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疑惑
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「お遊びって、そんな…なんでそんなこと……」
とても信じられないというように、杏子は何度も首を左右に振った。
「花澄と真里絵、二人とも。劇中だけでなく、現実にも康治を好きになってしまったんだろう。痴情のもつれ……ってところかな」
統一郎は相変わらず淡々としている。
「二人が康治さんを好きだったのは、たしかにそうかもしれないけど……だからって――」
「まあ、とにかく。これで事件は解決したんだ。嫌なことは早く忘れて――」
顔を覆って泣き出す杏子に、冷酷とも思える統一郎の言葉が浴びせられる。
仲間が二人も命を落としたというのに どうしてこうも冷静でいられるのか。文句の一つでも言ってやろうと、雄太が腰を浮かせた時だった。
「そんなっ! 忘れたくても……そんなの一生忘れられませんよっ!! 」
康治の悲痛な叫びが響き渡った。
「何も知らなかったとはいえ、花澄さんを実際に刺してしまったのは…この僕なんだ……! 」
*
ところがである。
鑑識に回された遺書からは、不自然なことに誰の指紋も出てこなかったという。
その上パソコンで打たれた文字なので、元々筆跡も鑑定することが出来なかった。
*
「真里絵が口にしたジュースは冷凍庫にあったものだったよな」
発見時の状況を確認しようと、雄太が杏子へ目を向ける。
「ええ、そうだったわね。それが何か……」
「これから服毒自殺しようって時に、わざわざ凍らせるかなって思ってさ」
「真里絵さんは、いつもそうやって飲んでいたじゃないの。少し溶けてシェイク状になったのが好きなんだって言ってたわ」
それのどこに不可解な点があるのかと言わんばかりの杏子に、苛立ちを隠せない雄太は次第に口調が強くなっていく。
「だからさっ、真里絵のその癖を利用した誰かが、予め毒を仕込んでいたんじゃないか――ってことだよっ! 」
「つまり、これは……れ、連続殺人――?! 」
一瞬の間を置いて、雄太の言いたいことを理解したのか 杏子は突然すっとんきょうな声をあげた。
「そんな…もう何もかも嫌だ……」
二人のやり取りを聞いていた康治は、頭を抱えて へなへなと座り込んでしまった。
雄太は、何か考え込むように腕組みしたまま じっと宙を見つめている。
そんな彼らの様子をただ黙って眺めていた統一郎は、やがて その場をそっと離れた――
「監督……?!」
薄暗い舞台裏で、背後から突然声をかけられた統一郎はビクッと肩を震わせた。そのはずみで、持っているものを危うく落としそうになる。余程 何かに集中していたのだろう。
「何してらっしゃるんですか」
とても信じられないというように、杏子は何度も首を左右に振った。
「花澄と真里絵、二人とも。劇中だけでなく、現実にも康治を好きになってしまったんだろう。痴情のもつれ……ってところかな」
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「まあ、とにかく。これで事件は解決したんだ。嫌なことは早く忘れて――」
顔を覆って泣き出す杏子に、冷酷とも思える統一郎の言葉が浴びせられる。
仲間が二人も命を落としたというのに どうしてこうも冷静でいられるのか。文句の一つでも言ってやろうと、雄太が腰を浮かせた時だった。
「そんなっ! 忘れたくても……そんなの一生忘れられませんよっ!! 」
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*
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その上パソコンで打たれた文字なので、元々筆跡も鑑定することが出来なかった。
*
「真里絵が口にしたジュースは冷凍庫にあったものだったよな」
発見時の状況を確認しようと、雄太が杏子へ目を向ける。
「ええ、そうだったわね。それが何か……」
「これから服毒自殺しようって時に、わざわざ凍らせるかなって思ってさ」
「真里絵さんは、いつもそうやって飲んでいたじゃないの。少し溶けてシェイク状になったのが好きなんだって言ってたわ」
それのどこに不可解な点があるのかと言わんばかりの杏子に、苛立ちを隠せない雄太は次第に口調が強くなっていく。
「だからさっ、真里絵のその癖を利用した誰かが、予め毒を仕込んでいたんじゃないか――ってことだよっ! 」
「つまり、これは……れ、連続殺人――?! 」
一瞬の間を置いて、雄太の言いたいことを理解したのか 杏子は突然すっとんきょうな声をあげた。
「そんな…もう何もかも嫌だ……」
二人のやり取りを聞いていた康治は、頭を抱えて へなへなと座り込んでしまった。
雄太は、何か考え込むように腕組みしたまま じっと宙を見つめている。
そんな彼らの様子をただ黙って眺めていた統一郎は、やがて その場をそっと離れた――
「監督……?!」
薄暗い舞台裏で、背後から突然声をかけられた統一郎はビクッと肩を震わせた。そのはずみで、持っているものを危うく落としそうになる。余程 何かに集中していたのだろう。
「何してらっしゃるんですか」
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