忘れる国の話

END.2〜傷物の2人

　何日が経っただろうか。少しやつれたララはゆっくりと起き上がった。シュウもそれに気付き起き上がった。ララの横にはシュウが苦労して採った果物や木の実が置いてあった。
　ララはそれを片っ端からかじりついた。シュウは急いでコップで水を汲みにいった。数日分の栄養を取り返したララは立ち上がり、来た道を戻り始めた。
　高いところから降りてくる強風に逆らって歩いてゆく。シュウの巻いているシーツも止むことなくなびいている。
　立ち止まったのは廃墟が並ぶあの丘だった。ララはリュックからノコギリや釘などを取り出し、一つの家を修復し始めた。
「何してるの？」
　シュウはララの後ろから聞いた。
「住む場所を作ってるの。ほら、手伝って」
　二人は他の家から使えそうな材料を集めた。
「家に帰らなくていいの？」
「帰っても、なんだか常に虚しい気持ちで暮らすような気がして。自分だけしか過去を知らない中で生きていくのは難しいものだもの」
　ララは穴の空いた壁に板を取り付けながら言った。
　丘の上からまた、新しい風が吹いてきた。

（完）