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第九章 商人連合国アキンド編
第319話 ヴォーアル迷宮掌握
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とはいえ、落ち込んでいても仕方がない。
レベル100迄あと4レベル、人間を辞める事になる迄、あと5レベルか……。
限界突破というレベル上限を超えるユニークスキルを手にしてしまった事で、人間を辞めさせられるかもしれない、とんでもない程のピンチを迎えてしまったが、これはもうどうしようもない事だ。
「さあ、悠斗様♪ 限界突破のユニークスキルも手に入れたし、早速、迷宮核に魔力を流し込みヴォーアル迷宮を手中に収めようよ~♪」
「そうそう。それに気落ちする事もない。限界突破のユニークスキルなんて中々、入手する事ができる様なものではないんだぞ」
「そ、そうだね……まあ、取り敢えず、迷宮核に魔力を注いでヴォーアル迷宮を手中に収めようか。それじゃあ、ロキさんとカマエルさん。大丈夫だとは思うけど、見張りよろしくね」
「任せておいて♪」
「ああ、任せておけ!」
さあ迷宮核に魔力を注ごう。
俺は迷宮核に手を置くと、魔力を流し込んでいく。
すると、迷宮核が白く輝き出した。
「こ、これは……」
「大丈夫、大丈夫だよ~♪ その光が収まった時がこの迷宮を支配した証となるのさ♪」
「そうなんだ?」
ロキさんは一度迷宮核に魔力を注いだ事があるのだろうか?
なんでそんな事を知っているのだろう??
まあいいか……。
迷宮核に数十分間、魔力を流し続けると、頭がふわふわした感覚に襲われる。
これは、王都を迷宮の支配下に置いた時も起きた現象だ。
俺は床に置いた万能薬を片手で取ると、迷宮核に魔力を流し込みながら、万能薬を一気飲みした。
すると、ふわふわとした感覚が薄れていき、意識がはっきりとしてくる。
やはり万能薬は凄い。これなら、思った以上に早くヴォーアル迷宮を支配下に置く事ができそうだ。
それから数時間後……。
「ゆ、悠斗様、凄い汗だが大丈夫か?」
「本当だね。悠斗様、少し休んだ方がいいよ?」
「もう少し、あともう少しで終わりそうだから、もう少しだけ頑張ってみるよ……」
あれから何時間経ったか分からない。
しかし、迷宮核の放つ光が段々と落ち着いてきたのだけは分かる。
もう少し、もう少しの筈だ。
「あっ……ヤバいっ……」
段々と意識が薄れてきた。
「だ、大丈夫! 悠斗様っ! 悠斗様っ!」
「悠斗様、迷宮核から手を放すんだっ!」
ロキさんとカマエルさんが心配そうな表情を浮かべながら声をかけてくる。
「大丈夫……まだ大丈夫だから……あっ……」
薄れていく意識の中で俺が最後に見たのは、迷宮核の光が収まり白色に染まった迷宮核。
迷宮核の光が収まると共に、俺は意識を失う様に眠りについた。
「……うと様……斗様……悠斗様」
誰かが俺を呼ぶ声に瞼を開けると、そこには心配そうな表情を浮かべている屋敷神の姿があった。
「悠斗様……お目覚めになられた様ですね。全く無茶をして……」
えっ? なんで屋敷神がここに?
朦朧とした意識のまま、屋敷神に問いかける。
「迷宮核は……ヴォーアル迷宮の迷宮核はどうなったの?」
「ご安心下さい。ヴォーアル迷宮は悠斗様の支配下に置かれました。悠斗様は魔力を使い過ぎて倒れたのです。今はゆっくりとお休み下さい」
「う、うん……分かった」
そう言うと、俺はそのままベッドで横になる。
すると、突然、部屋の扉があきロキさんとカマエルさんが入ってきた。
「悠斗様っ!? 意識を取り戻したんだね!」
「全く心配をかけて、しかし無事で良かった……」
ロキさんとカマエルさんが開けた扉からフギンとムニンが入ってきて俺の肩に留まる。
「ロキさん、カマエルさん……それにフギン、ムニンまで……」
フギンとムニンが「カアー」と鳴き声をあげると俺の服の袖に潜り込んできた。
「ふふふっ、くすぐったいよ。フギン、ムニン……」
俺は服の袖の中に潜り込もうとするフギンとムニンの頭を撫でると、ロキさんのカマエルさんに視線を向けた。
「ロキさんもカマエルさんも心配かけてごめんね。そういえば、ロキさん達が俺をここまで運んでくれたの?」
俺がそう呟くと、ロキさんとカマエルさんは苦笑いを浮かべた。
「悠斗様には怒らないで聞いてほしいんだ。普通の人であれば喜ぶような事ではあるんだけど、悠斗様が喜ぶとは限らないからね……」
「そ、そうそう。こればかりは仕方がなかったんだ。まずは深呼吸をして、心を落ち着かせてから話を聞いてほしい」
えっ? 一体何だろう?
