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なんでもある1日①
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私は今、下駄箱近くの物陰に隠れています。なぜ隠れているのかというと、昨日の佐奈に怒られたことが原因です。
というのも、佐奈に怒られて私気付いたんです、このままじゃいけないって。いつまでも消極的な私では、きっと倉敷くんは振り向いてくれないって!
だから、今日から私は変わることにしました! もっと積極的に、もっと大胆に! 倉敷くんが振り向いてくれる素敵女子になろうと思います!
そのための第一歩が……私から倉敷くんに挨拶をする! だがこれでは以前から対して変わっていない。なので今日からは『倉敷くんの目を見て挨拶する!』……これだ。ふふ、想像しただけで身震いがするわ……。だって好きな人の目を見つめるんだよ? しかも、私はこの目がコンプレックスなんだよ? それなのにこのミッションはかなりの難易度。もうナイトメアモードと言っても過言ではない。でも私はこれを達成する。そう、素敵女子になるためにっ!
「……はっ、来たっ!」
昇降口のドアを開け、下駄箱前までやって来た倉敷くんを発見する。
私の作戦はこう。——倉敷くんが上履きに履き替え、階段を登り始めたところで私が後ろから走って追い抜く。そして中腹の踊り場で華麗に翻ると、窓から差し込む光が私を照らし、倉敷くんを見下ろしながら「おはよう倉敷くん。今日も素敵で奇跡な1日にしましょうね」と満面の笑みで挨拶するのだ。
ふふふ、これで胸を打たれない男子はいないハズ。漫画の男の子はこれでドキっとしてたし、読んでた私もキュンとしたもん。完璧な作戦だ、これなら素敵女子間違いなし。
しかし緊張しているのか、私が目を大きく見開いて物陰から眺めていると、周りから何だか怯える声が聞こえる気がする……だが今はそれどころではない。そう……倉敷くんが階段を登り始めたのだ!
「出来る……私なら出来る……。変わるんだ、素敵女子になるんだ……っ!」
言い聞かせるようにボソボソと唱え気合を入れると、私は思い切り駆け出し、予定通り倉敷くんを追い抜いた! 抜き去る瞬間、倉敷くんも私に気付いたようだ。こっち見たのが視界の隅に写ったし。あぁ、ちょっとでもスピードを緩めると緊張で体が固まってしまいそう。だから私は階段の中腹にある踊り場に辿り着くと、駆け出したスピードのまま勢いよく振り返り……——、
「おおおっはよぉう倉敷クァン!? きき今日もしゅ、しゅて——」
私を見上げた倉敷くんは顔を真っ赤にして私を見ている。いや、正確には私のお腹より下の……——、
「ししし神泉さ!? あのスススカートがあの……!?」
「………………」
思い切り勢いをつけて翻った反動で、女子高生らしい私の少し短いスカートはふわりと浮いていて、
「あのパパパパ、パン」
「ごめんなさああああああぁぁぁああい——っ!!」
耳の先からつま先まで真っ赤にした私は、倉敷くんに挨拶することなくその場を後にしてしまったのだった。
朝からパンツ見せるとか失礼すぎる……。
◇◇◇
あと10分もしないうちに朝のホームルームが始まる。私は教室にほど近いベンチに佐奈を呼びつけ、真っ赤になった顔を手で覆いながら事の顛末を話していた。
「ウヒ、うひひひふひゃあはあはは! 栞里、あんたはやっぱりやれば出来る子だよ!」
「笑い事じゃないよぉ! 朝一にパンツ見せつけて走り去るとか変質者のソレじゃんかぁ!」
いやぁぁぁぁぁああああと頭をブンブンと振りながら叫んで佐奈に言っても、佐奈は笑い転げてまともに相手をしてくれない。
「ヒィ……ヒィ……息が……息ができな——助けぶふぅっ!」
「うわああああああぁぁぁあん!」
昨日に引き続き泣き叫ぶ私の頭を佐奈は撫でているが、この撫で方は完全にバカにした撫で方であった。その証拠に笑いすぎて撫でてる手が震えてるもん……。
「と、とにかく教室に戻ろう? もうホームルームも始まるし……イエヒヒ……」
「でででも私は一体どうすれば!?」
一体どんな顔して倉敷くんに会えば良いの!? 合わせる顔がないよぉ!
「大丈夫大丈夫。とにかく当初の予定通り、ちゃんと倉敷くんの目を見て挨拶すれば平気だから」
「……本当に?」
「ほんとうほんとう」
やっと笑いが治まってきた佐奈が、涙を吹きながら私の背中を押してくれる。
「ほら、とにかく行ってみよう!」
「……うん、わかった。私頑張る!」
胸の前で小さくガッツポーズを取りながら、私たちは教室へ向かったのだった。
「……ぶひゃあ!」
「まだ笑うの!?」
というのも、佐奈に怒られて私気付いたんです、このままじゃいけないって。いつまでも消極的な私では、きっと倉敷くんは振り向いてくれないって!
