背中のつるぎに目をとめました。彼は工房の職人だったのです。
「あの剣の柄(つか)、前に工房でできてしまったエクスカリバーに形が似ているぞ。いったいどういうことなんだ?」
そこで、その村人はキツターたちに声をかけました。
「そこの旅のお若い方、良い剣をお持ちですね。私がはたらく工房の親方に見せてもらえませんか?」
キツターたちにとっては、願(ねが)ってもないことでした。風の賢者のことがわかるかもしれません。三人は村人に案内(あんない)されて、ラウミ-工房の中に入りました。そこは、とても大きな武器工房で、おおぜいの職人がせっせと武器を作っています。
「風の賢者は職人の家系」というのですから、この工房のどこかに賢者がいるかもしれません。

三人は、工房の奥の広間に通されました。そこには、ラウミーの親方と、おかみさんと、一番(いちばん)弟子(でし)のキッタンと、おおぜいの弟子の職人たちが集まっていました。
「こんにちは、ぼくはキツターといいます。こちらは友だちのラトテとグーリンです。ぼくたちは人さがしをしています。」
キツターがそういいかけると、キツターの手甲の下から、かすかにあのしらべが聞こえてきました。キツターは手を上げると、周囲にかざしてみました。すると、ある人物の方に向いたとき、そのしらべはいちばん美しく鳴(な)り響(ひび)きました。キッタンです!キツターは喜びのあまり、すぐにキッタンに駆(か)け寄(よ)りました。すると、ラウミーの親方が、キツターがキッタンを襲(おそ)おうとしてると勘違(かんちが)いして、キツターになぐりかかりました。キツターはおどろいてとっさに避(さ)けようとしましたが、それより早く親方に頭を三発もなぐられてしまいました。が、親方はキツターが背負っているつるぎに気がつくと、おどろいて手を止めました。
「お前はだれだ?どうしてこのつるぎを持っているのだ?」
「ぼくはテクスカリバーの使い手、勇者キツターです。この村には<風の賢者>をさがしに来ました。」
キツターは、手の甲の紋章と、背負っていたテクスカリバーを親方に見せました。そして、グーリンが<大地の賢者>であること、ここにいるキッタンこそが、さがしていた<風の賢者>であることを告げました。驚くキッタン。そこで、グーリンは、キッタンに<大地の賢者>の証である女神の紋章を見せ、<勇者戦記>の巻物をひろげて「カゼノチカラ、ラカチノゼカ」と唱(とな)えるよううながしました。
「カゼノチカラ、、、ラカチノゼカ」
キッタンが呪文(じゅもん)を唱えると、グーリンのときと同じように、キッタンの身体は白い光につつまれ、左手の甲に右足で杖をつかんだ不死鳥(ふしちょう)の紋章が浮かび上がりました。眠っていたキッタンの力もめざめたのです。おどろきのあまり茫然(ぼうぜん)とするキッタン。その場にいた工房のひとたちもびっくりぎょうてんしています。しばらくして、親方が口をひらきました。
「いや、おどろいた。こんなにおどろいたのは、偶然(ぐうぜん)エクスカリバーができたとき以来だな。しかし、賢者のひとりがこの工房にいたことは実に名誉(めいよ)なことだ。キッタン、おまえはこの若者たちのなかまになれ。」
「はい。勇者とそのなかまたちがぼくと歳の変わらない若者であることにおどろきましたが、これが自分の運命ならば、がんばって戦います。」
キッタンが決意を込めて言うと、おかみさんは涙ぐんでキッタンを抱きしめました。親方はキツターに向かって言いました。
「お前の攻撃力(こうげきりょく)がどれほどかは知らないが、防(ぼう)御力(ぎょりょく)がたりないと思う。おまえたちにラウミ-工房特製(とくせい)の防具(ぼうぐ)をつくってやろう。」

 それから数日間、キツターたちは工房で武器を見せてもらったり、鉄の山やオリハルコンの山までも案内してもらったり、おかみさんの作るおいしい料理をごちそうになったりして過ごしました。その間に、親方は弟子たちに命じて四人のための防具と武具(ぶぐ)をつくらせました。できたのは―さすがラウミー工房、すばらしい防具と武具でした。
まず、キツターとラトテとキッタンの防具は、頭と胴(どう)と足をおおう甲冑(かっちゅう)でした。この甲冑はいちばん薄くて軽いけれども丈夫なオリハルコンでできていました。全身につけていても、羽衣(はごろも)をまとっているようなのです。グーリンの防具は甲冑ではなく、尼さんが着ている聖(せいい)衣のようなドレスと靴(くつ)で、これもオリハルコンでできています。この靴ははいて歩くと体力が自然に回復するのです。それから、三人には戦うための武具も贈(おく)られました。ラトテの武具は、<海賊(かいぞく)の短剣(たんけん)>で、とてもすばやくこまかい動きができます。キッタンの武具は、<聖なるランス>という槍(やり)で、邪悪な力を攻撃するのに威力(いりょく)を発揮(はっき)します。グーリンの武具は<羊飼いの杖(つえ)>で、炎(ほのお)・風・雷(かみなり)による爆発(ばくはつ)が起こせます。キツターの武具は・・・必要ありません。テクスカリバーがあるのですから。
 こうして、キッタンという新しい仲間を加え、強力な道具までもらったキツターたちは、<風の神殿>を求めてラウミー工房を後にしたのでした。
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