なんだか凄く嫌な予感がする。
俺は取り敢えず、カマエルさんに言われた通り大きく深呼吸をすると、カマエルさんに話かける。
「それで、一体何があったの?」
「実はあれから……」
そこからの話は、かなり頭の痛くなる様な内容だった。
俺が倒れた事により影転移で帰る予定だったロキさんとカマエルさんはかなり焦ったらしい。
「ど、どうする? どうすればいいんだこれ?」
「流石に悠斗様をこのままにしておく訳にはいかないしね……よし、それじゃあ、悠斗様を連れて外に戻ろうか♪」
「ど、どうやってっ!?」
「嫌だなぁ~決まってるじゃん♪ 悠斗様の影転移が使えない以上、歩いて戻るしかないよね♪」
「ゆ、悠斗様が起きるまでここで待つというのは?」
「悠斗様がどうなってもいいの? 万能薬も飲み過ぎだし、これ以上飲んだら死んじゃうかもしれないんだよ?」
「ううっ!?」
「じゃあ、決定だね♪ 早速、悠斗様を連れて迷宮の外に出ようか♪」
その話を聞いた直後、レベルを確認してみると、俺のレベルは最後に確認したレベル96から2レベル上がった、レベル98レベルとなっていた。
ステータスを見た俺は、人外への道を驀進しているこの状況に頭を抱えるのであった。
------------------------------------------------------------------
この度「転異世界のアウトサイダー」の書籍化が決定しました。
ここまで辿り着けたのも、皆様の応援のおかげです。
読んで下さっている皆様、コメントを下さっている皆様、誤字脱字指摘を下さる皆様、本当にありがとうございます。
刊行は2021年4月中旬を予定しています。
書影及びイラストレーター様の情報はまだ公開する事はできませんが、本作に勿体ない程、美麗なイラストを描いて頂きました。
宜しければ気に留めてみてください。
アルファポリス様で作品を楽しんで頂けている読者様に感謝を。そして、これからもよろしくお願いします。
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限界突破というレベル上限を超えるユニークスキルを手にしてしまった事で、人間を辞めさせられるかもしれない、とんでもない程のピンチを迎えてしまったが、これはもうどうしようもない事だ。
「さあ、悠斗様♪ 限界突破のユニークスキルも手に入れたし、早速、迷宮核に魔力を流し込みヴォーアル迷宮を手中に収めようよ~♪」
「そうそう。それに気落ちする事もない。限界突破のユニークスキルなんて中々、入手する事ができる様なものではないんだぞ」
「そ、そうだね……まあ、取り敢えず、迷宮核に魔力を注いでヴォーアル迷宮を手中に収めようか。それじゃあ、ロキさんとカマエルさん。大丈夫だとは思うけど、見張りよろしくね」
「任せておいて♪」
「ああ、任せておけ!」
さあ迷宮核に魔力を注ごう。
俺は迷宮核に手を置くと、魔力を流し込んでいく。
すると、迷宮核が白く輝き出した。
「こ、これは……」
「大丈夫、大丈夫だよ~♪ その光が収まった時がこの迷宮を支配した証となるのさ♪」
「そうなんだ?」
ロキさんは一度迷宮核に魔力を注いだ事があるのだろうか?
なんでそんな事を知っているのだろう??