だから、今日から私は変わることにしました! もっと積極的に、もっと大胆に! 倉敷くんが振り向いてくれる素敵女子になろうと思います!
そのための第一歩が……私から倉敷くんに挨拶をする! だがこれでは以前から対して変わっていない。なので今日からは『倉敷くんの目を見て挨拶する!』……これだ。ふふ、想像しただけで身震いがするわ……。だって好きな人の目を見つめるんだよ? しかも、私はこの目がコンプレックスなんだよ? それなのにこのミッションはかなりの難易度。もうナイトメアモードと言っても過言ではない。でも私はこれを達成する。そう、素敵女子になるためにっ!
「……はっ、来たっ!」
昇降口のドアを開け、下駄箱前までやって来た倉敷くんを発見する。
私の作戦はこう。——倉敷くんが上履きに履き替え、階段を登り始めたところで私が後ろから走って追い抜く。そして中腹の踊り場で華麗に翻ると、窓から差し込む光が私を照らし、倉敷くんを見下ろしながら「おはよう倉敷くん。今日も素敵で奇跡な1日にしましょうね」と満面の笑みで挨拶するのだ。
ふふふ、これで胸を打たれない男子はいないハズ。漫画の男の子はこれでドキっとしてたし、読んでた私もキュンとしたもん。完璧な作戦だ、これなら素敵女子間違いなし。
しかし緊張しているのか、私が目を大きく見開いて物陰から眺めていると、周りから何だか怯える声が聞こえる気がする……だが今はそれどころではない。そう……倉敷くんが階段を登り始めたのだ!
「出来る……私なら出来る……。変わるんだ、素敵女子になるんだ……っ!」
言い聞かせるようにボソボソと唱え気合を入れると、私は思い切り駆け出し、予定通り倉敷くんを追い抜いた! 抜き去る瞬間、倉敷くんも私に気付いたようだ。こっち見たのが視界の隅に写ったし。あぁ、ちょっとでもスピードを緩めると緊張で体が固まってしまいそう。だから私は階段の中腹にある踊り場に辿り着くと、駆け出したスピードのまま勢いよく振り返り……——、
「おおおっはよぉう倉敷クァン!? きき今日もしゅ、しゅて——」
私を見上げた倉敷くんは顔を真っ赤にして私を見ている。いや、正確には私のお腹より下の……——、
「ししし神泉さ!? あのスススカートがあの……!?」
「………………」
思い切り勢いをつけて翻った反動で、女子高生らしい私の少し短いスカートはふわりと浮いていて、
「あのパパパパ、パン」
「ごめんなさああああああぁぁぁああい——っ!!」
耳の先からつま先まで真っ赤にした私は、倉敷くんに挨拶することなくその場を後にしてしまったのだった。
朝からパンツ見せるとか失礼すぎる……。
◇◇◇
あと10分もしないうちに朝のホームルームが始まる。私は教室にほど近いベンチに佐奈を呼びつけ、真っ赤になった顔を手で覆いながら事の顛末を話していた。
「ウヒ、うひひひふひゃあはあはは! 栞里、あんたはやっぱりやれば出来る子だよ!」
「笑い事じゃないよぉ! 朝一にパンツ見せつけて走り去るとか変質者のソレじゃんかぁ!」
いやぁぁぁぁぁああああと頭をブンブンと振りながら叫んで佐奈に言っても、佐奈は笑い転げてまともに相手をしてくれない。
「ヒィ……ヒィ……息が……息ができな——助けぶふぅっ!」
「うわああああああぁぁぁあん!」
昨日に引き続き泣き叫ぶ私の頭を佐奈は撫でているが、この撫で方は完全にバカにした撫で方であった。その証拠に笑いすぎて撫でてる手が震えてるもん……。
「と、とにかく教室に戻ろう? もうホームルームも始まるし……イエヒヒ……」
「でででも私は一体どうすれば!?」
一体どんな顔して倉敷くんに会えば良いの!? 合わせる顔がないよぉ!
「大丈夫大丈夫。とにかく当初の予定通り、ちゃんと倉敷くんの目を見て挨拶すれば平気だから」
「……本当に?」
「ほんとうほんとう」
やっと笑いが治まってきた佐奈が、涙を吹きながら私の背中を押してくれる。
「ほら、とにかく行ってみよう!」
「……うん、わかった。私頑張る!」
胸の前で小さくガッツポーズを取りながら、私たちは教室へ向かったのだった。
「……ぶひゃあ!」
「まだ笑うの!?」
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