まあいいか……。
迷宮核に数十分間、魔力を流し続けると、頭がふわふわした感覚に襲われる。
これは、王都を迷宮の支配下に置いた時も起きた現象だ。
俺は床に置いた万能薬を片手で取ると、迷宮核に魔力を流し込みながら、万能薬を一気飲みした。
すると、ふわふわとした感覚が薄れていき、意識がはっきりとしてくる。
やはり万能薬は凄い。これなら、思った以上に早くヴォーアル迷宮を支配下に置く事ができそうだ。
それから数時間後……。
「ゆ、悠斗様、凄い汗だが大丈夫か?」
「本当だね。悠斗様、少し休んだ方がいいよ?」
「もう少し、あともう少しで終わりそうだから、もう少しだけ頑張ってみるよ……」
あれから何時間経ったか分からない。
しかし、迷宮核の放つ光が段々と落ち着いてきたのだけは分かる。
もう少し、もう少しの筈だ。
「あっ……ヤバいっ……」
段々と意識が薄れてきた。
「だ、大丈夫! 悠斗様っ! 悠斗様っ!」
「悠斗様、迷宮核から手を放すんだっ!」
ロキさんとカマエルさんが心配そうな表情を浮かべながら声をかけてくる。
「大丈夫……まだ大丈夫だから……あっ……」
薄れていく意識の中で俺が最後に見たのは、迷宮核の光が収まり白色に染まった迷宮核。
迷宮核の光が収まると共に、俺は意識を失う様に眠りについた。
「……うと様……斗様……悠斗様」
誰かが俺を呼ぶ声に瞼を開けると、そこには心配そうな表情を浮かべている屋敷神の姿があった。
「悠斗様……お目覚めになられた様ですね。全く無茶をして……」
えっ? なんで屋敷神がここに?
朦朧とした意識のまま、屋敷神に問いかける。
「迷宮核は……ヴォーアル迷宮の迷宮核はどうなったの?」
「ご安心下さい。ヴォーアル迷宮は悠斗様の支配下に置かれました。悠斗様は魔力を使い過ぎて倒れたのです。今はゆっくりとお休み下さい」
「う、うん……分かった」
そう言うと、俺はそのままベッドで横になる。
すると、突然、部屋の扉があきロキさんとカマエルさんが入ってきた。
「悠斗様っ!? 意識を取り戻したんだね!」
「全く心配をかけて、しかし無事で良かった……」
ロキさんとカマエルさんが開けた扉からフギンとムニンが入ってきて俺の肩に留まる。
「ロキさん、カマエルさん……それにフギン、ムニンまで……」
フギンとムニンが「カアー」と鳴き声をあげると俺の服の袖に潜り込んできた。
「ふふふっ、くすぐったいよ。フギン、ムニン……」
俺は服の袖の中に潜り込もうとするフギンとムニンの頭を撫でると、ロキさんのカマエルさんに視線を向けた。
「ロキさんもカマエルさんも心配かけてごめんね。そういえば、ロキさん達が俺をここまで運んでくれたの?」
俺がそう呟くと、ロキさんとカマエルさんは苦笑いを浮かべた。
「悠斗様には怒らないで聞いてほしいんだ。普通の人であれば喜ぶような事ではあるんだけど、悠斗様が喜ぶとは限らないからね……」
「そ、そうそう。こればかりは仕方がなかったんだ。まずは深呼吸をして、心を落ち着かせてから話を聞いてほしい」
えっ? 一体何だろう?
なんだか凄く嫌な予感がする。
俺は取り敢えず、カマエルさんに言われた通り大きく深呼吸をすると、カマエルさんに話かける。
「それで、一体何があったの?」
「実はあれから……」
そこからの話は、かなり頭の痛くなる様な内容だった。
俺が倒れた事により影転移で帰る予定だったロキさんとカマエルさんはかなり焦ったらしい。
「ど、どうする? どうすればいいんだこれ?」
「流石に悠斗様をこのままにしておく訳にはいかないしね……よし、それじゃあ、悠斗様を連れて外に戻ろうか♪」
「ど、どうやってっ!?」
「嫌だなぁ~決まってるじゃん♪ 悠斗様の影転移が使えない以上、歩いて戻るしかないよね♪」
「ゆ、悠斗様が起きるまでここで待つというのは?」
「悠斗様がどうなってもいいの? 万能薬も飲み過ぎだし、これ以上飲んだら死んじゃうかもしれないんだよ?」
「ううっ!?」
「じゃあ、決定だね♪ 早速、悠斗様を連れて迷宮の外に出ようか♪」
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ステータスを見た俺は、人外への道を驀進しているこの状況に頭を抱えるのであった。
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ここまで辿り着けたのも、皆様の応援のおかげです。
読んで下さっている皆様、コメントを下さっている皆様、誤字脱字指摘を下さる皆様、本当にありがとうございます。
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